アセンションへの道程 〜ある外科医のスピリチュアル〜

アセンションを目指したある1外科勤務医のスピリチュアルおよびその周辺事項への探求をご紹介します

潜在意識の記憶によるブロック 〜 ある母子の場合 〜


 人間には潜在意識と顕在意識があります。潜在意識の「記憶」があるために顕在意識において物事に対して「思い」を持つとされます。快い記憶であれば明るい思いに繋がりますが、不快な記憶は時として「感情のしこり」を生み出します。心理カウンセリングの世界では「ブロック block」と呼ばれ、これは「障害物」、「一時的に思考が停止した状態」を差します。
 例えば、潜在意識に報われない悲しい記憶があると、努力してもダメなことを考えてしまいますし、失敗した時の悲しさが増幅されます。その結果、失敗を顧みずに努力できない、あるいは、失敗は大きなダメージを生むこととなります。愛情に飢えた記憶がある人は、本当は愛情に飢えているのに、愛情を表現したり、上手に作り出すことが苦手でだったりします。
 潜在意識の記憶が顕在意識の思いに影響を及ぼし、それが個人の行動を阻む障害となるのであればそれはブロックなのです。

 ある、高校生の息子さんがいる主婦の方から相談を受けました。その、母子のやりとりに、双方共に潜在意識にある種の記憶があって、それに伴うブロックが生じているものと思われました。


◇ 母親からの相談

 高校生二年生の息子を持つ普通の主婦の方からの相談です。ご自身も高校の英語教師をしておりますが、息子さんとは違う学校とのことです。少し、脚色してご紹介しますと以下の通りです。

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 私は反抗期になった長男とすぐぶつかってしまいます。成績優秀でスポーツマンで、とても自慢の子供なのですが、家では全く勉強をしません。ゲームばかりやっています。それなのに成績が良いのは学校の授業と週1回の塾でしっかり勉強しているからだと思いますが、あまりにも机に向かわないので心配になるのです。
 もうすぐ三年生で大学受験もちらついてくる時期、読書や音楽鑑賞ならまだしも、家ではゲーム漬けの日々に、見るに見かねて声を荒げてしまいます。「家でももっと勉強しないと成績が落ちて大学受験で苦労するよ!」と。すると、長男の逆ギレが始まります。「お母さんがそいう言うから勉強したくなくなるんだ!」と大声をあげたりもします。
 子供の頃は実に素直に言うことをきく子だったのに、最近は全然ダメです。特に私の言うことには耳をかさないようになってしまいました。高校教師として、家での勉強は大事だと思うんですが、私が叱れば叱るほど意固地になるようで、今は長男が一番の悩みなんです。

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 なんてことはない、どこにでもあるような、あるいは誰でも経験するような、母と子供の関係ですが、家で勉強しなくとも成績優秀と言うところが珍しいと思いました。内面で起こっている出来事を母親と長男の双方から考えて見ました。


◇ 母親の記憶とそれに基づく思い

 とりあえず成績が優秀なら様子見で良いのではないかと、他人事のように思いますが、あんまりゲームばかりでは不安になるのは解ります。親として当然の発想でしょう。ましてや高校教師ですので、大学受験の厳しさを知っていて、学校と塾だけではない、自宅での勉強の重要さは言うまでもありません。至って正論であり、母親として当然の意識でありますが、現実には、その思いがうまく回らず、長男を歪めてしまっています。

 母親の潜在意識に、自宅で勉強することの美徳に加えて、ゲームへの嫌悪、と言った記憶があります。40代後半のこの女性は、高校時代に自宅でゲームをした経験はなく、また、教師としても、スポーツは健全なもの、読書や音楽鑑賞は芸術的に優れたこと、そう言った価値観が確立している可能性は高いと感じました。

【母親の潜在意識における記憶】
  自宅での勉強        ○
  健全なスポーツ       ○
  芸術的な読書や音楽鑑賞   ○
  ゲーム           ×

 ゲームは良くないものとの潜在意識における記憶は、家では勉強をしないでゲームばかりやっている長男に対して、ゲームに対する嫌悪感と、それを止めさせたい思いが顕在意識に芽生えます、成績は優秀なのにです。結果として、成績優秀であることを褒めることも、家でゲームをしていることに寛容になることもできない、いわゆるブロックがかかった状態となっております。これはもう、勉強をしないでゲームばかりやっている長男の問題ではなく、母親の内面の問題なんです。


◇ 記憶に基づいて母親に反発する長男の思い

 こちらは母親よりももっと一般的で解りやすいです。大きく二つの可能性があると思います。一つは人間に備わった生来の「記憶」で、今ひとつは子供の頃の経験で作り出された後天性の「記憶」です。子供の時の経験に基づくものを「インナー・チャイルド」とも言いますが、それは別の機会に勉強したいとおもいます。

1.束縛や不自由に対して不快な記憶

 人間誰でも備わっている生来の記憶として「束縛や不自由に対する不快感」はあります。勉強すれば好成績を維持できる、もっと上を目指せる、大学受験にも勉強が必要なこと、それらを長男が知らないわけはありません。ゲームは目に良くないですし、学校や塾ばかりでなく家での勉強が大切なことも、、、。ではなぜ家では勉強しないのか?、本人は言っています、

 「お母さんがそいう言うから勉強したくなくなるんだ!」

と。その理由には勉強もゲームもありません。ただ束縛や不自由に対する不快な記憶がブロックとして働いているのです。

2.子供の時からの記憶

 別の考え方として、母親からの言葉にヒントが隠されています。

 「子供の頃は実に素直に言うことをきく子だったのに」
 
 母親は学校の教師ですし、初めての子供に対して、「歯を磨いて!」、「顔洗って!」、「ハンカチ持って!」、「もう寝なさい!」、と普通の家庭でも当たり前のしつけがあったと思われます。それ自体は責められるものではありませんが、長男が長い時間の中で、母親から色々言われ続けて来たことに対し、「母親からの命令に服従することへの不快感」を記憶として持った可能性はあります。
 受験を控えて、当然のごとく母親は勉強について言ってくる、それを予知した段階で、潜在意識の母親からの命令に服従することへの不快感の記憶が、母親がまだ叱っていない段階で、家での勉強にブロックをかけた可能性です。

  「特に私の言うことには耳をかさない」

 これは「母親個人に対する」感情、記憶であるところがミソです。他の人、ご主人とか?、学校の先生?、まだ現れていない誰かが言うとすんなり聞き入れることがあります。特定の人物の言うことには従わないのに、他の人だと素直に聞く、と言うのは、その人物の言い方が悪いのではなく、その相手との間にできた個別の記憶のためなんです。生来の記憶と異なり、子供の頃の記憶の場合は、誰かを特定して反応することがよくあるんですね。


◇ 指導と雑感

 お母さんに申し上げました。息子さんを叱るのを止めることです。嫌な顔をするのも、できれば嫌な思いをすることもやめましょう。大学受験を控えた高校生は家でも勉強するべき、ゲームは良くないとする、いかにも当たり前で正当な考えを消しましょう、と。むしろ、あんなに家では遊んでいるのに成績優秀な息子はすごい!、あれだけ家で遊んでいるからむしろ学校や塾の授業に集中できるんだろう、くらいに考えたらどうでしょうとも申し上げました。

 人間の顕在意識の人生における役割は潜在意識の記憶を浄化あるいはクリーニングすることだと、様々な宗教や教えで説いてます。それは、自分の潜在意識に記憶があることを知ることが第一歩だと私的には思っています。その記憶が生来のものなのか、前世なのか、あるいは子どもの時のものなのかは人それぞれですね。

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食人(カニバリズム cannibalism)


 正月早々の記事としては不適切かも知れませんが、ちょっと気になったことを勉強して文章にするスタンスですので、季節やタイミングは関係ないことがあることをご容赦いただければ幸いです。また、いささか気持ちの悪い題材ですが、その点も知識欲に免じてご理解いただければと思います。
 さて、きっかけは、1月4日のYahooニュースが目に止まり、「旧人類が共食い 遺跡から証拠」と言う内容でありました。昔から「人食い人種」と言う言葉があって、現生人類である新人、ホモ・サピエンス(=クロマニヨン人)以前の、絶滅したとされる旧人の一種、ネアンデルタール人が食人をしていたとしても、そんなに大きな問題ではないような気がして、ちょっとこの「食人」について勉強してみました。まずはYahooの記事から、、、。


◇「ネアンデルタール人が食人」の記事

ネアンデルタール人の食人記事

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 【AFP=時事】ネアンデルタール人がウマやトナカイを食べるだけでなく、共食いもしていたことを示す証拠が、ベルギーのゴイエ(Goyet)洞窟群の奥深くで発見された。

 発見した研究チームによると、約4万年前に生きていた成人または若者4人と子ども1人、新生児1人の人骨には、内部の骨髄を取り出すために切断、粉砕された明確な痕跡があるという。
 ベルギー人考古学者のクリスティアン・カセイヤス(Christian Casseyas)氏は、アルデンヌ(Ardennes)の森にあるこの遺跡内の渓谷の中腹に位置する洞窟をのぞき込みながら「ここで食人が行われていたことは、反論の余地がない」と話す。

 ゴイエ洞窟の人骨は、ネアンデルタール人が現生人類ホモ・サピエンス(Homo sapiens)に取って代わられ、地球上で絶滅を迎えつつあった頃の年代を示している。またネアンデルタール人は、ホモ・サピエンスとも交配していた。
 利口な現生人類によって絶滅に追いやられた原始的な穴居人と以前はみなされていたネアンデルタール人が実際には、死者の遺体を丁重に扱い、埋葬の儀式を行う洗練された人々だったことが、これまでの研究で明らかになっている。

 だが、ネアンデルタール人が死者を食べていたことを示す証拠も増えている。

 ネアンデルタール人による食人の事例はこれまで、スペインとフランスに存在した南欧のネアンデルタール人個体群でしか見つかっていなかった。
 ゴイエ洞窟群は、旧石器時代より住居として使われていた。全長250メートルに及ぶ洞窟の回廊部は、数メートル下を今も流れる小川のサムソン(Samson)川が石灰岩に穴を開けて形成した。

■ 骨髄を取り出す

 米カリフォルニア州立大学ノースリッジ校(California State University Northridge)の人類学者、エレーヌ・ルジェ(Helene Rougier)氏率いる国際研究チームは今回、ゴイエ洞窟で発見された人骨から、そこに居住していたネアンデルタール人が食人種だったことを証明した。
 人骨は「解体して肉を取り去るために」切断された痕跡を示していると、カセイヤス氏は指摘。ネアンデルタール人は「洞窟の入り口で見つかったトナカイやウマの骨を砕くのと同じ方法で、これらの人骨を粉砕していた。その目的は間違いなく、骨髄を取り出すためだ」と同氏は続けた。
 ルジェ氏はAFPの取材に、「実際に、ここで何人かのネアンデルタール人が死んで食べられたという結論を下すことができる」と語った。北欧でこのような証拠が見つかったのは初めて。同氏は2016年7月、ベルギーの洞窟に関する研究を英科学誌ネイチャー(Nature)系オンライン科学誌「サイエンティフィック・リポーツ(Scientific Reports)」に発表している。

 「これらの人骨の一部は、フリント石器の刃を研ぎ直して切れ味を良くするための道具を作るのにも使われた」と、ルジェ氏は述べた。

 だが、食人行為が行われていた理由と、どの程度の規模で行われていたかについては、謎のままだ。「組織的に行われていたのか。何らかの特別な時だけだったのか」とルジェ氏は問いかける。「この食人行為の背景にある理由をどのように解釈すべきか分からない。純粋に食べるための可能性もあるが、象徴的な行為だった可能性もある。理由は不明のままだ」と、ルジェ氏は話している。【翻訳編集】 AFPBB News

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◇「食人」の概要

 「食人(カニバリズム、cannibalism)」とは、人間が人間の肉を食べる行動、あるいは習慣を言います。食人俗、人肉嗜食、アントロポファジー、anthropophagyなどとも言います。文化人類学における「食人」は、該当する社会において制度的に認められた慣習や風習を指し、一時的な飢餓による緊急避難的な食人や、精神異常者による食人行為は含みません。別の言い方をすれば、、、

 非文化人類学的 = 非社会的行為 
 文化人類学的  = 社会的行為
  

 、、、と説明されております。ここでは、まずは非文化人類学的 = 非社会的行為 としての食人をご紹介し、次いで文化人類学的 = 社会的行為 としての食人をまとめてみました。なお、「文化的」、「社会的」と言えば、「正当な」、「正しい」、「道徳的」行為のように聞こえますが、そうではなく、あくまでも分類上の呼び名であります。


◇ 非文化人類学的、非社会的 食人

1.飢餓による緊急避難的な食人

 食料が得られず、生命維持のための緊急避難的な食人は世界各地で報告があります。近年の著名な例としては1972年のウルグアイ空軍機571便遭難事故が挙げられ、遭難した乗客らは、死亡した乗客の死体の肉を食べることで、救助されるまでの72日間を生き延びたとされます。1846年のアメリカにおいて、シエラ・ネバダ山脈山中トラッキー湖畔における西部開拓者のキャラバン・ドナー隊の遭難事故では、発覚までに既に隊の中で死亡者を食べるという緊急避難措置が行われました。

【緊急避難的な食人の例】
・1816年 フランス メデューズ号の遭難事故で生き延びた15名による死亡者の食人行為
・1845年 イギリス ジョン・フランクリン北極探検隊の遭難事故
・1846年 アメリカ東部の西部開拓者のキャラバン・ドナー隊の遭難事故(上述)
・1918年 アメリカの貨物船デュマル 落雷による沈没で救助漂流中の死亡者の食人行為
・1943年 日本陸軍の御用船が知床岬沖で遭難した「ひかりごけ事件」、有罪判決
・1972年 ウルグアイ空軍機571便遭難事故(上述)

2.人肉嗜食

 もう一つの非文化人類学的、非社会的 食人として挙げられるのが「人肉嗜食」であり、特殊な心理状態での殺人に時折見られる食人のことで、緊急性がなく、かつ文化や社会的な裏づけのない行為であります。多くは猟奇的殺人に伴う死体損壊として、また、しばしば性的な幻想、性倒錯、変態性欲(フェティシズム fetishism)の一環として現れる行為であります。倫理的に容認されない行為、タブーとされるがゆえに、それを扱った文学、芸術は多く見られます。

 犯罪者であるため敬称を略して、簡単に例を挙げますと、アメリカの連続殺人犯、アルバート・フィッシュは1910年〜34年の間に主として400人の児童を殺害して食人も行いました。逮捕後の裁判で精神異常との弁護もありましたが死刑が執行されました。
 同じくアメリカで、1990年代初頭の全米を震撼させたのはジェフリー・ライオネル・ダーマーと言う30代のホモセクシャルの青年で、17人の青少年を性的な物体として殺害し、食人行為も行いました。逮捕後、死刑を希望するもウィスコンシン州の法律により終身刑となりましたが、享年34歳、刑務所内にて別の囚人に撲殺されました。
 日本人の殺人者で「パリ人肉事件」で有名なのは佐川一政です。1981年6月、フランスのパリに留学していた佐川(当時32歳)は友人のオランダ人女性留学生(当時25歳)を自宅に呼び出し、背後から射殺、衣服を脱がせ屍姦した後、遺体の一部を生のまま食べ、また遺体を解体して写真を撮影、一部をフライパンなどで調理して食べたとされます。逮捕されるも心神喪失状態と判断、不起訴処分となり精神病院に入院、帰国後も都内の精神病院に入院しましたが、退院後はマスコミに有名人として扱われ、講演や雑誌への執筆も行いましたが、今は生活保護で生活しており、幼少の頃から食人の欲求が芽生えたと語っているそうです。

【人肉嗜食の例】
・1910〜34年 米国犯罪史で史上最悪の殺人鬼、400人を殺害、食人したフィッシュ(上述)
・1919〜24年 独 フリッツ・ハールマン 24人の男性を男色行為中に殺害、食人
・1950年代 米国 エド・ゲインによる連続殺人、食人および墓場からの死体遺棄、物品の作製
・1978〜90年 露 アンドレイ・チカチーロ 52人の女子供を暴行殺人、食人
・1981年 仏 日本人、佐川一政による「パリ人肉事件」(上述)
・1990年代初頭 米国 青少年ばかり17人を殺害、食人したダーマー(上述)
・2001年 独 アルミン・マイヴェス 希望者をインターネットで募り、応じた男性を殺害、食人

佐川一政と被害者
佐川一政(左)とその被害者

【人肉嗜食を題材とした作品】
・「雨月物語 青頭巾」(上田秋成):江戸時代後期の読本 東北の食人鬼と化した僧侶が改心する話
・「我が子を食らうサトゥルヌス」(フランシスコ・デ・ゴヤ):スペインの絵画
・スウィーニー・トッド:19世紀英国の様々な怪奇小説に登場する食人する殺人鬼
・「羊たちの沈黙」(トマス・ハリス):米国の小説、映画 人肉嗜好のハンニバル・レクター博士

フランシスコ・デ・ゴヤ我が子を食らうサトゥルヌス]
フランシスコ・デ・ゴヤ の「我が子を食らうサトゥルヌス」

レクター博士の写真
映画「羊たちの沈黙」のハンニバル・レクター(アンソニー・ホプキンス)


◇ 文化人類学的食人の概念

 主としてある集団で行われる飢餓に対する緊急避難的な食人や、単発で発生する精神障害に伴う人肉嗜食とは異なり、ある地域社会、部族、民族、国家で文化的な行為として行われた食人であります。その精神として、特定の社会において、同種である人間の体(肉体や内臓、脳など)を摂取することにより、自らに特別な効果や力、または栄誉が得られるとの観念が挙げられます。また、しばしばその社会の宗教観、自然の動植物との関連を崇拝する思想(トーテミズム)と密接に関係しているとされます。ここでは、族内外に対する食人の形態と、薬用としての食人を紹介します。

1.族内食人

 自分の仲間を食べることを「族内食人」と言います。死者への愛着から魂を受け継ぐという儀式的意味合いがあるされ、親族や知人たちが死者を食べることにより、魂や肉体を分割して受け継ぐことができるという考えであります。後述のニューギニア島の部族にはこの習慣が原因するプリオン感染が指摘されております。

2.族外食人

 自分達の敵を食べることは「族外食人」と分類されます。復讐など憎悪の感情が込められると言う指摘と、被食者の力を自身に取り込もうとする意図が考えられております。歴史上、各地の戦場で食人は行われており、これは必ずしも兵糧の補給のためでは無かったとされております。

3.薬用としての食人

 古くから死者の血肉が強壮剤や媚薬になるとする考えは欧州はじめ世界中に見られました。人間のミイラには一種の漢方薬として不老不死の薬効があると信じられていて、主に粉末としたものが薬として服用されました。また中国や日本で、肝臓や脳などを薬にして服用した時代もありました。現在でも、胎盤(プラセンタ)が美容と健康に有効とされており、馬、豚、羊に加えて人由来のものが食されましたが、これも広義には食人と考えられます。平成15年の薬事法改正で、人由来のものは医療用注射製剤以外は使用できなくなりました。


◇ 各地の文化人類学的食人

 以下、世界各地の文化人類学的食人を古い順にご紹介いたします。飢饉、食料不足に伴う非文化人類学的食人と薬用としての食人は省略いたします。

1.スペイン北部 アタプエルカ遺跡

 スペイン北部のアタプエルカ遺跡で発掘される「最初のヨーロッパ人」の遺骨は35万年前に遡り、20万年前以降のホモ・サピエンス・サピエンスに至るまで幅広い人類の生活の痕跡が発見されております。この先史人類たちが人肉を食べており、しかも、とりわけ子どもの肉を好んでいたことが明らかになっており。遺骨の分析によると、食人は、儀式としてではなく食用で行われていました。当時、食料や水は豊富にあり、イノシシやウマ、シカの狩猟も可能であり、食料不足で食人が行われたのではなく、敵対する相手を殺し、その肉を食べたと考えられております。

アタプエルカ遺跡 写真
スペイン北部 アタプエルカ遺跡

2.古代ギリシャ時代の遊牧民 アンドロゴバイ

 紀元前6世紀ころの古代ギリシャ時代に黒海の北(現在のウクライナ北部)に住んでいた遊牧民で、古代ギリシャの歴史家、ヘロドトスの記録中、「周辺のタウロイ,アガテュルソイ,ネウロイ,メランクライノイ,ゲロノイ,ブディノイ,サウロマタイら諸族の中では唯一、人肉を食す。」と紹介されており、「アンドロゴバイ」とは「食人族」の意味であります。

アンドロゴバイ 地図
紀元前6世紀の黒海周辺の民族

3.古代から近世の中国

 中国では古代から近世にかけて食人の習慣が非常に盛んでありました。紀元前500年頃、春秋時代では、「孔子は人肉を好んでいた」、「当時の食人は中国社会ではごく自然な行為であった」との説がありますし、宋の時代(960-1279年)の武装集団ほど頻繁に食人肉を行なったとされます。中国が他文化の食人と比べ特徴的なのは、食人が精神異常行為、宗教的行為、緊急避難行為などではなく、恒常的な食文化として根づいていたとされます。

4.アメリカ アステカ文明

 1428年頃から1521年まで北米のメキシコ中央部に栄えたメソアメリカ文明、アステカ帝国は、国家レベルで食人を制度化していた稀有な国家であり、各所で発生する戦争や反乱で得た捕虜を首都に送り、食糧として消費していました。生きた状態の生贄から黒曜石のナイフで心臓を抉り取り、神に捧げ、体の部分は投げ落として切り刻み、トウモロコシとともに煮込んで食べられたとされます。ただし、人肉を食すことが許されたのは上流階級のみだったとのことです。

アステカの絵文字 写真
アステカの絵文書;土鍋の中の人体と人肉を食べる人々

5.パプアニューギニア少数民族 フォレ族

 パプアニューギニアにフォレ族と言う少数民族がいて、この民族に特異的な風土病に、クロイツフェルツ・ヤコブ病に類似した病態の、クールー病と言う治療不能な神経の変性をもたらす伝達性海綿状脳症があります。この病原体に人プリオンが証明されており、その感染源として、同民族が葬儀に際して遺体を食する習慣があるための経口感染とされております。

6.チベット 宗教団体シャムバラ

 チベットでは、1930年代にシャンバラを標榜する宗教団体が信徒を御供にして人肉食儀式を行っていたという報告があります。

7.インド シヴァ教一派 アゴーリの行者

 インドではシヴァ教の一派であるアゴーリの行者が食人を行うとされます。彼らは神通力を得るためにガンジス川から水葬遺体を引き上げ、その肉を食するとされます。


◇ あとがき

 人の体(筋肉、内臓、脳)を食べるなど、考えたくもない気持ちの悪いことではありますが、飢餓や食物の不足とは別の理由で、社会習慣として、あるいは宗教の一環として、行われた歴史がありました。これは、好むと好まざるとに関わらず、また善悪の区別は問わず、人間の精神領域に起こった出来事と考えます。ネアンデルタール人は、次に現れる新人、ホモ・サピエンス(現生人類)により絶滅に追い込まれたとされますが、死者の遺体を丁重に扱い、埋葬の儀式を行う、現生人類に近い精神を持っていたと考えられ、それならば現生人類で行われてきた食人もネアンデルタール人がしていたとしても不思議はないと思う次第であります。

2017年 平成29年 新年 明けまして おめでとうございます


 今年も、スピリチュアルズムの勉強に励んでまいります。よろしくお願い申し上げます。

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