FC2ブログ

アセンションへの道程 〜ある外科医のスピリチュアル〜

アセンションを目指したある1外科勤務医のスピリチュアルおよびその周辺事項への探求をご紹介します

2018年08月05日 の記事一覧

疾患豆知識集 VOL. 004:頭痛診療

 仕事の話、最近、嫌に頭痛で外来に来る患者が多く、気質的疾患を否定する目的で、常に眼科コンサルトと頭部CTを行っており、新規の緑内障患者にはまだ出会っておりませんが、ついに先日、42歳女性の脳腫瘍を見つけてしまいました。付け焼き刃の勉強では右前頭葉の星細胞種 Astrocytoma を考えますが、後は脳外科にお任せとなります。
 ただ頭痛薬を出すだけではなく根気強く頭部CTを撮り続けて良かったと思いますが、それにしても頭痛患者は後を絶たず、そのほとんどが緑内障でも脳腫瘍でもなく、自前で治療しなければなりません。けっこう頭痛薬って効果がなくて治療に難渋するケースはあって、今日はちょっと頭痛の勉強をしましたのでここにも記録させていただきます。


◇ 頭痛の概要

 頭痛は誰もが何度も経験する病態でありますが、その種類は多岐にわたり、原因がはっきりしない病態も含まれ、従って治療抵抗性も場合もあります。

1.頭痛の原因別分類

 頭痛には当然のごとく、日常経験する対症療法で良い頭痛と、上述の脳腫瘍のように命に関わる病態とがあります。以下のごとく、大きな分類として一次性(機能性)頭痛と二次性(症候性)頭痛があります。

【頭痛の分類】
 一次性(機能性)頭痛 = 対症療法だけで対処する頭痛
  :偏頭痛、緊張性頭痛、群発頭痛
 二次性(症候性)頭痛 = 他の病態に続発する原因究明が必要な頭痛
  :くも膜下出血、脳腫瘍、脳動脈瘤、副鼻腔炎、緑内障、など

2.頭痛の初療と検査

 頭痛の初期診察と検査として、最も重要なのは二次性(症候性)頭痛の原因となる疾患の除外であります。医師国家試験レベルでもよく言われるのが、頭痛で発症する緑内障を見逃すと失明の危険があり、これは医療訴訟にも発展しかねない病態です。以下に頭痛の初療と検査、考えられる疾患を箇条書きといたします。

1)頭痛以外の症状:前兆、麻痺、構語障害、痺れ = 神経学的異常
2)画像(CT, MRI, MRA):頭蓋内、副鼻腔、眼底 = 脳腫瘍、出血
3)腰椎穿刺:発熱、意識障害を伴う場合 = 髄膜炎
4)眼科・耳鼻科コンサルト = 緑内障、副鼻腔炎
5)皮膚初見 = 三叉神経痛、後頭神経痛、帯状疱疹
6)精神疾患 = うつ病などによる頑固な頭痛

 二次性(症候性)頭痛について他に譲りとして、ここからは、私が関わるところの、一次性(機能性)頭痛についてまとめて参ります。


◇ 偏頭痛

1.偏頭痛の概要

 有病率は人口の8.4%、女性は男性の約3倍、10〜40代に好発します。発作性片側性の脈拍に一致した拍動性の頭痛、悪心、嘔吐を伴い、光や音に対して過敏となります。両側性で非拍動性でも、日常生活が妨げられる程度の痛みで、階段の昇降など日常的動作で増悪すれば片頭痛とされます。

2.偏頭痛の前兆

 前兆を伴う場合(前兆のある偏頭痛)と前兆を伴わない場合(前兆のない偏頭痛)があります。前兆がある場合には、視野中心からキラキラ光る境界をもつ暗点(不可視部分)や視野障害が典型的で、半身の感覚障害や運動障害、構語障害もあります。一般的には前兆は1時間以内で消え、その後頭痛が発生します。前兆の前に食欲亢進、あくび、感覚過敏、むくみ、興奮、疲労、空腹などの気分変調が1-2日間見られることあります。

3.偏頭痛の症状

 2-3日前から食欲亢進、あくびなどの予兆があり、次に先述の前兆が40-60分間続いて、前兆が消えてから60分以内に頭痛が始まります。頭痛は脈拍に一致した拍動性のことが多いですが、拍動性でなく持続性のこともあります。片側性のことも両側性のこともあり、持続は3日以内で、体動で悪化して睡眠で改善します。

4.偏頭痛の原因

 脳血管の周囲に分布する三叉神経が注目されております。この血管の周囲には神経伝達物質であるニューロペプチドがあり、これらが遊離し血管拡張や血管周囲炎症が痛みを発するとされます。これを三叉神経血管説と言われます。

5.偏頭痛の前兆および発作時治療薬

 偏頭痛の前兆が始まった際、あるいは偏頭痛が発症した時の治療薬です。まずはアスピリンやバファリン、ロキソニン、カロナールと言った非ステロイド系坑炎症薬 NSAIDから始めます。

1)非ステロイド系消炎鎮痛剤 NSAID
 :頭痛の程度が軽い場合。アスピリン、バファリン、ロキソニン、等
2)トリプタン製剤
 :頭痛が始まってからでも効果があり、60-70%に有効で、片頭痛の発作に伴う悪心、嘔吐、光過敏・音過敏などの随伴症状に対しても有効。レルバックス錠、イミグラン錠・点鼻・注
3)エルゴタミン製剤
 :前兆の時期に投与すると効果があるがこの時期を逃して頭痛期になってからでは無効。発作回数が少なく発作の持続時間が長い場合のみに用いる。クリアミン錠
4)制吐剤併用
 :頭痛発作時に悪心・嘔吐が強い場合、ドーパミン拮抗薬であるメトクロプラミド(プリンペラン)やドンペリドン(ナウゼリン)などの制吐薬を併用すると効果的。

6.偏頭痛の予防的治療

 片頭痛の発作が3-4回/月、急性期治療だけでは十分に治療ができない場合、症状高度、急性期の治療が薬の禁忌や副作用、または急性期治療の乱用がみられる場合には、片頭痛の予防的治療を考慮します。

1)β遮断薬:プロプラノロール
2)バルプロ酸:デパケン
3)三環系抗うつ薬:トリプタノール
4)Ca拮抗薬:ミグシス


◇ 緊張型頭痛

1.緊張型頭痛 概要

 一次性(機能性)頭痛の一つ、日本では20-30%の有病率で最多です。首筋が張る肩がこるなどの訴えとともに頭痛は徐々に始まり、後頭部の鈍痛が見られます。患者さんによっては、痛みというよりも重い感じ、何かをかぶった感じと訴えることもあり、症状は片頭痛に比べて、長く続くのが特徴です。

2.緊張型頭痛の症状

 徐々に始まり、首筋が張る、肩がこるなどの訴えとともに、後頭部の鈍痛として認められることが多いです。痛みというよりも重い感じ、圧迫される感じ、締めつけられる感じ、また、何かをかぶった感じ(被帽感)と訴えることもあります。頭痛は1週間〜10日ほど続くことが多く、時には1カ月のうち15日以上、ほとんど毎日頭痛が続くこともあります。

3.緊張型頭痛の原因

 国際頭痛学会では緊張型頭痛を引き起こす因子を以下のごとく挙げており、2つ以上の因子が重なって緊張型頭痛が発症としています。

 ・口、顎部の機能異常
 ・心理社会的ストレス
 ・不安
 ・うつ
 ・妄想
 ・筋性ストレス
 ・薬剤
 ・他の気質的疾患による増悪

 多くの場合は睡眠不足、心配事が頭から離れないと悪化します。結婚、就職、転職など、生活環境の変化に伴って増悪することもあります。

4.緊張型頭痛の検査と診断

 片頭痛と同様、器質的疾患を除外することが重要です。一般に、内科的・神経学的診察ではとくに異常を認めず、肩・項筋・後頭筋・側頭筋の硬結、圧痛を確認することが診断の根拠になります。硬結と圧痛の間には一般に相関関係がありますが、時に硬いのに圧痛を訴えないこともあり、まれに、硬くなっていないのに圧痛を訴えることもあります。圧痛があれば現在筋肉痛があると考えられ、硬結は長い間の筋緊張の持続を示す所見と考えられます。

5.緊張型頭痛の治療

 緊張性頭痛の治療の第一選択は非ステロイド系消炎鎮痛剤NSAID、次いで筋弛緩薬(ミオナール など)、予防的投与として抗うつ薬(トリプタノール など)、抗不安薬(デパス など)が有用です。


◇ 群発頭痛

1.群発頭痛 概要

 原因不明。片側の眼窩部、眼窩上部または側頭部の激しい疼痛と同時に、同じ側の眼球の結膜充血、涙、鼻閉・鼻汁などがみられ、同じ側の瞳孔の縮瞳や眼瞼下垂などを伴う頭痛です。有病率は0.1%以下と極めて稀な疾患ですが症状は激烈です。

2.群発頭痛の症状

 ある一定の期間(多くの場合1-2ヶ月間)に、連日しかも夜間、明け方のほぼ一定の時間に起こる激しい頭痛で、その起こり方は群発性(1回起こると連日のように起こる)であります。激しい頭痛は1-2時間続き、その後自然に軽快しますが、主に睡眠中に発症するために眠ることに恐怖に感じる患者が多いです。

3.群発頭痛の治療

 トリプタン製剤(錠剤、点鼻薬)の他、100%酸素吸入も有効で、予防としてCa拮抗剤、ステロイドも使われます。特異な病態で夜間に激烈に発症するため脳外科、神経内科へのコンサルとも重要とされます。


◇ 薬物濫用頭痛

 急性期頭痛治療薬(エルゴタミン、トリプタン、鎮痛薬、オピオイド)の乱用による頭痛の頻度は高く、頭痛患者の約8%とされます。片頭痛や緊張型頭痛に対して薬物乱用中に新しいタイプの頭痛が出現したり、頭痛が著明に悪化した場合はこれを疑います。治療は薬剤中止、変更。


◇ 頭痛の診療

 同じ一次性(機能性)頭痛でも病態によって治療法が異なることが見て取れます。最後にもう一度、まとめとして、一次性(機能性)頭痛の鑑別とフローチャートをお示しします。

1.一次性(機能性)頭痛の鑑別

一次性頭痛鑑別


2.頭痛鑑別のフローチャート

・頭痛患者 → 二次性(症候性)頭痛の否定
・日常生活への支障度
  小さい → 反復性緊張型頭痛、軽度〜中等度の偏頭痛
  大きい → 偏頭痛
・1月に何日頭痛があるか
  15日以下 → 偏頭痛
  15日以上 → 慢性連日性頭痛
・鎮痛剤服用頻度
  週3日未満 → 薬物乱用頭痛なし
  週3日以上 → 薬物乱用頭痛疑い
・夜間の頭痛 → 群発頭痛


スポンサーサイト