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アセンションへの道程 〜ある外科医のスピリチュアル〜

アセンションを目指したある1外科勤務医のスピリチュアルおよびその周辺事項への探求をご紹介します

竹内 結子 さんの死去に 再び考える中年期のうつ病

 女優の 竹内 結子 さん(40歳)が亡くなりました。関係者によりますと、27日午前2時ごろ、東京 渋谷区の自宅で意識のない状態で見つかり、その後、搬送先の病院で死亡が確認されたとのことです。現場の状況などから自殺とみられています。自宅から遺書は見つかっていないということで、警視庁は詳しい経緯などを調べています。

竹内さん死去の記事

 故 竹内 さんを初めて見たのは2001年の「白い影」のヒロインとして出演した時でありました。学生時代に何度も読んだ、故 渡辺 淳一 氏の「無影灯」がドラマ化されたもので、1973年版(田宮 二郎、山本 陽子)が2001年版(中居 正広、竹内 結子)でリメイクされたものです。内容は他に譲るとして、竹内さんの印象は、小説の中ではしっとりとした雰囲気の志村倫子さんが、竹内さんが演ずると、だいぶ明るく、お茶目なキャラクターでありました。
 その後の竹内さん、いくつかの映画、ドラマでもお見かけしましたが、いつも明るく、活発な女性でありました。2016年の大河ドラマ「真田丸」の淀君では、自分が愛した人々は皆不幸になる、と言う己の定めを淡々と受け入れ、やはり、明るく気丈な女性を演じました。
 報道されている通り彼女が自ら命を断ったのであれば、明るく気丈に振舞う女性の表と裏、光と影が顕著な形で存在したのでありましょうか? ここで思い当たるのが「中年期のうつ」であります。

 以前に掲載した文章をリメイクしたものとなります。


◇ うつ病の概要・疫学

 精神科の教科書の引用とネットで調べられるものから、うつ病についてごくごく浅い内容で概要・疫学をご紹介いたします。

1.うつ病の定義

 うつ病とは「気分が落ち込む」、「気が滅入る」、「もの悲しい」と言った「抑うつ症状」が長期に継続するものと定義されます。不眠、頭痛、肩こりなどの身体症状を伴い、「自殺念慮」、「自殺企図」にも発展し、自殺率は15%にも及びます。

2.うつ病患者数の推移

 ここでは厚生労働省「患者調査」で発表されているうつ病・躁うつ病の疫学が手に入りましたがので供覧します。なんとなく、外来で多くの患者に接しているとうつ病患者は増えているような印象を受けておりましたし、芸能人や知名人でうつ病に罹患したとの話がちらほら聞こえてきます。3年毎の年別うつ病・躁うつ病患者総数を見ますと(下図)、果たしてうつ病の患者数ははっきり増加傾向しておりました。1996年が40万人台であったのが、2014年には110万人を超えてきて、恐らくは現在(2017年)は120万人に達していると思われ、20年間で約3倍となったものと推定されます。単純に考えれば、周囲の知人友人でうつ病と言う話を聞くのが20年前と今では3倍に増えていると言うことです。これは精神科に受診してうつ病・躁うつ病と診断される症例の数でありますので、単純に有病率の増加のみならず、患者の受診率の増加も背景にあろうかと存じます。また、どの年においても女性の方が男性を上回っていることも特筆すべき点であります。

【うつ病・躁うつ病の年別(3年毎)男女別患者総数】
うつ病、躁うつ病総患者数

3.年齢別男女別うつ病患者数

 こちらも厚生労働省「患者調査」2014年のデータであります。どの年齢においても男性よりも女性の方が患者数は多く、年齢別のうつ病患者数の分布は男女で若干の相違が見られます。男性は40歳代が最も多く、各年代ほぼ左右対象の正規分布を示しております。これに対して、女性も40歳代にピークを迎えますが、50歳代で減少するものの60歳代で再度の増加が見られ2つ目のピークがあります。70歳代も50歳代とほぼ同数の患者がいるようです。また、80歳代では女性の患者は男性の3倍以上と最も男女差が見られております。

【2014年におけるうつ病・躁うつ病の年齢別男女別患者数】
2014年のうつ病総うつ病連嶺別患者数


◇ 中年期うつ病の原因論

 子供からご老人まで、幅広い年代に発症するうつ病でありますが、その原因として遺伝性、脳の機能的要因や他の精神疾患との合併など、様々な要素が言われております。病前性格として「メランコリー親和型性格」が指摘されており、「几帳面、良心的、配慮できる」といった特徴がうつ病発症に関与しているとの考え方もあります。ここでは、もっと一般的な発想で中年期の特殊性に注目し、その原因論を考えます。
 中年期は、上でも触れました孔子の言葉で例えるならば、40歳代が「不惑:四十にして惑わず」とされ、何が起きても動じることなく自由に物事を見ることが出来るようになり、50歳代が「知命:五十にして天命を知る」であります。仕事や家庭において、それまでに積み上げてきた経験に基づき様々な責任を果たす人生でもっとも充実した時期と思われます。しかしながら、この年代特有のうつ病を引き起こす要因があると考えます。

1.美や若さの喪失

 男性ちがって女性の最初のピークが40歳代にあることに着目すると、そこには若くて美しい20代、30代から中年期に入る40代となって、美や若さの喪失が心理的に影響している可能性はあろうかと思います。男性の40代はまだまだ無理が効く、脂の乗った時期と言われがちですが、同世代の女性は失われる感覚が始まる季節なのかも知れません。

2.両親の病気や介護、死別など

 40〜50歳代となるとその両親は70歳代から80歳代にも差し掛かります。悪性腫瘍、脳血管疾患や循環器疾患に罹患して病院への通院や入院、手術などが必要となり、その後には老後の介護の問題が発生する場合があります。それまで、何も考える必要のなかった両親への対応が余儀無くされ、経済的、時間的な負担と責任が生まれます。子供の頃から心の中で頼りにしていた存在が、逆に頼られる存在に変わることで、いよいよそうした時期を迎えてしまったとの認識は、抑うつ気分を引き起こし得る心の負担へと繋がるでしょう。

3.身近な存在の喪失

 親だけではありません。仕事や私生活において極めて親密な関係にあった人物との別離も抑うつ状態を引き起こす要因にはなります。学生時代の中学、高校、大学の卒業で友人との別れは必然的に訪れますが、誰でもその直後に新しい出会いがあります。中年期の別れは、同僚もしくは自分の転勤や退職であったり、それぞれの都合でこれまで通りに会えなくなったり、思わぬ争いから疎遠になったりして発生します。もちろん死別や離婚も大きな別離であります。そして、この年代は新しい出会いに乏しいのは事実です。親と同様、親しい友人、家族や仕事上のパートナーとの別れは、やはり心にぽっかりと喪失感を生むこととなります。

4.身体能力の低下

 種目によって異なりますが、多くのスポーツ選手が30歳代で引退する傾向にあります。40代、50代でなお、現役で上達が望めるのはゴルフくらいかも知れません。個人差はあるでしょうが、人間の身体能力は20〜30歳代がピークかと思われ、ある調べでは、努力を積み重ねた場合の身体能力の、第1回目のピークは19歳で、2回目はフルマラソンの全日本ランキングが最も上位の24〜26歳、そしてスピードが身につく最後のピークが34歳とされます。40〜50歳代に身体能力が低下するのは明白であり、これが気分不快から抑うつを引き起こす原因となります。
 若い頃にできたことができなくなります。例えば徹夜や長時間に何かに集中することができなくなり、スポーツにおいても仕事においても、スピード感やスタミナ、馬力などが衰えて行きます。日常生活において、体力や活力、精力の低下は、これも大きな「喪失感」から意欲の低下に繋がります。「歳をとった」、「衰えた」との発想はうつ病を引き起こす十分な要素となります。その上、高血圧、糖尿病などの成人病を発症するとますます抑うつ気分を引き起こす、中年期はそんな年代と言えます。

5.燃え尽き症候群

 これは主に仕事に関わるものです。「燃え尽き」という言葉どおり、献身的に努力した人が、期待した結果が得られずに感じる徒労感または欲求不満から、心身ともに疲れ果てて、突然、無気力に陥ってしまう状態です。例えば、若い社員が自分より上の立場につき、それまで努力してきたことが無意味に感じられて、仕事への意欲を失ってしまうようなケースです。抑うつ気分やいらいら感などが生じ、自殺にいたることもあります。慢性的で絶え間ないストレスが持続して、意欲を無くし、社会的に機能しなくなってしまう症状で、一種の心因性(反応性)うつ病とされます。

6.昇進うつ病

 燃え尽き症候群とは反対で、職場において努力の結果、やっと昇進を果たしたとたん、急にそれまでの気持ちが萎えてしまい、周囲からの期待や責任が重圧となって、うつ状態に陥ることがあります。昇進うつ病では、不眠や全身倦怠感、頭痛や腹痛などの身体症状を訴えることが多く、心身の不調から出社拒否となり、休職や退職に追い込まれる場合もみられます。

7.上昇停止症候群

 もう出世は見込めないという現実を知り、「先が見えた」ことで虚しさに襲われ、うつ状態を招くこともあります。

8.リストラに伴ううつ病

 新しい部署への配置転換や転勤、関連会社への出向、リストラといった現実は中高年サラリーマンにとっては大きな精神的ストレスとなります。リストラへの不安や、失職による経済的、精神的打撃から抑うつ気分におちいる人は多く見られます。また逆に、リストラを進める、いわゆる「肩たたき」の側の人が、その責任の大きさや、罪悪感、葛藤などを抱え込み、うつ病におちいる場合もあります。

9.サンドイッチ症候群

 中間管理職の立場で、上司と部下の板ばさみになり、世代間のコミュニケーションギャップから抑うつ状態に陥る場合があります。学校の教師が校長などの上司と生徒の間でストレスや葛藤を覚える場合もこれに当たりますし、家庭の主婦が主人と子供の間に挟まれ抑うつ状態となることもあります。

10.テクノストレス症候群(テクノ不安症、テクノ依存症)

 アナログ世代に育った中高年で、コンピューターなどのデジタル環境に拒否反応を示し、不安や焦りから抑うつを引き起こすことを「テクノ不安症」と言います。逆に、若いうちからゲームなどのデジタル環境にのめり込んでいて、デジタル思考に偏りすぎたために、人間らしい感情が失われ、相手の気持ちを汲み取れず、対人関係に支障を来す場合を「テクノ依存症」と言います。


◇ 故 竹内 結子 さんに当てはめると

 本年1月に二人目の子供が生まれて、育児ノイローゼの可能性がなくはないところであります。そういう要素があったとしても、私は上で挙げた「中年期のうつ病」の病態を第一に考えます。日本を代表する美人女優であった彼女が、上記1.で申した「美と若さの喪失」を感じて、7.に挙げた「上昇停止症候群」のように、女優として高みを目指す意識が薄れて、「先が見えた」ことに虚しさを覚えた結果かも知れません。

竹内結子 写真

 ご家族や友人、関係者の方々にお悔やみを申しあげ、謹んでご本人のご冥福をお祈りいたします。

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