アセンションへの道程 〜ある外科医のスピリチュアル〜

アセンションを目指したある1外科勤務医のヘミシンク体験とスピリチュアルおよびその周辺事項への探求をご紹介します

「適応障害」 憤りを感じた あるメンタルクリニックの安易な診断と治療


 以前、外来に来た食欲不振の若い男性の話から、「アナと雪の女王」主題歌 “Let It Go”を掲載しました。若者が病める時代なのか?、年末に、また似たような患者が来ましたが、これにはある種の憤りを感じましたのでご報告いたします。


◇ ストレス潰瘍疑いの ある外来患者

 23歳、女性、詳しい職種は聞いておりませんが、職場にて、主として苦情などの電話対応がストレスとのことで、胃が痛いとの訴えで来院されました。言葉使いや説明に全く正常な知性を感じましたし、自分の症状に切実な思いがあることが見てとれました。型のごとく問診、診察を行い、ストレス性潰瘍の可能性からプロトンポンプ・インヒビターを処方して、腹部エコーと胃カメラの予定を立てました。
 ところが、よく話を聞いたところ、あまりのストレスから、この3日前より職場を休んで、近所のメンタルクリニックに行ったとのことでした。そちらでは、15分ほどの問診で「適応障害」と診断され、レクサプロ 10 mg 1T(1日1回 夕食後 内服)の処方がなされたとのことです。患者は、クリニックの医師からの説明が不十分であり、言われた病気に対する恐怖、薬の副作用の不安から、服薬は躊躇しているとのことでした。


◇「レクサプロ」と言う薬剤

 ここでレクサプロと言う薬剤について情報を公開いたします。2011年、田辺三菱製薬株式会社より販売された選択的セロトニン再取り込み阻害剤(Selective Serotonin Reuptake Inhibitors、SSRI)で、有名なうつ病治療薬パキシルに類似した薬剤のようです。以下、添付文章を要約したものを掲載します。

レクサプロ錠10mg
LEXAPRO Tab 10mg
(エスシタロプラムシュウ酸塩・フィルムコーティング錠)

1.効能/効果

 うつ病、うつ状態

【効能・効果に関連する使用上の注意】
 1)抗うつ剤の投与により24歳以下の患者で自殺念慮、自殺企図のリスクが増加
 2)海外での試験で6〜11歳の患者で有効性が確認できなかったとの報告がある

2.用法/用量

 通常、成人にはエスシタロプラムとして10mgを1日1回夕食後に経口投与する。なお、年齢・症状により適宜増減するが、 増量は1週間以上の間隔をあけて行い、1日最高用量は20mgを 超えないこととする。

【用法・用量に関連する使用上の注意】
 1)投与量は必要最小限となるよう患者ごとに慎重に観察しながら投与する
 2)肝機能障害患者、高齢者、CYP2C19活性欠損患者には副作用を考慮、慎重投与

3.使用上の注意

 以下のごとく慎重投与、基本的注意事項がある。

【慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)】
 1)著明な徐脈等不整脈、QT延長の既往のある患者
 2)肝機能、腎機能障害のある患者
 3)自殺念慮又は自殺企図の既往のある患者
 4)躁転、から自殺企図が起こりうる躁うつ病患者
 5)脳の器質的障害又は統合失調症の素因のある患者
 6)衝動性が高い併存障害を有する患者
 7)てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者
 8)出血の危険性を高める薬剤を併用している患者
 9)高齢者および小児

【重要な基本的注意】
 1)希死念慮か、自殺企図に対する配慮
 2)不安、焦燥、興奮、パニック発作、不眠、易刺激性、敵意、攻撃性、衝動性、
   アカシジア、精神運動不穏、軽躁、 躁病等の出現に注意
 3)自殺目的ての過量服用に配慮し処方日数を最小限とする
 4)薬剤の副作用、自殺企図等について家族に対する十分な説明、指導を行う
 5)眠気、めまい等から自動車の運転や機械操作には十分に注意する
 6)投与中止で不安、焦燥、興奮、めまい、錯感覚、頭痛が現れるうる
 7)本剤でQT延長が見られるため投与開始前に心血管系の状態に注意

レクサプロ 写真

4.副作用

 大うつ病性障害患者を対象とした国内臨床試験(4試験)において、総症例550例中、409例(74.4%)に臨床検査値異常を含む副作用が認められている。その主なものは悪心131例(23.8%)、傾眠129例(23.5%)、頭痛56例(10.2%)、口渇53例(9.6%)、浮動性めまい48例(8.7%)、倦怠感39例(7.1%)、下痢34例(6.2%)、腹部不快感32例(5.8%)等であった。

【重大な副作用】
 1)痙攣(頻度不明)
 2)抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH、頻度不明)
 3)セロトニン症候群(頻度不明):不安、焦燥、興奮、振戦、ミオクローヌス、高熱
 4)QT延長(頻度不明)、心室頻拍(頻度不明)

【その他の副作用】
その他の副作用 01

その他の副作用 02


◇「適応障害」の診断と治療の妥当性は!?

 私は精神科ではありません。ですから、精神科の専門医からの非難を受けるかも知れません。でも、あえて申します。私が応対した患者が受けた、メンタルクリニックにおける診断も治療も妥当ではないと思います。23歳の女性、と言うより、まだ社会人として未熟な、人間としてもまだまだ発展途上の若者に、たった15分の問診で、診断のための特別なテストなどなしに「適応障害」との診断し、しかもあっさりと抗うつ薬を処方する安易さに唖然とするばかりです。この病気の診断基準、治療法を供覧するまでもなく、乱暴かついい加減さがにじみ出る判断だと思います。以下、今回の事例について、診断と治療に分けて問題点を指摘したいと思います。

1.診断を下すことの患者への影響

 問診で聴取する症状から、風邪や胃腸炎の診断を下すのはごくごく普通のことだと思いますし、そのことが患者に及ぼす影響はほとんど無いと思います。例えば、インフルエンザの検査で陽性となり診断確定とか、受傷部位のレントゲン写真を撮って骨折の診断を下すのも、至極当然の過程です。
 ところが、「適応障害」となると、立派な精神疾患の一種であり、ある一定の長期間の治療を要す、休職を余儀なくされる、多剤併用の薬物の服用を要す、そんな可能性が否定できず、15分かそこらの問診だけで診断を決める、そんな簡単なものであるはずがありません。当然のごとく、その病態の重大さから、診断を下された者は少なからず精神的苦痛を受けるものと思います。

 精神疾患の診断は患者に対する多大な苦痛
 
 例えば、今回の女性が、その「適応障害」ネットなどで調べたとして、書いてあることがことごとく自分に当てはまると言う感覚を持ち、このままでは仕事はできないと考えたなら、あるいは翌週も仕事を休むようなことがあるならば、これは長期の休職にもつながりかねず、安易な診断が病態をさらに悪化させる可能性があります。

 安易な診断がさらに病態を悪化させる可能性

 医療において、多くの場合、早期診断から早期治療は求められるところですが、精神科領域の診断はある程度の慎重さが必要と考える次第です。

2.薬の副作用から

 私が処方したプロトンポンプ・インヒビターも、あるいはストレスから快眠が得られないことに対して軽い睡眠導入剤を出したとしても、いずれも副作用は無いかごく軽微なものです。それに対して、上でご紹介したレクサプロ錠の副作用は、発現率が74%以上に及び、その内容には、悪心、傾眠、頭痛、めまい、倦怠感、無力感のような、活動性を低下させる症状が含まれ、ますます仕事に支障を来す可能性が高いでしょう。

 発現率の高いレクサプロの副作用
 活動性を低下させ、仕事に支障を来す可能性


 また、風邪薬のように、一過性の服薬で終わるものと異なり、精神科の薬剤はある程度、長期間の服用が必要であり、ややもすると慢性疾患として年単位の投与が必要となります。そうなると、薬剤から離脱する際の症状も大きくなりますし、添付文章に列挙した重大な副作用の発現の可能性が増加します。今回の症例は若い女性ですので、万が一、妊娠した場合に催奇形性も考慮しなければなりません。

 長期投与となる可能性と危険性

 さらには、副作用に精神症状が含まれており、これが薬剤の効果が不十分なので、もともとの抑鬱状態によるものか、副作用なのかは判断しずらいケースも想定されます。経過観察の過程で、発現する症状から、薬剤の増量あるいは多剤併用へと移行することはあり得ることであり、副作用の可能性はさらに増大します。

 薬剤の増量、多剤併用となった場合のさらなる危険性

 安易な診断と処方が発端となって、重大な病態の悪化を招く可能性は否定できません。自殺企図や、刃物など危険物を振り回す、明らかに異常行動に対して、神経遮断剤の早期の使用は必要と思いますが、今回の症例は若い女性であり、診断と同様、薬剤の処方も慎重であるべきと考えます。


◇ 現代の世情?、保険診療の問題?、薬付けで廃人を作る医療?

 今回の症例以外でも外来に来る消化器症状を訴える患者に既往歴、内服薬を尋ねると、心療内科、メンタルクリニックや精神科に通院している人が以前よりも増えたように思います。その多くの患者が多剤併用の向精神病薬を服用していて、元々の病気のせいか?、薬の副作用なのか?、仕事を続けられずにいる人も少なくありません。精神疾患の有病率が増えた(と思われる)原因として、心が病める社会なのか?、以前よりも精神疾患に対する理解が高まり、そうした医療を受ける患者が増えたからか?、あるいはその両方のように考えます。

 精神疾患の有病率が増えた?
 ・心が病める社会なのか?
 ・精神科受診が増えた結果?


 もう1つ、心療内科、メンタルクリニックや精神科のドクターが、簡単に診断を下して簡単に向精神病薬を処方する風潮にあると思います。「大丈夫だ!」、「病気ではない!」と言う勇気も欲しいところですが、悪い見方をすれば、それでは商売あがったりなので、病人を作り出してしまい、一度、病名がついて処方が始まればまた次も再来で受診しますから、長期の収益に繋がる、そんな医療のように見えます。

 簡単に診断を下して簡単に向精神病薬を処方する風潮

 もっとゆっくりと問診して、あるいは「適応障害」には診断のためのテストがありますので、時間をかけて慎重に診断をしていいと思いますし、まずなによりも、若い患者であれば、薬剤投与でなくカウンセリングや対話、問題解決法のアドバイスを真っ先にやってもらいたいと思います。でも、それができないのは、精神科領域の診療報酬が、それを難しくしているのでは?、と考える次第です。つまり、時間をかけた問診や対話は収益にならず、処方箋料が重要な収入源であると言うことです。

 精神科領域の診療報酬に問題が?

 まだ私の外来に来ることになっておりますので、症状が軽快していることに期待しますし、問題が残るようであれば、相談にのってあげようと思います。

 
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