アセンションへの道程 〜ある外科医のスピリチュアル〜

アセンションを目指したある1外科勤務医のヘミシンク体験とスピリチュアルおよびその周辺事項への探求をご紹介します

首相の靖国参拝に日本人は反対しても良いのでは?

 いささか社会的、政治的、外交的内容を私見、雑感、独り言として取り上げさせていただきます。あまり重苦しいネタを取り上げるつもりは無いのですが、靖国神社参拝の話題が出るたびに私自身が密かに感じていることであります


◇ 阿部首相の靖国参拝で

 昨年の12月26日、阿部首相が現職総理として7年ぶりに靖国神社を参拝し、いつものことですが、そこにA級戦犯14人が合祀されていると言う理由で、中国と韓国が遺憾の意、と言うよりもはっきり批判的な発言をして来ます。今回は米国も「失望した」とのコメントを発表しました。
 これに対して日本のネット世論の意識調査では、8割が阿部首相の靖国参拝を支持との記事がありました。中国、韓国の批判には以下の匂いが感じられ、そうしたA級戦犯の合祀とは別の政治的思惑が見え隠れするため、日本国民としては、靖国参拝の意義以上に中韓に対する反発につながっているように思います。「我が国の戦没者に対する総理大臣の参拝に対して他の国にとやかく言われたくない」、と言うご意見が多かろうと思います。

【中国、韓国の靖国参拝批判の思惑】
 ・政府(中国は共産党)や格差に対する国内の不満の矛先を変えるため
 ・従軍慰安婦や南京大虐殺と併せて日本の孤立化を目論むもの
 ・領土問題を有利に運ぶ手段の一環として
 ・国を挙げて誤った歴史認識を継続するための
 ・日本に対する元々ある競争意識、優越感、嫌悪感

 どうしても、政治、外交的背景があっての議論になりがちですので、日本国としては中韓に屈する訳にはいかないところはあり、靖国のみならず、従軍慰安婦、領土問題について、阿部内閣の毅然としたある一定の態度は求められるところでしょう。
 しかしながら、中国、韓国の存在、日本に対する批判を抜きにした時の、「A級戦犯14人が合祀されている」靖国神社参拝についての議論はあまりされていない、正教分離もそうですが、もっと単純に、太平洋戦争で多くの日本人が命を落としたのであって、罪なく戦死した国民とそうした状況を作り出したA級戦犯が共に合祀されていること、多くの戦死者を出した犯罪者であるA級戦犯に対して参拝することの是非は、周辺諸国とは別に日本国民は考えて良いと思います。

 中韓の日本に対する批判とは別にA級戦犯の合祀を考える

 反戦の小説、ドラマや映画、音楽まで、数えきれないほど、戦争の悲惨さを訴えたものが日本にはあります。2006年、数々の賞を受けた映画「硫黄島からの手紙」もその代表的なものと存じますが、3つばかり用意いたしました。映画「連合艦隊」からは戦艦大和の沖縄出現が決定するシーン、映画「さとうきび畑の唄」では一般人が戦争に駆り出されて米兵を射殺する命令を受けたシーンがありました。現在、放映中の映画の原作、小説「永遠の0」には特攻隊員の家族に残した遺書に関する議論がありました。


◇ 映画「連合艦隊」のシーンから

連合艦隊DVD

製作スタッフ

製  作   :株式会社 東宝映画 1981年
製作協力   :東宝映像株式会社(特殊技術、光学ステレオ技術)
配  給   :東宝株式会社
スタッフ
 製  作  :田中 友幸
 製作補   :高井 英幸
 企画協力  :児島  襄、豊田  穣
 監  督  :松林 宗恵
 特技監督  :中野 昭慶
 脚  本  :須崎 勝彌
 音  楽  :服部 克久、谷村 新司
 演  奏  :新日本フィルハーモニー交響楽団
 主題歌   :谷村 新司 「群青」


キャスト

真珠湾攻撃・ミッドウェイ作戦
 山本五十六(連合艦隊司令長官)   :小林 桂樹
 宇垣  纏(連合艦隊参謀長)    :高橋 幸治
 南雲 忠一(第一航空艦隊司令長官) :金子 信雄
 草鹿龍之介(第一航空艦隊参謀長)  :三橋 達也
 永野 修身(軍令部総長)      :小沢栄太郎
 及川古志郎(海軍大臣)       :藤田  進
 福留  繁(軍令部第一部長)    :藤岡 琢也
 富岡 定俊(軍令部第一課長)    :橋本  功
 黒島 亀人 (連合艦隊先任参謀)    :南  道郎
 渡辺 安次 (連合艦隊戦務参謀)    :北浦 昭義
 大石  保 (第一航空艦隊先任参謀)  :六本 木真
 源田  実(第一航空艦隊航空参謀) :斎藤真
 野元 為輝(空母瑞鶴艦長)     :長谷川 弘
 下田 久夫(空母瑞鶴飛行長)    :平田 昭彦

レイテ作戦
 小沢治三郎(第一機動艦隊司令長官) :丹波 哲郎
 貝塚 武男(空母瑞鶴艦長)     :神山  繁
 武田   (瑞鶴飛行隊整備士長)  :長門 裕之
 森    (瑞鶴飛行隊整備士)   :なべおさみ
 中鉢   (瑞鶴の予科練出飛行士) :遠藤 公一
 大林 末雄(第一機動艦隊参謀長)  :織本 順吉
 栗田 健男(第二艦隊司令長官)   :安部  徹
 小柳 富次(第二艦隊参謀長)    :近藤  宏
 大前 敏一             :加地健太郎
 大谷藤之助             :伊吹  徹
 豊田 副武(連合艦隊司令長官)   :田崎  潤
 神  重徳(連合艦隊先任参謀)   :佐藤  慶

沖縄作戦
 伊藤 整一(第二艦隊司令長官)   :鶴田 浩二
 有賀 幸作(戦艦大和艦長)     :中谷 一郎
 山本 祐二(第二艦隊先任参謀)   :富田浩太郎
 小滝久 雄(第21駆逐隊司令)   :中山 昭二
 新谷 喜一(第17駆逐隊司令)   :高並  功
 駆逐隊司令             :今西 正男
 駆逐隊司令             :細川 純一

本郷家
 本郷 英一             :永島 敏行
 本郷 眞二             :金田 賢一
 本郷 直樹(奈良博物館館長)    :森繁 久彌
 本郷 歌子(英一・眞二の母)    :奈良岡朋子
 本郷 陽子(英一婚約者、眞二の妻) :古手川祐子
 工藤   (英一の部下、戦友)   :佐藤  允
 茂木   (英一の戦友)      :丹波 義隆

小田切家
 小田切武市(海軍兵曹長)      :財津 一郎
 小田切正人(海軍中尉)       :中井 貴一
 小田切照代(正人の姉)       :友里千賀子
 小田切美代(正人の妹)       :里見 奈保(鶴田さやか)
 小田切加代(正人の妹)       :川島 光代

その他
 鈴川   (芸者)         :松尾 嘉代

ナレーター
 平光淳之助


 昭和20年4月、アメリカ軍の沖縄本島への上陸作戦に対して大日本帝国は戦艦大和を沖縄に向けて出撃させますが、その決定がなされた軍令部、連合艦隊司令における会議と、その決定を連合艦隊に通達するシーンであります。登場人物の台詞のみ抜粋して供覧します。

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 *****

 豊田 副武 連合艦隊司令部は第二艦隊を最後の水上部隊として使用したい
 大前 敏一 どのようにですか?
 神  重徳 4月6日を期して沖縄水域に菊水一号作戦を決行します
       数百の特攻機を投入すれば必ず敵を混乱に陥れるでしょう
       それに呼応して翌4月7日、大和以下の第二艦隊を沖縄に突入
       させます
 大前 敏一 無茶だ! それに大和の腹を満たすだけの燃料が無い
 神  重徳 片道だけで十分です
 大前 敏一 なに?
 神  重徳 水上部隊の特攻と考えていただきたい
 小沢治三郎 誠に勇壮果敢でけっこう!
       しかしこれが作戦と言えるのか?
       私がかつてレイテの囮作戦を引き受けたのはそれなりの戦果が
       期待できたからだ
 神  重徳 今回は戦果は問題ないです
       大和ここにありの意気を示せばいいんです
       大和は名実ともに日本海軍の象徴です
       その大和を使わずに戦争に敗れるようなことがあったら人は
       なんと言うでしょう?
       艦隊は滅んでも魂は残すべきです
       どうか大和に生き恥をかかせないでください
 小沢治三郎 そんな浪花節は聞きたくない!
       私はまったく意味の無いただ面子を保つための出撃を許す
       方が、よほど恥ずかしいことだと思う
 神  重徳 しかし
 小沢治三郎 私の言いたいのはそれだけだ
       あとは総長のご決断次第だ

 *****


 こうして戦艦大和だけで3000名、艦隊全体では6000名の将兵が従事する第二艦隊の、小沢治三郎曰く「まったく意味の無いただ面子を保つための出撃」が、日吉の地下壕で決定され、連合艦隊参謀長である草鹿龍之介が菊水一号作戦を指揮する宇垣 纏(まとめ)の下に報告に行きます。この二人はミッドウェー海戦の大敗の際に互いの非を指摘しあった仲でありました。

 *****

 草鹿龍之介 えっ!? 大和の出撃が決定した?
 神  重徳 そうです! その旨を大和の伊藤長官以下の第二艦隊に納得
       させてほしいんです
       その役は参謀長の貴方以外には考えられません

 宇垣  纏 なに!?
 草鹿龍之介 従って、見方の同士討ちを避けるため基地航空部隊は当日、
       一切の管制攻撃を中止していただきます
 宇垣  纏 護衛戦闘機はどうする?
 草鹿龍之介 連日、大規模な特攻作戦をやるとなると、その余裕は無い
       でしょう
 宇垣  纏 余裕があろうと無かろうと、なぜ私に命令しない?
       大和の護衛に何機出せと
       きみはそれでも連合艦隊の参謀長か!?

 草鹿龍之介 これから大和に出向きます
 宇垣  纏 説得に行くのか?
 草鹿龍之介 自分で確信の持てない作戦を命令として伝えなければならん
       のは辛いですな
 宇垣  纏 私も同じ思いだ
       特攻機が毎日、この基地から飛び立って行く
       「死んでこい!」
       これはもう命令の限界を越えている
       しかし、戦争が続く限り私は命じ続けるだろう
       「死んでこい!」と
 草鹿龍之介 貴方とはずいぶんやりやってきましたが、もはやお互い、
       船でも飛行機でもなくなりましたな
 宇垣  纏 連合艦隊を崩壊の危機に追い込んだ責任だけが残ったという
       ことだ

 *****


大和炎上
1945年4月7日 沖縄に向う途中の坊ノ岬沖海戦で米軍航空隊の爆撃で炎上する大和

 あらゆる戦争でそうでしょうが、しばしば、軍に命令を出す立場の人間は概して現場における殺戮の悲惨な状況を知りません。知っていたとしても、多くの場合、「心を鬼に!」と国の存続のためには国民の犠牲は「やむをえまい」と言う感覚に支配されるようです。しかしそれが、国民に対して隠していた、嘘をついていた、そういう積み重ねの末に、生きている国民や亡くなられた人々への対面を考えた戦略だとすれば、これは国の存続とは関係ない、ともすると自分たちの保身でもあったと思います。
 日本海軍の象徴である戦艦大和を使わずに戦争に敗れることを避けたいとする艦隊司令の意見ですが、大和を使うチャンスはいくらでもありました。大敗したミッドウェー海戦(1942年6月5-7日)では前線に出ることなく退却しました。1943年8月、ソロモン諸島では激戦が行われ戦局が悪化していましたが、戦艦大和はトラック島の停泊したままで実戦への参加命令は出ませんでした。居住性の高さや食事などの面で優遇されていたこともありました、他艦の乗組員や陸軍将兵から「大和ホテル」と揶揄されたと言われます。いよいよ戦局は厳しく、米軍の日本本土への爆撃を防ぎ、南方資源地帯からの供給を維持するために計画されたレイテ湾突入(栗田健男艦長、1944年10月23-25日)においても、好機に恵まれながら反転、戦場から去りました。
 大日本帝国の戦艦大和を用いた戦略の不甲斐無さを、国民はどれほど知らされていたのでしょうか? 「大本営発表」は、ミッドウェー海戦後より、損害矮小化発表が目立ちはじめ、不適切な言い換えが行われるようになり、敗戦直前には勝敗が正反対の発表すら恒常的に行われたとされます。大和の沖縄への出撃も、「沖縄を守るため」と言えば納得する人は多かったと思いますが、戦果を臨むべくもなく、「(万が一に失敗して)艦隊は滅んでも魂は残す」と言われれば、心を動かされる日本人はいたかも知れません。
 大日本帝国軍が詭弁に詭弁を重ねて国民を騙して、無駄な戦いを計画、維持して、多くの死者を出したのは紛れも無い事実です。草加と宇垣の対話の中で、「自分で確信の持てない作戦」を伝える辛さを言う草加に対して、特攻隊が出撃する基地にいて「『死んでこい!』、これはもう命令の限界を越えている」と苦しい気持ちを激白する宇垣、彼等はまだ、小沢治三郎と同様、現場の死に行く者を意識していたと思います。


◇ 映画「さとうきび畑の唄」の1シーンから

サトウキビ畑の唄DVD

スタッフ

 脚  本     :遊川 和彦
 音  楽     :寺島 尚彦
 主題歌      :森山 良子「さとうきび畑」
 プロデューサー  :八木 康夫
 演  出     :福澤 克雄
 制  作     :TBSエンタテインメント
 製作著作     :TBS、BS-i 2003年


キャスト

 森山 良子                  :森山良子
 平山 幸一(大阪出身、沖縄在住の写真館店主) :明石家さんま
 平山美知子(幸一の妻、第6子を妊娠)     :黒木  瞳
 平山  勇(長男、紀子と結婚直後に出兵)   :坂口 憲二
 平山 紀子(勇の妻で小学校教師)       :仲間由紀恵
 平山 美枝(長女)              :上戸  彩
 平山  昇(次男)              :勝地  涼
 平山 春子(次女)              :大平奈津美
 平山  健(三男)              :我妻 泰熙
 吉岡   (学徒出陣の日本兵)        :オダギリジョー

 大阪から駆け落ちして来て沖縄で写真館を営む平山幸一(明石家さんま)、美知子(黒木瞳)夫妻の家族の、太平洋戦争における沖縄戦を舞台にした物語です。軍に駆り出された幸一が、戦場にて傷ついた米兵に対して上官から射殺するように命じられたシーンです。動画に次いで登場人物の台詞を供覧いたします。

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 *****

 隊 長  伏せろ! あの岩陰の向こうで何か動いたぞ!
      新入り! 貴様が行って見てこい!
 幸 一  私ですか? こいつですか?
 隊 長  貴様だ、早くしろ!
 幸 一  こいつ?
 隊 長  貴様だ!
 同 僚  あんただ!、あんた あんた、あんた
 隊 長  早くしろ!

  〜 米兵が傷を負って倒れているのを見つけて 〜

 隊 長  どうした?
 幸 一  はい、敵が怪我をしております
 隊 長  武器は?
 幸 一  ありません! 大丈夫です

 米 兵  Help me, please help me, help me.
 幸 一  Thank you! Thank you!
 米 兵  Help me.
 幸 一  大丈夫! 大丈夫!

  〜 隊長が近寄ってきて米兵に手をかけ 〜

 隊 長  いいざまだ! おいほらっ!
 幸 一  ちょっと待って下さいよ
      ちょっと待って下さい
      ちょっと待って下さいよ! 無抵抗じゃないですか!
 隊 長  なんだと貴様! 敵をかばうのか?
 幸 一  そんなつもりじゃ
 隊 長  こいつらのせいで沖縄をめちゃくちゃにされたんだぞ
      貴様、悔しくないのか?

  〜 隊長は拳銃を幸一に持たせて 〜

 隊 長  お前がやれ!
 幸 一  すいません 勘弁していただけないでしょうか?
 隊 長  なんだと貴様! それでも帝国軍人か?
      上官の命令に逆らうと言うことは天皇陛下の命令に逆らうことと
      一緒だぞ!
      何してる? 早くやれ!
 幸 一  私にはできません
 隊 長  なんだと?
 幸 一  私は、私には人を殺せません
 隊 長  貴様!
 幸 一  私は、こんな事をするために生まれて来たんじゃないんですよ!
 隊 長  なに?
 幸 一  私は写真を撮るしか能のない男です
      でも、仕事に恵まれて、心から愛する女性に出逢い、
      6人の子供にも恵まれました
      私の小さな望みは、子供たちが私に負けないくらいの家族を作って
      この手で、この手で写真を撮ることなんですよ
      たくさんの、たくさんの家族に見守られて天寿を全うできたら
      生きてて、生きててよかったと思えたら、もう何もいらないですよ
      なぜ私がこんなことをしなきゃいけないんですか?
      こんな事をするために生まれて来たんじゃないんですよ、私は

幸一射殺

 *****


 戦場にありがちなシーンです。傷ついた敵兵を捕虜とせずに射殺することは少なからずあったと思います。とりあげたシーンにおいて、幸一(明石家さんま)に米兵を殺すよう命ずる隊長は、明らかに戦場と言う場にあって、憎しみに捕われ、慈悲の心も正しい判断も失われていたと思われます。隊長と幸一の関係は、そのまま、大日本帝国軍部と、末端における艦隊、部隊、兵士の関係だったと思います。「上官の命令に逆らうことは天皇陛下の命令に逆らうこと」と言う言葉は、軍司令の命令も天皇の勅命かの如く使われていたと思われます。米兵の射殺を命じられた幸一が「私は、こんな事をするために生まれて来たんじゃないんですよ!」と言う発言と同様な気持ちを持った、戦場に駆り出された日本人は少なくなかったと思います。でも、そのまともな発想の日本人が処刑される、間違った空気を作り出したのも、やはり大日本帝国軍であったと言えます。


◇ 小説「永遠の0」における議論から

永遠の0本

 もう一つ、神風特別攻撃隊(特攻隊)員の心理状態を考えさせられるシーンを紹介します。太平洋戦争において、元海軍中尉で、特攻隊員の予備員である特攻要員であった武田と言う人物に、神風特別攻撃隊(特攻隊)はテロリストであると言う持論を持つ新聞記者の高山が面会、会談する場面の原文です。

 *****

 (高山)「私は特攻隊員が一時的な洗脳を受けていたと思っています。それは彼らのせいではなく、あの時代のせいであり、軍部のせいです。しかし戦後、その洗脳は解けたと思っています。だからこそ、戦後日本は民主主義になり、あれだけの復興を遂げたと思っています。

 武田は小さな声で「何と言うことだ」と呟いた。

 高山は畳みかけるように言った。
「私は特攻はテロだと思っています。あえて言うなら。特攻隊員は一種のテロリストだったのです。それは彼らの残した遺書を読めばわかります。彼らは国のために命を捨てることを嘆くよりも、むしろ誇りに思っていたのです。国のため尽くし、国のために散ることを。そこには一種のヒロイズムさえ読みとれました」

「黙れ!」
 いきなり武田が怒鳴った。ウェーターが驚いて振り返った。
「わかったようなことを言うな! 我々は洗脳などされておらんわ」

「しかし、特攻隊員の遺書を読めば、殉教的精神は明らかだと思いますが」

「馬鹿者! あの遺書が特攻隊員の本心だと思うのか」
 武田は怒りで顔を真っ赤にさせた。周囲の人が皆こちらを見たが、武田はまったく気にしなかった。
「当時の手紙類の多くは、上官の検閲があった。時には日記や遺書さえもだ。戦争や軍部に批判的な文章は許されなかった。また軍人にあるまじき弱々しいことを書くことも許されなかったのだ。特攻隊員たちは、そんな厳しい制約の中で、行間に思いを込めて書いたのだ。それは読む者が読めば読みとれるものだ。報国だとか忠孝だとかいう言葉にだまされるな。喜んで死ぬと書いてあるからといって、本当に喜んで死んだと思っているのか。それでも新聞記者か。あんたには想像力、いや人間の心というものがあるのか」
 武田の声は怒りで震えていた。武田の妻がそっと夫の腕に手を添えた。

 高山は挑戦的に身を乗り出して言った。
「喜んで死を受け入れる気のない者が、わざわざそう書く必要はないでしょう」

「遺族に書く手紙に『死にたくない! 辛い! 悲しい!』とでも書くのか。それを読んだ両親がどれほど悲しむかわかるか。大事に育てた息子が、そんな苦しい思いをして死んでいったと知った時の悲しみはいかばかりか。死に臨んで、せめて両親には、澄み切った心で死んでいった息子の姿を見せたいという思いがわからんのか!」

 武田は怒鳴った。

「死にたくないという本音が書かれていなくとも、愛する家族にその気持ちはわかる。なぜなら、多くの遺書には、愛する者に対する限りない思いが綴られているからだ。喜んで死にいく者に、あれほど愛のこもった手紙を書けるものか」
 武田は涙を流した。さきほどからウェイターがじっと見ている。
「新聞記者だと―。あんたには死にいく者が、乱れる心を押さえに押さえ、残されたわずかな時間に、家族に向けて書いた文章の本当の心の内を読み取れないのか」

 涙を流して語る武田に、高山は口元に冷ややかな笑みを浮かべた。
「私は書かれた文章をそのまま受け取ります。文章というものはそういうものでしょう。出撃の日に、今日は大いなる喜びの日と書いた特攻隊員もいます。また天皇にこの身を捧げる喜びを書いた者もいます。同じようなことを書いた隊員たちは大勢います。そんな彼等は心情的には殉教的自爆テロのテロリストと同じです」

「馬鹿者!」
 武田は手のひらで机を叩いた。

 (中 略)

「君の政治思想は問わない。しかし、下らぬイデオロギーの視点から特攻隊を論じることはやめてもらおう。死を決意し、我が身なき後の家族と国を思い、残る者の心を思いやって書いた特攻隊員たちの遺書の行間も読みとれない男をジャーナリストとは呼べない」

 *****


 特攻隊員が殉教的自爆テロのテロリストと同じであるか否かについては、昨年4月17日の記事、「全然違う 日本の『神風』とイスラムのテロ」でも触れましたので、別に譲るとして、ここでは特攻隊員が遺書を書く時の心境に注目いたします。検閲を受けるため、正直な文章は書けません。親兄弟の親族、遺族に対してまでも言論の自由は剥奪された状態で、それとは別にも、死に行く自分を思う家族への気持ちを思いやり、「乱れる心を押さえに押さえ」て「我が身なき後の家族と国を思う」、戦場における同胞の苦しみが伝わって来ます。


◇ 戦史を理解したうえでの私見

 冒頭に戻って、日本のネット世論の意識調査では、8割が阿部首相の靖国参拝を支持との記事がありました。日本国民として、靖国参拝の本当の意義以上に中韓に対する反発があろうかと存じます。「我が国の戦没者に対する総理大臣の参拝に対して他の国にとやかく言われたくない」、と言う考え方は至極、当然のことです。
 しかし、戦史を理解すればするほど、A級戦犯とそれに準ずる軍にいた人々が、日本国民に対して、言い訳のきかない莫大な罪を犯したことは間違いなく、罪人(加害者)と被害者が同じ地に合祀されていることへの矛盾、日本(人、国民)を不幸に陥れたA級戦犯を参拝することへの疑問を感じざるを得ないのが正直な気持ちであります。


http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK1600F_W4A110C1000000/
http://bylines.news.yahoo.co.jp/kimuramasato/20131228-00031101/
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