アセンションへの道程 〜ある外科医のスピリチュアル〜

アセンションを目指したある1外科勤務医のスピリチュアルおよびその周辺事項への探求をご紹介します

ドメスティック・バイオレンス(Domestic violence, DV)


 遠い親戚で20代女性が最近離婚したと聞きました。母親の話では家庭内暴力が原因とのこと、確か子供は女の子が一人だったと記憶していましたので、恐らくはご主人からの暴力であったと思います。今回、この「家庭内暴力」のうち配偶者、とりわけ男性からの暴力 = ドメスティック・バイオレンス(domestic violence, DV)について勉強しました。本邦では、以下の記事の如く、相談件数、検挙件数ともの増加の一途を辿っており、過去最大となっております。

DV件数の記事


◇ ドメスティック・バイオレンス(Domestic violence, DV)の定義

 ドメスティック・バイオレンス(domestic violence, 以下DV)は、“domestic”と言う単語が「家庭の」と訳されるため、日本ではそのまま「家庭内暴力」として捉われがちですが、この「家庭内暴力」に相当する英語は “family violence” とされDVとは分けて考えられております。家庭内暴力とは、家庭内で起こる家族に対する暴力的言動や行為の総称であり、その中の配偶者に対するものがDVと呼ばれます。

【家庭内暴力(Family violence)の分類】
 ○ ドメスティック・バイオレンス(Domestic violence,DV)
    = Initimate partrner violence, IPV(親しいパートナー間の暴力)
 ○ 児童虐待(Child abuse)
 ○ 高齢者(老人)虐待(Elder abuse)
 ○ 子供の親に対する暴力(狭義の「家庭内暴力」)


 以上の如く、DVとは同居関係にある配偶者や内縁関係の間で起こる家庭内暴力のこととされますが、近年ではDVの概念を婚姻の有無では問わず、元夫婦、恋人など男女の近親者間に起こる暴力全般を指す傾向にあります。


◇ DVの種類

 配偶者に対して暴力的な扱いを行う行為ないしは暴力によって支配する行為全般は以下の如く分類されております。

1.心理的虐待

 肉体的な暴力ではなく、心理的な苦痛を与えるもので、非情な言動、 罵詈雑言(ばりぞうごん)、侮辱、無視、嫌がらせ、脅しなどで、終始行動を監視したり、電話やメールなどの通信履歴をチェックする行為もこれに含まれます。

2.身体的虐待

 殴る蹴る叩く首を締めるなどの物理的な暴力行為に加えて、掃除や洗濯の衛生を怠る、粗末な食事や不健康な食事を与える、冷暖房や衣服を差し控える、必要な医療を与えない、なども該当します。

3.性的虐待

 男女の性交渉に関わる虐待で、性交を差し控えるあるいは過度な要求、恥辱的あるいは不道徳な行為の強要、性器や性的能力についての侮辱、宗教などの問題がない場合の希望する妊娠中絶を許可しない、などが挙げられます。

4.経済的虐待

 主として男性のみに収入がある場合の妻に対する経済的な弾圧として、遊興費や生活費を著しく制限したり与えないこと、無計画な出費や借金を繰り返したり、家のお金を無断で持ち出すこともこれに含まれます。

5.社会的隔離

 心理的虐待と重なる部分はありますが、家庭外との関係を抑制するもので、電話や手紙に他との交流に制限をかけたり、交友関係の禁止、外出を制限するなどの行為がこれに当たります。

DVの酒類 図


◇ DVの原因と社会的要因

1.性的偏見(ジェンダー・バイアス、Gender bias)の関与

 男はこうあるべきだ、女はこうあるべきと、男女の役割について固定的な観念を持つこと、社会の女性に対する評価や扱いが差別的であることを「(社会的文化的)性的偏見(ジェンダー・バイアス、gender bias)」あるいは「性的役割分業観」などと言い、例えば男性は外で仕事をして、女性は家で家事育児と言った概念が含まれます。このジェンダー・バイアスのDVへの関与が指摘されており、この偏見が強い男性にDVが発生しやすいとされております。

2.自己愛性パーソナリティ障害(Narcissistic personality disorder, NPD)

 DVの加害者の多くに自己愛性パーソナリティ障害(Narcissistic personality disorder, NPD)が見られるとされ、これはありのままの自分を愛することができず、自分は優れていて素晴らしく特別で偉大な存在でなければならないと思い込むパーソナリティ障害の一類型であります。自分は最高で選ばれた人物との自負を持ち、他人や身内からの賞賛を強く求め、職場や家庭で円滑な人間関係を保てない人です。

3.社会的背景

 DVに関与する社会的背景として家父長制度、父権制あるいはそれに準じる意識が挙げられます。上述のジェンダー・バイアスとも関連しますが、家長権(家族と家族員に対する統率権)が男性たる家父長に集中している家族の形態を指します。古代ローマにその典型をみるとされ、日本の明治民法において、家長権は戸主権として法的に保証されておりました。現代は男女平等や、男女共同参画、女性解放思想(Feminism)が叫ばれて久しくなっておりますが、昭和に子供時代を経験した男性が、古い家父長制度の家庭に育ち、現代とのギャップからDVに走る可能性があると考えられております。

家父長制度の図

4.虐待から虐待、DVへの連鎖

 幼少時に親から虐待を受けた人(男性)が大人になってから自分の子供に虐待してしまう、あるいは妻に暴力を振るう可能性が高いと言われます。なかなか幼少時のことまで調査した統計はありませんので、あくまで推測の域を出ませんが、心の「ブロック」、幼少時の「記憶」として説明され、さらなる虐待、DVへの連鎖とされます。具体的には、親から認めてもらったり、愛されたという実感がない人は、人を愛するのが上手ではなく、家庭を持った際に自分が家族を愛さなければいけない重圧を覚えます。幼少時に愛されなかったときの辛く苦しい感情が蘇り、虐待あるいはDVの連鎖を引き起こすと言われてます。


◇ DVの暴力サイクル

 DVの暴力は慢性的に続くものではなく、サイクルを繰り返すと言われております。緩和される時期もあり、また繰り返される病態なので、なかなかDVから抜け出せないのだと言われています。以下の三つうの時期の繰り返しとされます。

1.緊張の蓄積期
 
 夫のイライラが続き、過度に緊張が高まってきます。小言や文句、注文が多くなり、ピリピリした状態が続きます。妻はその気配を感じて常にビクビクしながら夫に接する時期です。

2.暴力の爆発期

 夫の緊張がピークに達し、些細なことから突然激しい暴力に発展します。殴る蹴るの暴力から言葉による暴力や性行為を強要するなど抑制することができなくなります。妻は何らかの暴力を受けるようになり、身体的な暴力の場合は酷い怪我を負ったりします。

3.ハネムーン期

 夫がそれまでとは打って変わって謝罪を繰り返します。プレゼントなどをして妻に優しく接します。妻はその態度を見て、自分も悪かったかもしれないと考えます。こんなに夫が謝っているのならもう暴力はないのではないかと期待し愛情に溢れているようにも見える時期です。

DVの暴力サイクル

 この「ハネムーン期」で夫を信じてみよう、夫は変るのではないかと思い、もう少し待っていようかと考えるようになります。妻は夫婦の関係に希望をつないでしまいます。ところが夫は変ることはなく、再び「緊張の蓄積期」に戻り「暴力の爆発期」へ、そして再び「解放期」へとサイクルを繰り返してしまします。このサイクルを繰り返すことで、DVから逃れられない状態が長引いているのです。


◇ 我が国のDV状況

 冒頭でご紹介した記事の通り本邦でのDVは増加の一途を辿っております。DVの相談案件における少し古いデータでは以下が示されております(2006年)。

 被害者と加害者の関係は婚姻関係が72.8%
 相談者の性別は女性が98.8%


 また2005年に行われた「男女間における暴力に関する調査」(内閣府)では以下の統計結果があります。

 全体の26.1%(女性の33.2%、男性の17.4%)が暴力被害を経験
 身体に対する暴行被害の経験が女性の26.7%、男性の13.8%
 恐怖を感じる脅迫の経験が女性の16.1%、男性の8.1%
 性的な行為を強要された経験が女性の15.2%、男性の3.4%


 被害者数には地域差が認められ、2011年の人口10万人あたりのDV保護命令既済件数の上位10と下位10都道府県は以下の通りとなっております。本州中央で件数が少なく、両端で件数が多い傾向にあります(青森は例外)。また、相関ランキングでは人工妊娠中絶件数と正の相関があり、DV保護命令既済件数が多いところは人工妊娠中絶が多く、これは、DV発生数が多いところでは女性が望まない妊娠をすることが多いことを示唆しております。

【人口10万人あたりのDV保護命令既済件数 上位10と下位10都道府県】
 01位 鳥 取 7.180件  38位 福 岡 1.510件
 02位 岩 手 5.403件  39位 群 馬 1.314件
 03位 沖 縄 5.139件  40位 福 井 1.283件
 04位 栃 木 4.535件  41位 東 京 1.213件
 05位 岡 山 4.518件  42位 青 森 1.196件
 06位 和歌山 4.392件  43位 岐 阜 1.193件
 07位 高 知 4.354件  44位 富 山 1.131件
 08位 鹿児島 4.293件  45位 長 野 1.060件
 09位 宮 城 4.271件  46件 神奈川 1.027件
 10位 香 川 4.133件  47位 愛 知 0.998件  全 国 2.332件

地域別DV発生の図


◇ 各国のDV状況

 米国では1970年代後半から女性の権利闘争が始まると同時にDVの概念が作られました。現在、15秒に1人、年間200万人以上の女性がDVの深刻な被害を受けており、DVにより亡くなる女性が1日に11人とされています。
 ヨーロッパのDVは深刻で、16歳から44歳までのヨーロッパ人女性の身体障害や死亡の原因が、DVは病気や事故を抜いてトップであります。ポルトガルでは50%前後の女性が、夫や同棲相手から暴力を受けたと述べています。
 中国では2005年時点では約3割の家庭で夫婦間暴力が発生、そのうち約7割は夫から妻に対するもので、残り3割は妻から夫に対して行われたとされます。また家庭内暴力は、女性が自殺する最大の原因となっております。
韓国保では全国9847世帯中、過去一年間に身体的暴力を受けたことがある者は11.6%、暴言・脅迫・器物破壊は33.1%に達したとされます。夫婦間の性的虐待の発生率は、2004年は7.1%であったが2007年は10.5%へ増加しております。2005年の調査では、外国人妻945人のうち14%の女性が韓国人の夫に殴られたと答えております。


◇ おわりに DVへの対処法

 明らかな精神異常者ではない、普通の人間がDVをしてしまうのですから話し合えば良いようにも思えますが、話し合いで問題が解決するほど甘いものではないのが現実です。多くのサイトでDVへの対処法として、「距離をおく」、「避難する」、「警察へ通報」、「離婚」を挙げており、対話による和解は不可能としております。各都道府県の相談窓口はインターネットで調べればすぐに見つかりますのでここれは触れませんが、DVを受けていると感じた人は、上で申し上げた種類、原因論、暴力サイクルと照らし合わせて、早めの対策を取られることをお勧めします。

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