アセンションへの道程 〜ある外科医のスピリチュアル〜

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2017年07月05日 の記事一覧

痛風予防、高尿酸血症 対策(第二版)


 いつもながらの私事、この春の職場の検診結果にかなりの危機感を持ちました。自分のためのお勉強、「痛風予防、高尿酸血症 対策」の第二版です。

 高尿酸血症から発症する痛風、ゴルフ友達の一人が患って苦労したと聞きました。痛風とは、尿酸(UA, uric acid)が体内に蓄積し、それが結晶(尿酸塩)となって激しい関節炎を伴う病態です。ひとたび発症すると関節痛は激烈で「痛風発作」と呼ばれ、放置すれば体の各所に痛風結節が発生して、腎盂尿管に尿酸結石が発生して、腎臓機能障害も引き起こします。
 ここでは、高尿酸血症の是正について、食生活を中心に、高尿酸血症治療薬に頼らない方法論を考えて参り、発症した痛風の治療については他に譲ります。


◇ 尿酸 uric acid とは?

 まずは基本的なところで尿酸とはなんぞや?、と言うことです。尿酸(C5H4N4O3)は分子量168の有機化合物で膀胱結石の中から発見された物質だそうです。いわゆるカルシウム結石ではない、尿酸結石の研究で、尿中の尿酸が析出して結晶を作ることが明らかになりました。
 その後、尿酸は生物の情報とエネルギーと言う重要な役割を果たす物質の最終産物である事が判明しました。つまり、遺伝子を構成するDNA(デオキシリボ核酸)やエネルギーを担当するATP(アデノシン三リン酸)の、プリン体と言う物質が分解されてできた老廃物が尿酸であります。

 尿酸 = プリン体の代謝産物(老廃物)

 遺伝子やエネルギー物質が代謝された分解産物ですので、そうした食べ物を摂取しても、あるいは体細胞が壊れても発生しますので、人間の体では常に作られて排泄されている物質であります。正常な成人の体では1日に約0.6 gの尿酸が作られるとされます。

尿酸の構造式
尿酸の元素記号


◇ 高尿酸血症から痛風発症のメカニズム

 「尿酸が高い」と言うとすぐに痛風を思い起こすほど、高尿酸血症と痛風は一元的な繋がりを持つ病態であります。まずは、高尿酸血症から痛風発症のメカニズムです。

1.尿酸塩の析出

 血液中に溶け込んでいる尿酸濃度の上限は7 mg/dl前後とされており、この飽和濃度を超えると、痛風発症の最初の段階として、血液中の尿酸が尿酸塩として組織に析出し結晶を作ります。

尿酸結晶の写真
析出した尿酸塩の結晶

2.尿酸塩に対する防御機構

 尿酸塩の結晶は足の関節内面に沈着しやすく、これに対する体の防御機構として好中球(白血球の一種)が反応して局所に炎症が起こります。これが痛風発作として最初の発症となります。

3.痛風結節

 尿酸塩は関節のみならず他の臓器にも析出して結晶の溜まり結節(痛風結節)を作ります。最もできやすいのが皮下で、稀に脊柱管にできて脊髄を圧迫して神経症状を起こすこともあります。

痛風結節 の写真
足の関節にできた尿酸結節

4.尿路結石と痛風腎

 尿酸は尿排泄なので、高尿酸血症は尿酸結石と言うかたちで腎盂、尿管などへ尿路結石を作ります。また、尿酸塩は腎実質に沈着して腎障害を起こすことがあります。これを痛風腎と言い、慢性腎不全に移行する可能性があり、人工透析患者の1%を占めるとされます。

5.肥満

 痛風の原因である高尿酸血症の、さらなる原因の一つに肥満があり、痛風と肥満は密接な関係にあるとされます。脂肪組織の増加はインスリン感受性を低下させ、これは尿酸の排泄に悪影響を及ぼすとされます。また、内臓脂肪に多く含まれる中性脂肪の増加は、遊離脂肪酸の分泌に繋がり、これが肝での、尿酸の先駆物質であるプリン体の代謝を促進します。これも高尿酸血症の原因となります。


◇ 高尿酸血症の原因

 検診あるいは人間ドッグにおける検査データ、血清尿酸値(UA, uric acid)の基準値は、男性 3.8 - 7.5 mg/dl、女性 2.4 - 5.8 mg/dlとされます。ここでは高尿酸血症の原因を多岐に渡りご紹介します。もちろん、原因を除去することが高尿酸血症の是正になりますので、最後の「高尿酸血症 対策」の項では重複した内容となるものもあります。

1.人間には失われた尿酸酸化酵素

 ほとんどの動物では、尿酸は分解されますので体内に蓄積することはありません。ところが、人間とヒト上科霊長類(テナガザル、オラウータン、チンパンジー、ゴリラ)には尿酸を分解する尿酸酸化酵素(尿酸オキシダーゼ, uric oxidese)が欠損しており、尿酸はプリン体の最終産物となっております。この酵素を作る遺伝子は存在しますが、壊れているとのことです。ですから、高尿酸血症および痛風は、人間を含むこれらの動物にしかない病態であります。

2.遺伝的素因・性差

 尿酸排泄に関わる遺伝子が幾つか解明されておりますので、高尿酸血症および痛風に遺伝的素因は言われております。同時に、尿酸排泄に女性ホルモンが関与するため、同ホルモンが豊富な女性は男性よりも尿酸値が低く、痛風の罹患率は男女比98.5:1.5と圧倒的に男性が多いとされます。

3.食生活

 プリン体含有量の多い食品を摂取すればその代謝産物である尿酸が体内に蓄積します。最も尿酸値に影響するのが食生活です。概ね、肉食も海産物も血中尿酸値を増加させ、野菜、乳製品は尿酸を減らすと考えられています。また、痛風の患者さんの60%に肥満があり、肥満度が大きいほど尿酸値は高くなります。高カロリーそのものも血中尿酸値に影響する因子です。後ほど、食品ごとのプリン体含有量をまとめますが、食生活におけるプリン体摂取のコントロールが推奨されるところです。

4.脱水と水分摂取

 食生活に近接したところで、尿酸は尿排泄ですので、水分を摂取することで尿量が増加して尿酸排泄は促されますが、逆に下痢や発汗、水分制限による脱水は利尿を制限して尿酸を保持する形になりますので尿酸値を上げます。

5.運動

 スポーツは体に良い印象がありますが激しい運動や肉体労働は血中尿酸値を上げる原因となります。これは過度の運動により筋肉の新陳代謝が上がり、簡単に言えば、筋肉の細胞が壊される結果、自分の体細胞中のプリン体が遊離するからであります。また運動による発汗は上述のごとく脱水を引き起こし、これは血中尿酸値の上昇に繋がります。

6.薬剤

 薬剤の中には尿酸値を上昇させる副作用を有するものがあります。サイアザイド系降圧利尿薬(フルイトラン など)、ループ利尿薬(ラシックス、フロセミド など)、喘息治療薬のテオフィリン(テオドール など)、結核治療薬のピラジナマイド(ピラジナミド など)、アスピリン(小児用バファリン など)であります。成人病である高血圧の治療薬として利尿剤が処方されていて、高尿酸血症が認められたので、今度はそれに対する治療薬が処方される、医療の歪みがそこに見え隠れします。


◇ 食品別プリン体含有量(mg/100g)

 プリン体含有量の多い食品の摂取が高尿酸血症ひいては痛風の原因となることは明白であり、ここでは食品別のプリン体含有量を表にしました。あらゆる単位はmg/100gであり、食品100gあたりのプリン体量(mg)であります。各食品類についてプリン体含有量の多い順に並べております。また、酒類のビールとその周辺飲料については過去のブログ文章を参考にしていただければ幸いです。

食品中のプリン体

【ビールの銘柄別組成(350 mlあたり)】
ビール データ


◇ 高尿酸血症の対策

 血中尿酸値が上昇する原因を論じて参りましたので、その原因を除去することが高尿酸血症の対策となることは明白であります。ビールや肉食など、プリン体含有量の多い食品の摂取を控え、カロリー制限から肥満を改善し、激しい運動による体細胞の分解を理解し、十分な水分補給と薬剤の副作用に意識をもつことは肝要です。ここでは、まず改めてプリン体摂取を是正する食生活をまとめたところで、原因論から考える高尿酸血症対策ではなく、積極的に血中尿酸値を低下させる方策を勉強しました。

1.プリン体摂取の抑制

 「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン」には「生活指導」の中に食事療法、特に「1日400 mgを目安にしたプリン体の摂取制限」が示されています。上で「食品別プリン体含有量」を示したばかりですが、改めてプリン体の含有量が「極めて多い」、「多い」、「少ない」、「極めて少ない」食品を分類いたします。

 1日400 mgを目安にしたプリン体の摂取制限

【プリン体含有量が極めて多い食品(>300 mg/100 g)】

プリン体が極めて多い食材

【プリン体含有量が多い食品(200〜300 mg/100 g)】

プリン体の多い食品

【プリン体含有量が少ない食品(50〜100 mg/100 g)】

プリン体が少ない食品

【プリン体含有量が極めて少ない食品(<50 mg/100 g)】

プリン体が極めて少ない食品

  プリン体と言うとビールがその代表格とされがちですが、実際には350 mlの1本ではどんなに多くても50 mg以下であります。宴会などで「生チュー」を何杯も飲んで3 Lにも及べば一日摂取量限界の400 mgを超えて来るので要注意と言ったところです。

 プリン体含有量が極めて多い食品として要注意No. 1は干し椎茸で、二番手はちりめんじゃこでしょう。干し椎茸は煮物にされる場合が多いですが、ヘルシーとの認識からついつい食べてしまいますし、ちりめんじゃこは不足がちなカルシウム摂取を目論んで毎朝でも食べる食材です。鳥レバーやあん肝、いわしの干物を習慣性に食べる人は少ないでしょうが、ビールのつまみになるケースはあるでしょう。これらも要注意な食品であります。
 これに対して、プリン体含有量が極めて多い食品であっても、干しエビ、鰹節を100 gも食べることはあり得ません。焼きそばやお好み焼きなどの隠し味としての干しエビ、豆腐に乗せて食べる鰹節などはプリン体を意識するほどではないと思われます。

 プリン体含有量が多い食材には、かつお、鯵の干物があります。「フィッシュオイル」などと、健康に良いとされる魚介類ですが、プリン体摂取と言う観点からは要注意な食材であります。

 プリン体の含有量が少ない食材として、野菜、穀物、卵、乳製品が散見されますが、その中で目を引くのは、豚バラ、牛タン、ソーセージ、ベーコンなどの肉類と、魚介類でもホタテ、うなぎ、かまぼこ、もづく、いくらであります。不思議なことに同じ魚卵であっても、明太子といくらでは40倍くらい明太子の方がプリン体含有量が多いようです。

2.尿をアルカリ性にする食生活

 尿酸はアルカリ性の液体に溶けやすいことから、尿酸の尿中排泄を促すため尿をアルカリに傾かせる食生活が推奨されております。アルカリ性食品を摂取することで尿をアルカリに傾ける発想ですが、具体的に、アルカリ性食品として代表的なものは野菜の中でもほうれん草やにんじんといった緑黄色野菜の他、海藻類や大豆食品などがあります。その他、アルカリイオン水、バナジウム天然水と言ったアルカリ性天然水も尿のアルカリ化に効果的とされます。

【尿を酸性にする食品】
 卵/豚肉/サバ/牛肉/アオヤギ/カツオ/ホタテ/白米/ブリ/マグロ/サンマ/アジ/カマス/イワシ/カレイ/アナゴ/芝エビ/大正エビ

【尿をアルカリ性にする食品】
 ひじき/ワカメ/昆布/干しシイタケ/大豆/ほうれん草/ゴボウ/サツマイモ/ニンジン/バナナ/サトイモ/キャベツ/メロン/大根/カブ/ナス/ジャガイモ/グレープフルーツ

3.利尿作用のある緑茶・コーヒー・酒

 緑茶やコーヒーには利尿作用がありますので、十分は水分補給と同時にこれらの嗜好品を摂取することは尿酸排泄に有効とされます。同様にアルコールにも利尿作用がありますし、水分補給にも有用です。焼酎やウイスキーのようにプリン体を含有しないアルコールであればむしろ高尿酸血症に有効と考えられます。

4.乳製品で尿酸の吸収阻害

 最近、「プリン体と戦う乳酸菌」と言うキャッチフレーズが目につきます。「明治プロビオヨーグルトPA-3」(下写真)がそれですが、実際にはヨーグルトの乳酸菌は胃酸で分解されてしまうため、その種類についてはあまり意味をなさないとされております。

PA3写真 18cm

 しかしながら、乳製品全般に、腸内細菌を整える効果が認められており、乳酸菌が分解された物質が材料となって、腸内で新たな善玉腸内細菌が作られと言われております。ヨーグルト、牛乳、チーズなどの乳製品の摂取は腸内細菌叢の転換から尿酸吸収を阻害する考えられます。

5.その他

 尿酸値を下げる物質として、ビタミンC、梅干しに多く含まれるクエン酸、アミノ酸の一種でサプリメントとして販売されているアセナリンなどが有効とされています。
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