アセンションへの道程 〜ある外科医のスピリチュアル〜

アセンションを目指したある1外科勤務医のスピリチュアルおよびその周辺事項への探求をご紹介します

大人の発達障害


 仕事柄、精神的ストレスなどの心因性の問題が消化器症状として現れる患者にしばしば接します。はっきりと胃十二指腸潰瘍や過敏性腸症候群などの疾病と言うかたちである事も、胃腸炎や胃もたれのようなものな漠然としたものであることもあります。そうした患者たち、とりわけ20〜30代の若者の中に、よく話を聞くと、どう言うわけか、周囲とのコミュニケーションが上手に取れない、健全な人間関係を作れない、仕事に打ち込めない、などの元々の人格的異常が関与しているケースがあります。ここでは、その代表的な病態として、最近、よく話題に挙がる「大人の発達障害」について、その原因、病態、診断と治療など、様々なページから拾って来ましたのでご紹介いたします。


◇ はじめに

 大人の発達障害は脳機能障害の一種です。先天的な異常であるため2, 3歳頃より特性が出始めるとされますが、知的障害を伴わない場合は見過ごされ易く、学童期から思春期にかけて集団生活への不適応が明らかになります。それでも、学校の成績に問題がなければ、「ちょっとずれている」、「天然ボケ」、「空気読めない」などと言われる程度に留まり、発達障害として認知されないことがほとんどです。
 ところが、社会に出ると困難さが一気に表面化します。社会人になると、周囲の人間は友達やクラスメートばかりではなくなります。多くの人間関係が仕事を共にする事務的なものであり、仕事を通じて信頼感や共感を得る存在となります。社会に出ると、世の中には「こんなことは言われなくとも解るはず」という暗黙の了解や大人のルールが数多くあって、そうした目に見えない常識を理解しにくいのが発達障害の特徴の一つですので、主として職場における集団の中で孤立したり、対人関係がうまくいかないことがしばしばとなります。私生活においても、異性と交際できない、友達がいない、注意力・集中力がない、そんな人間です。
 さらには、発達障害の人は他の人とコミュニケーションが上手にできません。視野が狭く、己の価値観が絶対ですし、一方で集中関心を保つことも平静な心でいるのも苦手ですから、これらに伴う、社会生活における様々な困難に直面する人であります。
 誰もが身近な存在に、もしかしてあの人がそうかも?、と思うことがある、病気ではないようで実は深刻な病態が「大人の発達障害」にあります。


◇ 大人の発達障害の概念/分類/疫学

 大人の発達障害の概念と簡単な分類、疫学をご紹介いたします。

1.子供の「発達障害」とは別のものとしての扱い

 ただ単に「発達障害(Developmental disability, DD)」と言うと、子供が、遺伝的素因、胎児期や出生児の状態、感染症、環境因子ななどにより、発達の過程において障害が生じ、肉体的、精神的な不具合が生ずる病態が含まれて来ますが、ここでは主として成人になってから発症するもののみを取り上げますので、「大人の発達障害」と明記する事で別のものとして扱ってまいります。

2.大人の発達障害の概念

 大人の発達障害は、発達の遅れと言う意味ではなく、脳の認知機能の障害のために、他人とコミュニケーションをとったり、暗黙のルールを守ったり、集中関心を保ったり、ミスや抜け漏れなく社会生活を送る事ができない、社会不適応を起こす状態であります。認知機能とは、目や耳などの感覚器官から入って来た情報を記憶と照らし合わせて、自分の取るべき行動を判断するまでの一連の処理能力を言いますが、大人の発達障害では、この認知機能に不具合が生じており、ある種の情報は的確に処理できるのに、ある種の情報にはうまく対応できない、処理能力に偏りが見られるのが特徴です。

3.大人の発達障害の分類と疫学

 大人の発達障害は以下に分類され、それぞれの発生頻度を%で示します。

 ○ 自閉症スペクトラム(Autism Spectrum Disorder, ASD)1.5〜2.6 %
  ・知的障害を伴う自閉症(Autism、カナータイプ)
  ・高機能自閉症(high functioning autism, HFA)
  ・アスペルガー症候群(Asperger syndrome, AS)
 ○ 注意欠如多動性障害(Attention deficit hyperactivity disorder, ADHD)5.0〜11.0 %
 ○ 学習障害(Learning disorder, LD)3.2〜4.5 %

 続いて、個々の発達障害について、病態、症状をご説明いたします。


◇ 自閉症スペクトラム(Autism Spectrum Disorder, ASD)

1.自閉症スペクトラムの概念の始まり

 「自閉症」と言う言葉は1943年、米国の精神科医 レオ・カナー 氏の論文で初めて使われました。ここでは、社会性や言語発達能力に重い障害が見られる子供たちを「早期幼児自閉症」として、知的障害、精神発達遅滞を伴うものと扱われておりました。その1年後、オーストラリアの小児科医 ハンス・アスペルガー 氏が「自閉的精神病質」と題した論文で、カナー 氏の症例と共通する特徴を持ちながら、言語発達の遅れや知的障害が見られない病態を報告しました。あまり注目を集めることはありませんでしたが、これが「アスペルガー症候群」の始まりでありました。
 1981年、英国の児童精神科医 ローナ・ウィング 氏は、カナー 氏が報告した症例とアスペルガー 氏の症例は本質は同じと考えました。彼は言語能力や知的レベルで病態を分けるのではなく、自閉症とアスペルガー症候群、その周辺にある自閉性障害すべてを含めて「自閉症スペクトラム」と呼ぶことを提唱しました。「スペクトラム」とは「連続性」と言う意味であり、病態の横の繋がりを指します。

2.自閉症スペクトラムの「三つ組の障害」

 ウィング 氏は自閉症スペクトラムの特徴として以下の「三つ組の障害」を提唱しております。それぞれの障害は個々に解説して参りますが、この3つの障害が現れている場合に自閉症スペクトラムと診断されます。

【三つ組の障害】
 ・社会性の障害:他人とうまく交流できない
 ・コミュニケーションの障害:言葉や表現を用いた意思表示ができない
 ・想像力の障害:想像力が乏しく、独特のこだわりがあり

3.自閉症スペクトラムの3病態とその位置付け

 自閉症スペクトラムには、上述の如く、知的障害を伴う(古典的)自閉症(Autism、カナータイプ)、高機能自閉症(high functioning autism, HFA)、アスペルガー症候群(Asperger syndrome, AS)に分類され、知的能力やコミュニケーション能力が低いレベルから高いレベルまで幅が広く、これらは、スペクトラム、連続した病態であると考えられております。

 ・知的障害を伴う(古典的)自閉症(カナータイプ):言語・知的発達に遅延あり
 ・高機能自閉症:乳幼児期に言語発達はあるが成長とともに問題は目立たなくなる
 ・アスペルガー症候群:言語・知的発達に遅延はないが言葉の使い方が特徴的

自閉症スペクトラムの概念 図

4.社会性の障害

 自閉症スペクトラムの最も特徴的な症状が社会性の障害であり、それはそのまま対人関係を作るのを難しくさせます。具体的は病態を箇条書きに説明いたします。

1) 他人に対する思いやり・配慮の欠如

 対人関係において、相手の気持ちを汲み取り、場の雰囲気にふさわしい言葉を投げかけることで良好な人間関係を作り、少なくとも不快感や敵対心を持たれないようにするのが人間として正常な対応で、こうした対人関係の能力を「社会性(ソーシャリティ)」と言います。自閉症スペクトラムの人にはその能力はありません。状況がどうであれ、相手が誰であろうと意に介さず、常に自分中心、自分の思う通り、自分にプラスになることしか考えません。これでは友達はできませんが、友達ができないことを寂しいとも思いません。

2)マナーやルールを理解できない

 犯罪に繋がるような大きな法律は別としても、人間社会にはマナーや暗黙のルール、集団における小さな取り決めがあります。これを理解できない、守れないのが自閉症スペクトラムの人です。例えば女性の年齢や容姿についての言動や、学歴、家柄による差別発言など、人間社会では通用しないマナーからの逸脱があります。相手との距離感が掴めないこともあり、会話において、過度に大声をあげたり、逆に目線を合わせられないのも自閉症スペクトラムの人独特のマナーです。
 ルールや取り決めについては、刑法や交通法規に及ぶ単純なものまで社会的なものを守る知識はありますが、明文化されていないルールを守ることはできません。予定表にすでに書かれた他人の予定を無視して自分の予定を押し通したり、小さな社会において皆で決めたルールを守れません。嘘をつくのは日常茶飯事ですし、人間として当たり前な立ち振る舞いができずに、信じられない行動をとります。集団の中にいても、自分の世界に浸り、周りに関心を示さない、周りに従わないとも言えます。

3)他人に過剰に気を使うタイプも

 自閉症スペクトラムの人は自己本位やマイペースと思われがちですが、逆に周囲に対して必要以上に気を使うタイプもいて、これもある意味では自己本位でマイペースと言えます。若いときより、「人の気持ちが解らない」、「空気が読めない」と言われ続けた結果、常に人から嫌われるのではないか?、と言う怯えがあって、たった数分の遅刻など小さなミスに対して何度も謝罪したり、必要以上に丁寧な言葉を発したりします。

自閉症 社会性の欠如の図

5.コミュニケーションの障害

 自閉症スペクトラム内でも言語発達能力の高低はありますが、共通しているのは「他人と共感したり、意思疎通を図ることが困難なため、正常な対人関係を築きにくい」と言う点で、これをコミュニケーションの障害と言います。

1)独特な言葉の理解の仕方とイントネーション

 相手の気持ちを察することができないため、言葉と言葉のキャッチボールにはなりません。一方的な会話は独りよがりで、また抑揚がなく無表情、身振り手振りもないため不自然な話し方になります。

2)言外の意味が通じない

 社交辞令や皮肉など、言外の意味、微妙なニュアンスを理解できないため、他人の言葉をストレートに受け止める、間に受けることがしばしばで、それに伴うトラブル、空気読めないが後を絶えません。

コミュニケーション障害

6.想像力の障害

 自閉症スペクトラムの人は、想像力の障害があり、柔軟な発想を持つことができず、また特定のものに対する独特のこだわりがあるため、それに伴う諸症状が見られます。

1)限定反復的行動

 起床から食事、出勤、退社、就寝まで時間をきっちりと決めて、仕事も一定の手順に頑固なまでに拘ります。物事をシステム化することに強い安心感を抱き、それを日々実践しようとします。

2)急な変更に柔軟な対応ができない

 予定通りに行かないことが生ずると不安や恐怖に陥り、ひどく混乱した状態となります。これは、物事の流れを読んだり、この先どうなるかと言ったことを想像する能力に欠けるからで、予定外のことが起こると柔軟に対応することができないのです。

3)特定なものに対する拘り

 日常の限定反復的行動は、意識の持って行き先をも限定させます。狭い興味の対象に執着して、その興味を長い間持続します。そうすることで安心感を得ると考えられており、凝り固まった拘りが周囲に害を及ぼす場合はしばしばです。一方、独特の強い興味は並外れた集中力を生むこともあり、芸術や研究分野で大きな仕事をなすこともあります。

4)変化に富むものが苦手、変化のないものが好き

 想像力の障害がある自閉症スペクトラムの人は、変化をすごく嫌うため、人の気持ちの変化にも不安を覚えることが多く、ロボットなどの機械や心変わりしない動物を好む傾向にあります。

7.周囲への迷惑が解らない

 自閉症スペクトラムは、他者の考えや心情をくみ取ることができない、社会性の障害、コミュニケーションの障害があるため、相手にどう思われているかと言うことに気が回りません。周囲への迷惑を「わからないからやってしまう」と言う状態です。

自閉症スペクトラム 想像力の障害 図


◇ 注意欠如多動性障害(Attention deficit hyperactivity disorder, ADHD)

 成人期にまで残りやすい大人の発達障害に「注意欠如多動性障害(ADHD)」があります。読んで字のごとくの性格で、一言で言えば「落ち着きがない」状態です。

1.注意欠如多動性障害の3つの特性

 注意欠如多動性障害には3つの大きな特性があります。

 ・多動性(転勤性):気が散りやすく、何かをやりかけのまま別のものに夢中になる
 ・衝動性:外界の出来事に心が動かされやすく、カットなって怒鳴ったりキレたりする
 ・不注意:ミスや物忘れが多く、整理整頓ができない

2.感度が高くトレンドに敏感

 注意欠如多動性障害の人が、集中力が持続しないのは、刺激に敏感で、新しいものに接することに満足する心理状態にあるからです。自閉症スペクトラムの人が興味の対象が限定的で「狭く深い知識を持つタイプ」であるのに対し、注意欠如多動性障害の人は様々な分野に渡り「広く浅い知識を持つタイプ」と言えます。

3.周囲への迷惑を理解

 自閉症スペクトラムと注意欠如多動性障害の大きな違いに、自分の行う周囲への迷惑への理解があります。自閉症スペクトラムではその認識が欠落していたのに対し、注意欠如多動性障害の人は自分の衝動的行動が周囲に迷惑をかけ、不快な思いをさせることを理解できます。自閉症スペクトラムが周囲への迷惑を「わからないからやってしまう」のに対して、注意欠如多動性障害は「いけないこととわかっていながらやってしまう」と言うことです。

4.自閉症スペクトラムとの合併

 自閉症スペクトラムと注意欠如多動性障害では、診断基準や医学的定義から見て別の障害のように見えますが、一人で両方を合併するケースは少なくありません。自閉症スペクトラムの特性を持つ人が、不注意や衝動性も併せ持ち、注意欠如多動性障害の診断をも満たすケースは少なくないとのことです。ある時は自閉症スペクトラムの特性が出て、ある時は注意欠如多動性障害の症状が発言する、当然のごとく、生きにくさは強く、治療に難渋するとされます。

注意欠如多動性障害 症状


◇ 学習障害(Learning disorder, LD)

 発達障害には「学習障害」が含まれます。これは、基本的には全般的な知的発達に遅れはないものの、「聞く」、「話す」、「読む」、「書く」、「計算する」又は「推論する」能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指すものであります。学習障害は、その原因として、中枢神経系に何らかの機能障害があると推定されますが、視覚障害、聴覚障害、知的障害、情緒障害などの障害や、環境的な要因が直接の原因となるものではありません。また、単独で出現するケースもありますが、自閉症スペクトラムや注意欠如多動性障害と合併する症例の方が多く見られます。

学習障害 図


◇ 大人の発達障害の原因論

 なぜ発達障害になるのか、その原因論についてはまだ完全には解明されていません。脳のいくつかの部位が、何らかの原因で発達を阻害された結果と考えられております。

1.認知機能の偏りが主たる病態

 脳は感覚器官から入ってきた様々な情報を受容(入力)して記憶と照合し、組み合わせたり統合したりして、それに応じて行動(出力)します。この、受容(入力)から行動(出力)までのプロセスを「認知」と言います。自閉症スペクトラムや注意欠如多動性障害の発達障害では、この認知機能に偏りが主たる病態と考えられております。

2.完全に否定された親の愛情不足や甘やかし

 人と交わることができない自閉症スペクトラムの原因として親の愛情の不足が原因と言われた時期がありました。同様に、注意欠如多動性障害の場合はしつけが悪い、甘やかしが原因と、総じて、発達障害の原因が親の接し方、育て方に問題あるとされました。現在では、発達障害は生れながらの脳の特性によるものであり、先天的要因が大きいと考えられており、親の育て方は完全に否定されております。

3.遺伝性

 特に自閉症スペクトラムについては遺伝子レベルの研究が進んでいます。それによると遺伝子ですべてが説明できるわけではないが、大きく遺伝要因が関与していることがわかってきました。
 発達障害に関連する遺伝子は200とも400ともいわれますが、発症までのメカニズムはまだわかっていません。例えば自閉症の兄弟がいる場合、もう一人も自閉症である場合は発症率が高まるという研究結果が出ています。遺伝子が異なる二卵性双生児で兄弟二人共に発達障害である可能性は5〜109%であるのに対し、遺伝子が全く同じ一卵性双生児では75〜85%でありますが、100%ではありません。このことは、遺伝性の関与は大いに考えられるが、遺伝性のみでは説明がつかないと言えます。

4.環境因子

 発達障害の原因として環境要因があげられます。親の年齢、出産時の合併症、妊娠時の食事、汚染からの影響、環境ホルモンなどが考えられています。今後、遺伝要因と環境要因がどのように絡んで発症に至るのかが徐々に解明されていくと思われます。

5.その他

 発達障害の原因に、海外では予防接種やワクチンを原因とする説や、ウイルスやプリオンによる感染も可能性として考えられておりますが、今までのところこれらは否定的であります。


◇ 大人の発達障害の診断

 発達障害の診断にはアメリカ精神医学会の精神疾患の分類と診断のマニュアルと基準(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, DSM)が用いられております。2013年5月、自閉症スペクトラムに関するものが第4版から5版へと更新されましたのでここにご紹介いたします。その他、付随して行われるウェクスラー式成人知能検査(WAIS-III)やIQを構成する各要素の分析などは他に譲ります。

1.DSM―5による自閉症スペクトラム障害の診断基準(表1)

A.現在または履歴により、以下のようなことが明らかにされ、多くの状況を通した社会的コミュニケーションと社会的相互作用の持続的な障害(例示であり網羅的なものではない)。

1)異常な社会的アプローチと正常な噛み合った会話の失敗から、関心・感情・感動の縮小した共有、社会的相互作用の生起や反応の失敗までの幅のある社会―情緒的相互性の障害。
2)統合性の低い言語的・非言語的コミュニケーションから、アイコンタクトや身体言語の異常性、ジェスチャーの理解や使用の障害、顔の表情や非言語的コミュニケーションの全体的欠如まで幅のある、社会的相互作用に使われる非言語的コミュニケーション行動の障害。
3)様々な社会的状況に合わせた行動調整の困難、想像力に富んだ遊びの共有ないし友人を作ることの困難、仲間への関心の欠如まで幅をもった、関係 性の発達・維持・理解の障害。

※重篤度は社会的コミュニケーション障害や固定的・反復的行動パターンに基 づく(表2参照)。

B.現在あるいは履歴において以下の事項の内少なくとも 2つにより示される、行動・関心・活動における固定的・反復的なパターン(例は例示である網羅的なものではない)。

1)型にはまったもしくは反復的な動作、ものの使用ないし会話(例えば単純な運動ハパターン、おもちゃの配列、ものの押し方、エコラリア echolalia、特異なフレーズ)。
2)同一性へのこだわり、決まったやり方への柔軟性を欠いた固執、儀式化した言語的・非言語的行動パターン(例えば小さな変化への極端な苦痛、変化への困難、固定的な思考パターン、挨拶儀式、同じ道を採ることへの要求、ないし毎日同じものを食べる)。
3)強度や焦点が異常なかなり限定された固定的関心(例えば通常でないものへの強い固着ないし占有、極点に制限され根気のいる関心)。
4)感覚刺激への過剰反応もしくは鈍感さないし環境の感覚的側面への通常でない関心(例えば苦痛/気温への識別の無さ、特定の音や触感への嫌悪反応、過敏な臭覚、ものの感触、光や運動への視覚的な魅了)。

※重篤度は社会的コミュニケーション障害や固定的・反復的行動パターンに基 づく(表2参照)。

C.症状は発達初期に存在している(しかし社会的要求が制限された能力を超えるまでは顕現しないかもしれないし,後の人生で学習されたストラテジーにより隠されてしまっているかもしれない)。

D.症状は、現在の機能で社会的、職業的、あるいは他の重要な領域において臨床的に重要な障害を引き起こす。

E.これらの障害は、知的障害(知的発達障害)ないし全体的な発達遅滞によってよりよく説明されない 知的障害と自閉症スペクトラム障害はしばしば併存する。自閉症と知的障害の併存診断をするためには,社会的コミュニケ-ションが一般的発達水準から期待されるものより低くなければならない。

2.DSM―5による自閉症スペクトラム障害の重篤度(表2)

LEVEL 3:非常に本質的な支援が必要

【社会的コミュニケーション】
 言語的・非言語的な社会的コミュニケーション・スキルにおける重篤な障害が、機能の重篤な障害、社会的相互作用の非常に制限された生起、他者からの社会的交渉への反応の乏しさを引き起こしている。例えば、相互作用を引き起こすのが希な知的な会話の言葉が少ない人は、もっぱらニーズに合致する異常なアプローチを行い、非常に直接的な社会的アプローチにのみ反応する。

【固定的・反復的行動】
 柔軟性のない行動、変化への対応の極端な困難、もしくは他の固定的/反復的行動がすべての領域の機能に著しく干渉する。焦点や行為の変化が大きく苦痛/困難。

LEVEL 2:本質的な支援が必要

【社会的コミュニケーション】
 言語的・非言語的な社会的コミュニケーション・スキルにおける顕著な障害;決まった場所でのサポートでさえ明白な社会的障害;社会的相互作用の制限された生起;他者から社会的交渉への縮小したもしくは異常な反応。例えば、単文のみを話し、その相互作用が狭い空間的な関心に制限され、著しく奇妙な非言語的なコミュニケーションをする人。

【固定的・反復的行動】
 柔軟性のない行動、変化への対応の困難、もしくは他の固定的/反復的行動が通常の観察者にしばしば明確に出現し、様々なコンテキストで機能に干渉する。焦点や行為の変化が苦痛/困難。

LEVEL 1:支援が必要

【社会的コミュニケーション】
 決まった場所でのサポートがないと、社会的コミュニケーションの障害が著しい障害を生じる。社会的相互作用を生じることの困難と他者の社会的な交渉への非定型的ないし失敗した反応の明らかな例がある。社会的な相互作用への関心が低いかもしれない。例えば、全文で話すことができ、コミュニケーションに係わるが、その会話はあちこちに飛び通じない。友人を作ろうとする試みは奇妙で典型的に失敗する。

【固定的・反復的行動】
 柔軟性のない行動が、1つあるいはそれ以上のコンテキストで機能に重大な干渉を生じる。活動の切り替えの困難。組織化や計画性の問題が独立性を妨害する。


◇ 大人の発達障害に類似した精神疾患

 大人の発達障害は、統合失調症などの精神疾患を合併していること、また精神疾患との鑑別が困難であることがしばしばであり、発達障害そのものに対する学問の歴史が浅いこともあって、精神疾患を合併する発達障害や精神疾患に類似したケースにおいて、精神疾患に対する治療のみが行われることがよくあります。ここでは、大人の発達障害に類似した精神疾患に触れます。

1.統合失調症

 以前は「精神分裂病」と言われた病態で、代表的な精神疾患です。考えがまとまらず、通称「言葉のサラダ」、支離滅裂なことを話します。幻聴を感じることが多く、自分の考えや行動が他人に操られている感覚を持ちます。慢性期になりますと、感情が乏しい「感情の平板化」、世間に無関心な「感情鈍麻」、引きこもって無為に過ごす「自閉(無為)」、意味なく笑う「空笑」、そして末期には「人格荒廃」となります。

2.強迫神経症

 自分の意に反して、不安あるいは不快な考えが浮かんできて、抑えようとしても抑えられないのを「強迫観念」、無意味と解っていながら強迫観念に従って何度も同じことを繰り返して行ってしまうのを「強迫行為」と言います。手を何度も洗わなければ気が済まない「手洗い強迫」や、外出先で戸締りが気になって引き返す「確認強迫」などです。本人は強迫観念に囚われていることを自覚しており、しばしば自責の念を持ちます。自閉症スペクトラムの「限定・反復的行為」も強迫行為ではありますが、強迫観念はなく、また本人は強迫行為を気にしません。

3.心身症

 ストレスなどの「心因」が原因で身体に異常を来すのを「心身症」と言います。大人の発達障害の人は、コミュニケーション能力が低く対人関係を築けないため、感情を人に伝えられずに独りで悩みを抱えていることがあります。こうした際に、心身症の症状が発現するとされます。


◇ 大人の発達障害に対するケア

 大人の発達障害は、先天的な脳機能の障害であり特性でありますので、例えば色を見極めるのが困難な色盲や、聴神経に問題がある聴覚障害に薬物治療が無効なのと同じように、根治的な治療はありません。同時に、精神疾患ではありませんので、抗精神病薬は、一時的に症状を軽減することはあっても根本的な治療とは言えず、かえって薬の副作用から病態が悪化することが少なくありません。ここでは、「治療」と言うよりも、「ケア」と言うかたちで対処法についていくつかご紹介いたします。

1.診療はあくまでも精神科

 大人の発達障害は精神疾患とは違うと申しましたが、やはり診療の場はあくまでも精神科であります。ただ、上述のごとく大人の発達障害に類似した精神疾患がありますので、誤った診療を受ける可能性はあります。統合失調症と診断されて精神科に長期入院していた患者が実は自閉症スペクトラムであったと判明したと言う実例が少なくありません。
 大人の発達障害に対応するのは精神科であると言うのは間違いありません。しかし、診療を委ねる精神科の選択が重要であります。病院に受診する前に、自分の(あるいは家族の)病態が発達障害かも知れないと言う意識を持って、専門の病院を選択する方が良いでしょう。

2.日記療法

 大人の発達障害の人は、人間関係や職場における失敗から、生きにくさを感じています。でも、それがなぜなのかはわからないのです。失敗の自覚はあるのですから、そうした出来事が起こる都度、日記を書いて文章として残すことが勧められています。「日記療法」を行うことで、同じ失敗があった時に自分自身を見つめなおし、かつ、次回に繰り返さない姿勢に繋がります。社会性やコミュニケーション能力を改善しうるのです。

3.日常生活の工夫

 アスペルガー症候群に代表される、大人の発達障害の人は、知能は正常なことが多いですから、診断を受けたところで、日常生活を変えることで工夫することは必ずできます。以下に列挙したことで、大人の発達障害の特性が現れづらくなると言われております。

1)丁寧過ぎず乱暴過ぎない言葉使いを心がける
2)社会人として必要なマナーを身につける
3)他人と接する時には距離感に注意する
4)服装に注意を払い、清潔感を大切にする
5)身の回りを整理整頓して、メモを取ることで忘れ物をなくす

4.職業の選び方

 社会性やコミュニケーションの障害から仕事に苦労することが多い大人の発達障害ですが、研究や芸術などで、思わぬ大成功を収めることも知られています。人間関係に難渋するのですから、営業などの人と接する仕事よりも、独りでコツコツと創造する仕事が良いとされます。また、大人の発達障害では、得意分野と不得意分野がはっきりと分かれているとされます。仕事を探すにあたり、自分お特性を見つめ直し、自分の得意分野、興味があることを見極めることから始めると良いとされます。


◇ 大人の発達障害に対する周囲のサポート

 大人の発達障害があっても、ある程度は周囲のサポートより問題なく生活が可能です。なかなか、職場に己の障害を公表してサポートを期待するのにはいくつかのハードルはあろうかと思いますが、いくつか理想的な周囲のサポートをご紹介します。

1.「発達障害 = 個性」

 大人の発達障害はそれ自体が人間としての「個性」であるとの発想がサポートの第一歩とされます。人とは異なる行動特性や不得意なことなど、マイナスの側面に過剰に反応することも、激しく責めるのでもなく、そうしたものを「特性」と捉えることで暖かく接すると同時に、問題点を一緒に解決する姿勢を見せることが第一のサポートであります。

2.指示や注意は簡潔明瞭に

 大人の発達障害の人は言外の意味をくむことが苦手ですので、仕事をお願いする時には、簡潔で明瞭な言葉で伝えてあげるのが必要です。例えば、ミスを犯したとしても、そのことをなじり、怒るよりも、ミスの内容を具体的に知らせ、どうすれば良かったかを、やはり簡潔明瞭に伝えることが大切です。

3.雑然・煩雑な環境を簡潔明瞭な環境に

 指示や注意と同様、オフィスの棚や机、システムなど、職場環境の雑然・煩雑さを是正して、大人の発達障害の人にとって簡潔明瞭な職場環境を提供してあげることも周囲のサポートに繋がります。


◇ あとがき

 大人の発達障害を勉強して、思い返せば多くの過去の知り合いがこの障害を有していたのではないか?、自分自身にも当てはまるのではないか?、とふと思いました。と同時に、周囲から浮いて、他人には理解できない行動をとり、自分自身も生きにくさを感じている人々でありますが、果たして彼らが病気なのか、本当に障害として良いのかいささか疑問にも思いました。
 空気が読めない、社会性が無い、コミュニケーションの障害と、ネガティブな、あるいはマイナス面に着目するからその原因論や病態が議論されるのであります。世の中には、空気を鋭く読んで社会性に富む、コミュニケーション能力に長けた人物はいますが、そうした人間についての分析はなされていません。もしかしたら、学力や運動能力と同様に、この手の能力にも優劣に連続性があって、「正常」と呼ばれる領域は無い、幅広い人間の個性あるいは性格の一部を拾い上げているだけなのかも知れないと思いました。
 現代社会において、「大人の発達障害」と呼ばれる人々が生きづらいのは確かでありますが、それを病気とせずに、いわゆる「個性」として受け止める姿勢が求められます。


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無期懲役の名大生女子 その恐るべき殺人願望


 今年になって、あまり気持ちの良いものでなない「食人(カニバリズム cannibalism)」をテーマとした記事を書きましたが、今回は、旧帝国大学に入学した10代 少女の「殺人」であります。今後も様々な報道や論説がなされると思いますが、現段階で報道されている内容を抜粋して彼女の心理状態を客観的に記録いたします。まずは大きく報道された昨日のニュースです。

<タリウム事件> 元名大生に無期懲役判決

 2012年、仙台市で高校の同級生2人に劇物の硫酸タリウムを飲ませ、2014年には仙台市内の民家に放火、2015年、名古屋市の知人女性を殺害し、殺人と殺人未遂などの罪に問われた元名古屋大女子学生(21歳、仙台市出身、事件当時未成年)の裁判員裁判で、名古屋地裁(山田 耕司 裁判長)は3月24日午後、求刑通り無期懲役の判決を言い渡しました。

タリウム事件>元名大生に無期懲役判決 公判の写真


◇ 事件の経過

 一連の、事件の経過の時系列を列挙いたします。

2012年

05/27 仙台市内のカラオケ店で小中学校の同級生で友人の少女に硫酸タリウムを飲ませる
05/28 同級生の少年に硫酸タリウムを飲ませる(7月中旬まで)
10/00硫酸タリウムを飲まされた同級生の少年が入院

2013年

02/00硫酸タリウムを飲まされた同級生の少年 宮城県警に被害届を提出

2014年

04/00 名古屋大学理学部に入学
08/30 帰省中の仙台で火炎瓶を作製 民家の窓ガラスに置いて放火未遂
10/00 宗教団体「エホバの証人」の勧誘で森外茂子さんと知り合う
11/09 妹に「殺人未遂は何回かあるけど殺人はない」「未成年のうちに絶対やってやる」とメール
12/07 名古屋市のアパート自室で森外茂子さんを撲殺
12/13 仙台の8月と同じ民家に放火

2015年

01/27 愛知県警 森外茂子さん殺害容疑で逮捕「子供のころから殺人をしてみたかった」と供述
02/12 名古屋地検が精神鑑定を開始
05/12 精神鑑定終了 刑事責任能力ありとの判断
05/15 愛知 宮城 両県警 友人にタリウムを飲ませた殺人未遂容疑で再逮捕
06/05 放火と殺人未遂の容疑で再逮捕
06/11 器物破損と火炎瓶処罰法違反の容疑で再逮捕
06/16 名古屋地検より名古屋家裁に送致
07/03 名古屋家裁 精神鑑定開始
08/31 精神鑑定終了
09/29 名古屋家裁より名古屋地検に逆送
10/08 名古屋地検 殺人は殺人未遂などの罪で起訴

2017年

01/16 名古屋地裁で初公判
03/24 名古屋地裁 求刑通り無期懲役の判決


◇ 事件発生前の少女

 事件前後における少女の感情及び行動を、逮捕後の彼女の供述に基づいて、憶測は含まない、あくまでも客観的に報道されているもののみから文章にいたしました。

1.毒物への興味の始まり

 少女は、中学1年生と時に父親から毒キノコの話を聞き、強く興味を持ちました。種類や致死量を調べ、人に食べさせてみたいとも思いました。その後、神戸市の連続児童殺傷事件や仙台市の筋弛緩剤点滴事件、地下鉄サリン事件などに興味を持って勉強しました。

神戸市の連続児童殺傷事件 写真
神戸市 連続児童殺傷事件「酒鬼薔薇聖斗」

2.毒劇物の収集

 2011年、仙台市内の私立高校に入学、化学の成績が優秀でありましたが、毒劇物への興味が強く、2012年の夏頃までには硫酸タリウムを含む薬品7種類を購入しました。「コレクション」と言う意味と、「いつかは人へ投与したい」と言う気持ちからで、「見ているだけでうっとりする」とも供述しています。
 それらの薬物のうち3種類を高校に持って行き、同級生に「すごくまずいからなめてみて」と硫酸銅をなめさせたり、自分でも亜硝酸ナトリウムをなめてみました。

3.服薬/自傷行為

 2012年4-5月頃、鎮痛剤や酔い止めの薬を大量に服用して自らの体の反応を試して、教師に注意されましたが、同じ頃、人間の皮膚の断面を見たくて、カミソリで自ら腕に深さ1-2 mmの切り込みを入れたりもしました。

4.殺人への目覚め

 2012年3月、2005年10月31日に発生した静岡県伊豆の国市の女子高校生の、タリウムによる母親殺人未遂事件を知り、当時の自分と同年齢の、伊豆の国市の元少女に共感を覚えました。5月20日、硫酸タリウムを購入、「これで人を殺せるかも知れない」と強い魅力を感じ、買ったことを妹に教え、翌日から瓶を肌身離さず持ち歩き、このことは同級生にも知られておりました。

5.焼死体への興味

 2012年、高校2年生の時、法医学者 上野 正彦 氏の著書「毒殺」を読み、やけどの痕が生前と死後で違うことを知り、焼死体を観察してみたい、他のことが考えられないくらい、願望で頭がいっぱいになる時がありました。

上野 正彦 氏の著書「毒殺」

6.斧やナイフの購入と殺人願望

 斧は高校1年の時、ナイフは高校2年の夏頃に購入し、人を殺したいという気持ちをずっと持っており、時には身近な人や家族を殺したいと思い、妹にナイフを突き付けたこともありました。


◇ タリウムによる殺人未遂

 実際に犯行が行われたのは高校2年生時、2012年5月からであります。複数の同級生に対してタリウムを服用させた際についての本人の供述です。

1.小中学校の同級生で友人の少女に

 2012年5月27日、小中学校の同級生で仲良しの友人に、「転校するので会えるのはきょうが最後」と嘘をついて、仙台市内のカラオケ店で会いました。トイレで飲み物にタリウムを入れ、それを友人に飲ませました。目的は中毒症状の観察あり、殺害目的の「毒殺」とは別で、死ぬかも知れないとは思いませんでした。
 少女の症状をメールで聞き、脱毛や手足のしびれがあると分かり、興奮しました。「見舞いに来て」とメールがあり、観察しに行き、犯行がばれておらず安心しました。

2.高校の同級生少年に

 同級生友人の少女にタリウムを飲ませてテンションが上がり、すぐに別の人に飲ませたくなりました。同じクラスの隣の席の少年なら、観察しやすいと考え、5月28日朝までに次の候補と決めました。
 前日、薬さじ代わりに買った耳かきでタリウムを何回もすくい、うっとりしました。少年のペットボトルに硫酸タリウムを耳かき3杯分、約0.8 gを入れました。タリウムは、0.2 gでの死亡例があるので、1 gで成人全員が死ぬ量らしいですが、当時はその半分量が致死量と認識していました。少年が飲んでくれた時には強い満足感が得られました。
 タリウムを服用した少年は、体調不良から欠席となりましたが、少年が会員制交流サイトに中毒症状を書き込んでいると知り、偽名で登録、脱毛や視力低下などの中毒症状が出ていることを確認し記録しました。
 7月17日から少年は再登校し、その際には説明しにくい恐怖を感じ、2日後、2度目の投与(0.4 g)を行いました。初回分はほぼ排出されただろうし、人間はタリウムに耐性ができるのではと思い、再投与による反応を知りたいと思いました。10月、少年は入院となりました。少年の人生が狂ったものと認識して、妹に対して「他人の人生を狂わすのは面白い」と、本人曰く「冗談で」メールを送りました。


◇ 焼死体を見るため、仙台での2度の放火

 少女は、大学入学後の2014年8月30日と、名古屋で殺人を犯した5日後の12月13日、2度に渡って仙台市内の同一の民家に放火をしました。理由は、先述のごとく焼死体に強い興味を持っており、「焼死体を見たい」執着からで、大学入学後の最初の帰省の際、8月、上述の上野 氏「毒殺」を読み返して2年前以上に気持ちが燃え上がったと言います。
 ただ放火による殺人を犯すのみならず、実際にその焼死体を見るためには、葬儀に参列できる相手が良いと考え、妹の同級生宅を狙いました。実は、少女は逮捕されるまで知りませんでしたが、その民家は妹の友達とは同姓の、60代女性3人が住む木造2階の別の家でありました。
 8月の一度目の放火は、ペットボトルに灯油を入れて自作した火炎瓶を使用しましたが、失敗に終わりました。12月、引火性が極めて高いジエチルエーテルをインターネットで調達、実験動画で予習をして、玄関先の郵便受けより液体を注いで、炎のマッチを落として実行しました。「ドンッ」と言う爆発音とともにたたきが燃え上がりましたが、これも住人の消化作業で失敗に終わりました。


◇ 名古屋における77歳知人女性の殺害

 少女は2014年12月7日、知人女性、森 外茂子 さん(当時77歳)を撲殺しました。こちらについても、その動機や心理状態、行為の詳細を供述しております。

1.殺害対象のための人間関係

 森さんを殺したかったのではありません。もちろん、森さんに恨み、憎しみ、あるいは社会への復讐心などもありません。「人が死ぬ過程を見たかった」、生物学的なヒトであれば誰でもよく、大学入学後、「この人は殺せるか」という基準で人間関係を作りました。当初は、大学の同級生や同じサークルの男女2人を候補にしました。自宅に呼びやすい、という理由からです。

 「この人は殺せるか」という基準での人間関係

 そんな折、10月初旬、宗教団体「エホバの証人」の勧誘で、森さんが名古屋の自宅を訪れて来ました。初めて会ったときの印象は「優しそうなおばあさん」でありました。話の内容に全く興味はありませんでしたが、追い返さずに付き合ったら何度も来るようになり、最も早く家に上げられると言う理由で殺害のお相手を森さんに決めました。

2.撲殺の実際

 森さんの殺害を決めたのは犯行の1週間前、一番抵抗されにくいと思う撲殺にしました。犯行当日、森さんに誘われた宗教の集会後に解説を頼み、自宅に迎え入れました。森さんは本当にうれしそうでしたが、途中で殺害をやめようと思ったり、迷ったりはしませんでした。
 聖書の解説中、背後に回って、かばんから斧を取り出し、刃の反対側の部分を森さんの頭に力いっぱい振り下ろしました。木魚をたたくような感触でした。森さんが「私を殺すの?」と聞いたので「はい」と答え、「どうして?」との問いには「人を殺してみたかった」と答えました。

 木魚をたたくような感触

 6回ほど殴って、森さんは倒れ意識を失い、5分ほど観察しましたが、まだ息があったので「人間は意外に死なないんだ」と思いました。「首を絞めたらどうなるか」を知りたくて森さんのマフラーで力いっぱい首を絞めました。これも5回ほど反復しました。次に、ナイフの刺さり具合を試したくなり、血を掃除しやすい浴室に森さんを運びました。自分のバタフライナイフで首とふくらはぎを刺し、実験記録として携帯電話で4、5枚の写真を撮りました。森さんの携帯電話のGPS機能が作動すると居場所が特定され犯行がバレると思い、携帯の電源を切りました。また、人体の断面図を見たくなり、ホームセンターでのこぎりを買って戻りましたが、浴室に森さんの化粧品の臭いが充満していたので切断を断念しました。

3.殺害後

 殺害後、ツイッターに「ついにやった」と書き込みました。人を殺した事への達成感があったのかも知れません。「少年法は偉い。少年法マンセー(万歳)」という他人の投稿をも再投稿しましたが、深い意味はありませんでした。また、妹に「人を殺したんだよ」と電話をしました。夜になって、森さんの宗教仲間が訪ねて来ましたが、「午後3時ごろ帰りました」と平静を装いましたが、内心ホッとしました。捕まるのは嫌だとも思いました。
 また、仙台でも人を殺そうと思い、翌12月7日、パソコン、斧、ナイフ、薬品類を持って帰省し、血の付いたズボンを妹に「洗って」とお願いしました。上述の放火事件後、近々逮捕されることを覚悟し、「最後の晩餐」と位置付け、妹と酒盛りし、ほぼ1人でウイスキーボトル1本(720 ml)を空けました。


◇ 逮捕後の心境

 2015年1月27日の逮捕後、同年5-8月に精神鑑定があり、医師から処方された薬を飲んだところ、「人を殺さない自分になりたい」と思うようになりました。人を殺したいと思う頻度や、人を殺す夢を見る回数は減ったと言います。ただ、今も自分の中で整理できていない、被害者の考えを知り、反省しないといけないと思うのですが、反省がどういうことなのかいまいち分からず、考え続けています。また、押収されたタリウムや塩化バリウムなどは返してほしいが、また人に投与してしまう不安もある、と供述しております。


◇ あとがき

 今回の殺人を犯した少女について、名古屋地裁、山田 裁判長は判決理由で、高齢女性殺害など一連の事件でおおむね合理的な行動を取っており、自らの意思で犯行に踏み切っていたと指摘し「完全責任能力があった」と認定しました。一方で、無罪を主張する弁護側は、非常に重篤な精神障害が影響し、犯行時は善悪を判断する能力がなかったとしております。精神障害を有する犯罪者に罰を与えるか否かの議論は別に譲りますが、裁判長と弁護側の、少女に対するどちらの評価も正しいと思います。現役で名古屋大学に入学する才媛に、ご両親も高校の教師もさぞ誇りに思ったことでしょうが、精神の障害は明白であり、妹や知人には明らかなサインを出していたのですから、事前に対処できたと思われ、そこは強く悔やまれます。

 被害に遭われた 森 外茂子 さんに心からご冥福をお祈りいたします。

アルツハイマー型認知症の病態とその予防


 少し前からアンチエイジングの一環として、カマンベール・チーズを1日、100gの1/6切れ(約17g)ずつ昼休みに摂取しています。そのご紹介の伏線として、今回は、アルツハイマー型認知症について、父親が残した著書などを読みあさってまとめてみました。まずは認知症全般の分類から、、、。


◇ 認知症の疫学・分類

 認知症(Dementia)は、後天的な脳の器質的障害により、いったん正常に発達した知能が不可逆的に低下する状態をいい、全世界には3560万人に罹患しており、毎年770万人ずつ増加して、2030年には2012年の約2倍、2050年には3倍以上になるとWHOは推測しております。
 ここでは、認知症を原因別に分類いたします。認知症の原因となる主な疾患には、脳血管障害、アルツハイマー病などの変性疾患、正常圧水頭症、ビタミンなどの代謝・栄養障害、甲状腺機能低下などがあり、これらの原因により生活に支障をきたすような認知機能障害が表出してきた場合に認知症と診断されます。

1.血管性認知症(Vascular dementia):全認知症の10-20%

  ・多発梗塞性認知症広範虚血型
  ・多発脳梗塞型
  ・限局性脳梗塞型
  ・遺伝性血管性認知症

2.変性性認知症

  ・アルツハイマー型認知症(AD, Alzheimer's dementia):全認知症の40-60%
  ・レビー小体型認知症(DLB, Dementia of Lewy bodies):全認知症の15-20%
  ・認知症を伴うパーキンソン病(PDD, Parkinson's disease with dementia)
  ・前頭側頭型認知症(FTD, Frontotemporal dementia)
  ・ハンチントン病(HD, Huntington disease)

3.感染症

  ・クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD, Creutzfeldt-Jakob disease)
  ・HIV関連認知症
  ・梅毒関連認知症

4.その他

  ・慢性硬膜下血腫
  ・正常圧水頭症
  ・甲状腺機能低下症


◇ アルツハイマー型認知症の概要・疫学

1.概要

 アルツハイマー型認知症(AD, Alzheimer's dementia、別名 アルツハイマー病)は認知機能低下、人格の変化を主な症状とする認知症の一種であり、脳血管性認知症、レビー小体病を抑えて全体の60-70%と、認知症の中では最も多い病態であります。

2.症状

 症状は進行する認知障害(記憶障害、見当識障害、学習障害、注意障害、空間認知機能や問題解決能力の障害など)であり、重症度が増し、高度になると摂食や着替え、意思疎通などもできなくなり最終的には寝たきりになります。階段状に進行する(すなわち、ある時点を境にはっきりと症状が悪化する)脳血管性認知症と異なり、徐々に進行する点が特徴的です。症状経過の途中で、被害妄想や幻覚(とくに幻視)が出現する場合もあります。暴言・暴力・徘徊・不潔行為などの問題行動(いわゆるBPSD; Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)が見られることもあり、介護上大きな困難を伴うため、医療機関受診の最大の契機となります。

3.疫学

 アルツハイマー型認知症の全世界の患者数は210~350万人ほどで(2010年)、大部分は65歳以上に発病するが、4-5%ほどは若年性ADとしてそれ以前に発病します。65歳以上人口の約6%が罹患しており、2010年では認知症によって48.6万人が死亡したとされます。本疾患は、先進国にとって最も金銭的コストが高い疾患となっています。平均寿命の短いアフリカは別として、先進諸国間でも、下図のごとく罹患率には地域差があります。

アルツハイマー病その他痴呆の世界分布
アルツハイマー病発生の題名

4.分類

 アルツハイマー型認知症は発症年齢で65歳を境に、それ以前の早発型と65歳以降発症の晩期発症型とに大別され、早発型のうち18歳から39歳のものを若年期認知症、40歳から64歳のものを初老期認知症と言います。早発型アルツハイマー病は常染色体優性遺伝を示す家族性アルツハイマー病である可能性が高いとされます。

 ○早発型(<65歳):常染色体優性遺伝の可能性(数%とされる)
  ・若年期認知症(18-39歳)
  ・初老期認知症(40-64歳)
 ○晩期発症型(65歳以上)


◇ アルツハイマー型認知症の臨床像

 アルツハイマー型認知症の病気の進行は大きく3段階に分かれ、現在、根本的治療法がないため、下記の如く慢性進行性の経過をとります。

1.第1期

 記銘力低下で始まり、学習障害、失見当識、感情の動揺が認められるが、人格は保たれ、ニコニコして愛想は良いとされます。

2.第2期

 記憶、記銘力のはっきりとした障害に加えて高次機能障害が目立つ時期で、病理学的な異常が前頭葉に顕著なことを反映して視空間失認や地誌的見当識障害が見られます。この時期には、外出すると家に帰れなくなることが多く、更に周囲に無頓着となったり徘徊や夜間せん妄も見られます。特に初老期発症例では、感覚失語、構成失行、観念失行、観念運動失行、着衣失行などの高次機能障害も稀ではありません。

3.第3期

 前頭葉症状、小刻み歩行や前傾姿勢などの運動障害もみられ、最終的には失外套症候群(眼は動かすが、身動きひとつせず、言葉も発さない状態)に至ります。


◇ アルツハイマー型認知症の病理

 アルツハイマー型認知症の病理初見の特徴は、1)神経細胞の変性消失とそれに伴う大脳萎縮、2)老人斑の多発、3)神経原線維変化(neurofibrillary tangle, NFT)の多発、の3つであります。1980年代になって、老人斑がアミロイドβタンパクの凝集蓄積であること、神経原線維変化は微小管結合タンパクのひとつであるタウが凝集線維化したものであることが明らかになりました。

1.老人斑(Senile Plaque、アミロイド斑)

 老人斑は鍍銀染色で濃染する径数10-100μmほどの斑状の構造物で、細胞外に存在し、アルツハイマー型認知症では大脳皮質に大量に出現します。その本体は、分子量約4kDの小さな蛋白質で38-43個のアミノ酸からなり、695~770個のアミノ酸からなるアミロイド前駆蛋白よりプロアーゼによって切り出されて賛成されるアミロイドβの凝集蓄積であります。アミロイドβの蓄積がある程度以上になると、老人斑内外の神経突起およびグリア細胞に変性が生じるとされます。

アルツハイマー 老人斑
老人斑

アミロイドβ
アミロイドβリボンモデル

2.神経原線維変化(neurofibrillary tangle, NFT)

 神経原線維変化(neurofibrillary tangle, NFT)は神経細胞の細胞体に生じる繊維状の凝集体で、その微細構造は長径10nmのフィラメントが2本ずつらせん状のペアを作った線維の集合体であり、規則的なくびれ構造をもちます。らせん状のペアを作った線維を対らせん線維(paired helical filament, PHF)と言い、このPHFはタウが重合してβシート構造を形成することによって生じます。

アルツハイマー 神経原線維変化
神経原線維変化

3.アミロイドアンギオパチー

 アルツハイマー型認知症では脳実質に出現する老人斑に加えて、脳血管壁にコンゴーレッド陽性になるアミロイドが沈着する脳血管アミロイドーシス(脳アミロイドアンギオパチー, CAA)が高率に併発し、血管アミロイドは中膜と外膜の間の基底膜にまばらに沈着し、進行的に全周性に沈着がみられ平滑筋細胞の消失を引き起こし、これが脳出血を起こす原因となります。特に家族性アルツハイマー病で多発する傾向にあります。

アミロイドアンギオパチーのMRI
アミロイドアンギオパチーの脳MRI


◇ アルツハイマー型認知症の原因論

 上述の如く65歳未満発症の早発型では常染色体優性遺伝による家族性の発症が認められますが、家族性ではない孤発性と家族性とでは病理変化が極めて酷似していることから、両者はほぼ同一の過程を経ると考えられております。アルツハイマー型認知症の原因論として、孤発性にしろ家族性にしろ。アミロイドβの産出の上昇、あるいは分解不全による同物質の蓄積を開始点とするアミロイドカスケード仮説が最も有力とされます。以下、原因論を列挙して、簡単に説明を添えます。

1.アミロイドカスケード仮説

 アミロイド前駆物質は各種プロテアーゼによる切断を受けることで各種のアミロイドβ分子種を産出します。アミノ酸数からアミロイドβ40と42があり、とりわけアミロイドβ42は高い凝集性から病原性が強いちされます。まずアミロイドβの蓄積が起こり、そこにタウの凝集、蓄積が続き、神経の変性(細胞死)が起こると言うプロセスです。

2.感染症原因仮説

 一般的な肺炎の原因である、クラミジア・ニューモニエ(Chlamydia pneumoniae)とアミロイド斑との関連性が、非遺伝性アルツハイマー病患者の脳で確認されております。また、単純ヘルペス・ウイルスに感染していると、アルツハイマー型認知症の発症リスクが2倍になるとする報告があります。

3.アルミニウム原因仮説

 アルミニウム・イオンの摂取がアルツハイマー型認知症の原因のひとつであるという説もかなり有力であります。第二次世界大戦後、グアム島を統治した米軍兵に認知症の罹患率が異常に高いことが判明し、グアム島の地下水のアルミニウムイオン濃度が非常に高かったことから始まりました。同様なことが、最近になっても、1989年のイギリスでアルツハイマー型認知症患者が多い地域の飲料水の検査で認められました。動物実験ではアルミニウム・イオンの投与でアミロイドβの沈着が促進されることが証明されております。

 アルミの鍋には要注意!
 鉄欠乏の女性は要注意!


 アルミの鍋に食塩水を入れて30分間沸騰させた後にアルミニウムの濃度を測定したところ、20.6 ppmと言う WHO基準値の100倍の濃度のアルミが解けていたとの実験報告があります。また、鉄欠乏性貧血に陥りやすい女性の方がアルツハイマー型認知症の患者が多く、その原因として、鉄欠乏がアルミニウムの吸収を促進する作用があると言われております。

4.インスリン分解酵素仮説

 インスリンの分泌を増やす糖質中心の食習慣、運動不足、内臓脂肪過多がアルツハイマー病の原因となるアミロイドβの分解を妨げているとの説であります。アミロイドβも分解する能力のあるインスリン分解酵素が糖質中心の食生活習慣によって血中のインスリンに集中的に作用するため、脳でのインスリン分解酵素の濃度が低下し、アミロイドβの分解に手が回らずに蓄積されてしまうとの理論であります。


◇ アルツハイマー型認知症の治療

 アルツハイマー型認知症に対しては、近年治療薬の開発によって薬物治療が主に行われるようになってきましたが、現在のところ根本的治療薬は見つかっておりません。現在、認可されているアルツハイマー型認知症治療薬は以下の通りです。

1.コリンエステラーゼ阻害薬:ドネベジル(アリセプト)

 脳内の神経伝達物質であるアセチルコリンの活性がアルツハイマー型認知症では低下していることが分かっており、その分解酵素であるコリンエステラーゼの活性を阻害する薬剤であります。

2.N-メチル-D-アスパラギン酸阻害薬:メマンチン(メマリー)

 海外の研究で、ドネベジル単独群よりもメマンチン併用群で有意にアルツハイマー型認知症の症状改善が見られたとされています。


◇ アルツハイマー型認知症の危険因子と予防

 最後に、同疾患の危険因子とその予防について触れて参ります。危険因子として、年齢、家族歴、ApoEe4などの遺伝子型、高血圧、糖尿病、喫煙、高脂血症、クラミジア肺炎球菌への感染、ある種の生活習慣などが挙げられます。生活習慣を改善することにより、かなりの効果が期待され、それはすなわちアンチエイジングにも通ずるものであることがよく解ります。

1.食習慣

 魚油、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)などのω(オメガ)3不飽和脂肪酸の摂取、野菜果物(ビタミンE、ビタミンC、βカロテンなど)の摂取、赤ワイン、コーヒー(ポリフェノール)の摂取などが本症の発症を抑えることが証明されております。1日に1回以上魚を食べている人に比べ、ほとんど魚を食べない人は本症発症が約5倍であるというデータがあります。また、米国の加齢研究所は「精製された炭水化物(例えば白い砂糖)は同疾患の罹患率を上げる可能性がある」と述べています。
 また、上述のごとくアルミニウム・イオンの摂取がアルツハイマー型認知症の原因のひとつとされておりますので、アルミの鍋、ヤカンは使用しないことも本疾患の予防になろうかと存じます。

2.運動習慣

 有酸素運動で高血圧やコレステロールのレベルが下がり、脳血流量が増すため発症の危険が減少します。ある研究では、普通の歩行速度を超える運動強度で週3回以上運動している者は、全く運動しない者と比べて、発症の危険が半分でありました。

3.知的生活習慣

 テレビ・ラジオの視聴、トランプ、チェス、麻雀などのゲーム、文章を読む、楽器の演奏、ダンスなどをよく行う人は、本症の発症の危険が減少するという説があります。

4.喫煙

 自らタバコを吸う、能動喫煙のみならず、非喫煙者であっても、受動喫煙でタバコから出る有毒物質の影響を受けることで発症率が高まるとされます。

5.睡眠不足

 マウスの動物実験で、睡眠中に脳内のアミロイドβが減少し、起床中に蓄積することが証明されており、睡眠時間の短いマウスではアミロイドβの蓄積が進行し、不眠症改善薬を与えると改善したとされます。

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 アルツハイマー型認知症の予防
  ・ω3不飽和脂肪酸の摂取
  ・ビタミンC, Eの摂取
  ・ポリフェノールの摂取
  ・アルミ製の鍋、ヤカンを使用しない
  ・糖質制限
  ・有酸素運動
  ・知的生活
  ・禁煙、受動喫煙の排除
  ・睡眠


 本ブログで取り上げたものばかりです!!(笑)

母と娘の再出発 ~ 摂食障害 乗り越えて(4・完)「父親不在」の育児、女同士疲弊


 第4話は、ここまで取り上げてきた母と娘の関係に基づく摂食障害の総括、発症のメカニズムと、治療の方法論を解説しております。必ずしも女性だけの病気ではなく、男性でも女性の約4、5分の1くらいの頻度で発症するようですし、母娘の関係だけがこの疾患の発生機序ではありません。しかしながら、母と娘の関係にのみ焦点を絞ることで、自分たちの「母娘関係」を振り返るきかっけとなる、そんな母娘もいるかと存じます。

静岡新聞 こち女ニュース

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 過食嘔吐(おうと)をやめられない娘は母に不安やいら立ちをぶつけ、母は娘の言いなりになる。「家庭という密室で、私たちは共依存の悪循環に陥っていた」。摂食障害者の親の自助グループぬくもり(静岡市)の水谷澄子代表(64、仮名)は、約10年前までの三女(35)との関係をそう振り返る。

 母との関係や母の生き方にわだかまりを抱え、摂食障害を発症したと語る娘たちと、自責の念にさいなまれ「私が何とかしなければ」と奔走する母たち。一昔前まで、摂食障害は母子関係のゆがみが原因とされたが、現在は否定されつつある。
 住吉病院(甲府市)の大河原昌夫副院長によると、本人の性格、学校や職場のストレス、家族関係のもつれなど、さまざまな要因が重なった時、苦しさを表現する手段の一つとして発症する。その9割以上が女性。食糧が不足する地域で発症は見られないため“やせ”をたたえる社会的価値観が大きく影響しているとされる。
 それでもなお、この病気の背後に“母娘”の葛藤が浮かび上がるのはなぜか。日本摂食障害学会評議員の中村このゆ追手門学院大教授(臨床心理士)は「母娘問題の本質は、母個人だけでなく母を取り巻く社会構造にもある」と指摘する。高度経済成長期以降、家族は“女は子育て、男は仕事”という役割に縛られてきた。女性は家庭を優先するよう求められ、結婚や出産時には仕事の継続などあらゆる選択を迫られる。母の不満は、同性である娘に伝わりやすい傾向がある。娘は母から「女性はどうあるべきか」を学び、そこに共感や息苦しさといったさまざまな感情を抱く。
 娘の治癒を求めて医師のもとを訪れるのも自助グループに参加するのも、大半が母親。「医療者には母の心理的な問題が目につきやすい。カウンセリングをすると母自身に、夫や両親、義父母との葛藤が潜んでいることが多い」と中村教授。まず母親が落ち着き、娘との密着関係を解くことが回復への一歩という。その上で「父親の治療参加が回復を早める」と話す。
 病の背景を問わず当事者に共通することとして、中村教授は「複数の要因が掛け合わさって発症する代わりに、一つでも要因をゼロに近づければ症状は治まる」と説く。当事者の根底にあるのは「私なんてだめだ」と自己を否定する怒りの感情。怒りが暴力などの形で外へ向かわなければ、拒食や過食の方法で自らの体を攻撃する。怒りを解きほぐすと、大抵は“悲しみ”にたどり着くという。「本人の悲しみやつらさを受け止め、共感する誰かが必要」。家族だけでなく、医師やカウンセラー、自助グループの仲間といった第三者が支えになる場合もあれば、信頼できるパートナーとの出会いが転機になることもある。

 三女の発症から10年余り。水谷代表は「このままでは一家心中してしまう」と1人で専門病院に駆け込んだ。「お母さんも鬱(うつ)の手前」。医師に告げられ、娘ばかりを治そうとしていた“ベクトル”を初めて自分に向けたことが、親子が快方に向かう一つのきっかけとなった。水谷代表は、かつての自分のように疲弊していく母親を何人も見てきた。しかし家族が疲弊するほど回復は遠のく。

 家族一人ひとりが“生きづらさ”を語り合い、ありのままを受け入れ、それぞれが新しい生き方をつかんで“楽”になる。「回復とは、その過程だと知ってほしい」と訴える。

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母と娘の再出発 ~ 摂食障害 乗り越えて(3)厳しい家庭、“生きづらさ”連鎖


 第3話は、またも母親の厳しさが娘に影響したケースです。ただ、育児に疲れた第1話の母親とは異なり、このケースの母親は離婚したことで、子供を育てることに強い責任感を持っていたようです。

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 静岡市の保育士由香(32、仮名)が摂食障害を発症した引き金は「自信を持つために始めたダイエット」。当時中学2年。同級生から「デブ」とからかわれていた。拒食はエスカレートし数カ月後、過食嘔吐(おうと)に移った。高校1年のころ、“食べ吐き”が「心の中にある空洞を埋める作業」にすり替わっていることに気付いた。その“空洞”は何か。精神科に通ったり文献を読みあさったりするうちに「人に褒められたい、認められたい」という欲求が満たされていないことが原因と考え始めた。

 家庭の中で、父の存在感は薄かった。高校1年の時に両親は離婚。順調に人生を歩む兄には劣等感を抱いていた。母の陽子(62、仮名)はこの世で最も「自分の存在価値を認めてほしい人」だった。その母は、風邪をひいても学校を休ませない。テストで90点を取っても褒めてくれないのに、平均点以下だと怒鳴られた。由香の誕生日プレゼントは、母の好みで選ばれた。「大人の都合で我慢させられるか、よその子と比較されるか。どちらかの記憶しかない」母に対しても友人に対しても「どうすれば好かれるのか」と、相手の顔色や声音ばかり気にするようになった。「自分を押し殺した生活がたぶん、摂食障害という形で爆発した」と、由香は語る。

厳しい母親 写真

 一方、陽子は過食嘔吐をする娘の「悪魔のような姿」に途方に暮れ、その「無意味」な行動に腹を立てていた。やめさせようとすれば、由香は自傷に走った。「摂食障害は不安定な心の現れ」と受け止められるようになったのはここ数年だ。
 陽子自身も厳しい家庭で育ち「遊ぶことや楽しむことに罪悪感がつきまとう人生」を歩んできた。由香を「人前に出しても恥ずかしくない子」にしつけようとした。娘の心に積み重なる不満に気付かず、結果として自分が親から押しつけられた“生きづらさ”を、娘にも引き継がせてしまった―。そんな自責の念がぬぐえない。

 離れて気付いた親の愛

 由香は母との暮らしに行き詰まった29歳の時、ワーキングホリデーでカナダへ飛び、保育士資格を生かしてベビーシッターをした。勤務先で、がんを患いながらも我が子を一番に気遣う母親の姿を見て、ふと「母にもこんな時があったのかな」との思いがよぎった。短大を出ても安定した職に就けなかった由香に、母は経済的に援助をしてくれた。感謝の気持ちが芽生えた。
 帰国後の2014年4月、保育園に就職した。過食嘔吐は20歳の頃から辛うじて抑えられている。しかし今も胃腸が弱く、固形物を控えるなど、食事の内容や時間に気を使う。それでも摂食障害になったことで、陽子とは深い心の内を見せ合い、生き方について本気で意見を交わす仲になった。陽子は最近「もっと楽しんで生きることが私にも必要」と口にする。週1回、喫茶店で会う父は、家庭にいた頃とは別人のようによく笑い、よくしゃべる。そんな両親の変化は、由香に「緊張し続けていた心を解きほぐすような安心感」を与えた。

 過食嘔吐に代わって心の“空洞”を満たすすべは、いまだに見つからない。人から物をプレゼントされるなど、目に見える形で与えられることでしか満足できない。ただ、いらつきや悲しみといった感情は一定のところで抑えられるようになった。「まだまだうまくは生きられないけど、人生の乗り越え方が見えてきた」と感じる。

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 「風邪をひいても学校を休ませない。テストで90点を取っても褒めてくれないのに、平均点以下だと怒鳴る」、そんな親に対して、“食べ吐き”が「心の中にある空洞を埋める作業」にすり替わっていった様子が描写されております。ここでも、ヒルデ・ブルック氏が言う、学童時からの底知れぬ自尊心の欠如を抱えて、親の極めて侵入的な介入を受け続けた様子が伺われます。


母と娘の再出発 ~ 摂食障害 乗り越えて(2)家事育児…理想の姿追いかけ


 第2話は、普通の家庭のように見えますが、ある意味で完璧な母親を見て育った娘の摂食障害であります。その発病のきっかけは、ちょっとした胃腸炎に端を発したものだったようです。


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 両親は惜しみない愛情を注いでくれる。望み通りの進学校に入学した。友人にも恵まれ、私の人生は順風満帆―。そう信じて疑わなかった高校2年の夏。静岡県中部の自営業香苗(51、仮名)は摂食障害になった。

 その夏、香苗は下痢に見舞われた。数日間食べられずにいたら、体重が減った。うれしかった。「もっと食べなければもっと痩せる」。体重が戻る恐怖から、体調が回復しても、食べる量を抑え続けた。次第に何を、いつ、どれだけ食べればいいのか分からなくなった。
 身の異変に戸惑いながら、1年後には過食と拒食を繰り返すようになった。家族が寝静まって台所にあるおかずや菓子を食べ始めると、腹が膨れて苦しくなるまで止まらない。我に返ると自己嫌悪にさいなまれ、その後数日間は食事を控える。そんな生活が大学に入ってからも続いた。
 大学を卒業後、念願の教職に就き、結婚。2人目を出産後、仕事と育児の両立に限界を感じて退職した。そのとき頭をよぎったのは母の姿。祝い事など人が集う時、母は懐石料理のようなごちそうを並べた。香苗が中学生になるまで、洋服も全て手作り。保護者会や町内会の活動も手を抜かない。不平不満は口にせず、いつも誰かのために夜中まで作業をした。だから香苗も、家事や育児をおろそかにしたくなかった。

母親の家事

 3人目を産んで数年後、義母が入院し、義父が同居した。1番上の長女瑠衣(24、仮名)は小学校に上がったばかり。育児に介護に手いっぱいでも、香苗は付き合いで「行事の幹事をやって」と頼まれれば断れず、夜中までパソコンに向かった。子育てに忙しくなってから自然と、摂食障害の症状は治まった。ただ、なぜ食事をコントロールできない事態が起きたのか、分からないままだった。

 憧れ、苦しみ 心にひずみ

 疑問が解けたのは40代前半。きっかけは70歳を過ぎた母の死だ。「お母さんは100年分の人生を生きた」。葬儀に集った母の親族や友人が口々にそう涙した。香苗は母に問うた。「いつも笑っていたけど、本当はつらい時もあったんじゃない?」「もっと自分のために人生を楽しむ方法があったのでは?」
 香苗は、母という女性を理想とし、母と同じ道をたどってきたことに気付く。周りの期待に応えようと動く自分に逆らえず、「いつも元気ね」と言われながら気を張って生きてきた。「心は悲鳴を上げているのに頑張りすぎたひずみが、摂食障害となって現れた」。そんな気がした。
 母の死からしばらくして、大学生だった長女瑠衣が拒食になり、過食嘔吐(おうと)に移った。几帳面だった瑠衣は、発症前から急にだらしなくなった。まるで香苗に「こんな風に適当でも生活できるんだよ」と訴え掛けるかのように。
 「母と私。私と娘。程度の違いはあれど、似ている気がする」。摂食障害が何らかのひずみを現すサインなら、瑠衣にとって必要。そう捉える半面、通院や本人の意思で治る病気ではないと知る香苗にとって、先の見えない不安な日々だ。

 香苗は摂食障害になってから、別の部屋で寝ていた両親が「川の字」に寄り添ってくれたことを思い出す。「両親がしてくれたように、娘がつらいときにはいつでも支える。安心できる家庭でありたい」。そう心に誓いながら「誰かに倣うのでなく、娘にとって心地のいい生き方を見つけ、楽になってほしい」と願う。

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 必要以上に(?)完璧に家事をこなす母親を見て、気後れをする娘が摂食障害になって、その娘が大人になって、やはり母親のような仕事ぶりをするようになったら、その娘にも摂食障害が発生したケースのようです。でも、この女性は、カウンセリングなどなしに、自分の母親から始まって、自分とその娘に及ぶ悪循環に気がついたようです。

母と娘の再出発 ~ 摂食障害 乗り越えて(1)「私を見て。気遣って」心の叫び


 ネットを観ていて、思わぬ心を動かされる記事に出会いました。「静岡新聞 SBS」の「こち女ニュース」と言う欄で、摂食障害を乗り越えた母娘のお話です。4家族、4話に渡る連載ですが、いずれのケースも母親と娘の関係が摂食障害の原因となっております。全文で供覧いたします。第1話は、子供の頃に母親から言われた言葉が発端となったお話です。

静岡新聞 こち女ニュース


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 女性が発症者の9割以上を占める摂食障害。その原因は複雑でさまざまだが、中でも母との関係や母の生き方にわだかまりを募らせた結果、摂食障害になった―と受け止める娘が後を絶たない。生きづらさを抱えた娘と母たちの「生き直し」ともいえる回復の道のりをたどり、家族の在り方を考える。

 食パン1斤にカツ丼、ラーメン、ポテトチップス、アイスクリーム1リットル、コーラ2リットル…。日々メニューは違うが、自室で食べては吐いてを繰り返し、およそ3人前を平らげる。静岡県西部の事務職聡美(51、仮名)は15年ぐらい前まで毎晩、その作業に4時間を費やしていた。
 発端は24歳で始めたダイエット。食事制限に加えて、毎日立ち仕事の後にプールで2キロ泳ぎ、休日は町内を5キロ以上走った。美しくなりたかったわけではない。周りから「きれいになったね」と褒められたかった。「あと1キロやせよう」。浮き浮きした気分で続けると、体重は8カ月で12キロ落ち、42キロに。生理は止まった。30キロを切ると動けなくなった。入院して体重を戻すうちに、拒食から過食嘔吐(おうと)に切り替わった。1、2年たったころ、摂食障害の体験談を読みながら、なぜ発症したのか自問する中で確信を持った。「母親のせいだ!」。怒りがこみ上げた。

母親の「嫌い」発言

 3歳の夏だった。レースのカーテンが揺れ、陽光が差し込むリビング。隣には1歳の妹がいた。いら立った様子の母が、聡美に向かって言い放った。「おまえなんか大嫌い」―。聡美にとって「時計が止まった」瞬間。幼心に「母に見捨てられたら生きていけない。“いい子”で生きよう」と決意した。

 「いい子」演じ続け限界

 以来、母に甘えた記憶はない。家庭では、仲の悪い両親の間を取り持つ「ピエロ」や、妹を守る役に徹した。友人の前でも嫌われたくない一心から、相手の顔色をうかがいながら発言を変える「カメレオン」だった。
 40歳を過ぎたころ、相性の合うカウンセラーに巡り会い、3歳の出来事を初めて人に打ち明けた。「それはあなたが悪かったからじゃない」と言われてようやく、深い傷が癒える思いがした。母にぶつけられなかった怒りを、2年間にわたってカウンセラーに吐き出し、「もういい」と許せた。「母には初めての子だった。ヒステリーになったのも仕方ない」。わだかまりは解けていった。
 カウンセリングを終えるまで「カメレオン」のように人に合わせる生き方が息苦しいことにさえ、気付いていなかった。「“いい子”を演じるなんてもうできないと、自分自身が叫び声を上げたのが24歳の時」。聡美はそう考えている。
 やせ細る娘を、母は心配した。聡美はうれしかった。甘えられなかった時間を取り戻すかのように、拒食や過食嘔吐を通して「私を見て。私を気遣って」と母に訴えていたのだった。聡美は「もし摂食障害にならなければ、自死を選んでいたかもしれない」という。摂食障害は、自身を守る手段だった。

 独身で、両親と一緒に暮らしている。「母が望むような人でいなければ」。長年、聡美が自らの心を縛り続けた鎖はほどけ、母の意見を過度に真に受けたり反発したりすることはなくなった。「母は母、私は私」。聡美は自分がようやく自立できたのだと思う。発症から27年。今も月に1回程度、食べ過ぎて吐くことがある。摂食障害の症状を引きずってはいるが、もう「障害」ではない。

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 摂食障害の心理学的研究に取り組み、その病態と治療に大きく貢献したのが、ドイツ生まれの米国の精神科医、ヒルデ・ブルック(1904年3月11日 - 1984年12月15日)であります。ブルック氏の報告によりますと、摂食障害の中核群である拒食症患者は、学童時からの底知れぬ自尊心の欠如を抱えており、両親の極めて侵入的な介入を受け続けたとされます。患者のほとんどは両親を喜ばせることと両親の期待に応えることを命題として生きてきた人々であり、その体験の蓄積からくる葛藤が症状となって患者を支配すると言います。
 この第1話の聡美は、「おまえなんか大嫌い」と言われた母親の言葉が発端でありました。恐らくは、育児に追われた母親が、その1回だけではない、多くの機会に彼女を追い詰める言動があったかと思います。その瞬間、瞬間がブルック氏が言う「侵入的な介入」であり、その繰り返しが「底知れぬ自尊心の欠如」を生み出して来たのでだと思います。

「適応障害」 憤りを感じた あるメンタルクリニックの安易な診断と治療


 以前、外来に来た食欲不振の若い男性の話から、「アナと雪の女王」主題歌 “Let It Go”を掲載しました。若者が病める時代なのか?、年末に、また似たような患者が来ましたが、これにはある種の憤りを感じましたのでご報告いたします。


◇ ストレス潰瘍疑いの ある外来患者

 23歳、女性、詳しい職種は聞いておりませんが、職場にて、主として苦情などの電話対応がストレスとのことで、胃が痛いとの訴えで来院されました。言葉使いや説明に全く正常な知性を感じましたし、自分の症状に切実な思いがあることが見てとれました。型のごとく問診、診察を行い、ストレス性潰瘍の可能性からプロトンポンプ・インヒビターを処方して、腹部エコーと胃カメラの予定を立てました。
 ところが、よく話を聞いたところ、あまりのストレスから、この3日前より職場を休んで、近所のメンタルクリニックに行ったとのことでした。そちらでは、15分ほどの問診で「適応障害」と診断され、レクサプロ 10 mg 1T(1日1回 夕食後 内服)の処方がなされたとのことです。患者は、クリニックの医師からの説明が不十分であり、言われた病気に対する恐怖、薬の副作用の不安から、服薬は躊躇しているとのことでした。


◇「レクサプロ」と言う薬剤

 ここでレクサプロと言う薬剤について情報を公開いたします。2011年、田辺三菱製薬株式会社より販売された選択的セロトニン再取り込み阻害剤(Selective Serotonin Reuptake Inhibitors、SSRI)で、有名なうつ病治療薬パキシルに類似した薬剤のようです。以下、添付文章を要約したものを掲載します。

レクサプロ錠10mg
LEXAPRO Tab 10mg
(エスシタロプラムシュウ酸塩・フィルムコーティング錠)

1.効能/効果

 うつ病、うつ状態

【効能・効果に関連する使用上の注意】
 1)抗うつ剤の投与により24歳以下の患者で自殺念慮、自殺企図のリスクが増加
 2)海外での試験で6〜11歳の患者で有効性が確認できなかったとの報告がある

2.用法/用量

 通常、成人にはエスシタロプラムとして10mgを1日1回夕食後に経口投与する。なお、年齢・症状により適宜増減するが、 増量は1週間以上の間隔をあけて行い、1日最高用量は20mgを 超えないこととする。

【用法・用量に関連する使用上の注意】
 1)投与量は必要最小限となるよう患者ごとに慎重に観察しながら投与する
 2)肝機能障害患者、高齢者、CYP2C19活性欠損患者には副作用を考慮、慎重投与

3.使用上の注意

 以下のごとく慎重投与、基本的注意事項がある。

【慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)】
 1)著明な徐脈等不整脈、QT延長の既往のある患者
 2)肝機能、腎機能障害のある患者
 3)自殺念慮又は自殺企図の既往のある患者
 4)躁転、から自殺企図が起こりうる躁うつ病患者
 5)脳の器質的障害又は統合失調症の素因のある患者
 6)衝動性が高い併存障害を有する患者
 7)てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者
 8)出血の危険性を高める薬剤を併用している患者
 9)高齢者および小児

【重要な基本的注意】
 1)希死念慮か、自殺企図に対する配慮
 2)不安、焦燥、興奮、パニック発作、不眠、易刺激性、敵意、攻撃性、衝動性、
   アカシジア、精神運動不穏、軽躁、 躁病等の出現に注意
 3)自殺目的ての過量服用に配慮し処方日数を最小限とする
 4)薬剤の副作用、自殺企図等について家族に対する十分な説明、指導を行う
 5)眠気、めまい等から自動車の運転や機械操作には十分に注意する
 6)投与中止で不安、焦燥、興奮、めまい、錯感覚、頭痛が現れるうる
 7)本剤でQT延長が見られるため投与開始前に心血管系の状態に注意

レクサプロ 写真

4.副作用

 大うつ病性障害患者を対象とした国内臨床試験(4試験)において、総症例550例中、409例(74.4%)に臨床検査値異常を含む副作用が認められている。その主なものは悪心131例(23.8%)、傾眠129例(23.5%)、頭痛56例(10.2%)、口渇53例(9.6%)、浮動性めまい48例(8.7%)、倦怠感39例(7.1%)、下痢34例(6.2%)、腹部不快感32例(5.8%)等であった。

【重大な副作用】
 1)痙攣(頻度不明)
 2)抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH、頻度不明)
 3)セロトニン症候群(頻度不明):不安、焦燥、興奮、振戦、ミオクローヌス、高熱
 4)QT延長(頻度不明)、心室頻拍(頻度不明)

【その他の副作用】
その他の副作用 01

その他の副作用 02


◇「適応障害」の診断と治療の妥当性は!?

 私は精神科ではありません。ですから、精神科の専門医からの非難を受けるかも知れません。でも、あえて申します。私が応対した患者が受けた、メンタルクリニックにおける診断も治療も妥当ではないと思います。23歳の女性、と言うより、まだ社会人として未熟な、人間としてもまだまだ発展途上の若者に、たった15分の問診で、診断のための特別なテストなどなしに「適応障害」との診断し、しかもあっさりと抗うつ薬を処方する安易さに唖然とするばかりです。この病気の診断基準、治療法を供覧するまでもなく、乱暴かついい加減さがにじみ出る判断だと思います。以下、今回の事例について、診断と治療に分けて問題点を指摘したいと思います。

1.診断を下すことの患者への影響

 問診で聴取する症状から、風邪や胃腸炎の診断を下すのはごくごく普通のことだと思いますし、そのことが患者に及ぼす影響はほとんど無いと思います。例えば、インフルエンザの検査で陽性となり診断確定とか、受傷部位のレントゲン写真を撮って骨折の診断を下すのも、至極当然の過程です。
 ところが、「適応障害」となると、立派な精神疾患の一種であり、ある一定の長期間の治療を要す、休職を余儀なくされる、多剤併用の薬物の服用を要す、そんな可能性が否定できず、15分かそこらの問診だけで診断を決める、そんな簡単なものであるはずがありません。当然のごとく、その病態の重大さから、診断を下された者は少なからず精神的苦痛を受けるものと思います。

 精神疾患の診断は患者に対する多大な苦痛
 
 例えば、今回の女性が、その「適応障害」ネットなどで調べたとして、書いてあることがことごとく自分に当てはまると言う感覚を持ち、このままでは仕事はできないと考えたなら、あるいは翌週も仕事を休むようなことがあるならば、これは長期の休職にもつながりかねず、安易な診断が病態をさらに悪化させる可能性があります。

 安易な診断がさらに病態を悪化させる可能性

 医療において、多くの場合、早期診断から早期治療は求められるところですが、精神科領域の診断はある程度の慎重さが必要と考える次第です。

2.薬の副作用から

 私が処方したプロトンポンプ・インヒビターも、あるいはストレスから快眠が得られないことに対して軽い睡眠導入剤を出したとしても、いずれも副作用は無いかごく軽微なものです。それに対して、上でご紹介したレクサプロ錠の副作用は、発現率が74%以上に及び、その内容には、悪心、傾眠、頭痛、めまい、倦怠感、無力感のような、活動性を低下させる症状が含まれ、ますます仕事に支障を来す可能性が高いでしょう。

 発現率の高いレクサプロの副作用
 活動性を低下させ、仕事に支障を来す可能性


 また、風邪薬のように、一過性の服薬で終わるものと異なり、精神科の薬剤はある程度、長期間の服用が必要であり、ややもすると慢性疾患として年単位の投与が必要となります。そうなると、薬剤から離脱する際の症状も大きくなりますし、添付文章に列挙した重大な副作用の発現の可能性が増加します。今回の症例は若い女性ですので、万が一、妊娠した場合に催奇形性も考慮しなければなりません。

 長期投与となる可能性と危険性

 さらには、副作用に精神症状が含まれており、これが薬剤の効果が不十分なので、もともとの抑鬱状態によるものか、副作用なのかは判断しずらいケースも想定されます。経過観察の過程で、発現する症状から、薬剤の増量あるいは多剤併用へと移行することはあり得ることであり、副作用の可能性はさらに増大します。

 薬剤の増量、多剤併用となった場合のさらなる危険性

 安易な診断と処方が発端となって、重大な病態の悪化を招く可能性は否定できません。自殺企図や、刃物など危険物を振り回す、明らかに異常行動に対して、神経遮断剤の早期の使用は必要と思いますが、今回の症例は若い女性であり、診断と同様、薬剤の処方も慎重であるべきと考えます。


◇ 現代の世情?、保険診療の問題?、薬付けで廃人を作る医療?

 今回の症例以外でも外来に来る消化器症状を訴える患者に既往歴、内服薬を尋ねると、心療内科、メンタルクリニックや精神科に通院している人が以前よりも増えたように思います。その多くの患者が多剤併用の向精神病薬を服用していて、元々の病気のせいか?、薬の副作用なのか?、仕事を続けられずにいる人も少なくありません。精神疾患の有病率が増えた(と思われる)原因として、心が病める社会なのか?、以前よりも精神疾患に対する理解が高まり、そうした医療を受ける患者が増えたからか?、あるいはその両方のように考えます。

 精神疾患の有病率が増えた?
 ・心が病める社会なのか?
 ・精神科受診が増えた結果?


 もう1つ、心療内科、メンタルクリニックや精神科のドクターが、簡単に診断を下して簡単に向精神病薬を処方する風潮にあると思います。「大丈夫だ!」、「病気ではない!」と言う勇気も欲しいところですが、悪い見方をすれば、それでは商売あがったりなので、病人を作り出してしまい、一度、病名がついて処方が始まればまた次も再来で受診しますから、長期の収益に繋がる、そんな医療のように見えます。

 簡単に診断を下して簡単に向精神病薬を処方する風潮

 もっとゆっくりと問診して、あるいは「適応障害」には診断のためのテストがありますので、時間をかけて慎重に診断をしていいと思いますし、まずなによりも、若い患者であれば、薬剤投与でなくカウンセリングや対話、問題解決法のアドバイスを真っ先にやってもらいたいと思います。でも、それができないのは、精神科領域の診療報酬が、それを難しくしているのでは?、と考える次第です。つまり、時間をかけた問診や対話は収益にならず、処方箋料が重要な収入源であると言うことです。

 精神科領域の診療報酬に問題が?

 まだ私の外来に来ることになっておりますので、症状が軽快していることに期待しますし、問題が残るようであれば、相談にのってあげようと思います。

 

裁判員に発症したPTSD補償の是非(再掲)

 昨年の記事です。裁判員裁判で裁判員を勤めた女性が殺人現場のカラー写真などを見せられ急性ストレス障害になったとして、福島県の60代女性が国に損害賠償を求めた訴訟があります。これに対して、この原告の主張の正当性について、裁判員裁判の制度そのものの是非、などと様々な意見が散見されております。まずは記事のご紹介から、、、。

◇ 河北新報社 2013年9月25日(水)記事

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女性、制度違憲と主張 裁判員ストレス障害訴訟 福島地裁

 強盗殺人事件の裁判員裁判で裁判員を務め、現場写真を見るなどして急性ストレス障害になったとして、郡山市の無職青木日富美さん(63)が国に損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が24日、福島地裁で開かれた。青木さんは裁判員制度を違憲と主張したのに対し、国側は「広く国民に司法参加を求めるための合理的な要請で、辞退できる制度も設けている」と請求の棄却を求め、争う姿勢を示した。

裁判員女性

 青木さんは意見陳述で「今も幻覚、幻聴のフラッシュバックが続いている。裁判員になって心身に大きな傷を負い、平穏な生活を奪われた」と時折、声を詰まらせながら述べた。 陳述書は夫と準備したA4判7枚。全部読み上げると10分以上かかるが、「生々しすぎて読めない」と途中で省き、意見陳述は約5分で終わった。
 訴えによると、青木さんは福島地裁郡山支部で3月にあった強盗殺人事件の裁判員裁判で、殺害現場のカラー写真や被害者が消防署に助けを求める録音テープを見聞きしたことで、吐き気や不眠に苦しむようになった。 青木さんは急性ストレス障害と診断され、現在も治療を続けている。長期間休職した影響で、7月には勤務先の介護施設の雇用延長を拒まれた。 青木さんの提訴を機に、東京地裁は7月、裁判員選任時に遺体や現場の写真など衝撃的な証拠があることを予告したり、不安が強い候補者の辞退を容認したり柔軟に運用することを申し合わせた。

 青木さんは閉廷後に記者会見し、実名の公表に応じた上で「裁判員をやった人でないと、この苦しみは分からない」と話した。

「つらい思い、私で最後に」

 「つらい思いをするのは私が最後であってほしい」。第1回口頭弁論を終え、福島市の福島県弁護士会館で記者会見した青木日富美さん(63)は涙声で訴えた。裁判員裁判に参加して半年たった今も吐き気や不眠に悩まされている。自宅の鏡に強盗殺人犯が映ったように見え、階段から転落したこともあった。
 口頭弁論で青木さんは、「裁判員制度は、憲法18条で禁じる『意に反する苦役』に当たる」と主張したが、国側は「辞退できる制度も設けている」と反論した。代理人の織田信夫弁護士は「これが苦役に当たらないなら何が苦役なのか」と批判。「裁判員制度を違憲と認めさせ、制度を廃止させたい」と話す。「この苦痛を理解してもらいたい」と自ら陳述書の朗読を決意した青木さん。「関わりがない人の量刑を決めるのは本当につらい」と絞り出すように語った。

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◇ 心的外傷後ストレス障害(PTSD)

 心的外傷後ストレス障害(Posttraumatic stress disorder, PTSD)について、精神科教科書およびネット文章からまとめてみました。

【定義/病態】
 まずこの疾患の定義は、死に至るほどの重症な外傷や心に加えられた衝撃的な傷が原因となって、様々なストレス障害を引き起こす疾患とされます。心的外傷またはトラウマは、事故や災害時における急性のものから、日常的に繰り返される児童虐待や長期間の拘束など慢性的なものまで含まれます。なお、原因となる事象から1月以内を「急性ストレス障害(Acute stress disorder, ASD)」と呼び、症状が1月以上に及ぶ場合にPTSDと診断されます。

【歴史】
 PTSDの概念および研究は、主として精神科の分野において、19世紀後半、フランスの神経学者ジャン・マルタン・シャルコーにヒステリー研究、女性の心的外傷の原型として始まったとされます。その後、ジークムント・フロイトにより、「外傷的な出来事に関する、耐え難い情動反応が一種の変成意識をひきおこし、この変成意識がヒステリー症状を生んでいる」と説明されました。
 一方、別の流れでは、「戦闘ストレス反応」として、第一次世界大戦における塹壕戦(戦争で歩兵が砲撃や銃撃から身を守るために使う穴または溝での戦い)の経験を踏まえ、戦争において精神的に崩壊する兵士が驚くべき多数に上ったことから認知されはじめました。戦後米国と英国から始まり、ベトナム戦争後にさらに確立していったとされます。
 日本においては、阪神・淡路大震災、地下鉄サリン事件、新潟少女監禁事件、JR福知山線脱線事故の時に広く病名が知られるようになりましたが、当然のごとく、東日本大震災とそれに伴う津波、福島原発事故もPTSDの原因になりうる大事件であり、今後も話題として挙る可能性は高いでしょう。

【原因となる事象】
 心的外傷またはトラウマに値する事象に、生命が脅かされたり、人としての尊厳が損なわれるようなものとして、災害、人災、犯罪に分類され、以下が挙げられております。
 ・災害:地震、津波、火山、洪水、火災
 ・人災:戦争、紛争、内乱、デモ
 ・犯罪:テロ、虐待、監禁、強姦、体罰、いじめ

【診断基準】
 以下の診断基準に沿って、本人のトラウマ体験、症状の内容の強さ、心理状態などを調べます。これらの結果を総合し、専門医がPTSDかどうかを確定して治療方針を決めます。

 *****

A.患者は以下の2つがともに当てはまるトラウマ的な出来事にさらされた

 1.実際に命に関わるような出来事(または重傷を負うようなこと)、
   あるいは自分または他人の身体の保全がおびやかされるような
   危険を、自ら体験したか、目撃したか、直面した。
 2.患者の反応は、強い恐怖、無力感、戦慄をともなった。

B.再体験症状:トラウマ的出来事は少なくとも以下の1つの形で再体験
  されつづけている

 1.できごとが繰り返し、意図しないときに、苦痛をもって想起される
   (想起の形にはイメージ、思考、においなどの知覚がある。)
 2.出来事についての苦痛な夢の繰り返し。
 3.トラウマ的出来事が再び起こっているかのように行動したり、
   感じたりする(体験がよみがえる感覚、錯覚、幻覚が起こる。
   あるいは現在いるところから意識が離れてしまいもっぱらその
   体験の中に入ってしまう)。
 4.トラウマ的出来事の、なんらかの側面を象徴していたり類似して
   いたりするきっかけ(自分の感覚や外的な何か)によって生じる
   心理的苦痛。
 5.トラウマ的出来事の、なんらかの側面を象徴していたり類似して
   いたりするきっかけ(自分の感覚や外的な何か)によって生じる
   身体の反応。

C.回避・マヒ症状:トラウマに関連した刺激の持続的回避と、全般的な
  反応性のマヒ(トラウマ以前には存在しなかった)で、以下のうち3つ
  (またはそれ以上)が存在する。

 1.トラウマに関連する思考、感情、会話を避けようと努力している。
 2.トラウマを想起する活動、場所、人物を避けようと努力している。
 3.トラウマの重要な場面を思い出すことができない。
 4.重要な活動への関心または参加の著しい減退。
 5.周囲の人々から孤立している、疎遠になっているという感覚。
 6.感情の範囲の縮小(例:愛情を感じなくなる)。
 7.将来が短縮した感覚(仕事、結婚、子供、寿命を期待しない)。

D.覚醒亢進症状:トラウマ以前には存在しなかったもので、以下のうち
  2つ(またはそれ以上)が存在する。

 1.不眠(寝つきが悪い、眠りが浅い)
 2.イライラする、あるいは怒りの爆発
 3.集中が困難
 4.過度の警戒心
 5.過剰な驚愕反応

E.基準Bの再体験症状、Cの回避・マヒ症状、およびDの覚醒亢進症状が
  一か月以上持続している。

F.その人に強い苦痛をもたらしている、または生活上に大きな支障(社会的、
  職業的、ないしは他の重要な領域の機能障害)を引き起こしている。

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◇ 裁判員のPTSDに補償すべきとの見解

 今、話題となっているのは、裁判員制度そのものよりも、裁判員に発生したPTSDに対する補償の義務が国にあるか否かとの話しが多い印象があります。これに対しては「弁護士ドットコム」というHPに以下の文章が載っておりましたので引用いたします。裁判員に発生したPTSDに対して、法律に基づいて補償すべきとの見解ですね。

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凶悪犯罪の写真を見ることもある「裁判員」
精神疾患になったら補償はあるか?


 裁判員裁判は、殺人などの凶悪犯罪や、社会の耳目を集めた重大犯罪について判断することが多い。法廷で証人や被告人に質問したり、裁判官が同席した評議に参加して、事件の真相とは何か、刑の重さはどのくらいが適切かなどについて意見を述べることが求められる。そもそも、裁判員は精神的な負担が大きい。直視できないような凄惨な証拠写真を見たことで体調を崩すこともあるだろう。では、このような裁判員を想定した補償制度はあるのだろうか。大竹健嗣弁護士に聞いた。

裁判員は「非常勤」の裁判所職員
国家公務員災害補償法の適用を受ける

 大竹弁護士によると、「法曹の卵である司法修習生でも、死体解剖に立ち合った際には、最後まで立ち会うことができす、口を押さえて解剖室から逃げ出す者もいる」のだという。「一般の人から選ばれた裁判員は、通常であれば目にすることのない血まみれの殺害現場のカラー写真や音声などの証拠を確認する必要に迫られます。これらの写真や映像、音声を経験すると、精神的・身体的ショックを受けることは想像に難くないでしょう。ですから、裁判員から強い精神障害を受けるとの申出を受け、裁判所がこれを認めた場合、カラー写真をモノクロに変更したり、状況によっては補充裁判員に交替させるなどの配慮が必要となります」

 では、裁判員が後々にも残るような心の傷を負った場合は、どのような補償が受けられるのだろうか?「裁判員が障害を負った場合にも、裁判所職員と同様の補償が受けられるべきです。裁判所の裁判員に関するホームページにも、『裁判員は、非常勤の裁判所職員であり、常勤の裁判所職員と同様に、国家公務員災害補償法の規定の適用を受けます』と記載されています。したがって、裁判員は同補償法における、国家公務員の負傷、疾病、障害と同様に補償され、これらを患った場合は、療養補償として必要な療養やその費用を受け取ることができることになります(同法10条)」

このように法的な説明をした上で、大竹弁護士は次のような見解を述べている。

「多くの裁判員は、事件を通して、生と死を考え、あるいは家族や周囲の大切さに感謝し、自分の生き方を根本から考え直す良い機会と捉えて、苦労を乗り越えてくださっているのではないかと推察しています」

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◇ 裁判員のPTSDに対する厳しい意見

 今回の問題に対して、上記とは正反対の厳しい文章をあるブログで見つけました。客観的な判断基準を得るためには極端なご意見にも耳を傾ける必要はあろうかと思いますのでご紹介します。全文は無理ですので一部、抜粋でコピペします。

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裁判員 PTSD関連ブログ
http://kokoroniseiun.seesaa.net/article/356088771.html

元裁判員の泣き言に構うな

 「元裁判員ストレス障害:食欲失い、幻覚も 『心壊れたのは私だけでしょうか』」とのタイトルで、裁判員裁判に出た女性が訴えを起こしたそうだ。(毎日新聞4月18日付)

 記事のリードには、


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「生まれて初めて見た他殺体のカラー写真に食欲を失い、自らも「選択」した死刑判決に悩んで眠れない日々が続く。裁判員を務めた後「急性ストレス障害(ASD)」と診断された福島県の60代女性は取材に「心が壊れたのは私だけなのでしょうか」と問いかけた。4年前に始まった裁判員裁判は、死刑判決の可能性がある重大事件も対象になる。「司法に市民感覚が必要ならば、身近で軽微な事件から始めてほしかった」という訴えは重い。」

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 とあった。なにが「訴えは重い」だ。「心が壊れた」?? 冗談言うなよ。他殺死体と言ったって、写真でしょ? そんな程度のことで、たやすく心が壊れたなんて言うな。それをまたマスゴミの記者が甘やかして重大事のように煽る。

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◇ケア体制、不十分
 変調に気づいたのは行政書士の夫(60代)だった。「どうした?」「眠れないの」。裁判員に選任された3月1日の夜、女性が夜中に布団の上に座っていた。担当するのは、昨年7月に県内で起きた夫婦2人の強盗殺人事件。残虐な犯行だと報じられていた事件だが、夫は当初、妻は大丈夫だと考えていた。
 迎えた同4日の初公判。帰宅した女性は無口になり、肉料理をいやがった。審理が進むにつれ、食べても嘔吐(おうと)を繰り返し、体重は急激に減少。夜中に突然起き上がり「夢に出てきて怖い」と震えた。認知症のお年寄りも預かる福祉施設に勤める女性は、職場での夜勤中に「幻覚を見る時もあった」と漏らす。
 評議の内容を口外してはいけないという守秘義務も重くのしかかった。「いろいろと話せれば気が楽になるかもしれないのに、どこまでが守秘義務に反するのか分からない」。職場でも公判のことを話せず、同僚も気遣って聞かなくなった。他の裁判員や裁判官との評議の結果は、死刑。14日の判決公判後には、その重い判断に加わったことへの悩みも抱えた。
 女性の様子を見て、夫は裁判員のためのカウンセリング制度の存在を知り「裁判員メンタルヘルスサポート窓口」に電話した。面談できる場所は東京が最も近く、1人5回まで無料だという。しかし「裁判で有給休暇を使っており、さらに仕事を休んで交通費をかけてまで行けない」。センターに紹介された県内の保健所に電話すると「裁判員のための相談は知らない」「必要なら精神科を紹介する」と言われ、がくぜんとした。

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 あえていうなら、こんなだらしない女を裁判員にするのが間違いであるが…。この事例に対して、なんと渥美東洋・京都産業大学法科大学院教授なるご仁が、「国の補償は当然」とのたまっている。アホか!残酷な写真などを見れば、誰でも有害なストレスを受ける」だから今回のような事例が起きたら国が補償するのは当然だ、と主張している。

 なんというヤワ、なんという甘やかし。

 いかにも殺害写真なんか気持ちのいいものではないのは認める。しかし、生の殺害現場じゃないんだから、割り切るしかない。そんなことを言ったら警官はみんな心に有害な生の現場で、食い入るように見なければならず、総員みな急性ストレス傷害で心が壊れるってか? 刑事とか鑑識とかは、誰かがやらなきゃならないんだよ。ある監察医は、阪神大震災のとき亡くなった死体を何千体も解剖した。その成果で、遺伝子の世界的解明を成し遂げたのである。辛かっただろうが、ひと言も泣き言は言わなかった。

 この「心が壊れた」女性は、裁判員制度が世の中のためだという精神が欠落している。裁判員制度には賛否あろうが決められたことであり、一応市民の義務になったのだ。建前に過ぎないかもしれないが、社会の悪をただすためである。裁判員を引き受けたときに、それなりの覚悟をしたはずではないか。
 他殺死体の写真は気持ちが悪い、幽霊が出てきそうだ、残像に悩まされる、は、ウソではないだろうけれど、そういう誰もが賛同してくれることにこそ、弱音は吐くものではない。辛さだけ味わわない人生を構築するチャンスと思わなければ、進歩はない。

 例えば。 沖縄戦では民間人が巻き込まれて悲惨な修羅場になった。わずか15、16歳の幼い少女たちまでが、糞尿や血の匂いが充満する洞窟で、飛び出した兵士のはらわたを腹に仕舞い、もげた手や足を拾って包帯で巻いて……戦いで傷ついた将兵を看護し、死をみとり、それこそ生の、残酷な試練を受けたのだ。それを良いと言うのではむろんないが、彼女ら「ひめゆり学徒隊」「白梅学徒隊」「なごらん学徒隊」など8つの高女や師範学校の女子学生たちが献身的に戦場で尽くしてくださったのである。彼女らの誰一人として、正視できない残酷な体験をしながら、「心が壊れました」だの、PTSDになりましただの、言うことはなかった。それがどれほど辛かったかは想像に絶するが…。

 (中 略)

 人生には逃げたくても逃げられない場面がくるものだ。3・11の大津波が押し寄せた現場にもおそらく、多くのこうした残酷な、死や重症の場面があっただろう。残酷はいやだと言わずに立ち向かってくれた人がいたから、助かった命が無数にあったことだろう。

 そんなときのために、立ち向かう魂を創るべきである。

 なんで、マスゴミの記者はこうやって一般人を甘やかし、軽薄な同情を寄せ、とにかく政治を批判すれば自分が一段高い所にいられるかの錯覚をするようだ。マスゴミは、公共事業は「バラマキ」と揶揄するくせに、こういうみっともない女の泣き言には税金をバラまけと?「心が壊れた」などと甘ったれたことを言う輩には、ただ「シャキッとしろ」と言えば済むことである。今でいうなら、シリアやパレスチナに生まれたらどうするつもりか?

 そういうと、自分は弱者だ、生まれながらに強い心を持った人と一緒にするななどと反論してくるのだろう。バカ言うな、生まれついての臆病も、強靭な精神の持ち主もいない。すべて精神力を鍛えたか、鍛えなかったかなのだ。鍛えないから、こういう「心が壊れた」などといって、被賞金をせびろうとする。こういうせびり、たかりの者どもは、今の日本ではマスゴミも応援してくれて、プレッシャーをかけるから、国の補償が得られるかもしれない。それで彼らは得した気になれるかもしれないが、天網恢々粗にして漏らさず。やがて報いがやってくる。
 
 (以下略)

 *****



◇ 一般の病気に置き換えて考える

 制度や法律について賛否を述べるのは簡単でも、真理はいろんな観点から考えるべきと思います。今回の訴訟に対して、国側は「辞退出来る制度」を主張しているようですが、任命された国民全てが辞退したら成り立たない制度であることも事実でしょう。他のブログあるいはコラムには「人選を誤った」との文章も散見されました。しかし、人選にしろ辞退の判断にしろ、PTSDに繋がる刺激的な写真や音声に暴露される前には難しいとも思われます。どうやって向き不向きを決定するのか?、国から要請を受け、責任感と大丈夫だと思って臨んだ結果、発症してしまったPTSDを「人選が悪かった」、「嫌なら辞めればよかっただろう」と言うのは、言うのは簡単なことかも知れません。

 人選や辞退の困難さは否定できない

 一方、上でご紹介したブログの中で、精神論的な記述と社会の甘やかしのような発想が見られます。阪神大震災における監察医や沖縄戦の経験者を挙げて、大丈夫な人はたくさんいるとの考え方です。でも、それは精神、心の病いだからそのような発想が出て来るのだと思います。

 心の病いだから軽く考えがち
 一般の疾病で考えれば答えは出るのでは?


 例えば、一般の病気に置き換えて考えたらいかがでしょうか? 古い話しですが、三重県四日市市の石油コンビナートからの大気汚染による喘息は行政の責任が認められました。当時の環境においても喘息を起こさず元気だった人も多数いたと思いますが、だからと言って、喘息を発病した人に「お前は肺が弱い!」と言うでしょうか? 発ガン物質と癌の発症もそうですが、疾病において原因と発病の因果関係がはっきりしていても、同じ条件でも発病する人としない人がいることは極めて一般的によくあることです。



http://news.goo.ne.jp/article/kahoku/nation/kahoku_K201309250A0S106X00001_091154.html
http://ja.wikipedia.org/wiki/心的外傷後ストレス障害
http://health.yahoo.co.jp/katei/detail/ST140110/2/
http://about-ptsd.matchkk.com/about/standard/
http://blogos.com/article/62296/
http://kokoroniseiun.seesaa.net/article/356088771.html
http://ja.wikipedia.org/wiki/四日市ぜんそく

抗精神病薬後遺症に関するYahoo知恵袋に異論

 ちょっとしたことから抗精神病薬の後遺症を調べることになり、目に止まってしまったYahoo知恵袋をご紹介します。あんまり難しく考える必要は無いのかも知れませんが、なんとなく、薄気味悪い、背筋が寒くなるような感覚を持ちました。

 まずは、Yahoo検索画面で「抗精神病薬 後遺症」と入力して検索ボタンを押しますと、以下の如く、検索結果の上位一番目にYahoo知恵袋がありました。Yahooの知恵袋なのでYahoo検索画面で上位なのかと思い、Googleでも検索したらやはり上位一番目でありました。

Yahoo検索 抗精神病薬 後遺症

Google検索 抗精神病薬 後遺症

 「抗精神薬で取り返しの付かない後遺症が残ってしまいました」とのタイトルに吸い込まれるようにクリックしてみると、、、。

Yahoo知恵袋 抗精神薬

 Yahoo知恵袋でしので質問に対するベストアンサーが掲載されており、「解決済み」の判子が押されています。全文をご紹介します。

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抗精神薬で取り返しの付かない後遺症が残ってしまいました。どうか安楽死できる方法を教えてください。

 5月ごろ、欝気味でクリニックに通い始めたところ、だんだん薬の種類が増えて、7月には

 セニラン 2 mg
 スルピリド 50 mg
 リボトリール 0.5 mg
 デプロメール 25 mg
 ミルナシプラン 50 mg
 アモキサンカプセル 10 mg
 エビリファイ 3 mg

上記の7種類に増えていました。

 ちょっと飲みすぎではないか不安になり当時の担当医に「どんどん増えてきていますがこんなに飲んでも大丈夫でしょうか?」とたずねたら「大丈夫ですよ~。」とのことだったので、そのまま飲み続けました。そのうちになんだか現実感がなくなり、担当医に「薬の副作用の可能性はありますか?」とたずねたら「ないですね~」とのことでした。そして8月の半ば、足がじっとして座っていられない強烈な不快感と気分の悪さが襲ってきました。(あとでわかりましたがアカシジアという副作用だったそうです)

 ぜんぜんよい方向に向かっていると思えず、通っていたクリニックではなく、セカンドオピニオンもかねて県立の精神病院へ行きました。そこの担当医から、「一度、飲んでいる薬を全部やめてみて、そのあと残った症状をみて治療しましょう。今もっている薬は捨ててしまっていいです」と指示があり、前のクリニックでもらった7種類の薬を一気に断薬しました。すると、症状がますます酷くなりました。

 ・断薬後4日目ほどから突然眠れなくなり、「眠気」というものがまったくおとずれない。
 ・長時間効くはずの眠剤(ベンザリン)を飲んでも、毎日2時間ほどしか寝れない。
 ・おなかがすくという感覚がまったく起きない。
 ・感情がまったくなくなりテレビを見ても音楽を聞いても何も感じなくなった。
 ・今まで出来ていたことが出来なくなってしまった。なにもかもわからなくなってしまったようなかんじ。
 ・副作用でなった便秘が断薬後も治らず、便秘薬を飲まないと排便できない
 ・本が理解できない
 ・記憶力をほぼ全て失った
 ・しょっちゅう手足に冷や汗が出る

 最初、これらは離脱症状で一時的なものかと思っていましたが、2ヶ月以上も状態が変わらず、寝たきりです。前のクリニックで飲んでいた7種類の薬が相互作用を起こしたのか、全てを一気に断薬したのがよくなかったのか、原因はわかりませんが、脳のどこかがおかしくなってしまったようです。担当医は、「薬が脳にダメージを与えることはありません」と断言していますが嘘だとおもいます。

 こんな状態で生きていくことはできません。ヘリウムと首吊りは、実際はとても苦痛なのを知りました。他に安楽死の方法をご存知の方どうか教えてください

【補 足】
 県立病院の先生は、「重度のうつ」と診断し、ジェイゾロフトを飲んで1ヶ月になりますが全く症状が変わりません。「一気に」断薬するまではこんなにひどくなかったのに。。。ネットで検索したら抗精神薬により後遺症を受けて何年経っても回復せず苦しんでいる人たちがたくさんいることを知りました。私は回復するかどうかわかりませんが、一日2時間しか眠れないので、そのうちに健康を害し死ぬかもしれません。

質問日時:2010/11/5 22:15:14
解決日時:2010/11/12 20:12:37

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ベストアンサーに選ばれた回答

 オランダに行って、その国の国籍を取ってください。オランダには「安楽死法」がありますので、その条件さえ満たせば施行してもらえます。「不治の病で耐えられない苦痛がある患者が自発的意思で希望した場合、安楽死の措置をした医師の刑事責任を問わないという内容。他に、(1)患者への情報提供(2)代替手段がないこと(3)第三者の医師との相談などが義務付けられている。非在住者の安楽死には適用されない」「患者は、こん睡状態などの事態に備え、事前に安楽死希望の書類を記しておくこともできる。安楽死が認められる患者は12歳以上で、16歳未満の場合は親権者の同意が必要とされる」

回答日時:2010/11/5 22:50:35

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質問した人からのお礼

 オランダへ行くしかないのですね。勉強になりました。抗精神薬が脳にダメージを与えるのは残念ながら事実なようです(医者は断固として認めませんが)。他に回答していただいた方々、ありがとうございました。

コメント日時:2010/11/12 20:12:37

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 抗精神病薬のみならず、薬剤の副作用、後遺症は、投与量、投与期間、薬剤の併用、体質によって様々だと思いますが、知恵袋に質問された内容は極めて激烈な症状とお見受けしました。しかしながら、恐らくは同年の、5月よりクリニックに通い始めて、7月には7剤併用となり、8月半ばに他院受診したところ休薬となって2ヶ月、抗うつ剤を単剤投与されて1ヶ月経った11月の投稿のようです。最初のクリニック初診からまだ半年、ダイナミックに内服薬が変わっている状況で、「取り返しの付かない後遺症」とするには時期尚早、手探りで診断と治療している段階と思われます。でも、あまりにも辛い症状と不安感、病気に伴う不安定な精神状態から、このまま永遠に続く症状ではないか?と、自殺までも考える気持ちは痛いほど解ります。
 私が「薄気味悪い、背筋が寒くなる」と申し上げたのは、ベストアンサーとされた投稿と、それを「ベストアンサー」とする神経です。そんなに目くじらを立てるものでは無いのかも知れませんが、「安楽死をするためにオランダの国籍を取りましょう」って、現実的ではない、「オランダには安楽死法がある」って、ただそれだけの知識、相談者の苦痛や人の命をなんとも思わない回答だと思います。「安楽死できる方法を教えてください」との質問に、素直に答えただけ、現実的で具体的な安楽死の方法を教えたわけではない、と言うかも知れませんが、オランダ云々はなんの解決にもならないふざけた発言に思えます。
 百歩譲って回答するのは個人の自由としても、これを「ベストアンサー」として掲載する人間の見識、倫理観を疑わざるを得ないです。「オランダへ行くしかないのですね。勉強になりました」との返答に対しての判断なのか?、細かいシムテムまでは知りませんし、「安楽死できる方法を教えてください」との質問に的確に合致している回答との判断なのかも知れません。
 しかし、上で申し上げた通り、「最初のクリニック初診からまだ半年、『取り返しの付かない後遺症』とするには時期尚早、手探りで診断と治療している段階」との考え方はあります。そうしたアドバイスから自殺なんて考えずに頑張って治療して行きましょうとする、励ましの回答があって欲しいですし、あったと思いたい、信じたいです。

 YahooでもGoogleでも、「抗精神薬 後遺症」で検索して、上位一番目に認められた「Yahoo知恵袋」に、病気に苦しむ人に対する良心を求める気持ちを強く持ちました。

拉致監禁とストックホルム症候群

 昨日のニュース、英国のロンドン南部で、30歳、57歳、69歳の3 人の女性30年間にわたって監禁され、奴隷のような扱いを受けていたことが判明、容疑者二人が逮捕されたとの報道がありました。罪の無い人の人権を蹂躙して、人生の貴重な時間を拘束と言う形で無駄に過ごさせる悪質な犯罪です。
 この手の事件について、今から15年ほど前に相次いで小説、映画が作製され、ストックホルム症候群について認知後が上がった時期がありました。今日のテーマは拉致監禁に伴うある種の心理状態でありますが、くれぐれも拉致監禁は犯罪であり、これを擁護、容認するものではありません。そして、ストックホルム症候群について間違った認識から被害者に対する曲解した報道がなされるならば、それは認めることはできないと思います。


◇ 英国における監禁30年の報道

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監禁ニュース

 【ロンドン=佐藤昌宏】ロンドン警視庁は21日、ロンドン南部で67歳の男女2人を監禁の疑いなどで逮捕し、両容疑者の自宅から女性3人を救出したと発表した。
 同警視庁などによると、救出されたのは、30歳、57歳、69歳の女性。それぞれ、英国籍、アイルランド国籍、マレーシア国籍だという。このうちの2人は少なくとも30年間にわたって容疑者宅に監禁され、奴隷のような扱いを受けていたとみられる。警察は、男女と3人の間に血縁関係はないとみている。

 強制的な結婚に関するテレビのドキュメンタリー番組を見た1人が10月、女性保護の民間活動団体(NGO)に連絡して発覚した。女性たちは重度の精神的外傷を負っているという。

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◇ 本邦における誘拐拉致監禁事件

 これまで時々ありました、弱者を傷つける痛ましさ、誘拐拉致監禁事件ですが、北朝鮮のものは別とすると、主犯が男性のことがが多いため、性的虐待目的もあって、少女が被害者となる場合が多いようです。鮮明な記憶として残っているものに、2000年1月、新潟県柏崎市の加害者宅にて発見・保護された女性が、9年2ヶ月もの長期間の監禁をされていた新潟少女監禁事件がありました。当時、北朝鮮の仕業では?と考えられていたのが、なんと母子二人暮らしの家屋2階に母親が知ることはなく監禁されていたものでした。

松田美智子
松田美智子 氏

 奇しくも、この事件発覚と極めて近接した時期、しかしながらこの事件の直前の1999年に、「完全なる飼育」と言う女子高生を監禁する内容の映画が放映されましたが、これは松田美智子氏による、実際の事件に基づいて書かれた小説「女子高校生誘拐飼育事件」(1997年)を原作とするものでありました。この小説のモデルとなった事件は1965年、東京都豊島区にて発生した約6ヶ月間の女子高生の監禁事件でありました。松田美智子氏はその後、新潟県柏崎市の事件についても2009年、小説を発表されております。

少女監禁事件

 さて、1965年、東京都豊島区で起こった事件の詳細を述べているページがありましたので、要約いたします。


◇ 女子高生誘拐飼育事件(女子高生籠の鳥事件)

 昭和40(1965)年11月25日の夜、横殴りの雨が降る豊島区西武池袋線椎名町駅より帰宅途中の女子高生(Sさん、17歳)が、角園九十九受刑者(以下、角園)に誘拐されました。
角園は、Sさんを自宅アパートに連れ帰り、手錠をかけ目と口には絆創膏を貼り、果物ナイフをかざして服を脱ぐように脅したとされます。
 以下、警察の発表した調書に基づいて、角園は裸にしたSさんを強姦しようしますが、処女であったSさんが痛がる為に断念、代わりにナイフを首筋にあてて口淫(フェラチオ)を強要したとのこと、、、。この日より、角園はSさんに対して性交を何度か試みるも未遂に終わり、愛撫や口淫で欲望を満たしたとされます。
 誘拐翌日、Sさんは角園に手錠を外すように懇願し、角園はその言葉に従って手錠を外しました。これ以降は性交を強要する以外、角園はSさんに対して丁寧に接するようになり、誘拐4日目にはSさんを残して大丸デパートへ出かけ、下着やワンピース、オーバー等の衣類、ミシンや布地なども買ってきてSさんに与えています。

 誘拐・監禁・同棲生活が始まり

 犯行から10日、12月4日に2人は伊東の温泉旅館へ旅行に出かけました。アパートに風呂が無い為、誘拐以来入浴できていなかったSさんの機嫌を取るためだったとのことです。旅館では、角園は偽名の日野雅史を名乗り、Sさんには「みどり」と名乗らせ、角園を「パパ」と呼ばせて親子を演じていました。「みどり」とは、離婚して離れている角園の実娘と同名前とのことでした。
 旅行後、2人の関係は変化を見せました。1月半ばになって、初めて角園は強引にではなくSさんとの性交を果たしたとされます。この頃、角園はアパートの大家に玄関前に風呂場を建てる交渉をしたが断られ、Sさんに行水させる目的で大型のポリバケツを購入しています。2人はたびたび一緒に外出していて、角園の腕にしがみついて楽しそうに歩くSさんの姿を目撃していた管理人は、Sさんを角園の新しい恋人と思っていました。また角園は家具を買い揃えていき、「日野みどり」名義で口座を作り、Sさんの為に貯金までしていたとのこと、、、。

 温泉旅行から恋人のような関係へ
 被害者名義の預金口座も


 事件発生から半年あまりたった昭和41(1966)年5月18日、同棲生活は唐突に終わりました。偶然、Sさんを目撃した人の通報によって発覚、角園は警察に逮捕されました。角園逮捕時の本人とSさんの供述は以下の通りであり、Sさんの供述は角園にあらかじめ口裏を合わせるように言い含めされていた為とされている。

 逮捕後、犯人と口裏を合わせる被害者の供述

【逮捕時の角園の供述】
 Sさんが「家に帰りたくない」と言うので、住所をたずねると自分のアパートの近くだった。「一緒に帰ろう」と言って連れ帰り、そのまま一緒に暮らし始めた。死に別れた妻(本当は離婚している)にSさんがよく似ていたので結婚するつもりだった。行方不明で騒いでいるのは知っていたが、帰すつもりはなかった。

【角園逮捕時のSさんの供述】
 あの日、池袋駅で友達と別れたあと、なんとなく国電に乗って渋谷に来た。ハチ公の銅像前で雨に濡れて立っていると、「どうしたの?」と傘をさしかけたおじさんがいた。

 それにしても、事件当時、マスコミや世間は「逃げる機会はあったのになぜSさんは逃げなかったのか?」と疑問を抱き、その奇妙な同棲生活や保護時のSさんの言動に好奇の目が向けられたそうです。保護後のSさんは、角園に日常的に「逃げたら殺す」と脅され、「脅されてはじめは逃げられなかった」と証言し、口淫を強要されてからは「もうこんな体では逃げて帰ってもしかたがない」と思うようになっていったとも言っている反面、「伊東に行ってからは帰る事をあきらめた」、「あきらめはあったけれど、生活しているうちには楽しいこともあった」、「服、下着、靴などを買ってもらった時には嬉しかった」、「(角園が自分のために)貯金しているのも知っていた」、などと複雑な心理状況を上申書で述べています。そうした心理状態があったゆえに、角園は力ずくでなく肉体関係を持つことになったと説明されています。

 脅され、逃げられないと諦め、楽しいことも

 保護された後、両親と再会したSさんは「お父さん歳とったね、おかあさん、やせたのね。心配をかけてごめんなさい」と詫び、家に帰ってからは泣き崩れたとのこと、、、。裁判で角園は懲役6年の刑が確定しています。

 この事件(1965年)の8年後に、次に供覧します、ストックホルム症候群の由来となった事件が起こり(1973年発生)、 後々になってから監禁におけるSさんの心理状況が理解されるようになり、映画「完全なる飼育」の中でも、被害者が犯人をかばって「逃げて!」と叫ぶシーンが印象的でありました。


◇ ストックホルム症候群

 ストックホルム症候群(Stockholm syndrome)は、精神医学用語の一つで、犯罪被害者が、犯人と一時的に時間や場所を共有することによって、過度の同情さらには好意等の特別な依存感情を抱くことを言います。
 1973年8月に発生したストックホルムでの銀行強盗人質立てこもり事件において、人質解放後の捜査で、犯人が寝ている間に人質が警察に銃を向けるなど、人質が犯人に協力して警察に敵対する行動を取っていたことが判明しました。また、解放後も人質が犯人をかばい警察に非協力的な証言を行ったほか、1人の人質が犯人に愛の告白をし結婚する事態になったとのことです。この問題を調査したOchberg博士はFBIとイギリス警察に、以下のような報告をしています。

「人は、突然に事件に巻き込まれて、人質となる。そして、死ぬかもしれないと覚悟する。犯人の許可が無ければ、飲食も、トイレも、会話もできない状態になる。犯人から食べ物をもらったり、トイレに行く許可をもらったりする。犯人の小さな親切に対して、感謝の念が生じる。犯人に対して、好意的な印象を持つようになる。犯人も、人質に対する見方を変える。」

 ストックホルムでの銀行強盗人質立てこもり事件
 犯人が寝ている間に人質が警察に銃を向けた
 人質が犯人に協力して警察に敵対する行動
 1人の人質が犯人に愛の告白をし結婚する事態
 

 犯人と人質が閉鎖空間で長時間非日常的体験を共有したことにより高いレベルで共感し、犯人達の心情や事件を起こさざるを得ない理由を聞くとそれに同情したりして、人質が犯人に信頼や愛情を感じるようになるとされます。また「警察が突入すれば人質は全員殺害する」となれば、人質は警察が突入すると身の危険が生じるので突入を望まず、ゆえに人質を保護する側にある警察を敵視する心理に陥ることもあり得ます。このような恐怖で支配された状況において、犯人に対して反抗や嫌悪で対応するより、協力・信頼・好意で対応する方が、生存確率が高くなるため発生する心理的反応が原因と説明されております。また、同症候群は恐怖と生存本能に基づく自己欺瞞的心理操作(Self Mind Control)であるため、通常は、人質解放後、犯人に対する好意は憎悪へと変化するとも言われております。

 恐怖と生存本能による自己心理操作(Self Mind Control)

 こうした心理状態について、極めて説得力のある発言として、Kampuschという保護人が、次のように述べております。

「被害者に、ストックホルム症候群という病名を付けることには反対する。これは病気ではなく、特殊な状況に陥った時の合理的な判断に由来する状態である。自分を誘拐した犯人の主張に、自分を適合させるのは、むしろ自然である。共感やコミュニケーションを行って、犯罪行為に正当性を見い出そうとするのは、病気ではなく、生き残るための戦略である」。

 特殊な状況に陥った時の合理的な判断に由来

 「完全なる飼育」が放映された頃、「誘拐犯と被害者の奇妙な愛情」などと面白可笑しく報道されたのが想い出されます。監禁はまぎれも無い犯罪であり、冒頭に申しました通り、被害者に対する曲解した報道は認めることはできないと思う次第です。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131122-00000160-yom-int
http://ja.wikipedia.org/wiki/新潟少女監禁事件
http://ja.wikipedia.org/wiki/松田美智子_(作家)
http://ja.wikipedia.org/wiki/ストックホルム症候群

ストーカーのスピリチュアル

 三鷹女子高校生殺害、またも起きてしまったストーカーによる悲劇に対し、スピリチュアルの観点からストーカー行為を考えてみました。もちろん、私は、心理学者でも精神科医でもない、外科医ですので素人の域を出ないことをご容赦下さい。


◇ストーカーの概要

1.定義

 現在、ストーカー(stalker)とは特定の他者に対して執拗に付き纏う(まとう)行為を行う人間のことをいい、その行為はストーカー行為あるいはストーキングと呼ばれます。現在と申しましたのは、この呼称は1990年代より定着したものであり、以前は「痴情のもつれ」のような表現だったようです。

2.発生件数の推移

 現代で言うストーカー行為およびそれに伴う悲劇に該当するものとして、昭和6年の埼玉県の14歳女子学生、昭和19年同性愛者の男性、昭和22年栃木県の女性などが挙げられ、必ずしも最近になってから発生したものではないようです。被害届け出や警察への訴え件数は確実に増えておりますが(図1)、概念が確立してきて、盛んに報道されるようになり、若者の認知度が上がったためとも考えられ、水面下も含めた実際の件数が増加しているかは不明です。

ストーカーDV件数
図1.認知されたストーカーおよびDV件数の推移

3.ストーカー行為の分類

 2000年(平成14年)に制定されたストーカー規制法の定義では、ストーカーとは同一の者に対し、つきまといなどを反復してする者を指し、ここで言う「つきまといなど」とは、「恋愛感情その他の好意」や「それが満たされなかったことに対する怨恨」により、相手やその関係者に以下のいずれかの行為をすること、とされています。

【ストーカー規制法に示されたストーカー行為】
 1号:つきまとい・待ち伏せ等     7607人(51.3%)
 2号:監視していると告げる行為    1092人( 7.4%)
 3号:面会・交際の要求        7738人(52.2%)
 4号:乱暴な言動           3069人(20.7%)
 5号:無言電話・連続電話       4453人(30.0%)
 6号:汚物等の送付           139人( 0.9%)
 7号:名誉を害する行為         793人( 5.3%)
 8号:性的羞恥心を害する行為      987人( 6.7%)
 同法で規制されていない嫌がらせ行為   294人( 2.0%)


◇ ストーカーの背景

1.年齢/性別

 ストーカー事例の年齢は、被害者は20歳代(35.0%)と30歳代(29.2%)、40歳代(16.5%)を合わせて8割(80.7%)を占め、10歳代、50歳代、60歳代、70歳代以上はそれぞれ10%未満であります。一方、加害者は30歳代(25.7%)が最も多く、20歳代(18.4%)、40歳代(18.1%)、50歳代(10.7%)と合わせて7割(72.9%)を占め、10歳代、60歳代、70歳代以上はそれぞれ10%未満で、年齢不詳が16.7%とのことです(図2)。

ストーカー被害者と加害者の年代別
図2.ストーカー被害者/加害者の年齢

 性別は、大方の予想通り、被害者は女性、加害者は男性が優位に多くなっております。具体的には、下表の如く平成24年の被害者は男性206人(14.3%)、女性1231人(85.7%)であり、加害者は男性1198人(83.4%)、女性195人(13.6%)、不明44人(3.0%)でありました。

【ストーカー被害者/加害者の性差】
ストーカー性別

2.ストーカー行為発生前の関係

 ストーカー事例の被害者と加害者の関係は、交際相手(元含む)の51.5%、配偶者〈内縁・元含む〉の8.2%を合わせて、恋愛関係がほぼ6割(59.7%)を占め、知人友人(10.5%)、勤務先同僚・職場関係者(8.7%)、密接関係者(3.0%)まで含めて、顔見知り、人間関係のあるものが8割(81.9%)とのことで、近隣居住者、タレントのファンなど(4.2%)、面識のない相手(5.6%)、行為者不明(8.3%)は、合わせて2割に満たない程度(18.1%)であります(図3)。

ストーカーの前の関係
図3.被害者と加害者の関係

3.動機

 ストーカー行為の動機は以下の通りで、好意の感情(62.9%)、好意が満たされず怨恨の感情(25.6%)で88.5%を占めます。

【ストーカー規制法に抵触する動機】
 ・好意の感情             9322人(62.9%)
 ・好意が満たされず怨恨の感情     3791人(25.6%)
 ・精神障害(被害妄想含む)       71人( 0.5%)
 ・職場・商取引上トラブル        8人( 0.1%)
 ・その他怨恨の感情           75人( 0.5%)
 ・その他                154人( 1.0%)


◇ ストーカーの心理(福島章 氏)

 精神科医の福島章氏はその著書の中でストーキングを行う者の心理を以下の5つに分類して考察してます。

 *****

1.精神病系

 精神病によって抱く恋愛妄想、関係妄想によってストーキングを行う。現実には自分と無関係の、スターに付き纏うようなタイプが多い。警察庁の統計によれば、ストーカーに占める精神障害者の割合は0.5%である。

2.パラノイド系

 妄想によりストーキングを行うが、妄想の部分以外は正常で、話すことは論理的で、行動は緻密であることが多い。現実の恋愛関係の挫折による付き纏い行為もあるが、現実には自身と無関係の相手に付き纏うタイプが多い。

3.ボーダーライン系(境界人格障害)

 性格は外交的・社交的で、「孤独を避けるための気違いじみた努力」が特徴で、病気ではなく、人格の成熟が未熟で、自己中心的で、他人・相手の立場になってみてものを考えることが出来ないタイプで、このタイプの人は精神医学の専門家でない人が想像するよりも世の中に多いという。人間関係は濃く、相手を支配しようとするところに特徴があるという。

4.ナルシスト系(自己愛性人格障害)

 自信・自負心が強く、拒絶した相手にストーキングするものが多く、行動的な分類からは「挫折愛タイプ」に属するものが多い。現実の人間関係は深い。

5.サイコパス系(反社会的人格障害)

 被愛妄想を持つ(相手が自分を好きであると信じる)のではなく、自分の感情・欲望を相手の感情と無関係に一方的に押し付けるタイプで、性欲を満たすための道具として相手を支配するものが多い。「凶悪・冷血な犯罪者」、「典型的な犯罪者」というイメージが特徴で、人間関係は強引で、「相手に取り憑く能力を持っている」ことが特徴であるという。

 *****


 福島氏は、上記タイプの中で、男女を問わずストーキングを受けた者が最も困難に陥れられるのはボーダーライン系(境界人格障害)であると述べており、これは精神障害の診断と統計の手引き(DSM)の中で、演技性人格障害・自己愛性人格障害(ナルシスト系)・反社会性人格障害(サイコパス系)とともに「不安定なグループ」に分類されます。

 ボーダーライン系(境界人格障害)が最も困難

 さらに福島氏は、ストーカーの一般的特徴として「被愛妄想(エロトマニア)」という言葉を挙げています。自分が相手を好きという感情は、どんなに強くても恋愛感情であって恋愛妄想ではありません。被愛妄想(エロトマニア)とは、自分が相手に愛されているものだと曲解する、極度の妄想癖を持った精神病のことであり、この症状を分析した精神科医の名前から別名「クレランボー症候群(Clérambault's syndrome)」とも言われています。

 被愛妄想(エロトマニア)= 自分が愛されていると曲解

 また、ストーカーの一般的特徴は、拒絶に対して過度に敏感な反応を示し、すべてのタイプに共通して、相手の感情に想像力を働かせず、甘え、思い込み、欲求不満を攻撃に替えて解消する、というところだと指摘しています。

 拒絶に対して過度に敏感な反応
 相手の感情に想像力を働かさない
 甘え、思い込み、欲求不満を攻撃に替えて解消



◇ ストーカーの心理パターン(ミューレン)

 オーストラリアの医師でストーカー研究の第一人者であるミューレンの説に基づくストーカーの心理パターンを4つに分けて紹介されていたので引用いたします。

 *****

1.拒絶型

 元恋人や元妻から拒絶されたことでストーキングをするタイプで、一番多いタイプでもある。2012年に発生した逗子での殺人事件も拒絶型のストーカーによって行われたと考えられている。拒絶型は最初によりを戻そうとする行為をとることもあるが、最終的には自分をふった相手に対して復讐をするようになっていく。心理的な背景には相手への執着心、自尊心を傷つけられた被害者意識、関係喪失をつなぎとめる為の悪あがき等の要素が複雑に絡んでおり、傷害事件や殺人事件に発展してしまう危険性が一番高いタイプ。

2.憎悪型

 あまり親しくない人やほとんど知らない人に対して、相手に恐怖や混乱を与えることを目的としてストーキングを行うタイプが憎悪型である。ストーキングを起こすきっかけになる出来事(ささいな被害を相手からうける)を通して自分は被害者なので、ストーキングは当然という風に正当化し、日常のストレスや不満をストーキング対象にぶつけるタイプが憎悪型である。

3.親密希求型

 親密希求型は相手と相思相愛になることを目的とし、一方的に自分の好意を押し付けてくるタイプである。ストーキング対象を過度に理想の相手と見なし、自分の孤独感や窮状を救ってくるのは彼女(彼)しかいないという考えに取り付かれ、ストーキング対象に保護者的な愛情を求めているパターンが多い。ストーキングを孤独感からの逃避手段として行っている傾向が強い。

4.無資格型

 人格障害などの精神的な疾患が原因で、相手の立場を理解することができずに自分の欲求を相手にぶつけるためにストーキングをするタイプが無資格型である。ストーキングすることに対して罪悪感はなく、相手は自分の欲求に答えるのが当然であると考えている身勝手なタイプともいえる。

 *****



◇ ストーカー男性の特徴

 犯罪心理学者の越智啓太氏が、加害者として頻度の高い男性に限り、ストーカーとなる人物像を紹介していましたので要約いたします。


1.見栄っ張りだが女性からモテなくはない

 男性ストーカーと言えばモテないから女性への執着心が強いと思われがちですが、越智氏によると、実はストーカー男は必ずしもモテないわけではないとのことです。ストーカー男の特徴として見栄っ張りという点が挙げられ、実際以上に自分をよく見せることに余念がないそうです。ストーカー男の見せかけの魅力にだまされる女性もいるとのこと、、、。

2.同年代や年上の同性からは敬遠される

 ストーカー男は見栄っ張りなので自分を大物に見せる嘘をつく傾向があり、その虚勢を見て「この人すごい!」と錯覚する女性はいるかも知れません。しかし、同年代および年上の同性からすれば、ストーカー男は単なる「鼻持ちならない奴」でしかありません。一方、年下の同性からはストーカー男の大風呂敷が通用する余地があり、また、ヨイショされるのに気を良くして、奢ってあげたり面倒見がよかったりする一面もあるので、後輩や下級生にはウケが良いとのことです。

3.自己愛が強い

 ストーカー男が、自己愛が強いことはよく言われます。「自分は特別な存在」という意識があり、自分以外の人間の長所を認めることができないとのこと、、、。自分が褒められると単純に喜びますが、他人が褒められると機嫌が悪くなるそうです。

4.交際相手の過度の束縛

 元交際相手に執拗にメールや電話をするというのは典型的ストーカー行為、これは別れをきっかけ始まるわけではなく、交際中から過度に連絡をとりたがる傾向があるとされます。連絡無精な一般の男性と異なり、ストーカー男は非常にマメで、メールすると即レスが返ってくるし、デートの後に「無事に帰宅した?」などと女性を気遣うようなメールまで送るそうです。ストーカー男が頻繁にメールしたり電話したりするのは相手への愛情というより、そうしなければ自分が不安だから、「無事に帰宅した?」というメールも彼女の安否を気遣うより、自分が彼女の位置情報を把握しておかないと気が済まないためとのことです。ですから、彼女の側でメールの返信が遅かったり、電話に出なかったりすると、怒ったりするのもストーカー男の特徴とされます。

5.仲直りのための過剰なサービス

 交際相手が愛想を尽かしたとき、喧嘩になると、ストーカー男は特徴的な行動、過剰なまでのサービス精神を発揮するとのことです。「俺が悪かった!」と土下座したり、収入に不相応な高額なプレゼントを贈ったり、ヨリを戻すためには手段を選びません。普段はプライドが高く「俺様」的な彼の変貌ぶりに心が揺れる女性がいるかも知れません。「ここまでしてくれるということは、今までのことをすごく反省しているにちがいない」と言うところです。


◇ 「ストーカー 逃げきれぬ愛」より

 日本でストーカーと言う言葉が認知され始めた頃、16年前の1997年、日本テレビ系列で放送されたストーカーを題材とした「ストーカー 逃げきれぬ愛」と言うドラマがありました。加害者を渡部篤郎が演じ、被害者役は高岡早紀であり、二人の迫真に迫る非常に高い演技力とストーリーの特殊性、坂本龍一 氏 作詞作曲のテーマが極めて良くマッチした素晴らしいドラマでしたのでご紹介いたします。残念ながら、VHSビデオは発売されておりますが、DVDにはなっていないようです。また、ドラマ放映後に小説化された単行本はあります。なお、同時期、TBS系列で放映された「ストーカー・誘う女」(陣内孝則、雛形あきこ)と言う、女性のストーカーのドラマもありました。

「ストーカー 逃げきれぬ愛」

 1997年1月7日〜1997年3月6日 月曜日22:00 - 22:54

 制作局      読売テレビ
 演 出      上川 伸廣、唐木 昭浩
 脚 本      野依 美幸、尾崎 将也
 プロデューサー  堀口 良則、小泉  守(イースト)
 出演者      高岡 早紀、渡部 篤郎、河相 我聞、
          井上 晴美、遊井 亮子、井澤  健、
          宮崎 彩子、赤座美代子、神田 正輝 ほか
 オープニング   「The Other Side of Love」
          坂本 龍一、feauturing Sister M
 エンディング   「愛を殺して…」
          梶原ユキコ

 第1話 君が運命だ [視聴率14.3%]
 第2話 危険な断わり方 [11.9%]
 第3話 拒絶には罰を [12.4%]
 第4話 君を支配する [11.6%]
 第5話 壊れていく男 [11.4%]
 第6話 君は僕の一部だ [12.8%]
 第7話 侵入 [13.4%]
 第8話 嫌がらせ自殺 [14.3%]
 第9話 監禁 [14.9%]
 最終話 君と永遠に… [17.7%]

逃げきれぬ愛小説家

○ ストーリー

 雅彦(神田正輝)と不倫関係にある海(高岡早紀)は、クリスマスイヴの夜ひとりで街を歩いたとき、眼科医の辰也(渡部篤郎)と出会います。実は、辰也はこの時、ストーカー行為を行っていた別の女性が自殺してしまい、うちひしがれていました。海は辰也にローズマリーの花束を渡して「メリー・クリスマス!」と、、、。これが悪夢の始まりでした。辰也の海に対するストーカー行為が始まります。徐々に明らかになる辰也の家庭の問題、母親との確執など、ドラマの終盤では離れていた弟の聡が事故で肝不全となり生体肝移植が必要な状態で、、、。ストーカー男と被害者の典型的な会話がありましたので、スナップショットと併せてご紹介します。

二人00

高岡0
ドラマの冒頭、海は辰也にローズマリーの花束を渡して「メリー・クリスマス!」と、、、

 *****

 ドラマ最終回の二人の会話です。いかにも、ストーカーの男性には正論は通じない、そんなシーンです。

二人

二人01

 辰也:(自分を捨てた母親)あの女は死んだんだ

 海 :(母親は)死んでなんかない
    貴方の心の中で 生きている
    貴方は 私におんなじことをしているのよ
    私の心は関係なく ただ支配しようとしてる
    私を所有物にして ずっと監視したいだけでしょう


 辰也:違う!

 海 :貴方がやってることは 貴方のお母さんがやっている
    ことと同じことなのよ


 辰也:違う! 僕はキミを愛しているんだ

 海 :愛してなんかない
    貴方が一番嫌う愛を
    貴方は私に押し付けているだけじゃない
    お母さんへの恨みを私にぶつけているだけよ


 辰也:違う! あの女の話しはやめてくれ!

二人02

 海 :ちゃんと向き合えば解ってくれる
    逃げないで ちゃんと向き合って
    自分自身を しっかり見つめ直して

    私もおんなじだった 誰ともちゃんと向き合えなかった
    でも今日 貴方とちゃんと向き合おうと
    している自分に気付いたの
    貴方と出逢ったことによって
    私も変われるんじゃないかって思った

    今 貴方を愛することはできない
    でも貴方の愛を信じることはできる
    だからお願い 愛情を見せて
    弟を助けてあげて (肝移植のドナーとして)
    聡くんの力になってあげて お願い


 辰也:あいつのことがそんなに好きなのか
    僕はどうなる? キミに救われた僕はどうなる?
    花束をくれたのはキミだよ キミが花束をくれたんだ
    クリスマスローズをくれたんだ


 海 :私はあのとき貴方が とてもかわいそうな人に見えたの

 辰也:何も望んでいない僕に キミが花束をくれたんだ
    だからあの日から 僕はキミしか見えなくなった
    あのクリスマスローズが原因なんだ
    すべてキミが原因なんだ


 海 :私はあのとき 本当の貴方の姿を知らなかった

 辰也:あのときキミはいらない花だと言った
    あの男からもらった花を いらない花だと言った
    あのときキミは悲しんでいた とても悲しんでいた
    僕の部屋であの花 毎日僕に語りかけていた
    キミは僕に 助けを求めていたんだよ


 海 :違う・・・

 辰也:君は僕に愛を求めていたんだよ

 海 :違う!

 辰也:だからあの男からも家族からも 僕が助けてあげたんだ
    そうだ! そうだよ 
    キミはもっと 僕に感謝しなきゃいけないんだ
    キミを助けたのは僕なんだから
    キミが始めたことなんだ キミが望んだことなんだ


 海 :私はそんなつもりなかった

 辰也:どうしてくれるんだよ キミが原因を作っておきながら
    僕をどうしてくれるんだ!?


 海 :解りました 
    私が原因で貴方をそんなふうにしてしまったのなら
    なんでもする


 辰也:僕と一生 一生 一緒にいてくれ
    なんでもできるなら 僕と暮らしてくれ
    もう僕に残された道はそれしかない
    今日から一緒にいてくれ たった今から一緒にいてくれ

    その約束をすれば 僕も約束する
    あいつを 弟を助けてやる


 海 :解りました

 辰也:いつの日か いつかきっとキミは 僕のことを愛する
    僕たちはず〜っと 一緒に暮らすんだ
    そうだろう
    移植が終わったら二人で どこか遠くにいかないか


 海 :(小さくうなずく)

 辰也:僕は一生キミのそばにいる
    キミもず〜っと 僕のことを愛し続ける
    一緒にいたい 一緒に逃げてくれ
    永遠の愛を 誓ってくれ


二人03

○ オープニングテーマ

 坂本 龍一 氏 作詞作曲のオープニングテーマ「The Other Side of Love」はまさに屈折した愛情を歌った曲で、詩の意味を噛み締めるとストーカーの気持ちが解るような気がします。原文が見つかりましたので和訳をつけて供覧します。

The Other Side of Love
坂本龍一 作詞作曲

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The Other Side of Love
(↑クリックするとyoutubeで実際の楽曲が聴けます)

In my heart, I know I must be right.
Darkest shadows will someday come to light.
I've been down, but I can rise above.
I keep searching for the other side of love


心の中で 私は間違ってはいないと知っている
闇の中の私にも いつか光が射すでしょう
これまで辛かった でも立ち上がることができる
別の側からの愛を 私は探し続ける

Looking for fun was just a game to me.
Never knew what each lonely day would bring.
Now I'm so tired of trying to run away.
I've got to find a love that's here to stay.


戯れはただのゲームでしかなかった
孤独になるなんて 思ってもみなかった
もう逃げることに疲れた
私が私である為に 目の前の愛を探し求める

In my heart, I know the day will come.
We'll be laughing and dancing in the sun.
What I've found has never been enough.
I keep searching for the other side of love.


心の中で いつかそんな日が来ることを知っている
私たちは太陽の下で踊っている
でもまだ私が見つけたものは足りなくて
別の側からの愛を 私は探し続ける

I always heard that love's supposed to be
more than a word and more than just a dream.
Someone to share your every joy and pain.
Someone who's there for sunshine and the rain.


私はいつも聞いていた 
愛とは「言葉」や「夢」以上のもの
愛とは 誰かと喜びや痛みを分かち合うものであり
誰かと晴れた日も雨の日も傍にいること

In my heart, I know I must be right.
darkest shadows will someday come to light.
I've been down, but I can rise above.
I keep searching for the other side of love.


心の中で 私は間違ってはいないと知っている
闇の中の私にも いつか光が射すでしょう
これまで辛かった でも立ち上がることができる
別の側からの愛を 私は探し続ける

In my heart, I know the day will come.
We'll be laughing and dancing in the sun.
What I've found has never been enough.
I keep searching for the other side of love.


心の中で いつかそんな日が来ることを知っている
私たちは太陽の下で踊っている
でもまだ私が見つけたものは足りなくて
別の側からの愛を 私は探し続ける

I know what I see.
I see exactly how it'll be.
He'll be strong enough to be kind.
He won't need to be tough to know he's mine.


私は 自分が何を見ているのか知っている
それがどうなるかも解っている
彼は優しくなる度に強くもなる
きっと彼は私のものとなる事を拒まない

And I must believe what I feel.
I'll feel it deep inside when it's real.
And I know when day is done.
He'll be so close to me that we'll be one
on the other side of love.


私は自分の感情を信じなければならない
それが現実となる時 私はさらに深く感じるはず
必ずその日が来る事を 私は知っている
彼が近付いて来て 私たちがひとつとなる
別の側からの愛で


◇ 三鷹の事件 被害者側の0.1%の非、SNSへの提言

 最後に少しだけ三鷹の事件について触れます。警察署の不手際や、殺害までの足跡、母親の国籍や自身の学歴など交際中の犯人の嘘が報道されており、対照的に、海外へのホームステイや英語の成績、女優としての仕事、将来の夢など、育ちの良い被害者の女の子としっかりしたご家庭がうかがわれます。これに対して、自分のことに嘘をついて交際に及び、別れてからは身勝手なストーカー行為、ついには殺人に及んだわけですから、ほぼ100%犯人が悪いと思います。しかし、ほぼ100%と申しました、数字にするのも変な話しですが、0.1%くらい、つまり1000分の1くらい被害者の女の子あるいはご家族側にも非があったのではないかと思います。それは「心の隙」ですね。

 ・周りにはいないタイプのヒトと知り合いたい
 ・素敵な異性なら交際したいし恋愛もしたい
 ・優等生の日常とは違うところで冒険したい、ちょっと悪い事もしてみたい

 普通の高校生の女の子ならこうした希望があってしかるべきだと思いますし、悪いことではないと思います。そんなところで出逢ってしまったのが犯人のような男性だとしても、高校生では相手を見る目、判断力が乏しいのも仕方ないと思います。
 しかしながら、今回の出会いの媒体となったFace Bookをはじめ、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の危険性、相手が自分の身の上を偽って近づいてくる可能性、相手に対する把握が不十分な段階で交際が始まってしまうことの危うさ、そこへの認識が甘かったと思います。これは、被害者の女の子自身が己にストップをかけられる時があったと思いますし、ご家族も、もっと注意すべきところ、未然に防ぐ余地はあったかも知れません。
 さらに、もっと広いところに目を向ければ、社会として未成年に対するSNSの規制があっても良いのではと思います。例えば、SNSを未成年が利用する場合には保護者の監視が可能、と言った簡単なシステムの変更です。未熟な若者を危険に曝す場はすなわち未熟な若者を間違った道に進ませる場でもあります。

 「被害者側の0.1%の非」としましたが、実は今の社会の問題、このような事例が事件になってはいなくとも、実は水面下で多数起こっていて、徐々に表面化して来るかもしれません。何か教訓を残していかないと、10年、20年前には無かったことが、これから増えて行く、そんな時代かと思います。

 心からご冥福をお祈りいたします。



http://ja.wikipedia.org/wiki/ストーカー
http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/seian/stoka/jokyo_1.htm
新版 ストーカーの心理学(福島 章 著)2002年 PHP研究所
http://ja.wikipedia.org/wiki/エロトマニア
http://www.men-joy.jp/archives/39941
http://getnews.jp/archives/374610
http://ja.wikipedia.org/wiki/ストーカー_逃げきれぬ愛
http://www.youtube.com/watch?v=CeebBKLkENM

解離性同一性障害(多重人格障害)覚え書き

 裁判員に発症した「心的外傷後ストレス障害」(Posttraumatic stress disorder, PTSD)に触れ、その補償の是非と、映画ランボーのご紹介をさせていただきました。このPTSDや「急性ストレス障害」(Acute stress disorder, ASD)と、過去の心的外傷が原因となっている点で類似した疾患があります。かつては多重人格障害(Multiple Personality Disorder ; MPD)と呼ばれた、解離性同一性障害(Dissociative Identity Disorder ; DID)について勉強しました。
 この疾患は、古くはロバート・ルイス・スティーヴンソンの1886年1月出版された、二重人格を題材にした小説、「ジキル博士とハイド氏の奇妙な物語」(“The Strange Case of Dr. Jekyll and Mr. Hyde”)の中で紹介されており、解離性同一性障害(旧称・二重人格)の代名詞として、「ジキルとハイド」という語が使われる事もあるようです。

ジキルはいど
原作の表紙(左)とジキルからハイドに変身する瞬間(右)

 この作品では、社会的地位のあるヘンリー・ジキル博士が薬を飲むことによって性格、および容貌までも異なる醜悪な人物、エドワード・ハイド氏に変わると言う設定で、ジキル博士の遺産をハイド氏が相続するとの遺言状でストーリーが始まります。なお、ハイド氏の“Hyde”という名は、隠れる(hide)に掛けたものとのことです。

 また、日本において、この疾患が大きく話題となったのは、宮崎勤死刑囚により1988年から1989年にかけて東京都北西部および埼玉県南西部で発生した「東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件」であり、この疾患を題材とした小説、ドラマもありました。また、以前に比べて、現在は疾患に対する認知度が上がって来たようで、自らビデオを撮って告白している人もいます。併せてまとめてみました。


◇ 解離性同一性障害

【定義/病態】
 解離性障害は、本人にとって堪えられない状況を、それは自分のことではないと感じたり、記憶の中から抹消することで心のダメージを回避しようとする精神の反応、障害であり、解離性同一性障害は、その中でもっとも重く、切り離した感情や記憶が成長して、別の人格となって表に現れるものとされます。

【診断基準】
 解離性同一性障害の診断基準では以下通りですが、子供の場合、その症状が、想像上の遊び仲間または他の空想的遊びに由来するものでないことが条件となります。

 A.2つまたはそれ以上の、はっきりと他と区別される同一性または人格
   状態の存在(その各々は、環境および自己について知覚し、かかわり、
   思考する比較的持続する独自の様式をもっている)。
 B.これらの同一性または人格状態の少なくとも2つが反復的に患者の行動
   を統制する。
 C.重要な個人的情報の想起が不可能であり、普通の物忘れで説明できない
   ほどに強い。
 D.この障害は、物質(例:アルコール中毒時のブラックアウトまたは混乱
   した行動)または他の一般身体疾患(例:複雑部分発作)の直接的な
   生理学的作用によるものではない

【特徴的症状】
 01. 時間が歪んでおり、時間に空白や不連続がある
 02. 自分が覚えていないことを他人からやったと指摘される
 03. 知らない他人に知り合いとされ、自分の知らない名で呼ばれる
 04. 患者が自分自身を別の名で呼ぶか自分のことを第3者とする
 05. 催眠中またはバルビツール酸による面接中に他の人格が引き出される
 06. 面接の際に患者は自分のことを私達と呼ぶ
 07. 患者所有物中の見覚えのない、説明不能の文章、絵、洋服などの存在
 08. 頭痛
 09. 心の中から生じた声を聞く、あるいはSchneiderの一級症状(*下記)
 10. 5歳以下のときの心的外傷
 11. 過去の治療の不成功
 12. 境界性人格障害
 13. 20-30歳女性
 14. 自己破壊的行為
 15. 思考障害はない

* Schneiderの一級症状:自我障害を中心とする統合失調症の一級症状、1)考想化声、2)話しかけと応答の形の幻聴、3)自己の行為に随伴して口出しをする形の幻聴、4)身体への被影響体験、5)思考奪取やその他の思考領域での影響体験、6)考想伝播、7)妄想知覚、8)感情や衝動や意志の領域に表れるその他のさせられ体験・被影響体験

【病 因】
 解離性障害となる人のほとんどは幼児期から児童期に強い精神的ストレスを受けているとされ、ストレス要因としては以下が挙げられます。
 1.学校や兄弟間のいじめ
 2.親などが精神的に子供を支配して自由な自己表現が出来ない
 3.育児放棄(ネグレクト)、
 4.家族や周囲からの児童虐待(心理的、身体的、性的)
 5.殺傷事件や交通事故などを間近に見たショックや家族の死


◇ 東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件

1.事件の概要

 1988年から1989年にかけて東京都北西部および埼玉県南西部で発生した、4歳から7歳という低い年齢の女児が被害者となり、新聞社宛の犯行声明文や、野焼きされた被害者の遺骨の遺族への郵送など、極めて異常な行動を犯人が取った、特異性が強い事件でありました。宮崎勤死刑囚が起こした当事件の概要のコピーを以下に供覧します。

宮崎勉

 *****

【第一の事件】
 1988年8月22日、4歳の女児(以下KM)が誘拐・殺害される。殺害後しばらくたち、死後硬直で固くなった遺体にわいせつ行為を行う様子をビデオ撮影している。動機について簡易鑑定の問診記録では、鑑定人にどうして写真だけでは済まなくなったかを聞かれた際は、第一次鑑定では「よく分かんない」、最後の被告人質問では「急に子供の頃が懐かしくなった」と、証言が曖昧であった。

【第二の事件】
 1988年10月3日、7歳の小学1年生の女児(以下YM)が誘拐・殺害される。こちらはすぐさまわいせつ行為をしたが、この時点ではまだわずかに息があった模様で足がピクピク動いていたという犯人の証言がある。動機について供述調書では「何ともいえぬスリルがあった」、第一次鑑定では「よく覚えていない」「一番印象が無い」と述べ、やはり不明瞭。

【第三の事件】
 1988年12月9日、4歳の女児(以下NE)が誘拐・殺害される。NEは失禁した。焦ったのか犯人は被害者を山林に投げ捨てた。12月15日、NEの全裸死体発見。12月20日NE宅に葉書が届く。この遺体の発見後、テレビで被害者の父親が「死んでいても見つかってよかった」と発言するのを見た犯人が他の被害者の遺体も送ることを計画するが、YMの遺体を発見できなかった。

【犯行声明】
 1989年2月6日、KM宅に紙片と骨片などの入った段ボール箱が置かれる。2月10日には「今田勇子」名でKM事件の犯行声明が朝日新聞東京本社に郵送される。11日には同内容の犯行声明がKM宅に届く。3月11日、「今田勇子」名での告白文が朝日新聞東京本社とYM宅に届く。

【第四の事件】
1989年6月6日、5歳の女児(以下NA)が誘拐・殺害される。NAの指をもぎ、醤油をかけて焼いて食べた。また、ビニール袋に溜まった血を飲んだ。11日NAのバラバラ殺人遺体発見。

【現行犯逮捕後】
 1989年07月23日 東京都八王子市で猥褻事件中に現行犯逮捕
 1989年08月09日 NAの殺害を自供
 1989年08月10日 NAの頭部発見
 1989年08月11日 NAの誘拐、殺人、死体遺棄の容疑で再逮捕
 1989年08月13日 KM・NEの誘拐殺人を自供
 1989年09月01日 警察庁広域重要指定117号に指定
 1989年09月02日 検察が起訴に踏み切る
 1989年09月05日 YMの殺害を自供
 1989年09月06日 五日市町でYMの遺骨発見
 1989年09月13日 KMの遺骨発見

 幼女を殺すたび、自宅に藁人形を置いて部屋を暗くし、頭に鉢巻きをして蝋燭を数本付け、黒っぽい服を身に付け手を上げ下げし、祖父復活の儀式を執り行ったという。

【裁判から死刑執行まで】
 宮崎が自室に所有していた「5,763本もの実写ドラマなどを撮影したビデオテープ」を家宅捜索により押収した警察側は、これらを分析するために74名の捜査員と50台のビデオデッキを動員した。2週間の調査によって、被害者幼女殺害後に撮影したと見られる映像を発見した。

 1989年8月24日、東京地方検察庁の総務部診断室で簡易精神鑑定を受ける。精神分裂病(当時の呼称で、現在では統合失調症に改称)の可能性は否定できないが、現時点では人格障害の範囲に留まるとされ、これを受けて、1989年9月2日に起訴に踏み切り、後に宮崎の供述により遺体が発見されたため、一連の事件犯人として追起訴した。
 宮崎は公判において、「全体的に、醒めない夢を見て起こったというか、夢を見ていたというか・・・」と罪状認否で訴え、「犯行は覚めない夢の中でやった」、「ネズミ人間が現れた」、「俺の車とビデオを返せ」など、不可解かつ身勝手な発言を繰り返していた。
 公判開始後の1990年12月より、5人の精神科医と1人の臨床心理学者による精神鑑定が実施される。この鑑定では動物虐待などの異常行動に目が向けられ、祖父の遺骨を食べたことなどは供述が曖昧なため事実ではないとみなされた。1992年3月31日精神鑑定書が提出され、人格障害とされた。祖父の骨を食べた件については弁護側は墓石などが動かされたことを証拠としたが、検察側はそれだけでは確証ではないと反論した。

 1992年12月18日より、弁護側の依頼により3人の鑑定医により再鑑定が始まる。1994年12月に鑑定書が提出される。第2回鑑定では1人は統合失調症、2人が解離性同一性障害の鑑定を出した。

 1人は統合失調症、2人は解離性同一性障害と鑑定

 1997年4月14日に東京地方裁判所で死刑判決が下る。判決の朗読では冒頭で主文の死刑判決を言い渡された(通常、死刑判決では判決理由を朗読した上で主文を後回しにする)。控訴するも、2001年6月28日に東京高等裁判所でも控訴棄却され、一審判決の死刑を支持。弁護側は、宮崎が東京拘置所で幻聴を訴え、継続的に投薬を受けていることなどを挙げ、高裁に差し戻して再鑑定するよう求め上告したが、2006年1月17日に最高裁第3小法廷は、弁護側の上告を棄却、死刑が確定した。
 この自身の死刑確定について宮崎本人は著書の中で「あほかと思う。あの裁判官は後から泣くことになる」と述べており、面会に訪れた人物にも「あの判決は何かの間違い」と話していたことが明らかになっている。

宮崎勤本

 死刑確定後、手紙の中で絞首刑に対する恐怖を訴えており、アメリカで行われるような薬殺刑を希望していた。これについては宮崎が獄中で書いた手紙をまとめた著書に詳しく記されており、絞首台から落下する瞬間を「どん底の恐怖に陥れられ、それは人権の侵害にあたる」と主張している。また同書の中で自身の最高裁判決が大きく報道されたことを「やっぱり私は人気者だ」と語り、殺害した被害者や遺族に対しての思いのほどを問われ「特に無い。いいことが出来て良かったと思う」と答えたことは遺族をはじめ世間から強い非難を浴びた。
 2008年6月17日、鳩山邦夫法務大臣の下により東京拘置所に於いて死刑執行。宮崎の口から遺族に対する謝罪、事件に関する反省の念が語られることはついに最期まで無いままであった。

【動 機】
 事件の奇異さから、さまざまな憶測が飛び交い、また宮崎自身が要領を得ない供述を繰り返していることから、裁判でも動機の完全な特定には到っていない。鑑定に当たった医師たちによると、彼は本来的な小児性愛者(ペドフィリア)ではなく、あくまで代替的に幼女を狙ったと証言されている。

 動機の完全な特定には至らず

 「成人をあきらめて幼女を代替物としたようで、小児性愛や死体性愛などの傾向は見られません」(第1次精神鑑定鑑定医 保崎秀夫 法廷証言)および「幼児を対象としているが、本質的な性倒錯は認められず・・・幼児を対象としたことは代替である」(簡易精神鑑定)。

*****


2.宮崎勤は解離性同一性障害か?

 宮崎死刑囚に解離性同一性障害(多重人格)が疑われた、実際の精神鑑定でも同病態として認定された一つの理由は、幼い頃から手首を回せず手のひらを上に向けられない、両側先天性橈尺骨癒合症と言う身体障害があり、両親はそれに対して治療を行わず、また周囲にからかわれても幼稚園の先生は何も対応しなかった、と言う心的外傷の既往が考えられました。また、上記概要にもあります、犯行声明が「今田勇子」と言う名前でなされ、また「ネズミ人間が現れた」との供述に、複数の人格の存在が考えられたからと記憶しております。

 身体障害による幼児期の心的外傷の既往
 今田勇子、ネズミ人間という複数の人格?


 しかしながら、「今田勇子」を英語表記にすると“Yuuko Imada”となり、これは“Yuuka Imada”=「誘拐魔だ!」の当て字と考えられました。また「ネズミ人間」の人格は未確認であり、鑑定した精神科医の前で別人格が発生したとの報告はないように思います。

 今田勇子 = Yuuko Imada
  → Yuuka Imada”= 誘拐魔だ!

 ネズミ人間は未確認


 精神鑑定にしても、検察側と弁護側で鑑定書の病名が異なり、精神医学の診断の信頼性や普遍性に関して疑問の声が起こりました。ただ、事件以後の精神科医のお話しを再現しますと、「それまで一度として経験することのなかった解離性同一性障害が多発した」とのことでした。この原因として考えられるのは、それまで病気と思われていなかったけれど、これが病気と認識されたことで来院する人が増えたということだと思います。逆を言えば、宮崎死刑囚に対する鑑定に際しては、症例が少なく、確定診断が困難であったものと推察されます。

 宮崎死刑囚が解離性同一性障害ではなかったしても、少なくとも、彼による連続幼児誘拐殺人事件が、皮肉にも本邦における同病態に関する学問を進ませたのは間違いないと思います。


◇ 多重人格者が歌うLOVEマシーン

 宮崎死刑囚の事件の頃とは打って変わり、解離性同一性障害の患者の映像は簡単に見る事ができます。ドキュメンタリー番組もありましたし、今はネットで観ることも容易です。YouTubeに載っていたものをご紹介しますが、当然の如く多くのコメントが寄せられており、インチキや演技と言った否定的なご意見も散見されます。しかし、以前に見た他の解離性同一性障害患者の症状と極めて酷似しているので、私個人は本人の供述通り、同疾患の患者であると思います。動画を載せる方法が解りませんので、ここでは紙芝居形式で写真を供覧します。枚数が多くなり恐縮いたします。

 http://www.youtube.com/watch?v=SODvyoqurAA

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解離性同一性障害のご紹介

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テレビでの特集

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溝渕やこ さん(25歳)

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交代人格 小学校低学年の「お肉」

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交代人格 高校生の「柿子」

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ふっと、意識を失い、、、

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本来の人格「やこ」に戻り、注文したスィーツにびっくり

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現在、人格は4人

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父親の影響で子供の頃から舞台女優をやっていた

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カラオケ店で意識を失い

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「柿子」が出現

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「柿子」が歌うLOVEマシーンはものすごい音痴

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また意識を失い、、、

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別人格の思春期の少女「魚」が出現

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「魚」は初対面が苦手

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「魚」は自傷行為も

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「魚」は内気で寡黙

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またも意識を失い

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小学校低学年の「お肉」に変わり

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「お肉」は演歌、すごくうまい!


◇ 「存在の深き眠り」(ジェームズ三木 著)

 最後に一つ、解離性同一性障害を題材とした小説をご紹介します。ジェームズ三木氏著作の1996年に出版された「存在の深き眠り」がそれです。

存在の深き眠り

 気弱な性格の 漆原市子は、夫 隆一と娘 さやかとクラス平凡な34歳、主婦でありましたが、実は幼児虐待(性的暴行)を受けた経験がある解離性同一性障害患者でありました。市子の中に潜む別人格の一人、朝倉直美が時々、交代人格として発現して夜遊びをしており、精神科医 本堂真一郎が治療に取り組みますが、その最中に起きた、塚本勇作と言う人物の殺人事件で市子は容疑者として逮捕されてしまいます。
 本堂は催眠術で別人格の朝倉直美を呼び出して、いろいろな会話をするうちに二人は特別な感情を抱くようになります。しかし、事件の解決と本来の患者である漆原市子の病態を治癒に向わすには、朝倉直美の人格を抹消しなければならない、という葛藤が生まれます。やがて市子の中には、この直美のほかに、凶暴なテリー、幼児のチーの二人の別人格がいることがわかります。いよいよ最後、殺人事件の裁判において、本堂は、、、というストーリーです。

 同小説はNHKのドラマになりましたが、残念ながら、今までのところビデオテープ、DVD、いずれの販売も確認されておりません。また、2010年には横浜ランドマークホールにおける舞台での公演、二人芝居もありました。

○ NHKドラマ

 1996年4月3日〜5月8日(全6回) 水曜日 22:00-22:45
 出演:大竹しのぶ(漆原 市子、朝倉 直美、チー、テリー 役)
    中村 梅雀(漆原 隆一 役)
    片岡鶴太郎(塚本 勇作 役)
    細川 俊之(本堂真一郎 役) 

 今から17年前、偶然にもこのドラマはリアルに観ることができました。大竹しのぶ さんの名演技で、いくつもの人格を見事に演じておりましたし、故細川氏の悪魔払いのようなラストシーンも印象的でありました。

○ 横浜ランドマークホール舞台公演(二人芝居)

 2010年3月18日〜23日
 出演:三田村邦彦(本堂真一郎、漆原隆一、塚本勇作 役)
    七瀬なつみ(漆原市子、朝倉直美、チー、テリー 役)

 またの機会に期待いたします。

存在の〜舞台

http://ja.wikipedia.org/wiki/ジキル博士とハイド氏
http://ja.wikipedia.org/wiki/解離性同一性障害
http://www13.atpages.jp/seisinsoma/hdsindan.html
http://ja.wikipedia.org/wiki/東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件
http://www.youtube.com/watch?v=SODvyoqurAA
「存在の深き眠り」 ジェームズ三木著 1996年 日本放送出版協会

「内観法」で解離性同一性障害(?)が完治

 昨年暮れ、ある40代の患者さまから身の上話を聞いたところ、学童期に母親から虐待を受けた経験があり、10代後半より別人格の幼い自分が出現するようになって随分と苦しんだとのことでした。症状だけ聞くと解離性同一性障害(いわゆる二重人格)で、外科医である私ですら治療に難儀することを存じ上げております(ちなみに私の父は精神科医ですが、、、)。

 「内観法」で解離性同一性障害が完治した?

 ところがこの患者さま、30代前半の「内観法」との出会いで、完全に別人格は出て来なくなったとのことでした。後天性に発生した業(カルマ)、あるいはスピリチュアルで言うところのブロックを取り除くのに成功したようですが、このあたり、ご本人の言葉をそのまま引用します。

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「『内観法』を学んだ結果、別人格の統合に成功した」というのが近いです。少女は消えたわけではなく、自分の中に入ってきました。しかもにっこり笑ったところもはっきりと見ました。入って来たところをみると彼女自身はブロックそのものではなく、ブロックを取り除いた結果、本当の意味で彼女の気持ちに寄り添うことができたため、彼女の悲しみが解放されて入ってきた、というところでしょう。

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 この話が私をいよいよスピリチュアルにかき立てる1つのきっかけとなりました。「内観」がいかなるものか?、まだまだ勉強が足りないのですが、現代の医学(自然科学)では解決できない問題をスピリチュアル的に乗り越えたのは間違いないところです。

 自然科学では証明できない世界を認めざるを得ないか?

 これまで、医療の世界にいて数々の不思議な現象に遭遇して来ましたが、自然科学では証明できないものには目を伏せて参りました。でも、間違いなく霊魂や精神世界は存在すると思います。それならば、自らの心、目、手、身体で、それを確認したい、それが今後の医療行為あるいは人生にプラスとなるのではないか?、そう考えました。
 よくスピリチュアルに生きるヒト、いわゆるチャネラーとされる人々は、「目醒め」の過程における偶然の出来事、主として貴重な人物との出会いを「シンクロニシティ (Synchronicity、意味のある偶然の一致)」と呼んでいます。もしかしたら、この患者さまとの出会いは私にとってのシンクロニシティなのかも?、と思う次第です。

アセンションを目指すと同時に
スピリチュアルの分野に厳しいメスを入れて行く

 本ブログは、私個人のヘミシンクの記録に留まらず、スピリチュアルと呼ばれるものに対して幅広く情報収集を行い、真実はどこにあるのか探求して参りたいと考えております。

http://ja.wikipedia.org/wiki/解離性同一性障害
http://ja.wikipedia.org/wiki/内観