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アセンションへの道程 〜ある外科医のスピリチュアル〜

アセンションを目指したある1外科勤務医のスピリチュアルおよびその周辺事項への探求をご紹介します

運命の歯車が回り出した瞬間


 ちょっと抽象的な話、数年前にあるプロジェクトを始めたことがありました。その後の人生に少なからず影響を及ぼす大きな決断でもありましたが、相手があることですのでなかなか思うようには行きません。今となっては全てが思い通りになり豊かな現在があるのですが、あの時に流れを変えた、いわゆる「想いを現実にする(=具現化)」ある出来事がありました。それはまるで「運命の歯車が回り出した瞬間」でありました。

歯車の絵


◇ 一度は断られたプロジェクト

 プロジェクトは仲介者を介してある法人への働きかけでありました。かなり自信を持った内容で、成功の可能性は高いと考えており、直接の面談では双方ともに好印象でありましたが、1月近く色よい返事をいただけずにいました。実は法人側のプロジェクト委員会でNo.2の人物が強く反対して、他の者は賛成であったのに、全員の合意が得られない状況だったそうです。ついにある金曜日の夜、仲介者よりお断りの連絡を受けました。ちょうどスーパーで買い物を始めようとしていた駐車場の車の中でありました。「わかりました」とお答えしたものの、諦めるとも納得するとも、逆に食い下がろうとも思わない、思考停止の状態となりました。


◇ 直後から始まった奇怪な出来事

01.直後に来たFaceBookのメール

 取りあえずスーパーに買い物に入ったところ、携帯電話の着信音が鳴り、FaceBook Messengerへのメールでありました。大学の医局の先輩医師から「今暇かい?」との問いかけに「はい、大丈夫です」と答えたところ、以下のメッセージです。

 「携帯が壊ったから、LINEのログインにはコンタクトリストの何人の友達の確認が要るので、確認コードを受け取ってくれる?」

FB メッセージ

 よく分からず「いいですよ」とお答えすると携帯の番号を聞いて来ました。知っていると思うけど、おかしいな?、ふと思いながらも、目の前には先輩医師の顔写真とメッセージです。つい番号を教えてしまいました。すると、、、

 「確認コードは送信したよ。メッセージの4桁確認コードを見て。」
 「4桁数はいくらですか」


 ちょっと文章がおかしいなと思いつつ、ショートメールに来た番号を教えてしまいました。すると今度は、、、

「LINEのIDを教えてください!」
  「どこにいるんですか?」


もうこれは絶対に変です! 携帯の番号やら確認コードを教えてしまうなんて、とんでもないことをしてしまいました。すぐに直接、先輩へ電話したところ、実はFaceBookが乗っ取られて、いろんな人に中国人ぽい変な文章のメールが行っているとのことでした。

02.今度はLINEからの動き

 少しして、まだスーパーの中を彷徨っているところ、今度はLINEからメッセージが入りました。「誰かが貴方のLINEに侵入しようとしているためアカウントを閉鎖しました。」と言う内容のものでした。

LINE図

03.プロジェクトについての相談

 なにか良からぬことが起こっている予感はしましたが、とりあえず買い物を済まして我に返り、車から断られたプロジェクトについて仲介者に電話をしました。委員会のNo.2の人をどうしても他の者は説得できず仕方なくのお断りであったとの説明を受け、どうしたらこれを覆せるか?、と思案しました。短時間に2回の電話を繰り返して、やはり納得が行かないとの結論に達したところで、ふと手紙を書くことを思いつき、3度目の電話をしましたところ、是非ともやってみましょう!、と言うことになりました。

04.手紙を作成、仲介者へ送信

 家に帰ってすぐにWordで手紙文を作成しました。丁寧な口調で、誤解されており心配には及びませんと訴え、プロジェクトによるプラス材料を申し上げる内容でした。とりあえず出来上がった文章を速やかに仲介者にメールしました。まだ改定すると思われますので、ご意見をお聞かせくださいと添えました。手紙文はiCloudに保管しました。

05.LINE退会と再度のアカウント取得

少しホッとしたところで娘から電話が来ました。LINEのグループから姿を消したとの報告でありました。もしや!、と思ってLINEを開いて見たところ、アカウントは消失しましたと言うような文章が踊っており、IDを取得すれば再開できるとも書いてありました。指示されるままに操作して、新しいIDを取得して復活しましたが過去の文章は失われ、一斉に友達の検索が始まりました。でもその日は家族だけ復活させてもう飲んで寝ました。

06.手紙文を添削

 翌日の土曜日、職場にてiCloudより手紙文を取り出して添削、ふと地域連携についての文章を加えましたが、そのWord書類は職場のPCに置いたままとしました。

07.旧知の人物からのLINE

 午前の終わりにある人からLINEが来て、新しいアカウントに引っかかったようで友達リクエストでありました。もう30年くらい会っていない旧知の人物で、思わず話が弾んでLINEのやり取りをしていましたが、そろそろ自宅へ移動する時間となりました。

08.LINEのやりとりのため車を止めたところ

 車に乗って高速のICに向かいましたがまたもLINEが来ておりました。このまま1時間返事しないのは気が引けたので、そこで車を止めてLINEを続けました。30分ほど路上駐車していたところで仲介者から電話が来ました。プロジェクト委員会の代表にこちらの意図を伝えたところ、やはりなんとしてもNo.2の人を説き伏せて実現したいとの返事をいただいたとのことでした。同時に、地域連携を是非とも取り入れたいとの話もされたとのこと、、、。
 さらには、仲介者より手紙文はとても優れていて、これを委員会の代表者に渡してはどうか?、との提案を受けました。もしかしたらその日は土曜日でしたが、その午後まで代表者は職場にいるかも知れませんとも言いました。ひとたび自宅に向かう高速に乗ってしまえば病院に戻ることは不可能で、翌日はゴルフですし、しかも月曜日は外勤で職場に行けるのは夜となり、手紙文を送るのは翌週火曜日以降となるところでありました。
 しかし、私は旧知の人物とのLINEのおかげでまだ高速には乗っておりませんでした。早速、職場にたち戻り朝に添削、改良して、地域連携について書き加えた文章を仲介人に送ることができました。こうして金曜日の夜にお断りの連絡を受けた直後の翌土曜日の午後にはこちらからの意思を文章にして送ることができました。

09.快い返事

 夜になって仲介者よりメールをいただきました。先方は私の書いた文章に感動されたとのことで、再度の検討に入りたいとの返事でありました。この時、少なくともやるべきことは全てやった、悔いはない気持ちになったのを憶えております。

 その後、こちらの思う通りの展開となったことは言うまでもありません。


◇ あとがき

 プロジェクトの提案を断られて苦境に立たされたところから、突然、様々な偶然が重なり始め、大きく運気が改善しました。FaceBookが乗っ取られることも、LINEのアカウントが閉鎖となることも、一生にそうそうないことが先輩医師と私に発生しました。再開したLINEの友達検索で30年来の旧知の人物から絶妙のタイミングで友達リクエストが来て、その結果、自宅への高速に乗る前に仲介人からの電話、手紙文を改定、さらに仲介人の迅速な対応と、短時間に形勢を挽回する流れとなったのが幻のように想い出されます。想いを現実にする過程において回りの変化に身を任せる方法もあると考える次第です。

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群馬大学病院の手術死、ベッドサイドで見守った家族の手記


 群馬大学病院で、同じ医師が執刀した肝臓の腹腔鏡手術後に患者8人の死亡が続発していたと発覚したのが2014年11月のことでした。その後、肝臓や膵臓の開腹手術でも患者の死亡が相次いでいたことが判明し、診療の 杜撰(ずさん) さが浮き彫りになりました。その中の一人、同じ群馬大学病院に務める看護師で、膵腫瘍に対する術後に重い合併症から死に至った患者の家族が残した記録を見つけました。ベッドサイドで毎日、書き記されたノートは、なすすべもなく見守った家族の慟哭の手記であり、患者家族の苦しい心情が痛いほど伝わって参ります。全文を記録いたします。

群馬大学術死の記事

 患者は2008年に亡くなった岡田麻彩さん(仮名)、当時20代半ばで、群馬大学病院に勤める看護師でありました。腹痛が強く、膵炎の疑いで前年暮れに入院、膵腫瘍が認められましたが、術前検査の段階では悪性かどうか不明なまま手術が行われました。

 *****

「麻彩の闘病記」

2月7日(木)

 AM9:30 オペ開始。術前に手術時間が短ければ臓器切除、長ければ臓器保存と言われていた。
 PM10:30ぐらいにICUに呼ばれ、家族皆心配する。途中経過を聞き、出血多量との知らせ…家族皆余計に心配になり、無事を祈るばかり…。
 AM12:00頃、主治医から手術の説明があり、良性の腫瘍だった事を知らされた。また、CTでの検査断面図よりも病状もひどかった事による大手術であった事も知らされ、麻彩は本当に頑張ったんだと思った。

2月9日(土)

 相変わらず麻彩は寝たままだが、顔色が良いので安心はしていたが、夜、主治医から電話があり、術後の状態があまり良くなく、透析をするとの事。

2月11日(月)

 いつものように群大へ。今日から暴れない様に手足をしばらなければならなくなってしまった。だんだん髪の毛も油っぽくなり、 可哀想(かわいそう) で仕方がない。

2月13日(水)

 主治医に呼ばれ群大へ。麻彩は多臓器不全気味で、明日のオペは中止。肺の状態が少し悪くなった事に伴い、気管切開を行うとの事。おなかも閉腹。明日の切開以降は経過を見ながら2回目の手術。悪性腫瘍だけはないように……と祈るばかり……。

2月17日(日)

 今日は目を開いていた。話しかけても、瞳孔が一点を向いたままで何も気付いてくれない。苦しいのか、何度も寝返りをうとうとして動いて呼吸が乱れることもしばしば。すごく可哀想で見るに見られない状態だった。麻彩ちゃん、何も出来なくてゴメン! 早くよくなって、一緒にバカをしたいね(泣)。

2月19日(火)

  黄疸(おうだん) の症状もまだひかないので、何とか元気な姿になって欲しい。毎日辛いが、一番 辛(つら) いのは麻彩自身! 家族は麻彩が良くなるのを祈るしかない。頑張れ麻彩! お願いします神様……。

2月20日(水)

 母と2人で群大へ。ガーゼの交換で待っていたのだが、偶然にも主治医と会い、お話しする事に。黄疸の症状はあるが、他の臓器は徐々に回復との事。黄疸は気になるが、他の臓器が回復という事だけでも少しは安心材料だ。

2月21日(木)

 今日も母と2人で群大へ。昨日に続きまた処置のため待たなければならなかったが、なんと!! 久しぶりに麻彩が目を開けていて、2人に気付いてくれた(泣)。今日は麻彩が喜ぶ事を 沢山(たくさん) 言ってあげた。麻彩も時おり反応してくれて、すごく happy(ハッピー) になれた。やっぱり麻彩には笑顔が似合う。麻彩ちゃん、早く元気になって、ディズニー行こうね。

2月22日(金)

 今日は瞳を開いたまま、ずっと気付いてくれなかった。昨日笑顔を見せてくれたので、すごく心配になってしまった。黄疸が以前よりもひどく見えた。

2月23日(土)

 午前中に父と親族3人が群大へ。午後は母方の親族で群大へ。母が買ったCDを持って行ってあげた。今日も笑顔はなかったが、目が昨日よりも良い感じがした。早く良くなって家に帰って来て欲しいと思う今日この頃…。

2月25日(月)

 今日は少し麻彩が起きていて、多少言葉のやりとりをした。久しぶりに麻彩の笑顔を見た。少し安心して帰宅したのだが、夜に主治医から呼び出しがあり、インフォームドコンセントをすることに。そのなかでまさかの宣告をされる。病理の検査結果は「進行性のすいガン」だそうだ…。今まで良性だと信じてきたのに…(泣)。いや、絶対信じない!! 麻彩が頑張っているのに、家族があきらめてどうする!!と自分に言い聞かせた。麻彩は絶対良くなって、家に戻って来る!!と信じ、これから先も一緒に闘うぞ!!頑張れ麻彩!!

2月26日(火)

 昨日のことがあったので、少し不安な気持ちで群大へ…。麻彩はちゃんとわかってくれて、返事をしてくれた。こんな時、G(注:麻彩さんの元恋人)が麻彩に会ってくれたら…と思っていたら、夜、Gからメールが来た。今週末、麻彩に会いに来てくれるそうだ。麻彩には何にも代え難い薬だ。祈り続ければ奇跡は起こるかもしれない! 本当に 嬉しい連絡だった。

2月27日(水)

 麻彩の状態は相変わらず良くならない。黄疸もずっと出ていて、良くなったり悪くなったりの繰り返しだ。

2月28日(木)

 Yちゃん(注:友人)がMDを持って来てくれて、ディズニーなどが入っていた。麻彩はディズニーが好きなので早く良くなって一緒に行きたい。好きな音楽を聴いて少しでも良くなれば良いのだが…。

2月29日(金)

 明日いよいよGが来てくれる日。麻彩は少しわかってくれたみたいで、嬉しく思っているように見えた。

3月1日(土)

 いよいよGが来てくれた。今日は透析もしておらず、麻彩のGを思うパワーが通じたのか、びっくりした。行ってすぐに麻彩が気付いたので、二人きりにしてあげた。明日何か良い変化があれば、Gのおかげだと思う。頑張れ麻彩!

3月2日(日)

 今日は気管切開の管がステップアップしていた。Gパワーはやはり麻彩の力の源なのだろうか? 麻彩に良い事はどんどんしてあげたいと思った。

3月7日(金)

 今日はTVを見ていたので、元気かと思えば、涙を流していた。あと少しだから頑張って!

3月11日(火)

 ついに外科病棟の個室へ。面会は好きなだけ出来るので、これからは少しでも多くいたいと思う。

3月12日(水)

 麻彩は時おり笑顔を見せたが、いつもよりは元気がない。非常に心配だ。加えて、主治医にダメ押しともとれる言葉を言われてしまった。「非常に厳しい!」と…。母と一緒に何度も泣いた。

3月13日(木)

 今日は健也が麻彩に付き添い、眠れないとのこと。今頃になって本音を言えたと思うと痛々しい。神頼みと何とか奇跡が起きて欲しいと願う。命に代えても助けて欲しいと思う愛しい娘、負けるな…。

3月15日(土)

 主治医から今月末頃までという話、 未(いま) だに信じられず、何かしてやれなかったかというやり切れない思いと奈落の底に幾度、落されたら良いのだろうか? このままではやり切れない思いだけが残ってしまう。

3月16日(日)

 ウトウトして麻彩に怒られてしまった。どうにか奇跡が起こって欲しい! また、麻彩だからこそ奇跡は起こせるハズ! 麻彩頑張れ! そしてご先祖の皆様、そしてモモ、チビクロ、トラ、チョコ、フック(注:ペットの犬たち)皆、麻彩を助けて!

3月18日(火)

 きょうは朝から透析、体もだるく相当疲れている様子。何とか良い方向にとキチンキトサンを投与していただく。皆の思いがどうぞ愛しい娘に奇跡を!お願いします。やりたい事、まだまだ沢山あるじゃない。病は気からという、負けるな麻彩!

3月19日(水)

 ※ 麻彩さんが亡くなった3月19日は、日付以外に何も書かれていず、それ以後、ノートは真っ白なままです。

 *****


 ご冥福をお祈りするとともに、ご家族には謹んでお悔やみを申し上げます。

疾患豆知識集 VOL. 003:骨粗鬆症 Osteoporosis の予防


 手術後の女性患者から「骨粗鬆症について教えて欲しい」との宿題をいただきました。整形外科にもかかっているけどどうも受け持ちのドクターは取っ付きが悪いとのこと、、、。「先生ならなんでも知ってるから!」などと囃(はや)し立てられ勉強を始めました。すでに骨粗鬆症の診断で治療を受けられている方は私なんかの文章を参考にするのではなく、専門の整形外科医の指導と治療を優先していただくとして、ここでは主として病態や原因をおまとめして発病以前の段階での予防に言及したいと思います。

骨粗鬆症の絵

◇ 骨粗鬆症の概要

1.病態

 骨粗鬆症 Osteoporosis とは、骨の成分であるカルシウムが少なくなり骨量の減少と骨組織の微細構造が損なわれる結果、骨密度が低下して内部がスカスカの状態となり、脆弱性から骨折が生じやすくなる病態です。正常な骨では骨吸収と骨形成のバランスが保たれ骨量は維持されていますが、骨粗鬆症では骨吸収が骨形成を上回るため骨量が減少します(後述)。
 高齢化社会を迎えて全国に1000万人を突破したと言われており、お歳をめされた骨粗鬆症の患者が下肢に骨折を来すと完治に時間がかかるため寝たきりとなるリスクを伴います。加齢に伴い身長が縮むのは骨粗鬆症の初期症状とされ、背骨が体重により圧迫されて屈曲したり、骨盤や膝の関節が変形して凹脚になるのも同様な病態であります。

 骨粗鬆症
 :カルシウム(骨量)減少、骨微細構造の破綻
   → 骨密度の低下
   → 身長短縮、易骨折、背骨の屈曲、凹脚


 骨や軟骨の石灰化障害により「類骨(石灰化していない骨器質)」が増加する骨軟化症では全骨量(類骨と石灰化した骨の合計)は減少しませんが、骨粗鬆症では全骨量が減少するのが特徴です。

2.原発性と続発性

 基礎疾患の有無により原発性と続発性の骨粗鬆症に分類されます。原発性骨粗鬆症は他の疾患や薬剤に夜ものではない、主として閉経後の女性にみられる閉経後骨粗鬆症と65歳以上の高齢者にみられる老人性骨粗鬆症があり、これらで全体の約90%を占めています。一方、続発性骨粗鬆症の原因としては、内分泌疾患、代謝性疾患、炎症性疾患、先天性疾患、薬物性などがあり、副腎皮質ステロイド剤の投与も原因となります。

3.骨密度低下の原因

 骨には、古くなって老化した骨を分解して排除する「破骨細胞」と、血液中からカルシウムなどの栄養素を取り出して新しく骨を生成する「骨芽細胞」とで形成されており、5-7年の周期で体中の全ての骨が生まれ変わるとされます。正常な骨ではこれらの細胞の機能が均衡しており、古い骨が分解排除された分だけ新しく骨が形成されて定常状態を保つわけです。
 ところが、原発性骨粗鬆症において、栄養素の不足や加齢からこの「破骨細胞」と「骨芽細胞」のバランスが崩れることが、骨粗鬆症の大きな原因と考えられています。例えば「破骨細胞」が正常でも、必要な栄養素が不足すると「骨芽細胞」が新しく骨を作れません。これは比較的、若い人に多い症状です。
 加齢や女性の閉経に伴う骨粗鬆症はホルモンが関与しております。「骨芽細胞」の活動はエストロゲンにより活性化されアンドロゲンで抑制されます。ほとんどの人は加齢に伴いエストロゲンは減少しますので、それに伴い「骨芽細胞」の活動は低下します。また、女性の場合、閉経後のホルモンバランスの変化から「破骨細胞」が活性化して排出されるカルシウム量が増えることにより骨粗鬆症に移行するとされます。

 破骨細胞 = 老化した骨を分解排除
  :女性の閉経後のホルモンバランス変化から活性化
 骨芽細胞 = 新しく骨を生成
  :加齢により減少するエストロゲンで活性化、アンドロゲンで抑制


 以上のメカニズムで高齢者、とりわけ女性に骨粗鬆症患者の割合が多いの原因となっております。多くの病気と同様に、無症状なうちに病状が進んで来て、骨折と言うかたちで発症して初めて発覚することが多い疾患であります。

4.診断

 血液や尿検査では骨粗鬆症に特異的な検査所見はありませんので一般的な健康診断では確定診断はできません。診断には骨密度を測定し日本骨代謝学会の原発性骨粗鬆症の診断基準(2000年度版)に基づいて診断します。これによると若年成人(20~44歳)平均値(Young adult mean, YAM)の70%未満が骨粗鬆症、70~80%を骨量減少、80%以上を正常としています。

骨密度 の診断


◇ 骨粗鬆症の予防

 骨粗鬆症の原因として申し上げた加齢も女性の閉経も避けては通れないもので、これを予防することはできません。しかし、別の側面から骨粗鬆症の進行を抑える、すなわち予防はできます。以下、積極的な生活の改良とリスクファクター除去を列挙いたします。

1.栄養補充

 骨粗鬆症の予防にカルシウムの摂取が重要であることは言うまでもありませんが、それだけでは不十分です。以下に示すような他のミネラルやビタミンを補給しないと丈夫な骨が作られません。例えば、マグネシウムが不足すると「骨芽細胞」の働きが低下し、新しい骨が作られなくなってしまいます。ビタミンA,D,Kは、カルシウムとマグネシウムの吸収を促し、骨の形成に必要な成分とされます。これらが多く含まれる食品も示しますので参考になれば幸いです。

【骨粗鬆症を予防する栄養素】
 ミネラル:カルシウム  小魚、干しエビ、チーズ、えんどう豆 など
      マグネシウム 海苔、煮干し、干しエビ など
      亜鉛     かき、牛肉、煮干し、レバー など
      マンガン   海苔、生姜、日本茶 など
 ビタミン:A      鶏肉、豚肉、うなぎ、あん肝、海苔 など
      D      あん肝、しらす、キクラゲ など
      K      抹茶、納豆、パセリ、しそ、ワカメ、海苔 など

 近年「食の欧米化」が進み、これは魚よりも豚や牛の肉食を考えがちですし、乳脂肪分の多い食生活や、米飯よりもパン食を頭に浮かべやすいですが、海苔の摂取が減ったとの見方がある、と言うことを以下の文中に申しました。

 2015/11/26 「焼き海苔」食生活でアンチエイジング!

 海苔は上で列挙した栄養素を豊富に含む食品であることが一目瞭然です。同じく「食の欧米化」は魚介類の摂取を減少させております。魚と海苔で、かなりの部分で骨粗鬆症を予防する栄養素が補充できると思われます。もちろん、上記栄養素を含むサプリメントも推奨されます。

2.日光浴

 日光浴をすると、日光に含まれる紫外線によって皮下脂肪からビタミンDが作られます。ビタミンDは腸管からのカルシウムの吸収を促進させ、かつカルシウムの骨へ附加を促進させます。ビタミンDは、上で申した、あん肝、しらす、キクラゲなどの食品からも摂れますが、皮下脂肪にもビタミンDの素が沢山含まれています。皮膚ガンなど過剰な暴露は勧められませんが、簡単にビタミンDを生成できる日光浴は重要です。

3.かかと叩きで「ピエゾ電流」

 骨は振動を与えると丈夫にあろうとする性質があり、骨粗鬆症の予防に足のかかとを小槌のような物でコツコツと叩くのが挙げられております。痛くない程度にかかとを左右50回程度、毎日叩くと「骨芽細胞」が刺激され、骨を作ろうとする働きが活発になるそうです。メカニズムとして、叩くことで骨に電気が発生して、それが全身に伝わるとされており、その電気が「ピエゾ電流」と呼ばれております。

kakatotataku.jpg

4.牛乳は飲まない!

 牛乳にはカルシウムが多く含まれ骨粗鬆症の予防となる食品のように思われがちですが、実は逆効果であることが指摘されております。その理由として以下の3点が挙げられます。
 第一に日本人の多くは(9割以上)は乳糖不耐症であり、牛乳の消化吸収が上手くできない可能性が高いと言うことです。牛乳摂取で下痢するようならなおさらで、他の食物に含まれる栄養素も下痢によって吸収が削がれてしまいます。
 第二に、牛乳には脂質が50%近く含まれており、吸収される前のカルシウムが脂質(乳脂肪)と結合してと吸収されにくくなります。また、牛乳の脂質は腸管粘膜に脂の膜を作り、吸収されやすいカルシウムイオンになることを妨害するなど、カルシウムの吸収に対して阻害的に働きます。
 第三の理由として、牛乳にはリンが多量に(母乳の6倍)含まれています。カルシウムと異なりリンは吸収されてしまいます。血液中のカルシウムとリンの割合はホルモンの作用で1:1に保たれており、牛乳由来のリンが血液中に増加すると、それに見合うカルシウムを骨から動員せざるを得ません。その結果、骨密度が低下すると言うメカニズムであります。
 以上から牛乳は骨密度を低下させている原因になると考えられます。戦後の牛乳の消費量は年々増加し、カルシウム摂取量も増えたと思われていましたが、一方で骨粗鬆症の患者も年々増加し、今日では糖尿病患者の数よりも多いという深刻な状況です。思わぬリスクが牛乳にあることを申し上げます。

5.減(禁)酒・禁煙

 飲酒と骨粗鬆症の研究で、1日のエタノール摂取 24 g 以上の男女で骨粗鬆症性骨折リスクが 38%上昇、大腿骨近位部骨折は 68% 上昇したとされます。また、喫煙する男女の大腿骨近位部骨折リスクは非喫煙者より60歳で17%、70歳で41%、80歳で71%、90歳で108%高いとされます。これらのデータから、飲酒、喫煙の骨粗鬆症との関連が考えられております。可能な限りの減(禁)酒と禁煙は望まれるところです。


◇ あとがき

 付け焼き刃で骨粗鬆症の勉強を致しました。原因論としてホルモンの関与は知っていましたが、栄養素の話や「ピエゾ電流」、牛乳についてなど新鮮な知識もありました。骨粗鬆症の予防は立派なアンチエイジングであります。宿題をいただいた患者に少しはお話しできるかな?、ってところです。

ドメスティック・バイオレンス(Domestic violence, DV)


 遠い親戚で20代女性が最近離婚したと聞きました。母親の話では家庭内暴力が原因とのこと、確か子供は女の子が一人だったと記憶していましたので、恐らくはご主人からの暴力であったと思います。今回、この「家庭内暴力」のうち配偶者、とりわけ男性からの暴力 = ドメスティック・バイオレンス(domestic violence, DV)について勉強しました。本邦では、以下の記事の如く、相談件数、検挙件数ともの増加の一途を辿っており、過去最大となっております。

DV件数の記事


◇ ドメスティック・バイオレンス(Domestic violence, DV)の定義

 ドメスティック・バイオレンス(domestic violence, 以下DV)は、“domestic”と言う単語が「家庭の」と訳されるため、日本ではそのまま「家庭内暴力」として捉われがちですが、この「家庭内暴力」に相当する英語は “family violence” とされDVとは分けて考えられております。家庭内暴力とは、家庭内で起こる家族に対する暴力的言動や行為の総称であり、その中の配偶者に対するものがDVと呼ばれます。

【家庭内暴力(Family violence)の分類】
 ○ ドメスティック・バイオレンス(Domestic violence,DV)
    = Initimate partrner violence, IPV(親しいパートナー間の暴力)
 ○ 児童虐待(Child abuse)
 ○ 高齢者(老人)虐待(Elder abuse)
 ○ 子供の親に対する暴力(狭義の「家庭内暴力」)


 以上の如く、DVとは同居関係にある配偶者や内縁関係の間で起こる家庭内暴力のこととされますが、近年ではDVの概念を婚姻の有無では問わず、元夫婦、恋人など男女の近親者間に起こる暴力全般を指す傾向にあります。


◇ DVの種類

 配偶者に対して暴力的な扱いを行う行為ないしは暴力によって支配する行為全般は以下の如く分類されております。

1.心理的虐待

 肉体的な暴力ではなく、心理的な苦痛を与えるもので、非情な言動、 罵詈雑言(ばりぞうごん)、侮辱、無視、嫌がらせ、脅しなどで、終始行動を監視したり、電話やメールなどの通信履歴をチェックする行為もこれに含まれます。

2.身体的虐待

 殴る蹴る叩く首を締めるなどの物理的な暴力行為に加えて、掃除や洗濯の衛生を怠る、粗末な食事や不健康な食事を与える、冷暖房や衣服を差し控える、必要な医療を与えない、なども該当します。

3.性的虐待

 男女の性交渉に関わる虐待で、性交を差し控えるあるいは過度な要求、恥辱的あるいは不道徳な行為の強要、性器や性的能力についての侮辱、宗教などの問題がない場合の希望する妊娠中絶を許可しない、などが挙げられます。

4.経済的虐待

 主として男性のみに収入がある場合の妻に対する経済的な弾圧として、遊興費や生活費を著しく制限したり与えないこと、無計画な出費や借金を繰り返したり、家のお金を無断で持ち出すこともこれに含まれます。

5.社会的隔離

 心理的虐待と重なる部分はありますが、家庭外との関係を抑制するもので、電話や手紙に他との交流に制限をかけたり、交友関係の禁止、外出を制限するなどの行為がこれに当たります。

DVの酒類 図


◇ DVの原因と社会的要因

1.性的偏見(ジェンダー・バイアス、Gender bias)の関与

 男はこうあるべきだ、女はこうあるべきと、男女の役割について固定的な観念を持つこと、社会の女性に対する評価や扱いが差別的であることを「(社会的文化的)性的偏見(ジェンダー・バイアス、gender bias)」あるいは「性的役割分業観」などと言い、例えば男性は外で仕事をして、女性は家で家事育児と言った概念が含まれます。このジェンダー・バイアスのDVへの関与が指摘されており、この偏見が強い男性にDVが発生しやすいとされております。

2.自己愛性パーソナリティ障害(Narcissistic personality disorder, NPD)

 DVの加害者の多くに自己愛性パーソナリティ障害(Narcissistic personality disorder, NPD)が見られるとされ、これはありのままの自分を愛することができず、自分は優れていて素晴らしく特別で偉大な存在でなければならないと思い込むパーソナリティ障害の一類型であります。自分は最高で選ばれた人物との自負を持ち、他人や身内からの賞賛を強く求め、職場や家庭で円滑な人間関係を保てない人です。

3.社会的背景

 DVに関与する社会的背景として家父長制度、父権制あるいはそれに準じる意識が挙げられます。上述のジェンダー・バイアスとも関連しますが、家長権(家族と家族員に対する統率権)が男性たる家父長に集中している家族の形態を指します。古代ローマにその典型をみるとされ、日本の明治民法において、家長権は戸主権として法的に保証されておりました。現代は男女平等や、男女共同参画、女性解放思想(Feminism)が叫ばれて久しくなっておりますが、昭和に子供時代を経験した男性が、古い家父長制度の家庭に育ち、現代とのギャップからDVに走る可能性があると考えられております。

家父長制度の図

4.虐待から虐待、DVへの連鎖

 幼少時に親から虐待を受けた人(男性)が大人になってから自分の子供に虐待してしまう、あるいは妻に暴力を振るう可能性が高いと言われます。なかなか幼少時のことまで調査した統計はありませんので、あくまで推測の域を出ませんが、心の「ブロック」、幼少時の「記憶」として説明され、さらなる虐待、DVへの連鎖とされます。具体的には、親から認めてもらったり、愛されたという実感がない人は、人を愛するのが上手ではなく、家庭を持った際に自分が家族を愛さなければいけない重圧を覚えます。幼少時に愛されなかったときの辛く苦しい感情が蘇り、虐待あるいはDVの連鎖を引き起こすと言われてます。


◇ DVの暴力サイクル

 DVの暴力は慢性的に続くものではなく、サイクルを繰り返すと言われております。緩和される時期もあり、また繰り返される病態なので、なかなかDVから抜け出せないのだと言われています。以下の三つうの時期の繰り返しとされます。

1.緊張の蓄積期
 
 夫のイライラが続き、過度に緊張が高まってきます。小言や文句、注文が多くなり、ピリピリした状態が続きます。妻はその気配を感じて常にビクビクしながら夫に接する時期です。

2.暴力の爆発期

 夫の緊張がピークに達し、些細なことから突然激しい暴力に発展します。殴る蹴るの暴力から言葉による暴力や性行為を強要するなど抑制することができなくなります。妻は何らかの暴力を受けるようになり、身体的な暴力の場合は酷い怪我を負ったりします。

3.ハネムーン期

 夫がそれまでとは打って変わって謝罪を繰り返します。プレゼントなどをして妻に優しく接します。妻はその態度を見て、自分も悪かったかもしれないと考えます。こんなに夫が謝っているのならもう暴力はないのではないかと期待し愛情に溢れているようにも見える時期です。

DVの暴力サイクル

 この「ハネムーン期」で夫を信じてみよう、夫は変るのではないかと思い、もう少し待っていようかと考えるようになります。妻は夫婦の関係に希望をつないでしまいます。ところが夫は変ることはなく、再び「緊張の蓄積期」に戻り「暴力の爆発期」へ、そして再び「解放期」へとサイクルを繰り返してしまします。このサイクルを繰り返すことで、DVから逃れられない状態が長引いているのです。


◇ 我が国のDV状況

 冒頭でご紹介した記事の通り本邦でのDVは増加の一途を辿っております。DVの相談案件における少し古いデータでは以下が示されております(2006年)。

 被害者と加害者の関係は婚姻関係が72.8%
 相談者の性別は女性が98.8%


 また2005年に行われた「男女間における暴力に関する調査」(内閣府)では以下の統計結果があります。

 全体の26.1%(女性の33.2%、男性の17.4%)が暴力被害を経験
 身体に対する暴行被害の経験が女性の26.7%、男性の13.8%
 恐怖を感じる脅迫の経験が女性の16.1%、男性の8.1%
 性的な行為を強要された経験が女性の15.2%、男性の3.4%


 被害者数には地域差が認められ、2011年の人口10万人あたりのDV保護命令既済件数の上位10と下位10都道府県は以下の通りとなっております。本州中央で件数が少なく、両端で件数が多い傾向にあります(青森は例外)。また、相関ランキングでは人工妊娠中絶件数と正の相関があり、DV保護命令既済件数が多いところは人工妊娠中絶が多く、これは、DV発生数が多いところでは女性が望まない妊娠をすることが多いことを示唆しております。

【人口10万人あたりのDV保護命令既済件数 上位10と下位10都道府県】
 01位 鳥 取 7.180件  38位 福 岡 1.510件
 02位 岩 手 5.403件  39位 群 馬 1.314件
 03位 沖 縄 5.139件  40位 福 井 1.283件
 04位 栃 木 4.535件  41位 東 京 1.213件
 05位 岡 山 4.518件  42位 青 森 1.196件
 06位 和歌山 4.392件  43位 岐 阜 1.193件
 07位 高 知 4.354件  44位 富 山 1.131件
 08位 鹿児島 4.293件  45位 長 野 1.060件
 09位 宮 城 4.271件  46件 神奈川 1.027件
 10位 香 川 4.133件  47位 愛 知 0.998件  全 国 2.332件

地域別DV発生の図


◇ 各国のDV状況

 米国では1970年代後半から女性の権利闘争が始まると同時にDVの概念が作られました。現在、15秒に1人、年間200万人以上の女性がDVの深刻な被害を受けており、DVにより亡くなる女性が1日に11人とされています。
 ヨーロッパのDVは深刻で、16歳から44歳までのヨーロッパ人女性の身体障害や死亡の原因が、DVは病気や事故を抜いてトップであります。ポルトガルでは50%前後の女性が、夫や同棲相手から暴力を受けたと述べています。
 中国では2005年時点では約3割の家庭で夫婦間暴力が発生、そのうち約7割は夫から妻に対するもので、残り3割は妻から夫に対して行われたとされます。また家庭内暴力は、女性が自殺する最大の原因となっております。
韓国保では全国9847世帯中、過去一年間に身体的暴力を受けたことがある者は11.6%、暴言・脅迫・器物破壊は33.1%に達したとされます。夫婦間の性的虐待の発生率は、2004年は7.1%であったが2007年は10.5%へ増加しております。2005年の調査では、外国人妻945人のうち14%の女性が韓国人の夫に殴られたと答えております。


◇ おわりに DVへの対処法

 明らかな精神異常者ではない、普通の人間がDVをしてしまうのですから話し合えば良いようにも思えますが、話し合いで問題が解決するほど甘いものではないのが現実です。多くのサイトでDVへの対処法として、「距離をおく」、「避難する」、「警察へ通報」、「離婚」を挙げており、対話による和解は不可能としております。各都道府県の相談窓口はインターネットで調べればすぐに見つかりますのでここれは触れませんが、DVを受けていると感じた人は、上で申し上げた種類、原因論、暴力サイクルと照らし合わせて、早めの対策を取られることをお勧めします。