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アセンションへの道程 〜ある外科医のスピリチュアル〜

アセンションを目指したある1外科勤務医のスピリチュアルおよびその周辺事項への探求をご紹介します

疾患豆知識集 VOL. 005:本態性振戦


 40代女性が手足の震えを主訴に来院されました。人前で話す時など、妙な意識からか緊張すると手が震え、足の動きもおかしくなるそうです。例えばコーヒーカップを持って立つとか、ビールを注ぐ、細かい字を書くと言う作業が苦手だと言います。
 こうしたすぐには診断できない、実はよく知らない病態に出会った際には、「少し幅広く検査をして病態を絞っていきましょう」などと言って採血、心電図、頭部CTなどをオーダーして「結果の説明は来週です」として、要は、病気について調査、勉強する時間をいただきます。
今回は「本態性振戦」と言う病気に辿り着きましたので、この病態についてメモ書きを残すことといたします。


◇ 本態性振戦の概念

 本態性振戦とは筋肉の収縮、弛緩が繰り返されて起こる原因不明の不随意な律動的な体の動きを起こす病態とされます。誰しも起こりうる症状でストレス、不安、疲労、アルコールや煙草の禁断症状、カフェイン摂取、刺激薬(エフェドリンなど)の使用などで出る場合があります。


◇ 疫学

 人口の2.5-10%の罹患率で、高齢者に多く(40歳以上では4%、65歳以上では5-14%以上)、家族性発症もあります。


◇ 原因論

 手足の震え(振戦)以外には麻痺や異常反射などの神経学的異常はなく原因不明とされます。精神的な緊張で悪化するため交感神経の関与が考えられており、また遺伝的素因も指摘されています。


◇ 特徴・診断の手引

1.特徴

 以下の特徴が言われていおります。

 ・結婚式の記帳で手がふるえ名前が書けない
 ・人前で挨拶するときに声が震える
 ・宴席でビールを注いでもらうときに手が震える
 ・コーヒーカップを持つ手が震えて溢してしまう
 ・着替えの時、ボタンがうまくかけられない
 ・食事の時に手がふるえ箸がうまく使えない
 ・頭が左右に細かくふるえ人と会うのが苦痛
 ・飲酒で症状軽減することがある

本態性振戦図02
人前で話す時

本態性振戦図01
ビールを注ぐ時、書き物をする時

2.「振戦自己チェック」

【振戦自己チェック[はい・いいえ]】
 1)字を書くとき手が震える
 2)食事で箸や茶碗を持つ手が震える
 3)着替えの時ボタンにかけた手が震える
 4)人前で話をする時に声が震える
 5)首が震えていると言われたことがある
 6)静止時時手足が震える
 7)歩行時に足が震える
 ※ 以上7項目中、過半数を超えれば神経内科受診が勧められます。

3.渦巻チェック

 以下の図の点線の上を、サインペンを使って時間を気にせずゆっくりと内から外へ渦巻きを描きます。客観性には乏しいですが、上手く描けなければ本態性振戦疑いとなります。

本態性振戦診断テスト


◇ 鑑別疾患

 もっとも正確な診断が求められるのがパーキンソン病であります。その他にも似たような症状の病気があります。

1.パーキンソン病との鑑別

 本態性振戦は震えのみを症状とする病気でありますが、パーキンソン病には震え以外にも様々な症状があります。震えの特徴に関して言えば、パーキンソン病の震えはじっとしているとき(安静時)に見られ、本態性振戦の震えは、コップを持つなど一定の姿勢を保とうとする時(姿勢時)やコップを取ろうとするとき(動作時)にみられるという違いがあります。

本態性振戦とパーキンソンの鑑別

2.その他鑑別疾患

・企図振戦(小脳性振戦):小脳の傷害に伴なう
・はばたき振戦:肝不全、肝硬変
・甲状腺機能亢進症
・安静時振戦
・動作時、姿勢時振戦
・生理的振戦


◇ 治療法

1.日常生活の注意

 原因不明の病態でありますが、症状発現のタイミングははっきりしており、メンタル面が関与していることが解っておりますので、治療法として日常生活で注意することは可能です。

 ・普段から精神的安静を保ち快眠を得る
 ・震えを必要以上に気にしない
 ・初対面で自分に震えがあることを伝える

2.保健適応治療

 以下の薬物治療および外科的治療があります。

 ・アロチノロール(αβ遮断薬)
   1回5mg1日2回から最大1日30mg
 ・手術:脳深部刺激法


 なんとなく、自分の手足に震えを感じた時、「本態性振戦」を念頭にお考え下さい。


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