アセンションへの道程 〜ある外科医のスピリチュアル〜

アセンションを目指したある1外科勤務医のヘミシンク体験とスピリチュアルおよびその周辺事項への探求をご紹介します

「在宅療養」推進の国と実際の医療の現場、認知度が低い?「介護保険」


 以下に示しますのはある方からいただいて現在は私も利用しております医療講演の1スライドです。これは平成18年(2006年)の第164回 通常国会(自民党政権)において医療制度改革関連法が成立し、平成24年3月末で13万床の介護保険適応療養病床を廃止、平成18 年時点で25万床ある医療保険適用療養病床(回復期リハビリテーション病棟 を除く)を15万床に削減する、合計23万床の病床数削減計画です。

病床数削減計画スライド図

 その3年後の平成21年(2009年)、自民党から民主党に政権交代が起こり、この法案は廃止となったため、平成24年の病床数削減は見送られました。しかし現在はまた自民党政権に戻っております。そして、実際のところは、上記法案を計画したのはどちらの政権でも変わりのない厚生労働省であります。今日は堅苦しいですが、身近の大切な問題として「在宅療養」関連の話題です。


◇ ある市の取り組み

 関東圏のある市において、東京大学、厚生労働省、市、市医師会が協力して「在宅療養」を推進しているようです。詳しくは存じ上げませんが、簡単に言うと、以下に記す通り、訪問診療の形態や患者に関する情報共有、多職種の連携などについて新しいシステムを導入するもののようです。

1.「在宅療養」推進のための新しいシステム

 1)訪問診療を行うドクターを主治医/副主治医制とする
 2)患者に関する情報共有にiPad端末を用いる
 3)以下の多職種による在宅の患者家族のサポートを強化
    ・在宅療養支援診療所
    ・訪問看護ステーション
    ・薬局
    ・訪問介護
    ・訪問リハビリ
    ・介護サービス施設
    ・バックアップ病院

在宅における情報共有システム
  
 「在宅療養」を希望される患者家族にとってはたいへん安心できるシステムのように思えますし、実際、この市における在宅医療の症例が増加していると聞き及びます。しかし、いくつかの問題が起こってきているようです。

2.主治医/副主治医制の問題点

 主治医が不在の際に副主治医として待機する、その拘束に対する診療報酬が不透明であり、また専門分野の違いや経験年数などから、主治医と副主治医の患者に対する診療に食い違いが生じることがしばしばであると聞きます。最近では全例に主治医/副主治医制としてはいず、副主治医をおかない、希望しない在宅専門医も多いようです。

3.iPadを情報共有におけるトラブル

 iPadなどの端末を用いた在宅医療は、インターネット回線でリアルタイムに患者の状態を多職種が共有する非常に便利なシステムであり、言うなれば町全体が病院で、電子カルテを持ち歩いているようなものかと推察します。
 しかし、個人情報として、自宅の住所、間取りや、家族の在宅あるいは不在時間などがネット上で見られること、褥瘡など患部の状態を伝えるのにiPadで写真を撮って配信することなど、個人情報の保護の観点からは問題が残ります。実際、iPadを使った情報共有いん承認を得られなかった患者家族がいると聞いております。

4.「在宅療養」を推進して踊る文章の数々

 上述の市ではどうか知りませんが、在宅支援診療所や地域医療の拠点と言ったところに訪問しますと、在宅を推進する、以下のような書物やポスターを見かけます。ご紹介するのは実際のものではなく、このような文章であと言うものです。

 「病院から自宅へ帰ろう!」(仮題)
 「明るい在宅療養」(仮題)
 「自宅で死ぬと言うこと」(仮題)
 などなど、、、
 

◇ ある「退院時共同指導」の現場にて

 病院での入院から在宅療養へ移行する患者には様々な状況がありますが、総じて外来通院が不可能な症例であり、脳梗塞や四肢麻痺のように慢性的かつ長期に及ぶことが想定される場合と、進行がんのように期間が限られ、終末期への対応が予定される場合があります。病院の医師、看護師、医療福祉士などから在宅療養を担当する訪問医師、訪問看護師、ケアマネージャーなどに、病状の説明や将来、起こり得ること、自宅の状況などを説明するカンファレンスを「退院時共同指導」と言います。私はこのカンファレンスにおいて、たいへん苦々しい思いをしたことがあります。場所と時間は特定いたしませんし、(記憶が定かでない部分で)事実と異なる若干のフィクションを加えております。

1.患者とその背景

 患者は30歳台後半の男性で大腸がん術後の転移性脳腫瘍でありました。開頭手術を受けるも多発性再発し、放射線治療の甲斐なく意識はほとんどなく、呼吸停止を待つばかりです。奥様が30歳前後で、子供が5歳半と2歳になったばかりです。奥様としては、とても子供達の面倒を見ながら夫の介護は困難と思っておりましたが、患者の両親ときに母親と姉が強く在宅を勧めます。「うちの子は自宅で最後を迎えさせてあげたい!」、とそんな感じです。

2.何回にも及ぶ家族との面談

 私は主治医として病院でこのまま看取る選択肢をお知らせしました。もちろん、蘇生術はなしで、いよいよとなったら自由に家族が出入りできるよう、減免の個室をご用意しますと申しました。奥さんはすがるような目で私を見ていましたが、患者のお母さんは鬼の形相、嫁に対して「あなた、あの子を自宅で看るつもりはないの!?」と詰め寄ります。小姑であるお姉さんも「本人も自宅療養を希望しているはずだわ」と同調して、お父さんは嫁に対して「お前の主人だろう、なんとかやってみてくれ!」と、奥さんにとっては多勢に無勢、在宅の方向で話が進みつつあります。
 別の機会に奥さんだけに「大丈夫ですか?」と尋ねたら、「子供が小さくて、私一人では無理です」と泣いており、患者のご両親にご相談したら、「これはうちの問題です!」と突っぱねられ、しかも、奥さんに対して厳しい指導が入った模様でした。
 最終的なご相談においては、患者の奥さんは堪忍して「大丈夫ですか?」の質問に「頑張ります」と蚊の鳴くような返事が返って来ました。家族間で合意を得た申し出に対して主治医と言えども抵抗はできません。在宅へ移行する運びとなりました。

3.「退院時共同指導」にて

 出席者は、病院側が主治医(私)、その日の受け持ち看護師、病棟師長、リハビリ担当者、介入した医療相談員、地域連携室1人、在宅担当者として、訪問診療を行う医師とそのクリニックの看護師、訪問看護ステーションから2人、ケアマネージャー、介護福祉士の総勢12名が、狭いカンファレンスルームにて患者の奥さんただ1人を取り囲み、患者の肉親は不在でありました。多職種のサポーターに囲まれて患者の奥さんは心強かったでしょうか? 私はそうは思いませんでした。見ようによっては、もうすぐ未亡人となる不幸な一人の女性の見世物のようでした。
 型の如く患者の現病歴と現在の病態をご説明申し上げ、受け持ち看護師からも現在の看護の状態、リハビリ担当者からも日常動作についての説明があって、これを受けて在宅担当者側からいくつかの質問を受けました。「最後は自宅で看取るつもりでいますか?」との質問に奥さんから「実家の義両親がそれを望んでおります」と、、、。患者がまだ40歳に満たないので介護保険は利用できず、幼児2人を育てながら患者の介護ができるのか?、同席したみんなが同情的で、「奥さん、本当に大丈夫ですか?」って質問が出たところで奥さんは「だって仕方ないんです」と答えました。泣いているようでした。
 この光景を見て、つくづく在宅医療は必ずしも明るい話ばかりではない、誰かの犠牲の下に成り立っているのであると実感しました。「病院で個室を用意してあげるから、自由に出入りすればいいですよ!」、って申し上げたのですが、それは叶わず、無力感すら感じました。

 誰かの犠牲の下に成り立つ「在宅療養(医療)」

 患者がどうなったかは、予想される通りですが、この出来事があって、どうしても在宅医療に対して懐疑的にならざるを得ないでおりました。


◇ どこまで知られているのか?「介護保険」

 医師は患者および家族から「介護保険の主治医意見書」への記入を求められることがしばしばあり、特にご老人を患者として持つ医師であれば、記入したことがない、と言うことはほとんど無いと思います。しかしながら、この記入方法を教わることはほとんどありません。そして、その書類がどういうルートでいわゆる「介護保険」に反映されるのか、その結果、患者および家族がどんな扶助を受けられるのかを知っている医師はごくわずかだと思います。医師の方がそんなんだから、患者やその家族に説明することも、保険の利用を勧めることもほとんど皆無であるのが現代の日本の医療の現状です。
 それでは行政はどうか?、消費税の増税や障害者自立支援などと、国民に負担を強いる事柄については盛んに報道しますが、「介護保険」の対象が誰か、これによって受けられる扶助はなにかを報道しません。知らせたくないかのようにも感じられ、介護保険料ばかり徴収しておいて、怠慢のそしりは免れないと思います。以下、私の医療講演のスライドを供覧しながら説明いたします。

1.「介護保険」の対象者

介護保険の対象者スライド

 スライドの如く、65歳以上で介護サービスの認定を受けた第1号被保険者と、40歳から65歳までの特定疾患により介護や支援が必要と認定された第2号被保険者が対象者であります。第2号被保険者の「特定疾患」は以下の16疾患であります。

第2号被保険者の特定疾患

 私は、四半世紀を超える外科医生活の中で40歳から65歳までの「がんの末期」の患者を数え切れないほど診て参りました。しかし、「介護保険」を患者家族にお勧めするようになったのはごく最近のことです。お恥ずかしながら知りませんでした。今は、必ず患者家族に説明するのみならず、上述の「主治医意見書」をかなりはっきりと書くことを覚えました。患者の目には触れることがないこの書類に、しっかりと患者が「終末期状態」であり、「緩和ケア」を受けていることを明記しますと、要介護3以上は確実にとれます。

2.要介護状態の区分とそれに応じた介護給付

 「介護保険の主治医意見書」に基づいて「介護保険」の認定が得られることを申しましたが、当然の如く介護状態には区分があります。要支援1, 2と要介護は1から5まであります。以下、要介護状態の区分とそれに応じた介護給付に関するスライドを提示します。末期がんの患者であれば、ちゃんと申請して意見書をしっかり書けば、要介護3, 4は必ず取れます。

要介護状態区分スライド

介護給付スライド


3.「介護保険」で利用可能なサービス

 「介護保険」で利用可能なサービス、これも一般人はおろか医療従事者であってもそれほどは知られていないことだと思います。ただお金をもらえるわけではもちろんありませんが、上手に工夫すればいろいろなサービスがあります。在宅で受けられるもの、施設利用に関するもの、その他について以下のスライドをご供覧下さい。

在宅で受けられるサービススライド

施設利用サービス スライド

サービス その他

4.このシステムの最大の問題点

 先にも申しました。問題点、こうしたシステムがありながら利用されないケースが実に多いことです。私はこれまで、40歳から65歳のがんの末期の患者家族より「介護保険」の話が出たことは一度もありません。私の方から申し上げて、「そんなのが受けられるんですか?」とびっくりされることがほとんどです。

問題点スライド


◇ 高齢者が長期入院「療養病床」患者を削減の方針

 突然、「在宅療養」や「介護保険」の話題を持ち出して大急ぎ説明いたしました。内容に間違いや勘違いがあるかも知れません、ご容赦いただければ幸いです。なぜ、唐突にこの話題を持って来たかと申せば、冒頭にご紹介した平成18年、前回の自民党政権で決まった「療養病床の削減」が再び現実性を帯びて来たからです。本日の読売新聞です。

療養病床削減記事 図

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高齢者が長期入院「療養病床」患者を削減の方針

 団塊世代が全員75歳以上になる2025年に向け、在宅重視の医療体制づくりを進める厚生労働省は、寝たきりの高齢者らが長期に療養している「療養病床」の入院患者を減らす方針を固めた。

 入院患者の割合が全国最多の県を全国標準レベルに減らすなど、地域ごとに具体的な削減目標を設定する。
 厚労省のまとめでは、人口10万人当たりの療養病床の入院患者数(11年)が最も多いのは、高知県の614人で、山口、熊本、鹿児島県と続き、西日本で多い傾向がある。最も少ないのは長野県の122人で、高知県はその約5倍になる。

都道府県別療養病床表

 入院患者の多い県は、療養病床の数自体が多い。病院が経営上の理由から、既存のベッドを入院患者で埋めようとしているとの指摘もある。多い県は1人当たりの医療費も高額化する傾向があり、厚労省は是正に乗り出すことを決めた。
 具体的には、2025年をめどとし、全国最多の高知県は、全国中央値に当たる鳥取県(人口10万人当たり213人)程度まで6割以上減らすことを目標とする。高知以外の都道府県も、全国最少の長野県との差を一定の割合で縮めるよう具体的な削減目標を割り当てられる。

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◇ おわりに

 一昨年、2013年までの日本における平均寿命が、男性80.21歳(世界第4位)、女性86.61歳(世界第1位)で、男女合わせて84歳超えは唯一日本だけの第1位でありますから、日本の医療制度はある程度は世界のトップレベルと言えますし、国が負担する医療費が莫大であることは理解します。でも、その医療費削減を目的とした療養病床の削減には準備が不十分ではないか?、と考えます。
 国が推進する「在宅療養」を支えるシステムがどこまで進んでいるのか?、弱者が「介護保険」を簡単に利用できる国家の姿勢がどこまであるのか?、いずれも疑問であります。かつて、民主党 菅 直人 内閣総理大臣が「介護で雇用を創出、景気回復を!」と言っておりましたが、「バカも休み休み!!」って話です。財源が乏しいから「介護保険」のPRに消極的なのは明らかであり、需要と供給のバランス、収支バランスがプラスマイナス0(ゼロ)であるならば、療養病床の削減だって必要ありません。少子高齢化で労働人口が減って、税収が減少することが予想される、要するに赤字部門なわけです。そこに雇用の創出も景気回復も難しいのは明らかです。
 しかしながら、一方で「国家の財政」、「国の借金」などと言う言葉に、どこまでも日本国民は弱いのだろう?と考えてしまいます。官僚の天下りとそれに払われる退職金と新たな給与、米軍に支払われる莫大なお金、無駄な公共事業、稼働していない原発にかかるコストなど、多くの無駄遣いはそのままで、消費税増税には「賛成」、「仕方ない」と言った肯定派が過半数と聞きます。療養病床の削減も「致し方なかろう!」となってしまうのか?、今でさえ介護疲れから殺人にも及ぶケースが報道されていて、「医療難民」、「介護難民」が溢れる時代が近づきつつあります。
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