アセンションへの道程 〜ある外科医のスピリチュアル〜

アセンションを目指したある1外科勤務医のヘミシンク体験とスピリチュアルおよびその周辺事項への探求をご紹介します

科学?/非科学? ファスティング(断食)の美容・アンチエージング・疾病における有効性を検証

 今年になって、マクロビオティック(Macrobiotic、1月2日)、糖質制限食(1月23日)、パレオ食(パレオリシック Paleolithic食,旧石器時代食、7月4日)と言った食事法を勉強しました。通称「マクロビ」は科学的根拠には乏しいものの、風水の概念を含む人の気持ちを惹き付ける内容でありました。糖質制限食とパレオ食には高い類似性が感じられ、それはいずれも人類の遺伝子に基づいた、本来の動物としての食生活のあり方にヒントを得た発想であるところです。
 今回取り上げる、ファスティング(断食)も糖質制限食やパレオ食と同じく、人間の本来の食生活を追求する部分が多分にあり、また明らかな有効性が言われております。しかも歴史が古く、宗教的行為とされた時代が長くありました。モデル、アスリートをはじめ、今多くの方に注目されているファスティング(断食)について、科学的と非科学的な両面から検証いたします。

断食の本x2
「奇跡が起こる半日断食」(甲田光雄 著、左)と「3日食べなきゃ7割治る!」(船瀬俊介 著、右)


◇ 先祖の言い伝えや子供の頃からの教え

 ファスティングについて批判的な発想として、身近なところで、ご先祖様からの言い伝えや子供の頃からの教えが大きいと思います。恐らくは万国共通、朝昼晩の食事があることは当たり前のことで、日本には「3度3度の食事」、「日本人はごはんとみそ汁!」と言う言葉がよく聞かれ、朝食を抜くことは不健康と言われていました。脳の活動には糖分を必要とするとの理由で、学生時代の朝食は学校での勉強に重要な要素とされました。

しっかり食べよう朝ご飯

 例えば、中高生あたりで、しっかり朝食を摂っている子供と朝食を摂らない子供の成績を比較した研究があり、朝食を摂っている子供の方が成績優秀との結果が言われています。多くの子供をもつ親にとって我が意を得たりの報告かも知れません。
 しかし、「しっかり朝食を摂っている子供」と「朝食を摂らない子供」の違いは朝食を摂る摂らないだけではありません。別の要素として、生活習慣の良否、生活の規則正しさがあります。朝食を摂る摂らないの比較は、睡眠をしっかりとって、健全な生活を送る子供と、夜遊び、夜更かしをしている子供との比較でもあるわけです。朝食を摂らないせいで成績が悪いとは言えない別の要素が含まれていると言う事です。


◇ 現代の医療の現場では

 現在のブームとなっているところの食事スタイルであり健康法に対して「科学?/非科学?」と接頭語を付けたのには訳があります。それは一般的な医療の現場において認知されていないという事実です。ファスティングの有効性を唱える人々は臨床や動物実験の現場において証明されたエビデンスを添えておりますが、なかなか現代の医療においては反映されていないのが現状です。
 例えば、私は消化器外科の医者として、当然のごとく多くの癌の患者さんを外来および病棟で診ています。早期癌で再発の心配がない人から、進行癌に対して再発予防の化学(放射線)療法を行う人、残念ながら癌の再発を来たし、再手術や治療目的の化学(放射線)療法を計画したり、緩和ケアを導入したりと、対象となる患者さんは非常に幅があります。
 こうした患者さんたちに対して、世の中一般に、私のような立場の医者がかける言葉は、「栄養をつけましょう!」、「食事はちゃんと摂ってくださいね」が多いと思います。なぜならば、血漿タンパクや脂質、血算の値などの血液検査から、癌患者は多くの場合が栄養状態が不良で貧血であることが多く、これに対して手術や化学(放射線)療法によるダメージが加わります。少しでも栄養価の高いものを摂って、栄養状態や貧血を改善し、免疫力を上げて欲しいと思うものです。

 「栄養をつけましょう!」、「食事はちゃんと摂ってくださいね」

 別の話ですが、糖質制限食でご紹介した京都、高雄病院(江部 康二 医師)では糖尿病の治療のための教育入院で、糖質制限食のメニューを学びその習慣を身につけます。糖質を制限して血糖を上げない食事ではありますが、朝昼晩の3食はあります。
 一方、一般的な糖尿病治療教育入院では、カロリー制限を行った3度3度のご飯やパンの主食を食べながら、経口血糖降下剤の服用やインスリンの自己注射を指導します。

 糖尿病治療教育入院でも3食は常識

 糖尿病に限らず、あらゆる入院治療において、絶食でない患者には朝昼晩の3食は常識であり、これは留学した米国の病院でも同じでした。胃が小さくなる胃切除後の食事として5回食と言うのも本邦の医療の常識であります。

 医療における絶食は、腸閉塞や術後の腸麻痺、急性胃腸炎や胆嚢炎、膵炎など、食事を摂れない状態や食事を摂ることで病態が悪化する場合に行われますが、一般的には、ある一定期間のファスティング(断食)が体に良いとして医療に取り入れられてはおりません。
 自分が医者として実践している医療が科学で、それ以外は非科学とするほどおこがましい感情は持っておりませんが、科学的に証明されたことを医療の現場で指導し実践するのが医師、医療機関の勤めである、という原則があるにはあります。

 しかしながら、現代の肥満、糖尿病、高血圧、動脈硬化、メタボリックシンドローム、アレルギー性疾患、精神疾患、悪性腫瘍の増加を観るにつけ、現代の食事体系、栄養学の考え方に修正を加えても良い様に思います。なぜなら、列挙しました病態のうち、少なくとも肥満、糖尿病、高血圧、動脈硬化、メタボリックシンドロームは高カロリーの食生活に関与するものであります。これまでの常識を打ち破り、勇気と高い意識を持って医療も変わるべき時が来ているかも知れません。


◇ ファスティングの概念・歴史

 先祖の言い伝えや子供の頃からの教え、現代の医療の現場などと、前置きが長くなってしまいましたが、まずはファスティングの概念、歴史から入ります。ファスティング fasting とはfast「断食する」のing形、つまり名詞ですので「断食」です。医療の世界で食事を止めとすることを「絶食」と言いますが、この場合も英語にするとfastingであります。ここでは、歴史的事実としての言葉は「断食」を用い、現代の話では「ファスティング」の言葉を使用いたします。

 さて、「ファスティング = 断食」とは、ある一定期間、全てのあるいは特定の食べ物を断つことであり、多くは宗教的行為として扱われ、世界の諸宗教に広く見られます。

1.ユダヤ教

 ユダヤ教では食べ物と水などの飲み物を完全に断つ断食が行われ、食べ物の匂いをかいだり、薬を飲んだり、歯を磨くことさえも禁止されています。年に6回(ヨム・キプル、ティシュアー・ベ=アーブ、ゲダリヤの断食、テベトの10日、タンムズの17日、エステルの断食)の断食が行われます。

2.キリスト教

 聖書では、モーセの神の山にいる40日間の断食、イエスの荒野での40日間の断食が記載されております。それとは別に4, 5, 7, 10の各月が断食の月とされ、贖罪の断食などの儀式として行われました。断食は耐えるものではなく、自分の不節制を認識し、他人へ施すことで神により近づくための経験と考えられていたようです。

3.イスラム教

 イスラム教ではラマダーンの月の間、日の出から日没まで断食が行われます。断食中は食べること、飲むこと、喫煙、性交が禁止されます。ラマダーンはイスラム暦の月の1つで、断食はイスラム教の信仰で最も重要な活動の1つとされます。

4.仏教

 仏教では、断食を日常的行事とはしていず、煩悩を克服、滅却するための修行として行われ、時として死をも覚悟した苦行とされたものもありました。

5.バラモン教、ヒンドゥー教

 古代インドではバラモン教において修業法の一つとして断食が行われてきました。ブッダ(釈迦)が悟りを開く前にガヤの山林に6年間こもって、断食を行っていたとされます。また、ヒンドゥー教においても断食は欠くことのできない重要な要素であります。個人個人の考えと地方の慣習に基づき、異なる種類の断食があります。エカダシ(14日間周期の月相の11日目)またはプルニマ(満月の日)のような特定の日に断食を行う、個人の信念や信仰している神によって1週間の特定の日に断食を行う、などです。

【インドの伝承医学 アーユルヴェーダに示された効果】
 各地の各宗教で、主として精神修行目的に断食が行われて来ましたが、そのうち、いろいろな病気が治ってしまうことが経験的に解ってきたようです。インドの伝承医学であるアーユルヴェーダの古典「スシュルタ・サムヒタ」では、断食は自然治癒力を活性化させる術であり、それにより健康を実現し長生きできるとして、腹水には1週間の断食を、長寿法には3日間の断食を勧めています。


◇ ファスティングの実際

 過去の宗教における断食とは別に、現代の社会で行われているファスティングは、その期間によっていくつかに分けられます。

1.半日ファスティング

 主に朝食を抜き、昼食も軽め(100 kcal程度)とするファスティングで、プチファスティングなどとも言われます。夕食後から夜間の睡眠中、起床後の昼食までの16-18時間を水分だけ摂取する方法で、これは毎日の習慣として日々行うものです。もう少し進化すると「1日1食」となりますが、これも半日ファスティングの範疇に入れて良いかと存じます。

2.1日ファスティング

 1週間に1度、何曜日と決めて1日丸々食事を摂らない方法で、半日ファスティングと同じく習慣的、規則的に行えます。1日ファスティングは毎日の半日ファスティングと異なり、非日常的な1日を作り出すのですから、散歩をするとか瞑想するとか、長い風呂に入るとか、ふだんとは異なる時間を作ることにより、何か気づかなかったことに気づくような、貴重な時間を得ることができると言われます。もちろん、何日ファスティングの日常に、計画的に1日ファスティングを入れる方法はあろうかと存じます。ファスティング明けの食事再会を「復食」と言いますが、1日だけとは言え、ファスティング後の「復食」にはお粥など、胃腸に優しい食べ物が推奨されます。

3.本格ファスティング

 多くのサイトで3日間や1週間〜数週間のファスティングが紹介されておりますが、3日以上のファスティングを「本断食」、「本格ファスティング」と言い、家庭で行うのは危険であり、医療機関や断食道場などで行われております。半日ファスティングや1日ファスティングのように日常的、日課のように行うものではありませんので、よく計画を練って、体調を観ながら実行するものです。3日くらいのファスティングを年に3、4回行うことは推奨されております。ファスティング明けの「復食」にはお粥など、胃腸に優しい食べ物が必要なことは短期間のファスティングと同じです。リバウンドでの大食は極めて危険な行為です。


◇ 内臓諸器官の休息

 さてここからは、ファスティングの有効性、各種作用についてご紹介して参ります。まずは食事を摂らないことによる胃腸や肝臓、腎臓の休息です。

 食事摂取により慢性的に消化と吸収、代謝、排泄を行っている胃腸や肝臓、腎臓はともすると疲弊してしまい、その機能低下は様々な病態を引き起こします。胃腸の障害は、消化吸収障害のみならず、先日、ご紹介した「リーキー・ガット症候群 Leaky Gut Syndrome(LGS、腸管壁浸漏症候群)」(7月7日)や、次で述べます宿便の原因となります。肝臓、腎臓の疲弊は、当然の如く慢性肝障害→脂肪肝、慢性腎機能障害へと進行します。

 摂取カロリーを減らすことのみならず、ある一定時間、内臓に負荷をかけないことによる休息が、該当臓器の再生に繋がるとの言う発想です。


◇ 宿便の排泄と有害物質の解毒作用

 ファスティングは宿便を解消し、有害物質の解毒作用もあると言われます。まずは宿便の定義からご説明いたします。

1.宿便とファスティングによる排泄

 宿便とは、便秘により排泄されないで、腸内に長く滞留している糞便のことで、滞留便(たいりゅうべん)とも呼ばれます。ただ、この定義は国語辞典の範囲内であり、実は「宿便」は医学の専門用語ではありません。「奇跡が起こる半日断食」の著者である 甲田 光雄 医学博士は、一私案と断った上で、宿便の定義を「胃腸の処理能力を超えて、負担をかけ続けた場合、腸管内に渋滞する排泄内容物を総称したもの」であるとしています。宿便の色と硬さは普通の便とそう変わらないとし、また、便秘と宿便がよく似ていることに絡めて、宿便は毎日普通に排便があったとしても残留してしまう可能性があり、腹が張って排便が無いというような便秘とは違うと説明しています。

宿便の図

 老廃物が腸管内に長時間滞留すると、牛乳が腐敗菌で腐るように、老廃物が悪玉菌で腐敗し、毒素と悪臭(排ガス)を産生し、毒素は腸管壁から吸収されて血流に入り、身体の隅々まで送られます。老廃物が腸管内を短時間で通過すれば、牛乳が乳酸菌でヨーグルトになるように人体に必須の栄養素や無臭のガス(無臭排ガス)を産生すると言われます。

【宿便が原因となり得るとされる各種病態】
 肌荒れ、吹出物、ニキビ、胃腸障害、過敏性腸症候群、アレルギー性疾患、更年期障害、生理不順、頭痛、不眠、精神疾患、悪性腫瘍、など

 ファスティングにより腸管はある一定期間の休息をもらえます。活力を蓄えた腸管は、自ら排泄する能力を高め、その結果、溜まっていた宿便を排泄できると言われています。

2.環境ホルモン(毒素)の排泄

 現代は過食の時代であり、摂取カロリーを減らすファスティングは皮下脂肪、内臓脂肪を減らすことになります。この脂肪組織には頑固に昔からの環境ホルモン(毒素)が沈着していると言われます。例えば、高度経済成長時代に全国の田畑で大量の有機塩素農薬、ベンゼンヘキサクロリド(benzene hexachloride, BHC)という劇薬の殺虫剤が使用されました。このBHCは何年も脂肪組織に蓄積される性質を持ちますが、ファスティングによって尿中に排泄されることが実験的に証明されております。現代はダイオキシンやプラスチックに含まれるビスフェノールと言った環境ホルモンが問題となっております。これらの毒素もファスティングによる宿便の解消、脂肪組織の減少により排泄され得ると考えられます。


◇ 自己融解作用

 ファスティングにより栄養の供給が遮断あるいは減少すると体細胞は栄養分となるものを体内から探して、それを融解して栄養として利用すると言うものです。その最も顕著な組織として血管壁に沈着した脂肪分が指摘されています。血液中のコレステロールや中性脂肪は元より、動脈硬化の正体である血管壁に形成されたアテローム(コレステロールの塊)も自己融解を起こすとされます。もちろん「環境ホルモン(毒素)の排泄」の項で申した通り、脂肪組織の減少も自己融解作用の一環です。

 動脈硬化における血管壁アテロームの消滅

 がん細胞は糖質しか利用できないと言われており、ファスティングおよび糖質制限食により腫瘍自体も自己融解から縮小するとの意見も散見されます。これに関しては科学的には証明されておりません。

がん治療の虚実HP図


◇ 眠っている本来の力を蘇らせる

 過食の時代を生きる我々は体内に過剰なエネルギーを溜め込んでおります。ファスティングは体内の余分な栄養を取り除き、身体に対して飢餓状態と言うストレスをかけます。これはパレオ食(パレオリシック Paleolithic食,旧石器時代食)と相通ずる考え方でありあますが、本来の人間は農耕も家畜も行わない旧石器時代の人類と同じ遺伝子であると考えられております。体内に過剰なエネルギーを溜め込んでいることは本来の姿ではなく、ファスティングで飢餓状態のストレスをかけることで眠っている本来の力を蘇らせると主張するむきがあります。


◇ ファスティングで心も生まれ変わる

 ファスティングを実践している人の言葉です。「何より実感できるのは、まず味覚の変化でしょう。普段から外食が多い方は特に、濃い味付けや化学調味料などによって、味覚が麻痺しているもの。現代に多い糖尿病や高血圧、肥満なども味覚の狂いと深く関わっていることは自明の理です。たった数日であっても固形物を摂らない期間をつくることで、味覚はリセットされ、素材そのものの味を感じることができるようになっているのです。」
 また、今まで当たり前のように食べていた食事を、数日ぶりに口にする回復食のお粥のあまりの美味しさに中には涙を流す人もいると、、、。それは美味しさに対しての感動だけではなく、食べられる有難さや感謝の気持ちも合わさってのことかも知れません。ファスティング後は、体のリセット、デトックスは勿論のこと、心の変化を実感する人も少なくないと言われております。


◇ サーチュイン遺伝子活性化による老化抑制

 ファスティングによる飢餓状態、カロリー制限によってサーチュイン遺伝子が活性化し、これによる老化抑制効果が指摘されております。これについては後日、特集を組みますのでご期待ください。


◇ 酵素水について

 今世間で話題のファスティングには「酵素水」なるものが付き物となっております。それは、主に野菜や野草のエキスを糖質による発酵抽出で完成させた専用ドリンクのことです。通常の食事は一切しないで過ごすのですが、その間はドリンクから必要最低限のカロリーやミネラル、ビタミンを補給できるため、無理がなく、そして安全に行うことが出来るとされるものです。

 ダイエットや健康、アンチエージングのためのファスティングに役立つ「酵素水」なんて言うと、その手の通販が発生するのは世の常です。

デルタ酵素水


◇ おわりに

 今回の記事ではあえて解説いたしませんでしたが、栄養学の基本として、概ね現代人の必要摂取カロリーは男性2000-2500 kcal、女性1500-2000 kcal、あるいは体重あたり35-40 kcalと考えられており、糖質、タンパク質、資質をバランス良く摂取することが指導されてきました。ファスティングは食事を摂取しない期間を作るだけではなく、当然の如く、摂取する栄養分そのものを減少させるものであります。これは現代栄養学への挑戦であり、新しい発見、啓発となるものかも知れません。

 しかし、忘れてはならないことがあります。ファスティングによって食事の機会が減ることになりますが、それによって欠乏する可能性のある栄養素があります。それはビタミンとミネラルであります。

 ビタミン、ミネラルを無視したファスティングはただの飢餓

 総カロリー(熱量)としての栄養をファスティングで制限することは大いに検討して、実生活に導入して良いと思います。ただし、ビタミン、ミネラルの不足は避けなければなりません。そのために、「酵素水」もあるでしょうが、ちょっと前、伏線として「アボガド料理」を勉強させていただきました。


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