アセンションへの道程 〜ある外科医のスピリチュアル〜

アセンションを目指したある1外科勤務医のスピリチュアルおよびその周辺事項への探求をご紹介します

真実は? 9.11米国同時多発テロ事件 まずは公式発表から


 先日、ニューヨーク 9.11 悲劇の地「グラウンド・ゼロ」をご紹介し、最後の文章で「こうしたモニュメントを見るにつけ、実は上辺だけと感じる人、隠された真実に疑惑の目を持つ人、はっきりと怒りを覚える人が少なからずいることも忘れてはなりません。」と申しました。9.11に対する疑惑、それは日本ではあまり話題にされておりませんが、米国では3人に1人は疑っているとされます。久しぶりに「真実は?」、9.11米国同時多発テロ事件を検証いたします。

アメリカ同時多発テロ写真

 アメリカ同時多発テロ事件は、今から14年前、2001年9月11日にアメリカ合衆国内で同時多発的に発生した、航空機等を用いた4つのテロ事件の総称であります。航空機が使用された史上最大規模のテロ事件で、死者3,025人、負傷者6,291人にも及び、全世界に衝撃を与えました。その後、米国は、このテロに対する報復として、アフガニスタン紛争(2001年〜)およびイラク戦争(2003-2011年)を仕掛けております。


◇ 旅客機4機のハイジャック

 2001年9月11日朝、マサチューセッツ州ボストン、バージニア州ダレス(ワシントンD.C.近郊)、ニュージャージー州ニューアークを発った4機の旅客機が、モハメド・アタを中心とするアラブ系のグループによってほぼ同時にハイジャックされました。それぞれについて若干の詳細をまとめます。

1.アメリカン航空11便(ボーイング767-223ER)

 アメリカン航空11便は、ボストン・ローガン国際空港07:59発、ロサンゼルス空港行きで、乗員乗客92名でありました。

アメリカン航空11便 写真

 離陸から14分後、ボストン航空交通管制センターの管制官からの「アメリカン航空11便、高度を35,000フィートまで上昇してください」という指示に応答がなかったため、それ以前の段階でハイジャックがなされたものと考えられております。犯人は以下の通り発表されております。

 【アメリカン航空11便のハイジャック犯】
  モハメド・アタ(エジプト;操縦担当)
  アブドゥルアズィーズ・アル=オマリー(サウジアラビア)
  ワリード・アル=シェフリー(サウジアラビア)
  ワイル・アル=シェフリー(サウジアラビア)
  サターム・アル=スカーミー(サウジアラビア)

 操縦室へ侵入したハイジャック犯は機長と副操縦士を隠し持っていたカッターナイフで刺殺しコックピットを占拠、自らが操縦して、離陸から17分後の08:16、高度29,000フィートより規定の航路を逸脱し始めました。なお、凶器を持ち込み操縦室へ侵入した方法については現在も不明であります。
 08:23、客室乗務員の1人がアメリカン航空予約席係に「客室乗務員です。たったいま飛行機がハイジャックされました」と電話連絡、もう1人の客室乗務員もフライトサービスマネージャーに電話をしてハイジャックされたと報告し、彼女たちはハイジャック犯の座席番号も地上に伝えております。
 ハイジャック犯のリーダーであるアタより「我々は、ハイジャックした。静かにしていればお前たちは大丈夫だ。今から空港に引き返す。誰も動くな、何も問題ない。動けばお前たちの命も飛行機も危険にさらすことになる。大人しく座ってろ!」と乗客に機内放送でアナウンスを行いましたが、これはスイッチを間違えており、機内ではなく、ボストンの航空管制官へ送られました。
 08:26、機体が大きく南に航路を転じた頃、バージニア州にある連邦航空局指令センターが本部に緊急事態を告知、ボストン航空交通管制センターより、北アメリカ航空宇宙防衛司令部のニューヨーク州にある北東航空局に通報し、マサチューセッツ州にある空軍基地から2機のF-15緊急発進を要請しております。
 アメリカン航空11便は08:43、ニューヨーク、マンハッタンへと進路を変更し、ニューヨーク上空に来たところで異常な急降下を開始しました。フライトサービスマネージャーから「外に何が見える?」と言う質問に客室乗務員の1人が「タワーが見える、ビルが見えるわ」と答えております。
 08:46、11便は、約38,000 Lのジェット燃料を積んだまま、時速約750 km/hの高速で、世界貿易センター北棟(第1ビル、110階建て)の93-99階に北側から突入し、機体の全てがビル内に飲み込まれ、爆発炎上しました。突入の瞬間まで、客室乗務員たちは地上と交信しておりましたが、犯人を含む乗員乗客全員が死亡しました。

2.ユナイテッド航空175便(ボーイング767-222)

 ユナイテッド航空175便は、アメリカン航空11便と同じく、ローガン空港発、ロサンゼルス空港行きでありました。同機はボストン・ローガン国際空港を08:14出発、乗員乗客65名でありました。

ユナイテッド航空175便 写真

 175便は、航空管制からの問いかけに応答しなくなっていたアメリカン航空11便から発信されたモハメド・アタ自身の肉声を傍受しておりました。08:42、この不審な交信に関して175便と管制官が交信しましたが、それが175便の最後の交信となりました。

 【ユナイテッド航空175便のハイジャック犯】
  マルワーン・アル=シェッヒー(アラブ首長国連邦;操縦担当)
  ファイヤーズ・バニーハンマード(アラブ首長国連邦)
  ムハンド・アル=シャフリー(サウジアラビア)
  ハムザ・アル=ガームディー(サウジアラビア)
  アフマド・アル=ガームディー(サウジアラビア)

 ユナイテッド航空175便は、08:42-08:46にハイジャックされたとみられ、このときテロリストは棍棒、ナイフ、催涙神経ガススプレー、爆弾(爆発はさせなかった)を所持していたとされます。最後の交信から数分後、同機は航空管制の許可を得ずに針路を変更、08:47、アメリカン航空11便が世界貿易センター北棟に突入した直後、175便は航空機識別番号(トランスポンダ・コード)を変更しました。08:52には客室乗務員よりユナイテッド航空にハイジャックの通報がなされましたが、08:54、ユナイテッド航空からの交信には応答がありませんでした。
 09:03、175便は機体を傾けながらニューヨークの世界貿易センター南棟78-84階に高速で突入・炎上しました。機体は原形をとどめず、大半がビル内に飲み込まれました。

3.アメリカン航空77便(ボーイング757-223)

 アメリカン航空77便は、ダレス国際空港発、ロサンゼルス空港行きで、乗員乗客64名でありました。08:51から08:54の間にかけて完全にハイジャックされ、その直後に向きを北に変え、すぐに南へ転回し、しばらくして東へ進路を変えました。最初の針路離脱から3分間(08:50:51まで)は、管制官と機長による正常な通信がありましたが、その後は通信不能となっております。ペンタゴンへの激突までの間に、2人の搭乗者が地上と電話で連絡を取っていました。

アメリカン航空77便写真

 【アメリカン航空77便のハイジャック犯】
  ハーニー・ハンジュール(サウジアラビア;操縦担当)
  ハリード・アル=ミンザール(サウジアラビア)
  マージアド・ムーカド(サウジアラビア)
  ナワーフ・アル=ハーズミー(サウジアラビア)
  サリーム・アル=ハーズミー(サウジアラビア)

 09:38、ペンタゴンに突入し爆発炎上、機体は大破しました。激突の瞬間は、周辺の監視カメラなどによって撮影されており、また、目撃者も大勢いました。映像によると、ほぼ水平の状態で地面を滑走しながらペンタゴンに衝突、離着陸時の事故と違い、高速で建築物に激突、炎上したため機体の残骸はほとんど原形をとどめず、乗客乗員64名は全員犠牲となりました。


4.ユナイテッド航空93便(ボーイング757-222)

 ユナイテッド航空93便は、ニューアーク空港08:42発、サンフランシスコ国際空港行きで、乗員乗客40名でありました。09:24、93便は航空管制官から「他機、2機がニューヨークのWTCに突っ込んだので、ハイジャッカーには十分、注意してください」と警告を受け、09:26パイロットが管制官からの警告を確認しております。

 【ユナイテッド航空93便のハイジャック犯】
  ズィアド・ジャッラーフ(レバノン;操縦担当)
  アフマド・アル=ハズナーウィー(サウジアラビア)
  アフマド・アル=ナーミー(サウジアラビア)
  サイード・アル=ガームディー(サウジアラビア)

 その1分後、09:27、犯人らがコックピットに押し入り、操縦士と乱闘となった際に旅客機の高度が低下したことを管制官らは確認しています。09:28、管制官らは93便のコックピットで発せられた悲鳴を聞き、それから40秒後、再び管制官らは93便のコックピットで複数の悲鳴が発せられたのを聞いています。管制官らは93便へ応答を求めたが回答はなく、この時点で高度は700 ft (200 m) にまで低下していました。ハイジャックが発生してから、乗客10人と乗員3人は管制官や家族へ携帯電話や機内電話で連絡をしております。
 09:59、乗客がコックピットのドアを叩き壊そうとする音が聞こえ始めます。その音に混じって犯人が「ドアを押さえろ、絶対中に入れるな」と指示しているのが記録されております。10:00、機体が急降下、急上昇を繰り返し、10:01、犯人の「墜落させてやる、酸素を止めろ」との指示が記録されています。
10:03、同機は時速580 km/hの速度でペンシルベニア州ピッツバーグ郊外シャンクスヴィルに墜落しました(下現場写真)。乗客乗員40名全員が犠牲となりました。

ユナイテッド航空93便墜落地点


◇ 世界貿易センター(World Trade Center, WTC)の大惨事

1.アメリカン航空11便の北棟への突入、爆発炎上

 2001年9月11日、08:46、世界貿易センタービル・ツインタワーの北棟、93-99階の北側に、アメリカン航空11便が突入、爆発炎上しました。この時点では多くのメディアがテロ行為ではなく単なる航空機事故として報じました。当時のアメリカ合衆国大統領、ジョージ・W・ブッシュ氏も「第一報を受けた時点では航空事故だと考えた」と発言しております。

 「9.11テロ アメリカン航空11便が世界貿易センター北棟に突入した瞬間」YouTube

2.ユナイテッド航空175便の南棟への突入、爆発炎上

 1機目に続いて09:03、南棟78-84階付近にユナイテッド航空175便が突入、爆発炎上しました。2機目の激突は1機目の激突後に現場のテレビ中継を行っていた際に発生したため、前代未聞の衝撃的な映像を世界中の多くの人がリアルタイムで見る事になりました。なお、この時点では事故ではなく故意に起こされた事件であることが認識されております。

WTC2機目の突入

 「9.11テロ ユナイテッド航空175便が世界貿易センター南棟に突入した瞬間」YouTube

3.ツインタワーの倒壊とパンケーキクラッシュ説

 世界貿易センターのツインタワーは、建設当時の主力ジェット旅客機のボーイング707が突入しても崩壊しないよう設計されていたはずでした。しかし、実際に高速で突入した同サイズのボーイング767によってビル上部は激しく損傷、漏れ出したジェット燃料は縦シャフトを通して下層階にまで達し、爆発的火災が発生しました。火災の熱による鉄骨の破断でタワーは強度を失い、09:59、南棟が突入を受けた上部から砕けるように崩壊、北棟も10:28に南棟と同様、砕けるように崩壊しました。

911世界貿易センタービル倒壊写真

「倒壊する世界貿易センタービル 北棟」YouTube

 このツインタワー倒壊の原因論としてパンケーキクラッシュ説が言われていります。パンケーキクラッシュとは、建築物の柱がフロアを支えきれずに、上の階から下の階に向かってフロア自体が崩れ落ちるように倒壊する現象です。床が高熱により下方に湾曲しても起こり、倒壊したフロアが積み重なっている様子が、パンケーキを積み重ねた様子に似ていることからこう呼ばれます。世界貿易センタービル、ツインタワーの倒壊では、航空機の突入で発生した火災により、支持鉄骨が溶融・破断したことで、上層階部分のパンケーキクラッシュが生じ、これがツインタワー全体に波及した可能性が挙げられています。

4.世界貿易センター7号棟の倒壊

 旅客機の突入を受けた世界貿易センター、南北棟の倒壊から8時間遅れて、17:20、世界貿易センター7号棟(通称 ソロモン・ブラザーズ・ビル、47階建て)も倒壊しました。火災の熱で鉄骨の強度が落ちていたのに加えて、ツインタワーの崩壊による破片の直撃や大地震を上回る猛烈な縦揺れの影響で崩壊したとされています。

5.世界貿易センターにおける人的被害

 ツインタワーの人的被害は、特に北棟で大きく、死者は約1,700人(救護活動中の消防士を含む)でありました。特に突撃を受けた92階以上に被害が多く、この階以上の在館者全員が死亡したと言われています。それは航空機に突入されたフロアの階段が大きく破壊され炎上し、避難経路が遮断されたためです。
 一方、2機目の旅客機の突入を受けた南棟も同様に激しく炎上しましたが、こちらは旅客機が外側に少し反れて激突し、反対側の階段が損壊や延焼を免れたため、突入フロア以上でも延焼の少なかった部分にいた十数名は無事避難することができました。旅客機突入以前の避難者も含めると約7割の人が生還しているとされます。
 北棟と南棟の崩落による影響で、敷地内の他の4つのビルも崩落、炎上し、8時間後に敷地北隣の高層ビル、世界貿易センター7号棟も崩落し、以上、ニューヨークでの被害者は2,749人に及びました。


◇ アメリカ国防総省本庁舎(ペンタゴン)への旅客機突入

 2001年9月11日、09:38、アメリカ国防総省本庁舎(ペンタゴン)に、はジャックされたアメリカン航空77便(ボーイング757)が突入、爆発炎上しました。ビルの一部は炎上し、10:10には4階が崩壊、10:15には1階までが全て崩壊しました。77便の乗客・乗員64名は全員が死亡、国防総省職員189人が死亡しました。

911ペンタゴン写真

 アメリカン航空77便の突入は高速かつ水平であったため、ほぼ原型を留めぬほどの破壊であり、爆発炎上により機体の判別が困難なほどとされます。ビルの倒壊は5層になっているビル全体の1番と2番で抑えられました。この部分は長官執務室の反対側であり、ビルの補強工事中で普段よりも職員が少ないことが被害を抑えたとされます。
 なお、この直前に起きた世界貿易センタービルへの事件の影響で情報は錯綜し、ここでの最初の報道は単にペンタゴンが爆発炎上したというだけでありましたが、後に付近を通行中のドライバーや歩行者によってアメリカン航空機が北側から旋回して激突したとの目撃が証言され報じられました。さらに激突の瞬間の映像がペンタゴンの駐車場の監視カメラによって記録され、これはすぐにFBIによって回収、調査されております。


◇ アメリカ合衆国の対応

 第43代アメリカ合衆国大統領、ジョージ・ブッシュ氏の政権下にあったアメリカ合衆国は、9.11同時多発テロに対して以下の対応を行いました。

1.非常事態宣言

 ブッシュ大統領は速やかに非常事態を宣言しました。冷戦時代に設定された政府存続計画が初めて実行されました。世界貿易センタービルやペンタゴンへの攻撃がなされた後しばらくの間は、さらなるテロに備えて、州兵、予備役が動員されました。空港などには厳戒態勢が敷かれ、全ての国境が封鎖されました。また、連邦航空局の命令によりアメリカ国内の民間航空路の封鎖、アメリカ領空内への民間機の入域、通過が禁止され、領空内を飛行中の民間機は全て最寄の空港に強制的に着陸させられました。
 これらの措置は数日間続いた上、この措置が行われた地域はアメリカ本土のみならず、アメリカが航空管制を担当しているサイパンやパラオなどの太平洋諸国の一部地域や、北大西洋の一部地域など広範囲に及びました。これにより多くの外国人がアメリカ国内に足止めされた上に、多くの航空機が地上待機させられた世界各国の航空会社の運行が大混乱に陥りました。

2.犯人捜査

 この事件において、ハイジャック犯の、恐らくは機器操作ミスにより、乗客に向けての放送が管制塔に傍受されることとなり、コックピット内の会話が管制室に入り、アラビア語を話していることから、おそらくはアラブ人が犯人であることが早期に推測できました。
 また、客室乗務員は機内電話を使用して航空会社へハイジャックを報告し、犯人の特徴、人数と座席番号を伝えました。このため、航空会社は犯人の氏名、住所、電話番号からクレジットカードの使用履歴までを把握することが可能となりました。また、数名の乗客も手持ちの携帯電話や機内電話で家族や友人にハイジャックの事実を伝え、これらの電話の会話は殆どが機体の破壊の時まで続きました。この内いくつかの会話は録音されており、事件捜査に使用されました。

3.米国による犯人引渡し要求からアフガニスタン侵攻

 アメリカ合衆国政府はこれらの捜査の結果から、このテロ攻撃がサウジアラビア人のオサマ・ビンラディンをリーダーとするテロ組織「アルカーイダ」によって計画、実行されたと断定しました。これに対して、アルカーイダは否定しなかったが、肯定もしませんでしたが、米国政府は、彼らが潜伏するアフガニスタンのターリバーン政権に引き渡しを要求しました。
 しかし、ターリバーン側は、「証拠があれば引き渡す。しかし、今の段階ではアルカーイダのやったこととは断定できない」と主張し、引き渡しを拒否しました。これに対してアメリカ合衆国軍はアフガニスタンのターリバーン政権に対して攻撃を開始しました。なお、湾岸協力会議を構成するアラブ諸国もテロ攻撃を批判し、アフガニスタン侵攻を支持する声明を出しました。

4.その後、イラク戦争

 アフガニスタン侵攻に続いて、ブッシュ政権は、2002年、国際テロ組織とならず者国家と断じた「悪の枢軸:イラク、イラン、北朝鮮」との戦いを国家戦略とし、「アメリカの防衛のためには、予防的な措置と時には先制攻撃が必要」として推進する方針を決めました。これをもとに、2003年、アメリカ合衆国はイラクに対して大量破壊兵器を隠し持っているという疑惑を理由に、イラク戦争に踏み切りました。
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「中高年をどう生きるか?」 ある認知症の解説書より


 今回、アルツハイマー型認知症の勉強をして、ある認知症について書かれた一般向けの文庫本に出会いました。その最後の章に「中高年をどう生きるか?」と題して、人生における中高年〜老年期の生き方、その方法論から、その年代の意味までが論じられておりました。認知症の予防のみならず、人生観にも通ずる内容を、スピリチュアルのカテゴリで、全文の引用でご紹介いたします。出典は敢えて伏せておきます。

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中高年をどう生きるか? 〜 あとがきに代えて 〜

 「生きがい」とは

 人間は生きる喜びがなくては生きられません。朝目が覚めたとき、今日も一日何か楽しいことがある、何かしたいことがある、と心を燃やすことがたいせつです。
 健康に恵まれ、経済的にも心配がなく、周りとの人間関係がよければそれも幸福だといえましょう。しかし「生きがい」というのは明日に向かって希望を抱いて生きることであり、前向きに生きていこうという喜びだと思うのです。
 敬老の日のある新聞に、総務庁の「高齢者の健康に関する意識調査」が掲載されていました。それは六〇歳以上の三〇〇〇人の男女を対象としたアンケート調査ですが、それによると、「生きがいを感じている人」が七八・六パーセント、「生きがいを感じていない人」が一七・六パーセントというのです。
 生きがいを感じるのは、男性では仕事をトップにあげている人が多いのに対して、女性で仕事と答えた人は六番目でした。そのように、「生きがい」を感じる対象にも男女の差があるようです。
 今日では女性の就業率も高く、男女ともに仕事やつき合いで苦労する場面が多くなっています。その苦労を生かして、人生にプラスにしていくような心がけがたいせつです。適度のストレスは「生活のスパイス」だと思います。人生のさまざまな苦労も、それに打ち勝つことによって将来への生きる喜びになり、生きがいに転化できるのです。

 どんな生き方がよいのか?

 老後の生活をどうするか、それは四〇代後半から考えはじめたほうがいいでしょう。老化は四〇代から始まり、小さな字を読むのにメガネがほしくなる人もいます。「度忘れ」を自覚するのも四〇代前半です。このころから、少なくとも以下の三項目を念頭において生きることをお勧めします。その一つ一つを考えていきましょう。

 【中高年の生きる心得】
  1)自分のことは自分ですること
  2)趣味を持つこと
  3)人間関係をたいせつにすること

 自分のことは自分ですること

 よく世間では、出勤する男性に奥さんか母親がハンカチや靴下、ネクタイなどを差し出して世話をしている家庭がありますが、自分の身の回りのことは自分でするように心がけないと、あとでいちばん困るのは自分なのです。親や配偶者が病気になったり死別することになれば、物質的にも精神的にも、とたんに困ることになります。
 妻が亡くなったあと、半年から一年くらいの短い間にあとを追うようにして夫が亡くなることがあります。そのようなとき、世間では「あの夫婦は仲がよかったんだ」などとはやされることがありますが、実は夫が生活上自立しておらず、なんでも妻に頼っていた家庭だったというケースも少なくありません。妻が亡くなったあと、掃除、洗濯、炊事など何ひとつできないで途方に暮れた生活を送るうちに、ボケたり病気になって命を失うことになる場合がよくあるのです。
 逆に夫が亡くなった場合は、経済的な問題はあるかもしれませんが、妻のほうは日々の暮らしに支障はないわけですから、むしろ開放的になり、元気はつらつと社会的に活動しはじめる女性もよく見かけます。
 男性が自分で生活上のことを処理する習慣が身についていないと気づいたら、中年になってからでも遅くはありませんから、自立するように努力すべきです。

 趣味を持つこと

 趣味は若いころから持つように心がけることです。暇になったらやろうというのでは遅すぎます。やりたいことが思いついたらそれをメモしておき、休日などに一定の時間をとって、少しずつでも始めるとよいでしょう。そうすれば、定年になってもそのまま続けられます。
 ある老人学級での趣味についてのアンケートによると、盆栽や花作りなどの園芸が第一位でもっとも多く、次いで編み物、和裁、生け花などの手芸、カラオケ、詩吟、踊り、ダンス、音楽鑑賞、俳句・和歌などの順になっています。
 スポーツは自分ではやらなくても、テレビでプロ野球や相撲を見て楽しむ人はたくさんいるようです。
 趣味を持つことは、感性を豊かに保ち、生活にリズムをつけ、それを通して友だちができることなど、人生におおいにプラスになり、心身の老化を防ぐのに必要なことです。

 人間関係をたいせつにすること

 よく、「老後の生きがいは周りの人との人間関係の中にある」とまでいわれますが、友人、隣人、家族などとのつき合いは、人間の生きがいとして必要なものです。
 老後の話し相手が妻だけ、夫だけというのではいけません。男性なら仕事が思うようにはかどらないとイライラして落ち着かなくなり、黙り込んで気がふさぎがちになります。そんなとき、友だちに打ち明けて話を聞いてもらうことで、気持ちが晴ればれとすることがあります。
 女性なら子育てが終わり、子どもが手もとから離れるころ、孤独で憂うつな気分になります。このような心境を「空の巣症候群」と呼んでいます。それに女性は更年期を迎えますので、四〇代後半から五〇代前半にかかる前に将来の生活設計を考え、新しい生きがいを模索すべきでしょう。
 五〇代になると体の動きも鈍くなり、気分もむらになって感情でものごとを考えがちになります。不平やグチも出やすい年代です。文句やグチばかりこぼしていると、若さと美しさを失いますから要注意です。
 「夫在宅ストレス症候群」といわれる症状があります。夫が退職後毎日家にいると、妻のほうがイライラしてくるのです。とくに、夫が日々の暮らしの中で自立していなかったとか、趣味がないという人の場合に多いようです。定年後に持ち上がる離婚話には、この手の原因もあるのでしょう。
 夫婦でも、それぞれが独立した生活の部分を持っていることがたいせつです。好みも趣味も友人関係も違うわけですから、お互いに干渉し合わない生活の部分を持つことです。必要なときは相互に助け合う姿勢があればいいのです。そのように考えることができれば、「夫在宅ストレス症候群」などというのは解消されるでしょう。

 人間の完熟と尊厳とは?

 老人の生き方を思うとき、よく脳裏に浮かぶのはヘミングウェイの『老人と海』です。この小説は彼の最後の作品ですが、映画にもなりました。
 キューバの漁村に住むスペンサー・トレーシー扮する漁夫サンチャゴは、深いしわのある老いた顔をしていても、目にだけは希望と自信とがあふれていました。そのサンチャゴが小舟に乗ってメキシコ湾にこぎだしたところ、それまで八四日間のシケ続きで一匹の魚も釣れなかったのに、とうとう舟より長いマカジキがかかりました。そして三日間にわたる死闘の末、サンチャゴは巨大な魚にモリを打ち込んで、ようやくしとめたのです。
 サンチャゴは魚に向かって独り言のようにつぶやきます。
 「俺は、人間ってものがどんなことをやってのけられるかを、わからせてやるんだ。人間が耐えていかねばならないものを教えてやるんだ」(福田恒存訳)
 これはまさに、人間の尊厳とは何かを誇示しているのです。彼は巨大なマカジキを舟に縛りつけて港に向かうのですが、血のにおいをかぎつけてやってきたサメの群れと、再び壮絶な戦いをすることになります。そして疲労困憊してやっと港に着いたサンチャゴは、小屋に倒れ込んで寝入ります。
 この老人に親しみを持っているのは、近くに住むひとりの少年と沖の飛び魚たちだけです。
 「歳をとってひとりでいるのはよくない。話し相手がいるというのはどんなに楽しいことか」
 サンチャゴがそうつぶやきます。
 この映画では、孤独な老人の力強い意志と、生きようとする力をまざまざと見せつけられます。ヘミングウェイは強く豪快に生き抜くことを信条として老人の生きる理想像を描いたのですが、この小説の発表を最後に、突然愛用の猟銃で自殺してしまいました。どのように強い意志を持っていても、人間は最後には、一人でいる寂しさに耐えられないのかもしれません。

 もうひとつ、老人を取り上げた映画で強く印象に残っているものがあります。それはオーストラリアの『ある老女の物語』という題の映画です。
 主人公のマーサは七八歳になる女性で、ガンに冒されて体は老いても心は若々しく自立した生活をしています。訪問看護婦のアンナは毎日彼女を訪れ、ふたりの間は温かい友情で結ばれています。マーサは部屋に思い出の品々を飾り、植木を愛し、自室で生活したいと思うため、施設や病院に入ることを拒んでいます。
 優しくてユーモラスなマーサは、隣の部屋に住む孤独な男性の独居老人ビリーを見舞い、なにかと世話を焼きます。また、恋人が自殺して絶望的になり、「命の電話」をしてきた女性と相談員のやりとりをラジオで聞いて、ラジオ局にコールして、自分が肩代わりしてその女性を説得します。
 「私は病気の老人だけど、人生が好き、若い人も大好きよ…。世の中にはあなたと同じ不幸な人がたくさんいるわ…でも世の中には常に愛があり、いつか、きっと、あなたもめぐり合えるわ…」(清水馨訳)
 マーサはガンが進行して医師から一、二か月の余命しかないことを告知され、アンナとともに自室で最期を迎えようとします。そして生の終わりに臨んで、マーサはアンナにこう語りかけます。
 「全ては美しい、人生はとても美しいわ、忘れないで、愛をいつまでも大切に」
 人間は人に何かを与えようとして生き、いかにして誇りをもって豊かに最後まで生きるかということを感動的に教えられた映画です。人に与えるものがあると、自己の存在感が確かめられ、生きがいを持つことができるのです。

 映画二題を引用して、それぞれの主人公である老男女の生きざまを紹介しました。いずれも生き方の違いはあっても、老いを感じさせない心の若さがあることは確かです。ヘルマン・ヘッセは老年と死をテーマにしたエッセイの中で、「完熟するにつれて人はますます若くなる」と書いています。
 老年期は人生のゴールデンタイムであり、余生ではなくて、完熟を目指す年代です。そこで人生の意味をゆっくりと考え、かみしめるべきなのではないでしょうか。それは創造的な生活であり、その中でこそ人間の尊厳が確立されると思うのです。

 一九九八年九月吉日

 *****


 認知症に関する解説書ですので、認知症予防のための文章のように思われがちですが、そうではなくて、認知症とは別に、人生における老年期の位置付けを語った文章のように思います。老年期は「人生のゴールデンタイム」、「余生ではなく」、「完熟を目指す年代」、そして「人間の尊厳が確立」するときと、これは一つの哲学のように思えます。

アルツハイマー型認知症の病態とその予防


 少し前からアンチエイジングの一環として、カマンベール・チーズを1日、100gの1/6切れ(約17g)ずつ昼休みに摂取しています。そのご紹介の伏線として、今回は、アルツハイマー型認知症について、父親が残した著書などを読みあさってまとめてみました。まずは認知症全般の分類から、、、。


◇ 認知症の疫学・分類

 認知症(Dementia)は、後天的な脳の器質的障害により、いったん正常に発達した知能が不可逆的に低下する状態をいい、全世界には3560万人に罹患しており、毎年770万人ずつ増加して、2030年には2012年の約2倍、2050年には3倍以上になるとWHOは推測しております。
 ここでは、認知症を原因別に分類いたします。認知症の原因となる主な疾患には、脳血管障害、アルツハイマー病などの変性疾患、正常圧水頭症、ビタミンなどの代謝・栄養障害、甲状腺機能低下などがあり、これらの原因により生活に支障をきたすような認知機能障害が表出してきた場合に認知症と診断されます。

1.血管性認知症(Vascular dementia):全認知症の10-20%

  ・多発梗塞性認知症広範虚血型
  ・多発脳梗塞型
  ・限局性脳梗塞型
  ・遺伝性血管性認知症

2.変性性認知症

  ・アルツハイマー型認知症(AD, Alzheimer's dementia):全認知症の40-60%
  ・レビー小体型認知症(DLB, Dementia of Lewy bodies):全認知症の15-20%
  ・認知症を伴うパーキンソン病(PDD, Parkinson's disease with dementia)
  ・前頭側頭型認知症(FTD, Frontotemporal dementia)
  ・ハンチントン病(HD, Huntington disease)

3.感染症

  ・クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD, Creutzfeldt-Jakob disease)
  ・HIV関連認知症
  ・梅毒関連認知症

4.その他

  ・慢性硬膜下血腫
  ・正常圧水頭症
  ・甲状腺機能低下症


◇ アルツハイマー型認知症の概要・疫学

1.概要

 アルツハイマー型認知症(AD, Alzheimer's dementia、別名 アルツハイマー病)は認知機能低下、人格の変化を主な症状とする認知症の一種であり、脳血管性認知症、レビー小体病を抑えて全体の60-70%と、認知症の中では最も多い病態であります。

2.症状

 症状は進行する認知障害(記憶障害、見当識障害、学習障害、注意障害、空間認知機能や問題解決能力の障害など)であり、重症度が増し、高度になると摂食や着替え、意思疎通などもできなくなり最終的には寝たきりになります。階段状に進行する(すなわち、ある時点を境にはっきりと症状が悪化する)脳血管性認知症と異なり、徐々に進行する点が特徴的です。症状経過の途中で、被害妄想や幻覚(とくに幻視)が出現する場合もあります。暴言・暴力・徘徊・不潔行為などの問題行動(いわゆるBPSD; Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)が見られることもあり、介護上大きな困難を伴うため、医療機関受診の最大の契機となります。

3.疫学

 アルツハイマー型認知症の全世界の患者数は210~350万人ほどで(2010年)、大部分は65歳以上に発病するが、4-5%ほどは若年性ADとしてそれ以前に発病します。65歳以上人口の約6%が罹患しており、2010年では認知症によって48.6万人が死亡したとされます。本疾患は、先進国にとって最も金銭的コストが高い疾患となっています。平均寿命の短いアフリカは別として、先進諸国間でも、下図のごとく罹患率には地域差があります。

アルツハイマー病その他痴呆の世界分布
アルツハイマー病発生の題名

4.分類

 アルツハイマー型認知症は発症年齢で65歳を境に、それ以前の早発型と65歳以降発症の晩期発症型とに大別され、早発型のうち18歳から39歳のものを若年期認知症、40歳から64歳のものを初老期認知症と言います。早発型アルツハイマー病は常染色体優性遺伝を示す家族性アルツハイマー病である可能性が高いとされます。

 ○早発型(<65歳):常染色体優性遺伝の可能性(数%とされる)
  ・若年期認知症(18-39歳)
  ・初老期認知症(40-64歳)
 ○晩期発症型(65歳以上)


◇ アルツハイマー型認知症の臨床像

 アルツハイマー型認知症の病気の進行は大きく3段階に分かれ、現在、根本的治療法がないため、下記の如く慢性進行性の経過をとります。

1.第1期

 記銘力低下で始まり、学習障害、失見当識、感情の動揺が認められるが、人格は保たれ、ニコニコして愛想は良いとされます。

2.第2期

 記憶、記銘力のはっきりとした障害に加えて高次機能障害が目立つ時期で、病理学的な異常が前頭葉に顕著なことを反映して視空間失認や地誌的見当識障害が見られます。この時期には、外出すると家に帰れなくなることが多く、更に周囲に無頓着となったり徘徊や夜間せん妄も見られます。特に初老期発症例では、感覚失語、構成失行、観念失行、観念運動失行、着衣失行などの高次機能障害も稀ではありません。

3.第3期

 前頭葉症状、小刻み歩行や前傾姿勢などの運動障害もみられ、最終的には失外套症候群(眼は動かすが、身動きひとつせず、言葉も発さない状態)に至ります。


◇ アルツハイマー型認知症の病理

 アルツハイマー型認知症の病理初見の特徴は、1)神経細胞の変性消失とそれに伴う大脳萎縮、2)老人斑の多発、3)神経原線維変化(neurofibrillary tangle, NFT)の多発、の3つであります。1980年代になって、老人斑がアミロイドβタンパクの凝集蓄積であること、神経原線維変化は微小管結合タンパクのひとつであるタウが凝集線維化したものであることが明らかになりました。

1.老人斑(Senile Plaque、アミロイド斑)

 老人斑は鍍銀染色で濃染する径数10-100μmほどの斑状の構造物で、細胞外に存在し、アルツハイマー型認知症では大脳皮質に大量に出現します。その本体は、分子量約4kDの小さな蛋白質で38-43個のアミノ酸からなり、695~770個のアミノ酸からなるアミロイド前駆蛋白よりプロアーゼによって切り出されて賛成されるアミロイドβの凝集蓄積であります。アミロイドβの蓄積がある程度以上になると、老人斑内外の神経突起およびグリア細胞に変性が生じるとされます。

アルツハイマー 老人斑
老人斑

アミロイドβ
アミロイドβリボンモデル

2.神経原線維変化(neurofibrillary tangle, NFT)

 神経原線維変化(neurofibrillary tangle, NFT)は神経細胞の細胞体に生じる繊維状の凝集体で、その微細構造は長径10nmのフィラメントが2本ずつらせん状のペアを作った線維の集合体であり、規則的なくびれ構造をもちます。らせん状のペアを作った線維を対らせん線維(paired helical filament, PHF)と言い、このPHFはタウが重合してβシート構造を形成することによって生じます。

アルツハイマー 神経原線維変化
神経原線維変化

3.アミロイドアンギオパチー

 アルツハイマー型認知症では脳実質に出現する老人斑に加えて、脳血管壁にコンゴーレッド陽性になるアミロイドが沈着する脳血管アミロイドーシス(脳アミロイドアンギオパチー, CAA)が高率に併発し、血管アミロイドは中膜と外膜の間の基底膜にまばらに沈着し、進行的に全周性に沈着がみられ平滑筋細胞の消失を引き起こし、これが脳出血を起こす原因となります。特に家族性アルツハイマー病で多発する傾向にあります。

アミロイドアンギオパチーのMRI
アミロイドアンギオパチーの脳MRI


◇ アルツハイマー型認知症の原因論

 上述の如く65歳未満発症の早発型では常染色体優性遺伝による家族性の発症が認められますが、家族性ではない孤発性と家族性とでは病理変化が極めて酷似していることから、両者はほぼ同一の過程を経ると考えられております。アルツハイマー型認知症の原因論として、孤発性にしろ家族性にしろ。アミロイドβの産出の上昇、あるいは分解不全による同物質の蓄積を開始点とするアミロイドカスケード仮説が最も有力とされます。以下、原因論を列挙して、簡単に説明を添えます。

1.アミロイドカスケード仮説

 アミロイド前駆物質は各種プロテアーゼによる切断を受けることで各種のアミロイドβ分子種を産出します。アミノ酸数からアミロイドβ40と42があり、とりわけアミロイドβ42は高い凝集性から病原性が強いちされます。まずアミロイドβの蓄積が起こり、そこにタウの凝集、蓄積が続き、神経の変性(細胞死)が起こると言うプロセスです。

2.感染症原因仮説

 一般的な肺炎の原因である、クラミジア・ニューモニエ(Chlamydia pneumoniae)とアミロイド斑との関連性が、非遺伝性アルツハイマー病患者の脳で確認されております。また、単純ヘルペス・ウイルスに感染していると、アルツハイマー型認知症の発症リスクが2倍になるとする報告があります。

3.アルミニウム原因仮説

 アルミニウム・イオンの摂取がアルツハイマー型認知症の原因のひとつであるという説もかなり有力であります。第二次世界大戦後、グアム島を統治した米軍兵に認知症の罹患率が異常に高いことが判明し、グアム島の地下水のアルミニウムイオン濃度が非常に高かったことから始まりました。同様なことが、最近になっても、1989年のイギリスでアルツハイマー型認知症患者が多い地域の飲料水の検査で認められました。動物実験ではアルミニウム・イオンの投与でアミロイドβの沈着が促進されることが証明されております。

 アルミの鍋には要注意!
 鉄欠乏の女性は要注意!


 アルミの鍋に食塩水を入れて30分間沸騰させた後にアルミニウムの濃度を測定したところ、20.6 ppmと言う WHO基準値の100倍の濃度のアルミが解けていたとの実験報告があります。また、鉄欠乏性貧血に陥りやすい女性の方がアルツハイマー型認知症の患者が多く、その原因として、鉄欠乏がアルミニウムの吸収を促進する作用があると言われております。

4.インスリン分解酵素仮説

 インスリンの分泌を増やす糖質中心の食習慣、運動不足、内臓脂肪過多がアルツハイマー病の原因となるアミロイドβの分解を妨げているとの説であります。アミロイドβも分解する能力のあるインスリン分解酵素が糖質中心の食生活習慣によって血中のインスリンに集中的に作用するため、脳でのインスリン分解酵素の濃度が低下し、アミロイドβの分解に手が回らずに蓄積されてしまうとの理論であります。


◇ アルツハイマー型認知症の治療

 アルツハイマー型認知症に対しては、近年治療薬の開発によって薬物治療が主に行われるようになってきましたが、現在のところ根本的治療薬は見つかっておりません。現在、認可されているアルツハイマー型認知症治療薬は以下の通りです。

1.コリンエステラーゼ阻害薬:ドネベジル(アリセプト)

 脳内の神経伝達物質であるアセチルコリンの活性がアルツハイマー型認知症では低下していることが分かっており、その分解酵素であるコリンエステラーゼの活性を阻害する薬剤であります。

2.N-メチル-D-アスパラギン酸阻害薬:メマンチン(メマリー)

 海外の研究で、ドネベジル単独群よりもメマンチン併用群で有意にアルツハイマー型認知症の症状改善が見られたとされています。


◇ アルツハイマー型認知症の危険因子と予防

 最後に、同疾患の危険因子とその予防について触れて参ります。危険因子として、年齢、家族歴、ApoEe4などの遺伝子型、高血圧、糖尿病、喫煙、高脂血症、クラミジア肺炎球菌への感染、ある種の生活習慣などが挙げられます。生活習慣を改善することにより、かなりの効果が期待され、それはすなわちアンチエイジングにも通ずるものであることがよく解ります。

1.食習慣

 魚油、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)などのω(オメガ)3不飽和脂肪酸の摂取、野菜果物(ビタミンE、ビタミンC、βカロテンなど)の摂取、赤ワイン、コーヒー(ポリフェノール)の摂取などが本症の発症を抑えることが証明されております。1日に1回以上魚を食べている人に比べ、ほとんど魚を食べない人は本症発症が約5倍であるというデータがあります。また、米国の加齢研究所は「精製された炭水化物(例えば白い砂糖)は同疾患の罹患率を上げる可能性がある」と述べています。
 また、上述のごとくアルミニウム・イオンの摂取がアルツハイマー型認知症の原因のひとつとされておりますので、アルミの鍋、ヤカンは使用しないことも本疾患の予防になろうかと存じます。

2.運動習慣

 有酸素運動で高血圧やコレステロールのレベルが下がり、脳血流量が増すため発症の危険が減少します。ある研究では、普通の歩行速度を超える運動強度で週3回以上運動している者は、全く運動しない者と比べて、発症の危険が半分でありました。

3.知的生活習慣

 テレビ・ラジオの視聴、トランプ、チェス、麻雀などのゲーム、文章を読む、楽器の演奏、ダンスなどをよく行う人は、本症の発症の危険が減少するという説があります。

4.喫煙

 自らタバコを吸う、能動喫煙のみならず、非喫煙者であっても、受動喫煙でタバコから出る有毒物質の影響を受けることで発症率が高まるとされます。

5.睡眠不足

 マウスの動物実験で、睡眠中に脳内のアミロイドβが減少し、起床中に蓄積することが証明されており、睡眠時間の短いマウスではアミロイドβの蓄積が進行し、不眠症改善薬を与えると改善したとされます。

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 アルツハイマー型認知症の予防
  ・ω3不飽和脂肪酸の摂取
  ・ビタミンC, Eの摂取
  ・ポリフェノールの摂取
  ・アルミ製の鍋、ヤカンを使用しない
  ・糖質制限
  ・有酸素運動
  ・知的生活
  ・禁煙、受動喫煙の排除
  ・睡眠


 本ブログで取り上げたものばかりです!!(笑)

現代医療の歪み 医原性被曝の実際


 現代の医療について否定的な見解を述べる方が現れてきて、もしかしたら、その先駆的な人物は慶応大学医学部放射線科の 近藤 誠 博士 かも知れません。そしてまた、そうした流れに抵抗する著書も見られます。

医療否定とその否定本2冊

 こうした現代医療を否定する考え方について、現実に臨床医であり、しかも、最も否定の対象となるがん治療に携わる者として、極めて慎重な言動が求められると自負しております。場合によっては、自らがこれまで行って来た診療を否定せざるを得ないこともありますし、今現在、行っていることについて方向転換を余儀なくされることもあるでしょう。一緒に仕事をしている同僚に対して、その診療内容を否定することも求められるかも知れません。ここでは、コンピューター断層写真(Computed Tomography, 以下CT)その他による医原性被曝の弊害を取り上げます。


◇ ある病院、医療ビジネスのためのCT?

 これまで同様、臨床の現場について、場所と時期は特定いたしませんし、フィクションも含まれることを申し上げておきます。ある病院で、入れたばかりのCTをやたらと使いたがっておりました。当然と言えば当然で、購入費用が何千万ですから、早く元を取りたいところでしょう。

CTの写真

 実は私も、別の機会にCTの撮影を受けたことはありますが、確かその時の窓口での支払いが2万弱であったと記憶しています。外来再診料を差し引くとCTだけで1万数千円の費用であり、3割自己負担で計算すると、CT検査1回で病院に入る保険診療は4〜5万円と言うところでしょうか? デジタル化で、フィルムに焼きつけることはないので、出費は電気代くらいで、4〜5万円は丸々病院の収益になります。ウン千万の機械であろうとも、「チリも積もれば…」で1000 〜 2000回も撮影すれば、元を取れると言うところでしょうか。

 1回のCT撮影で病院の収益は4〜5万円くらい?

 さて、先述の病院に話を戻して、、、。とにかくCTを取りまくります。食道癌、胃がん、大腸がん、肝臓がん、患者は治療と検査・診断と、どちらか分からないまま、ただ従うだけで、半年間に10数回の胸腹部CTを撮られたりしていました。


◇ 自然および人工的放射線被曝と国および世界の基準

 医原性放射線被曝をご説明する前に、日常生活における自然および人工的放射線被曝とそれに伴う国および世界の基準を調べました。今後のすべての単位はSv(シーベルト)で示します。
 当然のごとく日常生活において我々は僅かばかりでありますが、放射線を浴びております。この自然被曝が最も強いところはブラジルのガラバリと言うところで、年間に10 mSv(ミリシーベルト)に及ぶとのことでした。世界の平均が2.4 mSvで日本は1.4 mSvの被曝線量とのことです。
 自然の放射線と異なり、原子力発電所の技術者やレントゲン技師のように、放射線に従事する者は人工的な放射線に暴露されております。これに対しては50 mSvを年間の被曝線量の限度と基準を設けており、5年間では100 mSvが限度とされます。また、この100 mSvと言う値は、原発事故のような事態で、放射線従事者が1回の緊急作業で許容される被曝線量とされております。ただし、福島第1原発に限り、この1回の緊急作業における被曝線量は250 mSvまで引き上げられております。

自然および人工的被曝線量と世界基準


◇ 放射線検査による医原性被曝線量

 放射線検査による医原性の被曝線量を表にしました。あくまでもこれらの数字は目安であって、病院や機械によって幅があります。CTは全例、単純+造影での被曝線量となっておりますが、ダイナミックCTであったり、造影早期と後期と二相での撮影では被曝線量は増加します。また、従来のヘリカルCTに比べて現代普及しつつあるマルチスライスCTは、一般的に被曝線量が多いとされております。その他、連続撮影、例えば胸腹部や腹部骨盤のような場合は、胸部と腹部、腹部と骨盤部と分けて撮影するよりも被曝線量は少ないとされます。

医原性放射線被曝 表

 医者になって四半世紀を超えておりますが、これまでX線検査での被曝を勉強したことはなく、恥ずかしくも、少し驚きがあります。


◇ 放射線被曝の人体への影響

 最後に放射線の人体への影響をまとめました。表ん被曝線量の数字はしきい値と言って、その値以上になると障害が発生する危険性がある、そういう値であります。現在までのところ100 mSv以下での人体への影響は確認されていないとのことです。

放射線被曝線量別の人体への障害 表


◇ おわりに

 ある患者に病気、病態があって、それに対する現代医療が完備されていますが、病気、病態に対する治療や検査に、医療ビジネスの観念が加わると、そこには患者自身は不在となってしまいます。下手すると、患者にとっては大きなデメリットにも繋がり兼ねない、そんな、本末転倒な医療が現実にあります。医原性被曝はまさに現代医療の歪みの一つであります。

 「身近な病院でやたらとCTを撮る病院がありましたらご用心!」、と言うことですね。