アセンションへの道程 〜ある外科医のスピリチュアル〜

アセンションを目指したある1外科勤務医のヘミシンク体験とスピリチュアルおよびその周辺事項への探求をご紹介します

アルツハイマー型認知症の病態とその予防


 少し前からアンチエイジングの一環として、カマンベール・チーズを1日、100gの1/6切れ(約17g)ずつ昼休みに摂取しています。そのご紹介の伏線として、今回は、アルツハイマー型認知症について、父親が残した著書などを読みあさってまとめてみました。まずは認知症全般の分類から、、、。


◇ 認知症の疫学・分類

 認知症(Dementia)は、後天的な脳の器質的障害により、いったん正常に発達した知能が不可逆的に低下する状態をいい、全世界には3560万人に罹患しており、毎年770万人ずつ増加して、2030年には2012年の約2倍、2050年には3倍以上になるとWHOは推測しております。
 ここでは、認知症を原因別に分類いたします。認知症の原因となる主な疾患には、脳血管障害、アルツハイマー病などの変性疾患、正常圧水頭症、ビタミンなどの代謝・栄養障害、甲状腺機能低下などがあり、これらの原因により生活に支障をきたすような認知機能障害が表出してきた場合に認知症と診断されます。

1.血管性認知症(Vascular dementia):全認知症の10-20%

  ・多発梗塞性認知症広範虚血型
  ・多発脳梗塞型
  ・限局性脳梗塞型
  ・遺伝性血管性認知症

2.変性性認知症

  ・アルツハイマー型認知症(AD, Alzheimer's dementia):全認知症の40-60%
  ・レビー小体型認知症(DLB, Dementia of Lewy bodies):全認知症の15-20%
  ・認知症を伴うパーキンソン病(PDD, Parkinson's disease with dementia)
  ・前頭側頭型認知症(FTD, Frontotemporal dementia)
  ・ハンチントン病(HD, Huntington disease)

3.感染症

  ・クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD, Creutzfeldt-Jakob disease)
  ・HIV関連認知症
  ・梅毒関連認知症

4.その他

  ・慢性硬膜下血腫
  ・正常圧水頭症
  ・甲状腺機能低下症


◇ アルツハイマー型認知症の概要・疫学

1.概要

 アルツハイマー型認知症(AD, Alzheimer's dementia、別名 アルツハイマー病)は認知機能低下、人格の変化を主な症状とする認知症の一種であり、脳血管性認知症、レビー小体病を抑えて全体の60-70%と、認知症の中では最も多い病態であります。

2.症状

 症状は進行する認知障害(記憶障害、見当識障害、学習障害、注意障害、空間認知機能や問題解決能力の障害など)であり、重症度が増し、高度になると摂食や着替え、意思疎通などもできなくなり最終的には寝たきりになります。階段状に進行する(すなわち、ある時点を境にはっきりと症状が悪化する)脳血管性認知症と異なり、徐々に進行する点が特徴的です。症状経過の途中で、被害妄想や幻覚(とくに幻視)が出現する場合もあります。暴言・暴力・徘徊・不潔行為などの問題行動(いわゆるBPSD; Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)が見られることもあり、介護上大きな困難を伴うため、医療機関受診の最大の契機となります。

3.疫学

 アルツハイマー型認知症の全世界の患者数は210~350万人ほどで(2010年)、大部分は65歳以上に発病するが、4-5%ほどは若年性ADとしてそれ以前に発病します。65歳以上人口の約6%が罹患しており、2010年では認知症によって48.6万人が死亡したとされます。本疾患は、先進国にとって最も金銭的コストが高い疾患となっています。平均寿命の短いアフリカは別として、先進諸国間でも、下図のごとく罹患率には地域差があります。

アルツハイマー病その他痴呆の世界分布
アルツハイマー病発生の題名

4.分類

 アルツハイマー型認知症は発症年齢で65歳を境に、それ以前の早発型と65歳以降発症の晩期発症型とに大別され、早発型のうち18歳から39歳のものを若年期認知症、40歳から64歳のものを初老期認知症と言います。早発型アルツハイマー病は常染色体優性遺伝を示す家族性アルツハイマー病である可能性が高いとされます。

 ○早発型(<65歳):常染色体優性遺伝の可能性(数%とされる)
  ・若年期認知症(18-39歳)
  ・初老期認知症(40-64歳)
 ○晩期発症型(65歳以上)


◇ アルツハイマー型認知症の臨床像

 アルツハイマー型認知症の病気の進行は大きく3段階に分かれ、現在、根本的治療法がないため、下記の如く慢性進行性の経過をとります。

1.第1期

 記銘力低下で始まり、学習障害、失見当識、感情の動揺が認められるが、人格は保たれ、ニコニコして愛想は良いとされます。

2.第2期

 記憶、記銘力のはっきりとした障害に加えて高次機能障害が目立つ時期で、病理学的な異常が前頭葉に顕著なことを反映して視空間失認や地誌的見当識障害が見られます。この時期には、外出すると家に帰れなくなることが多く、更に周囲に無頓着となったり徘徊や夜間せん妄も見られます。特に初老期発症例では、感覚失語、構成失行、観念失行、観念運動失行、着衣失行などの高次機能障害も稀ではありません。

3.第3期

 前頭葉症状、小刻み歩行や前傾姿勢などの運動障害もみられ、最終的には失外套症候群(眼は動かすが、身動きひとつせず、言葉も発さない状態)に至ります。


◇ アルツハイマー型認知症の病理

 アルツハイマー型認知症の病理初見の特徴は、1)神経細胞の変性消失とそれに伴う大脳萎縮、2)老人斑の多発、3)神経原線維変化(neurofibrillary tangle, NFT)の多発、の3つであります。1980年代になって、老人斑がアミロイドβタンパクの凝集蓄積であること、神経原線維変化は微小管結合タンパクのひとつであるタウが凝集線維化したものであることが明らかになりました。

1.老人斑(Senile Plaque、アミロイド斑)

 老人斑は鍍銀染色で濃染する径数10-100μmほどの斑状の構造物で、細胞外に存在し、アルツハイマー型認知症では大脳皮質に大量に出現します。その本体は、分子量約4kDの小さな蛋白質で38-43個のアミノ酸からなり、695~770個のアミノ酸からなるアミロイド前駆蛋白よりプロアーゼによって切り出されて賛成されるアミロイドβの凝集蓄積であります。アミロイドβの蓄積がある程度以上になると、老人斑内外の神経突起およびグリア細胞に変性が生じるとされます。

アルツハイマー 老人斑
老人斑

アミロイドβ
アミロイドβリボンモデル

2.神経原線維変化(neurofibrillary tangle, NFT)

 神経原線維変化(neurofibrillary tangle, NFT)は神経細胞の細胞体に生じる繊維状の凝集体で、その微細構造は長径10nmのフィラメントが2本ずつらせん状のペアを作った線維の集合体であり、規則的なくびれ構造をもちます。らせん状のペアを作った線維を対らせん線維(paired helical filament, PHF)と言い、このPHFはタウが重合してβシート構造を形成することによって生じます。

アルツハイマー 神経原線維変化
神経原線維変化

3.アミロイドアンギオパチー

 アルツハイマー型認知症では脳実質に出現する老人斑に加えて、脳血管壁にコンゴーレッド陽性になるアミロイドが沈着する脳血管アミロイドーシス(脳アミロイドアンギオパチー, CAA)が高率に併発し、血管アミロイドは中膜と外膜の間の基底膜にまばらに沈着し、進行的に全周性に沈着がみられ平滑筋細胞の消失を引き起こし、これが脳出血を起こす原因となります。特に家族性アルツハイマー病で多発する傾向にあります。

アミロイドアンギオパチーのMRI
アミロイドアンギオパチーの脳MRI


◇ アルツハイマー型認知症の原因論

 上述の如く65歳未満発症の早発型では常染色体優性遺伝による家族性の発症が認められますが、家族性ではない孤発性と家族性とでは病理変化が極めて酷似していることから、両者はほぼ同一の過程を経ると考えられております。アルツハイマー型認知症の原因論として、孤発性にしろ家族性にしろ。アミロイドβの産出の上昇、あるいは分解不全による同物質の蓄積を開始点とするアミロイドカスケード仮説が最も有力とされます。以下、原因論を列挙して、簡単に説明を添えます。

1.アミロイドカスケード仮説

 アミロイド前駆物質は各種プロテアーゼによる切断を受けることで各種のアミロイドβ分子種を産出します。アミノ酸数からアミロイドβ40と42があり、とりわけアミロイドβ42は高い凝集性から病原性が強いちされます。まずアミロイドβの蓄積が起こり、そこにタウの凝集、蓄積が続き、神経の変性(細胞死)が起こると言うプロセスです。

2.感染症原因仮説

 一般的な肺炎の原因である、クラミジア・ニューモニエ(Chlamydia pneumoniae)とアミロイド斑との関連性が、非遺伝性アルツハイマー病患者の脳で確認されております。また、単純ヘルペス・ウイルスに感染していると、アルツハイマー型認知症の発症リスクが2倍になるとする報告があります。

3.アルミニウム原因仮説

 アルミニウム・イオンの摂取がアルツハイマー型認知症の原因のひとつであるという説もかなり有力であります。第二次世界大戦後、グアム島を統治した米軍兵に認知症の罹患率が異常に高いことが判明し、グアム島の地下水のアルミニウムイオン濃度が非常に高かったことから始まりました。同様なことが、最近になっても、1989年のイギリスでアルツハイマー型認知症患者が多い地域の飲料水の検査で認められました。動物実験ではアルミニウム・イオンの投与でアミロイドβの沈着が促進されることが証明されております。

 アルミの鍋には要注意!
 鉄欠乏の女性は要注意!


 アルミの鍋に食塩水を入れて30分間沸騰させた後にアルミニウムの濃度を測定したところ、20.6 ppmと言う WHO基準値の100倍の濃度のアルミが解けていたとの実験報告があります。また、鉄欠乏性貧血に陥りやすい女性の方がアルツハイマー型認知症の患者が多く、その原因として、鉄欠乏がアルミニウムの吸収を促進する作用があると言われております。

4.インスリン分解酵素仮説

 インスリンの分泌を増やす糖質中心の食習慣、運動不足、内臓脂肪過多がアルツハイマー病の原因となるアミロイドβの分解を妨げているとの説であります。アミロイドβも分解する能力のあるインスリン分解酵素が糖質中心の食生活習慣によって血中のインスリンに集中的に作用するため、脳でのインスリン分解酵素の濃度が低下し、アミロイドβの分解に手が回らずに蓄積されてしまうとの理論であります。


◇ アルツハイマー型認知症の治療

 アルツハイマー型認知症に対しては、近年治療薬の開発によって薬物治療が主に行われるようになってきましたが、現在のところ根本的治療薬は見つかっておりません。現在、認可されているアルツハイマー型認知症治療薬は以下の通りです。

1.コリンエステラーゼ阻害薬:ドネベジル(アリセプト)

 脳内の神経伝達物質であるアセチルコリンの活性がアルツハイマー型認知症では低下していることが分かっており、その分解酵素であるコリンエステラーゼの活性を阻害する薬剤であります。

2.N-メチル-D-アスパラギン酸阻害薬:メマンチン(メマリー)

 海外の研究で、ドネベジル単独群よりもメマンチン併用群で有意にアルツハイマー型認知症の症状改善が見られたとされています。


◇ アルツハイマー型認知症の危険因子と予防

 最後に、同疾患の危険因子とその予防について触れて参ります。危険因子として、年齢、家族歴、ApoEe4などの遺伝子型、高血圧、糖尿病、喫煙、高脂血症、クラミジア肺炎球菌への感染、ある種の生活習慣などが挙げられます。生活習慣を改善することにより、かなりの効果が期待され、それはすなわちアンチエイジングにも通ずるものであることがよく解ります。

1.食習慣

 魚油、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)などのω(オメガ)3不飽和脂肪酸の摂取、野菜果物(ビタミンE、ビタミンC、βカロテンなど)の摂取、赤ワイン、コーヒー(ポリフェノール)の摂取などが本症の発症を抑えることが証明されております。1日に1回以上魚を食べている人に比べ、ほとんど魚を食べない人は本症発症が約5倍であるというデータがあります。また、米国の加齢研究所は「精製された炭水化物(例えば白い砂糖)は同疾患の罹患率を上げる可能性がある」と述べています。
 また、上述のごとくアルミニウム・イオンの摂取がアルツハイマー型認知症の原因のひとつとされておりますので、アルミの鍋、ヤカンは使用しないことも本疾患の予防になろうかと存じます。

2.運動習慣

 有酸素運動で高血圧やコレステロールのレベルが下がり、脳血流量が増すため発症の危険が減少します。ある研究では、普通の歩行速度を超える運動強度で週3回以上運動している者は、全く運動しない者と比べて、発症の危険が半分でありました。

3.知的生活習慣

 テレビ・ラジオの視聴、トランプ、チェス、麻雀などのゲーム、文章を読む、楽器の演奏、ダンスなどをよく行う人は、本症の発症の危険が減少するという説があります。

4.喫煙

 自らタバコを吸う、能動喫煙のみならず、非喫煙者であっても、受動喫煙でタバコから出る有毒物質の影響を受けることで発症率が高まるとされます。

5.睡眠不足

 マウスの動物実験で、睡眠中に脳内のアミロイドβが減少し、起床中に蓄積することが証明されており、睡眠時間の短いマウスではアミロイドβの蓄積が進行し、不眠症改善薬を与えると改善したとされます。

 *****

 アルツハイマー型認知症の予防
  ・ω3不飽和脂肪酸の摂取
  ・ビタミンC, Eの摂取
  ・ポリフェノールの摂取
  ・アルミ製の鍋、ヤカンを使用しない
  ・糖質制限
  ・有酸素運動
  ・知的生活
  ・禁煙、受動喫煙の排除
  ・睡眠


 本ブログで取り上げたものばかりです!!(笑)
関連記事
スポンサーサイト