FC2ブログ

アセンションへの道程 〜ある外科医のスピリチュアル〜

アセンションを目指したある1外科勤務医のスピリチュアルおよびその周辺事項への探求をご紹介します

2018年 ノーベル医学生理学賞で思い当たる事、移植肝に起こった免疫寛容の1例


 本年の医学生理学賞に我が国、京都大高等研究院の本庶 佑(ほんじょ たすく)特別教授が選出されました。悪性腫瘍に対する「制御性T細胞」にある、免疫に抑制的に働く蛋白質「PD-1」を発見し、これを取り除くことでがん細胞を攻撃する新しい「がん免疫療法」の開発に結びつけた功績が評価されました。

2018ノーベル賞記事

 実は、この一連の研究結果とそれに基づいて開発された小野薬品の治療薬「オブジーボ」については本ブログにて約2年前の2016年10月30日、「がんの免疫療法 〜最近の知見から〜」と題して取り上げておりました。

2016年10月30日 がんの免疫療法 〜最近の知見から〜

 改めてこの研究成果を見直すにあたり、ふと思い出される出来事がありまして、ここにご紹介いたします。

 私が在籍した大学の教室で第1例目の生体部分肝移植が行われたのは1994年(平成6年)2月17日のことでありました。肝左葉拡大外側区域を移植された高チロシン血症の1歳男児は無事に生存しましたが、約七年後に不思議な出来事が起こりました。免疫抑制剤として投与していたプログラフ(タクロリムス、FK506)を減量していっても肝障害は起こらず、ついに8歳になった2002年(平成14年)には投与中止となりました。
 当時の我々は、「ついに移植肝が本人のものになったんだね」などと、「免疫寛容」の出来事を簡単に考えておりましたが、その少し後に京都大学第2外科より、生体肝移植後に免疫抑制剤の投与を中止し得た症例の報告がありました。我々の症例も報告できたんだと、ちょっと残念な気持ちとともに、やはりそういうことはあるのだな、と納得したのを憶えております。もちろん、この当時、我々も、京都大学のスタッフも「制御性T細胞」に対する認識は全くありませんでした。

 悪性腫瘍に対する免疫寛容は制御性T細胞にあるPD-1レセプターにがん細胞が結合してしまうためにナチュラルキラー細胞の攻撃を受けなくなると言うものです。このことは、移植においても当てはまることと考えます。同種からの移植臓器は一卵性双生児間でない限りは「非自己」であり免疫抑制が必要です。それを怠ると拒絶反応で臓器は自己免疫により障害を受け失われます。この「非自己」が「自己」のように認識される機構が「免疫寛容」であり、それはがん細胞に対するものと同じかも知れません。

 ノーベル医学生理学賞で、改めてがん免疫療法への道のりを勉強したところで、およそ15年前の自分がメインで携わっていた医療の出来事を思い起こしました。


関連記事
スポンサーサイト