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アセンションへの道程 〜ある外科医のスピリチュアル〜

アセンションを目指したある1外科勤務医のスピリチュアルおよびその周辺事項への探求をご紹介します

疾患豆知識集 VOL. 003:骨粗鬆症 Osteoporosis の予防


 手術後の女性患者から「骨粗鬆症について教えて欲しい」との宿題をいただきました。整形外科にもかかっているけどどうも受け持ちのドクターは取っ付きが悪いとのこと、、、。「先生ならなんでも知ってるから!」などと囃(はや)し立てられ勉強を始めました。すでに骨粗鬆症の診断で治療を受けられている方は私なんかの文章を参考にするのではなく、専門の整形外科医の指導と治療を優先していただくとして、ここでは主として病態や原因をおまとめして発病以前の段階での予防に言及したいと思います。

骨粗鬆症の絵

◇ 骨粗鬆症の概要

1.病態

 骨粗鬆症 Osteoporosis とは、骨の成分であるカルシウムが少なくなり骨量の減少と骨組織の微細構造が損なわれる結果、骨密度が低下して内部がスカスカの状態となり、脆弱性から骨折が生じやすくなる病態です。正常な骨では骨吸収と骨形成のバランスが保たれ骨量は維持されていますが、骨粗鬆症では骨吸収が骨形成を上回るため骨量が減少します(後述)。
 高齢化社会を迎えて全国に1000万人を突破したと言われており、お歳をめされた骨粗鬆症の患者が下肢に骨折を来すと完治に時間がかかるため寝たきりとなるリスクを伴います。加齢に伴い身長が縮むのは骨粗鬆症の初期症状とされ、背骨が体重により圧迫されて屈曲したり、骨盤や膝の関節が変形して凹脚になるのも同様な病態であります。

 骨粗鬆症
 :カルシウム(骨量)減少、骨微細構造の破綻
   → 骨密度の低下
   → 身長短縮、易骨折、背骨の屈曲、凹脚


 骨や軟骨の石灰化障害により「類骨(石灰化していない骨器質)」が増加する骨軟化症では全骨量(類骨と石灰化した骨の合計)は減少しませんが、骨粗鬆症では全骨量が減少するのが特徴です。

2.原発性と続発性

 基礎疾患の有無により原発性と続発性の骨粗鬆症に分類されます。原発性骨粗鬆症は他の疾患や薬剤に夜ものではない、主として閉経後の女性にみられる閉経後骨粗鬆症と65歳以上の高齢者にみられる老人性骨粗鬆症があり、これらで全体の約90%を占めています。一方、続発性骨粗鬆症の原因としては、内分泌疾患、代謝性疾患、炎症性疾患、先天性疾患、薬物性などがあり、副腎皮質ステロイド剤の投与も原因となります。

3.骨密度低下の原因

 骨には、古くなって老化した骨を分解して排除する「破骨細胞」と、血液中からカルシウムなどの栄養素を取り出して新しく骨を生成する「骨芽細胞」とで形成されており、5-7年の周期で体中の全ての骨が生まれ変わるとされます。正常な骨ではこれらの細胞の機能が均衡しており、古い骨が分解排除された分だけ新しく骨が形成されて定常状態を保つわけです。
 ところが、原発性骨粗鬆症において、栄養素の不足や加齢からこの「破骨細胞」と「骨芽細胞」のバランスが崩れることが、骨粗鬆症の大きな原因と考えられています。例えば「破骨細胞」が正常でも、必要な栄養素が不足すると「骨芽細胞」が新しく骨を作れません。これは比較的、若い人に多い症状です。
 加齢や女性の閉経に伴う骨粗鬆症はホルモンが関与しております。「骨芽細胞」の活動はエストロゲンにより活性化されアンドロゲンで抑制されます。ほとんどの人は加齢に伴いエストロゲンは減少しますので、それに伴い「骨芽細胞」の活動は低下します。また、女性の場合、閉経後のホルモンバランスの変化から「破骨細胞」が活性化して排出されるカルシウム量が増えることにより骨粗鬆症に移行するとされます。

 破骨細胞 = 老化した骨を分解排除
  :女性の閉経後のホルモンバランス変化から活性化
 骨芽細胞 = 新しく骨を生成
  :加齢により減少するエストロゲンで活性化、アンドロゲンで抑制


 以上のメカニズムで高齢者、とりわけ女性に骨粗鬆症患者の割合が多いの原因となっております。多くの病気と同様に、無症状なうちに病状が進んで来て、骨折と言うかたちで発症して初めて発覚することが多い疾患であります。

4.診断

 血液や尿検査では骨粗鬆症に特異的な検査所見はありませんので一般的な健康診断では確定診断はできません。診断には骨密度を測定し日本骨代謝学会の原発性骨粗鬆症の診断基準(2000年度版)に基づいて診断します。これによると若年成人(20~44歳)平均値(Young adult mean, YAM)の70%未満が骨粗鬆症、70~80%を骨量減少、80%以上を正常としています。

骨密度 の診断


◇ 骨粗鬆症の予防

 骨粗鬆症の原因として申し上げた加齢も女性の閉経も避けては通れないもので、これを予防することはできません。しかし、別の側面から骨粗鬆症の進行を抑える、すなわち予防はできます。以下、積極的な生活の改良とリスクファクター除去を列挙いたします。

1.栄養補充

 骨粗鬆症の予防にカルシウムの摂取が重要であることは言うまでもありませんが、それだけでは不十分です。以下に示すような他のミネラルやビタミンを補給しないと丈夫な骨が作られません。例えば、マグネシウムが不足すると「骨芽細胞」の働きが低下し、新しい骨が作られなくなってしまいます。ビタミンA,D,Kは、カルシウムとマグネシウムの吸収を促し、骨の形成に必要な成分とされます。これらが多く含まれる食品も示しますので参考になれば幸いです。

【骨粗鬆症を予防する栄養素】
 ミネラル:カルシウム  小魚、干しエビ、チーズ、えんどう豆 など
      マグネシウム 海苔、煮干し、干しエビ など
      亜鉛     かき、牛肉、煮干し、レバー など
      マンガン   海苔、生姜、日本茶 など
 ビタミン:A      鶏肉、豚肉、うなぎ、あん肝、海苔 など
      D      あん肝、しらす、キクラゲ など
      K      抹茶、納豆、パセリ、しそ、ワカメ、海苔 など

 近年「食の欧米化」が進み、これは魚よりも豚や牛の肉食を考えがちですし、乳脂肪分の多い食生活や、米飯よりもパン食を頭に浮かべやすいですが、海苔の摂取が減ったとの見方がある、と言うことを以下の文中に申しました。

 2015/11/26 「焼き海苔」食生活でアンチエイジング!

 海苔は上で列挙した栄養素を豊富に含む食品であることが一目瞭然です。同じく「食の欧米化」は魚介類の摂取を減少させております。魚と海苔で、かなりの部分で骨粗鬆症を予防する栄養素が補充できると思われます。もちろん、上記栄養素を含むサプリメントも推奨されます。

2.日光浴

 日光浴をすると、日光に含まれる紫外線によって皮下脂肪からビタミンDが作られます。ビタミンDは腸管からのカルシウムの吸収を促進させ、かつカルシウムの骨へ附加を促進させます。ビタミンDは、上で申した、あん肝、しらす、キクラゲなどの食品からも摂れますが、皮下脂肪にもビタミンDの素が沢山含まれています。皮膚ガンなど過剰な暴露は勧められませんが、簡単にビタミンDを生成できる日光浴は重要です。

3.かかと叩きで「ピエゾ電流」

 骨は振動を与えると丈夫にあろうとする性質があり、骨粗鬆症の予防に足のかかとを小槌のような物でコツコツと叩くのが挙げられております。痛くない程度にかかとを左右50回程度、毎日叩くと「骨芽細胞」が刺激され、骨を作ろうとする働きが活発になるそうです。メカニズムとして、叩くことで骨に電気が発生して、それが全身に伝わるとされており、その電気が「ピエゾ電流」と呼ばれております。

kakatotataku.jpg

4.牛乳は飲まない!

 牛乳にはカルシウムが多く含まれ骨粗鬆症の予防となる食品のように思われがちですが、実は逆効果であることが指摘されております。その理由として以下の3点が挙げられます。
 第一に日本人の多くは(9割以上)は乳糖不耐症であり、牛乳の消化吸収が上手くできない可能性が高いと言うことです。牛乳摂取で下痢するようならなおさらで、他の食物に含まれる栄養素も下痢によって吸収が削がれてしまいます。
 第二に、牛乳には脂質が50%近く含まれており、吸収される前のカルシウムが脂質(乳脂肪)と結合してと吸収されにくくなります。また、牛乳の脂質は腸管粘膜に脂の膜を作り、吸収されやすいカルシウムイオンになることを妨害するなど、カルシウムの吸収に対して阻害的に働きます。
 第三の理由として、牛乳にはリンが多量に(母乳の6倍)含まれています。カルシウムと異なりリンは吸収されてしまいます。血液中のカルシウムとリンの割合はホルモンの作用で1:1に保たれており、牛乳由来のリンが血液中に増加すると、それに見合うカルシウムを骨から動員せざるを得ません。その結果、骨密度が低下すると言うメカニズムであります。
 以上から牛乳は骨密度を低下させている原因になると考えられます。戦後の牛乳の消費量は年々増加し、カルシウム摂取量も増えたと思われていましたが、一方で骨粗鬆症の患者も年々増加し、今日では糖尿病患者の数よりも多いという深刻な状況です。思わぬリスクが牛乳にあることを申し上げます。

5.減(禁)酒・禁煙

 飲酒と骨粗鬆症の研究で、1日のエタノール摂取 24 g 以上の男女で骨粗鬆症性骨折リスクが 38%上昇、大腿骨近位部骨折は 68% 上昇したとされます。また、喫煙する男女の大腿骨近位部骨折リスクは非喫煙者より60歳で17%、70歳で41%、80歳で71%、90歳で108%高いとされます。これらのデータから、飲酒、喫煙の骨粗鬆症との関連が考えられております。可能な限りの減(禁)酒と禁煙は望まれるところです。


◇ あとがき

 付け焼き刃で骨粗鬆症の勉強を致しました。原因論としてホルモンの関与は知っていましたが、栄養素の話や「ピエゾ電流」、牛乳についてなど新鮮な知識もありました。骨粗鬆症の予防は立派なアンチエイジングであります。宿題をいただいた患者に少しはお話しできるかな?、ってところです。

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