アセンションへの道程 〜ある外科医のスピリチュアル〜

アセンションを目指したある1外科勤務医のスピリチュアルおよびその周辺事項への探求をご紹介します

最大のアンチエイジング、禁煙と受動喫煙の排除


 アンチエイジングを実践する目的にいくつかの食事法や食品を取り挙げて参りました。でも、これこそがアンチエイジングの最たるもの!、と思えることにまだ触れていませんでした。「禁煙」と「受動喫煙の排除」、言葉にすれば簡単ですが、最近の禁煙ブームにより、だいぶ禁煙による効果が統計学的に明らかになってきました。大切に思うヒトに禁煙してもらいたい!、今回のアンチエイジングのテーマは「禁煙」です。


◇ タバコの煙に含まれる有害物質

 タバコそのものと煙に含まれる有毒物質をまとめました、まずは、タバコの煙の種類をご説明します。

1.タバコの煙の種類;主流煙/副流煙、気相/粒子相

 タバコの煙の種類についてご説明いたします。まず、タバコの煙には主流煙と副流煙があります。主流煙とは喫煙者が煙草自体を通して直接吸い込む煙で基本的に酸性であります。一方、副流煙は煙草の点火部から立ち上る煙で、有害成分の量は主流煙より多く、アルカリ性で目や鼻の粘膜を刺激します。自分の意に反して煙草の煙を吸わされる受動喫煙は有毒物質がより多い副流煙に暴露されることになるため、非常に問題とされています。

主流煙と副流煙の図

 喫  煙 = 主流煙
 受動喫煙 = 副流煙(主流煙より有毒物質が多い)


 タバコの煙には気相と粒子相があります。気相はフィルターを通過してしまう気体成分で一酸化炭素、窒素酸化物などです。粒子相はフィルターで捕捉できる程度の大きさの粒子成分で、ニコチン、タール、ヒ素などです。

2.タバコの煙に含まれる有害物質

 タバコの煙には現在分かっているだけで、4000種類以上の化学物質が含まれていることが判明しています。そのうち有害であることが分かっているものだけでも200種類をこえています。以下に、主な有害物質の含有量は主流煙と副流煙ごとに表にいたしました。

タバコ1本から発する煙に含まれる有害物質
タバコに含まれる有毒物質一覧

3.ニコチン

 たばこの煙の粒子相に含まれているニコチンは精神作用をもつ物質で、また「毒物及び劇物取締法」に明記されている毒物でもあります。ニコチンの作用は脳(中枢神経系)のほかに、胃の収縮カを低下させ、吐き気や嘔吐を起こしたりします。また心・血管系には急性作用があり、血圧上昇、末梢血管の収縮、心収縮力の増加などがみられます。
 ニコチンは有害物が入らないように設けられた血液脳関門を容易に通り抜けることができ、脳内の報酬系(脳に快楽をもたらす部位)に作用することがわかっています。このことがタバコへの依存性につながるものと考えられています。
 ニコチンの毒性は青酸に匹敵するといわれており、中毒量は1-4 mg、致死量は30-60 mgです。1本のたばこには10-20 mgのニコチンが含有されており、個人差もありますが、喫煙一本あたり3-4 mgが吸収されます。急性ニコチン中毒のほとんどが、乳幼児のたばこの誤食により起こっています。乳幼児の場合、致死量は10-20 mgですから、1本のたばこを誤って食べてしまうと死亡する可能性があります。

 ちなみに、禁煙のためのグッズとして有名な「ニコレット(ガム)」にはニコチンが含有されており、これ噛むことによりニコチンを摂取してタバコの代用とするものです。これですとニコチン以外の有害物質の摂取を避けることはできますが、ニコチンによる依存性を軽減することなく、またニコチンの心・血管系などへの副作用は残ることとなります。

4.タール

 喫煙時に生ずる夕一ルは有機物を熱分解した際に生まれるものですが、その中にはベンツピレンなど数多くの発がん物質が含まれています。すでにわかっている発がん物質の多くはDNAを直接障害するものです。夕一ルはとくに呼吸器系の疾患やがんと関係が深いと考えられています。

5.一酸化炭素

 たぱこの煙の気相に含まれている一酸化炭素は、血液中のヘモグロビンと結合するとカルポキシヘモグロビンになります。へモグロビンは身体のすみずみに酸素を運ぷ仕事をしていますが、一酸化炭素とヘモグロビンの結合は酸素の240倍と強力なため、一酸化炭素が体内に入るとヘモグロビンの酸素運搬能力を低下させ、全身的な酸素欠乏を引き起こします。1本のたぱこの喫煙でカルポキシヘモグロビンはl-2 %増加するといわれています。その分、酸素欠乏を招いているわけです。たぱこの煙の一酸化炭素により、虚血性心疾患、末梢動脈疾患、慢性呼吸器疾患、さらに妊娠時の胎兄への影響などが心配されます。


◇ タバコの煙の身体へ及ぼす影響

01.寿命

 身体への様々な悪影響を総合して、寿命への影響を見ますと、喫煙は10年近く寿命を短縮することが判明しております。もう少し具体的に、、、

 35歳の人が70歳まで生き確率は・・・
  タバコを吸わない人 81%
  タバコを吸う人   58%


喫煙の生存曲線に及ぼす影響
喫煙が生存曲線に与える影響

タバコの害図01
非喫煙者を1.0とした喫煙者(男性・女性)死亡率

02.慢性閉塞性換気障害(COPD)と喘息

 慢性閉塞性換気障害(Chronic Obstructive Pulmonary Disease, COPD)は、タバコが引き起こす代表的な疾患と言えます。気管支が閉塞を来すことにより、咳や痰が気になり、階段を上るだでて息切れします。肺気腫から自然気胸を起こすこともあります。似たような病態として喘息がありますが、こちら喫煙により発作を誘発します。慢性閉塞性換気障害と肺気腫、喘息、いずれの病態も喫煙を続ける限り病態は悪化の一途を辿ります。

03.動脈硬化

 動脈硬化とは動脈の壁が厚くなり、血液が通りにくくなったり、全く通れなくなったりする状態です。心筋梗塞や脳卒中など、命に関わる病気の原因となります。タバコを吸っていると、悪玉(LDL)コレステロールが血管にたまりやすくなるだけでなく、動脈硬化を防いでいる善玉(HDL)コレステロールが減少します。そのため、動脈硬化が発生・悪化しやすくなるのです。

04.高血圧

 タバコの煙には動脈を収縮させ、また心拍を増加させる効果があるため、血圧は上昇します。それに加えて上述のごとく動脈硬化の起こしますので、短期、長期の両方の作用から喫煙は高血圧を引き起こします。

05.心筋梗塞、脳卒中、閉塞性動脈硬化症、動脈瘤(破裂)

 上述の如く、喫煙は動脈硬化と高血圧を引き起こします。これらは、動脈の硬化、閉塞により心筋梗塞や脳梗塞、閉塞性動脈硬化症を引き起こします。英国人男性を対象とした調査では、タバコを吸う高血圧の方は吸わない高血圧の方に比べて脳卒中のリスクが3.8倍に高まったと報告されています。

閉塞性動脈硬化症の足
閉塞性動脈硬化症の足

 また、硬化した動脈に対して高血圧は血管壁の損傷(=動脈瘤)から破綻、すなわち動脈瘤破裂、脳出血を引き起こします。当然の如く、いずれも生命の危機を招く病態です。

腹部大動脈瘤破裂
腹部大動脈瘤破裂症例のCT

06.ストレス

 禁煙をためらう理由として多くの方が、「禁煙するとストレスがたまる」ことを挙げます。しかし、タバコを吸う方は、ニコチン切れにイライラしたり、吸える場所を探したり、火の始末が気になったりと、余計なストレス源を抱えていることになります。禁煙はタバコの誘惑からの自由であり、実際に禁煙を始めることによりストレスは増えず、むしろ軽減することが国内外で報告されています。

喫煙/禁煙とストレス
禁煙・喫煙の継続に見たストレスの変化

07.うつ病

 タバコを吸う方は、うつ病のリスクが高まることが明らかにあっております。海外の調査で、タバコを吸う方のうつ病のリスクは、吸わない方の2.9倍に高まることが報告されています。また、東京近郊の労働者約2,800人を対象とした調査でも、タバコを吸う方では吸わない方の1.65倍、うつ症状が生じやすいという結果が得られました。

タバコとうつ病
タバコとうつ病

08.糖尿病

 タバコを吸っていると糖尿病になりやすいことが分かっています。日本人を対象とした調査では、1日20本の喫煙を25年間続けた場合、糖尿病になるリスクは吸わない方の1.6倍に高まると報告されています。

09.メタボリック・シンドローム

 メタボリック・シンドロームは内臓脂肪型肥満に加え、高血糖、高血圧、脂質異常のうちいずれか2つがある状態です。メタボリック・シンドロームになると動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳卒中といった命に関わる病気が起きやすくなります。タバコを吸う方のメタボリック・シンドロームのリスクは、吸わない方の1.37-3.4倍に高まるという報告があります。

喫煙・メタボリックシンドローム
メタボリック・シンドロームのリスク(非喫煙者のリスクを1とした場合)

10.胃十二指腸潰瘍

 喫煙は胃酸の分泌を促し、食欲を低下させますので、空の胃十二指腸に攻撃因子(胃酸)が増える結果、胃十二指腸潰瘍を誘発します。

11.妊娠・出産への影響

 喫煙による悪影響として、赤ちゃんの低体重、胎盤の異常や流産、早産などがあり、妊娠中の禁煙は必須と言えます。さらに、タバコを吸っていると不妊のリスクも高まります。

12.皮膚症状

 ビタミンCは皮膚のシミの原因であるメラニンを抑えてくれます。しかし、タバコを吸うことでビタミンCが減少し、メラニンが増えていくのです。また、タバコに含まれている「ニコチン」が新陳代謝を衰えさせて、メラニンを外に出す事ができず、そのまま付着してシミを作ってしまいます。
 また、タバコを吸うとニコチンの影響によって血管が収縮するため、血液の循環が悪くなります。血液中の流れが悪くなると、食事から取った栄養が肌へ行き渡りにくくなります。いくら美肌のために栄養たっぷりの食事を取っても、肌に行き渡らないのでは意味がありません。栄養が行き渡らなくなれば、新陳代謝が乱れやすくなります。その結果、肌がくすんだりしみができやすくなったりするのです。

13.がん

 最後になりましたが、「がん」こそが、発ガン物質を多量に含む「タバコ」によって引き起こされる最も恐ろしい疾病と言えるでしょう。喫煙は、さまざまながんの原因の中で、予防可能な最大の原因です。日本の研究では、がんの死亡のうち、男性で40%、女性で5%は喫煙が原因だと考えられています。特に肺がんは喫煙との関連が強く、肺がんの死亡のうち、男性で70%、女性で20%は喫煙が原因だと考えられています。肺のみならず、タバコの煙やその溶解物が及ぶ臓器として、口腔内、咽頭、喉頭、食道、胃にもタバコの発がん性が発揮されますが、驚くべきは、タバコの煙や溶解物が及ばない、吸収されて暴露、代謝、排泄に関わる、膵臓、肝臓、子宮、膀胱もタバコによるがんの発生率の増加が見られます。

肺がん Xp
肺がんのXp写真

 日本テレビのドラマ「太陽にほえろ」でブレークした故 松田 優作 氏はヘビー・スモーカーでありました。彼は40歳の若さで膀胱がんで他界ました。喫煙との関連は言うまでもないところです。

松田優作 喫煙 写真


◇ 禁煙のための最強兵器!「チャンピックス」

1.「チャンピックス」概要

 さて、禁煙のための最強兵器をご存知でしょうか?、それは、バレニクリン (Varenicline) と言って、世界初のニコチン受容体パーシャル・アゴニスト(部分活性剤)であります。従前の禁煙補助剤であるニコチンガム、ブプロピオン、ニコチン・アンタゴニスト(拮抗剤)などとは異なる薬理作用を有します。米国では「チャンティックス」と言う名称で、2006年5月に販売を承認、同年8月に発売を開始しました。日本での商品名は「チャンピックス」で、2008年1月に製造販売承認を取得、同4月に保険適用、ファイザー製薬が販売しております。

チャンピックス写真

2.薬理作用と使用経験

 α4β2ニコチン受容体の部分作動薬作用があり、つまりニコチンを摂取したのと同じ状況を作り出します。上でも申し上げましたが、実際にニコチンそのものを摂取してタバコを吸いたくなくさせる「ニコレット」とは異なり、ニコチン類似物質と言えるでしょう。使用経験として、最初の1錠目から軽い吐き気を自覚しますし、その1錠目よりタバコを吸った後の感覚を得ます。さらに、ニコチン受容体には拮抗的にも働くため、もしタバコを吸ってもドーパミンの放出が抑制されるため、喫煙による満足感が得られなくなりますし、かえって吐き気が増す感覚を得ます。

チャンピックスの作用機序

チャンピックス(バレニクリン)の作用機序

 若干の吐き気を我慢しさえすれば、朝夕の薬を飲むと、すでに喫煙をした後の感覚になり、しかもそこでタバコを吸っても満足感は得られず、吐き気が増す、そんな生活を繰り返した3ヶ月で、徐々にタバコの本数が減少し、ついに全く必要なくなりました。薬の方は、禁煙後も服用を続けて、こちらも1日1錠に減らしたり減量していって、それでも喫煙の欲求がないことを確認して、禁煙から約1ヶ月で内服を停止し得ました。
 禁煙後約3年になりますが、全くタバコには興味がなく、吸いたいと思わず、かえって他人のタバコの煙に嫌な感覚になりました。


◇ 短期の時系列で見る身体に起こる禁煙の効果

 禁煙の短期の効果を時系列で示します。

1.禁煙開始後20分

 血圧・脈拍・体温が正常になります。20-30分後は喫煙によって収縮していた血管が元に戻り、ようやく手足の血行がよくなってくる頃です。ところが、体はニコチンを求め始め、人によってはもうイライラするなどの症状がでてくる場合もあります。

2.禁煙8時間

 呼吸器系の改善がみられ、血液中の一酸化酸素濃度が正常化し始め、酸素濃度は正常に上がります。しかし、喫煙したいという思いから、禁煙の効果を感じるのは難しい時期かと思います。

3.禁煙から24時間

 心臓発作の危険性が減少し、肺胞の浄化が始まるとされます。血液中の一酸化炭素濃度は完全に正常化します。しかし、禁煙24時間ぐらいが最も持続できない時間帯でもあります。

4.禁煙2日以内

 末梢神経が正常化して、味覚、嗅覚が改善、ご飯やお酒がおいしくなり始めます。

5.禁煙より2〜3日目

 ニコチンが体内から検出されなくなります。

6.禁煙から3日

 気管支が緩み、呼吸が楽になり、肺活量も増加します。ランニングなどの軽い運動をしてみれば、禁煙の効果、健康体をはっきり実感できます。

7.禁煙から2〜3週

 循環器機能が良くなり、歩くのが楽になる。肺の機能は30%も良くなります。体全体の血液の流れが改善し、お肌にハリとツヤが戻ってきます。

8.禁煙から1〜9ヶ月

 咳、痰、疲労感、倦怠感、息切れが減ります。肺胞細胞が修復、浄化され、細菌感染の頻度が減弱するとされます。


◇ 禁煙の長期的効果

 現代は、喫煙に対する風当たりが厳しい時代となっており、禁煙に成功する人が増加しております。その結果、以前には得られなかった、禁煙の長期的効果が統計で示されるようになって来ました。こうした傾向は、今後も多岐にわたって報告されるものと思われます。

1.禁煙から5年以内

 肺がんでの死亡リスクが半分に減ります。

2.禁煙から10年

 肺がんその他の死亡リスクが非喫煙者と同程度になります。喉頭がんに関しては喫煙者の60%にまで低下します。心筋梗塞および脳卒中の発生頻度も非喫煙者と同等にまで低下します。

3.禁煙から20年

 口腔がんのリスクが非喫煙者とほぼ同等になります。

4.禁煙開始年齢により取り戻す寿命

禁煙で取り戻せる寿命 図


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